延原謙の作品一覧
「延原謙」の「シャーロック・ホームズの冒険」「バスカヴィル家の犬」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
コナン・ドイルはシャーロック・ホームズ物語を『最後の事件』で終わらせたがその発表から八年後に、『最後の事件』より二年前の出来事として発表された長編。この時点ではコナン・ドイルはまだホームズを完全復活させるつもりはなかったはずなので、今までのホームズ物語とはちょっと違うのかな?
こちらの新潮社の版は昭和29年初版のため言葉遣いも若干古めかしいところが雰囲気があって良いです。
ホームズとワトスンはモーティマー医師から訪問を受ける。それは最近死んだチャールズ・バスカヴィル卿の遺産相続に関する相談だった。
バスカヴィル家はデヴォンシャーの旧家で、「地獄の犬」の言い伝えがある。それは数代前の当主ヒューゴー・バスカヴィル卿の乱暴非道さ、そしてそんなヒューゴー本人が巨大な野犬に食い殺されたことにより、子孫たちに言い伝えられた伝説だった。
年月は経ち、社会活動に勤しんでいた当主チャールズ・バスカヴィル卿の死体が見つかった。そばには巨大な犬の足跡が残されていた。
そしてバスカヴィル家の跡取りとして、甥のヘンリー・バスカヴィル卿が外国から呼び寄せられることになった。しかしロンドンに着いた途端に尾行者が付き、「バスカヴィル屋敷に行くな」という脅迫状が届く。
こうなったら魔犬だとか呪いみたいなもんではなくて生きた人間の仕業だ!と早速調査を引き受けるホームズ。しかし自分はロンドンに残り、デヴォンシャーにはワトスンに先発して身辺の報告をしてくれるように依頼する。
バスカヴィルの屋敷の周辺は荒れ地で底なし沼があり一人で歩くことも危険だ。夜になると、屋敷の窓からランプの合図を送る屋敷の執事、監獄を逃亡して荒野に潜んでいるらしい殺人者、そしてある晩ワトスンとヘンリー卿は、目を輝かせて火を吐く巨大な魔の犬を目撃する…。
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探偵物語というより冒険小説のようだが面白かった。舞台が荒野なので、見渡す限りの寂しさや、発生するとあたりが見えなくなる濃霧や、その中から現れる光る巨大な犬、底なし沼に引きずり込まれる動物の最後の鳴き声だとか、オソロシイ雰囲気たっぷり。
前当主チャールズ卿の死の真相、現当主ヘンリー卿が狙われる理由や犯人は中盤でわかるので、後半は雰囲気たっぷりの荒野で罠を張ったり魔犬と対峙したりの冒険活劇風味です。
Posted by ブクログ
犯人の動機やトリックの秀逸さ、とは違った事件自体が奇妙だったり怪奇的だったりする話が短編ならではという感じで良かった。
中でも「這う男」と「ライオンのたてがみ」は不気味で強烈な事件のインパクトに反して、解決後のあっさり穏やかな空気感が独特でなんとも言えず良い。
ホームズ著だったり第三者視点だったり、描かれ方自体の新鮮さが面白かった。
特にホームズが書いたとされる事件の話は、ワトソンが語る通りのホームズ像そのものが執筆上に表れていて思わず嬉しくなってしまった。
また「白面の騎士」で語られるホームズからワトソンへと真っ直ぐな称賛の言葉と強い友情には、嬉しさ越えてなんだか照れ臭くなってくる。こっちが思っていたより遥かに両想いだった。
「這う男」でのホームズからワトソンへ送る傍若無人な電報の内容も、それに対するワトソンの感想が特に無いのにも思わず面食らって笑ってしまった。
「ライオンのたてがみ」にてホームズがこんな平穏な生活に身を置いているのがすごく意外な気持ちだったけど、
実際あのホームズが、一軒家で家政婦とミツバチと共に静かに暮らし、親しい仲の隣人もいる生活を送っている事実は読んでいてホッとする嬉しさもあった。
それでいて奇妙な事件に対する熱意は全く失われていないようで安心もした。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズのシリーズ第二弾。どの物語も面白いが、特に「海軍条約文書事件」は少しホラー要素めいた幕開けもありぞっとして、読み進めるといつものホームズと違った様子も見られてワクワクした。さらに本短編集「最後の事件」でまさかホームズが死ぬとは・・・と寂しくなったが、あとがき「解説」であ、ファンから相当の注文があって書き続けたんだ!生きてたんだということがわかり、これからまだまだホームズ物語を読めることに期待が高まった。延原謙氏の訳のされかたも丁寧で、非常に読みやすく、文庫として持ち歩き、さっと開けばホームズの世界に誘われるのがたまらなく心地良い。そして、解説にあるように、C・ドイルの探偵小説が殺人の現場の描写や、グロ・エロを必要な条件とせず注意を払って描かれている点が美しく読んでいて後味の良いものだと理解できる。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズ探偵小説、第二弾。
こちらの新潮版は昭和28年発行ということで、特に女性の言葉遣いが「〇〇でございました/〇〇かと存じまして」といういかにも丁寧でゆったりした感じで読み心地が良い(^_^)
ホームズは退屈してコカイン注射の日々。医師のワトスンは「なんでそんなもんやるんだ!」とイライライラ。そこへ若い女性メアリー・モースタンが自分の身にまつわる不可思議な事件の相談に訪れた。
メアリーの父はインドに駐在したイギリス陸軍だったが、退役してイギリスに戻ってきたが失踪してしまった。メアリーは、父の軍人仲間だったショルトー氏に話を聞くが知らないという。それが10年前のことだ。
そしてそれから4年後(今から6年前)から、年に1回差出人不明で高価な宝石が送られてくるようになった。そしてついにその人物から「あなたは不当に権利を奪われています。お話しますから、どこどこへ来てください。心配なら二人の同行者を連れてきてください」という手紙が来た。
ホームズはワトスンとともに同行し、手紙の差出人サディアス・ショルトーと会う。彼の父ショルトー氏と、失踪したメアリーの父モースタン氏はインドにいたころに莫大な財産を手に入れていたこと、しかしそのことで彼らを狙うものがいることを伝える。
財宝の隠し場所は?その財宝を狙う者を捕まえられるのか?
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コナン・ドイルやアガサ・クリスティーの物語では、インドやアフリカはまだ未知の地だったので「現地で手に入れた毒」「現地の人々のしきたり」などがでてきます。植民地の宗主国であってもインドやアフリカは不思議の国だった頃の、ヨーロッパの人たちがどんな目で見ていたかが伺えますね。
今作の依頼人メアリーは、この時代に女一人で生きなければならない経済的には恵まれていないがしっかりした女性で、ワトスンは最初から「素敵な人だなあ…」と目がハート状態・笑
しかし「財宝を手に入れて大金持ちになった彼女に告白したら金目当てだと思われてしまう」と及び腰。事件解決と同時に、ワトスンの恋はさあどうなる?笑
世界初?だと思われる、名探偵の手伝いをする少年たちの「ベーカー街特務隊」も出てきます。
そしてホームズ、いくら当時は合法だったとはいえ、腕中にコカイン注射の跡は身体が心配だ(-_-;)。