あらすじ
自ら歴史小説家と称していたドイルは『最後の事件』をもってホームズ物語を終了しようとした。しかし読者からの強い要望に応え、巧妙なトリックを用いて、滝壺に転落死したはずのホームズを“帰還”させたのである。本編はホームズ物語の第三短編集で、帰還後第一の事件を取上げた「空家の冒険」をはじめ、「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」など、いよいよ円熟した筆で読者を魅了する。
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Posted by ブクログ
「シャーロック・ホームズの冒険」に次いで読みました。十三の短編からなり、どれも初めて読む話でとても楽しめました。
ここまで短編集を2冊読み、個人的に思ったのは、各話の書き出しがいつも面白いということ。シャーロック・ホームズの探偵譚が、ストランド誌掲載当時にどんな風に執筆されていたかを踏まえると、ワトソン博士の語りの背後に作者の悩みが垣間見える気がします。
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「空家の冒険」「踊る人形」「美しき自転車乗り」
「プライオリテ学校」「黒ピーター」「犯人は二人」
「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」「アベ農園」
「第二の汚点」
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みどころは死んだはずのホームズが突然現れて意識を失ったり、彼が本当に実在しているのかを疑い、思わず触って確認するワトソン君です。とても可愛らしい。
一方のホームズは相変わらず変人で、自分の推理のネタばらしをしてワトソン君から「なあんだ、そんなことか」と言われて不機嫌になったり、動いている汽車からワトソン君の手を引いて飛び降りたり、大きな銛を持って馬車に乗ったりとやりたい放題。100年以上前に描かれた彼らが今日も元気そうでなにより。
ところで私はホームズ→ワトソンは「ワトソン君」でワトソン→ホームズは「ホームズ」だと勝手に思ってたんですが、この本の中に「ホームズ君」という呼称が出てきてひっくり返った。「ワトソン君」という呼称には「君はいつも分かってないな」感が含まれると思ってたので。総じて君付け可愛い。好き。
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相変わらず面白い。
発刊順にここまで読み進めた読者の多くがそうなのであろうが、すっかりホームズの虜になってしまった。個人的には謎を解いていく痛快さだけでなく、ホームズとワトソンの何気ない会話や立ち振る舞いも面白い。またホームズ・ワトソンが出かけて行った場所のいわゆる「聖地巡り」もするようになった(先日は『冒険』の橅屋敷に出てくるウィンチェスターに)。
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巻を追うごとに読みやすく、さらにおもしろくなっているように思う。ホームズとワトスンそれぞれのキャラクターがより出てきているし、事件自体もより作り上げられた感じがする。ホームズが暗闇でも目が見えるように訓練をしていたというのは、初めて知った情報だった笑
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『帰還』とある通り、ホームズが帰ってきます!そうわかっていても、実際に帰ってくるシーンを読んだ時は本当に驚きました。
上記は「空き家の冒険」のことですが、他の短編では、主にワトソンがホームズの述べる事実に驚くシーンが度々あります。「犯人は背が高くて男で…」というように、ホームズには最初から事件の全容がありありと見えているようです。それを、ワトソンと一緒になって「どうしてわかるんだ!?」と驚くのが楽しかったです。
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ホームズを完全に終わらせるつもりでいたドイルがどうやってホームズを復活させるのか、後付け要素満載で強引に復活させてしまうのではないかと心配だったが、大した違和感もなく、見事に華麗にホームズを復帰させていた。空家の冒険は推理・ミステリーというカテゴリーに入るかどうかは怪しいが、ひとつの物語として素晴らしい出来栄えだった。何より僕たちのホームズを再び甦らせたことをドイルに感謝したい。
名作として名高い踊る人形はやはり面白かった。多様されるアルファベットのeと登場頻度の多い人形をeと結びつけるところからはじまり、次々にホームズが人形の謎を推理し、解読していく様は推理小説の真骨頂だと感じた。「なぜ人形の謎を知らないはずのお前に人形の秘密が分かったのか?」と犯人に問われ「人間が発明したものなら人間に解けないはずがありません」と言い返したホームズという男のかっこよさは痛快!!
プライオリ学校は伸び代があり、それなりの冒険をした点や登場人物の多さからももう少し練れば良い長編になったのでは?と感じた。ただ、プライオリ学校・金縁の鼻眼鏡・第二の汚点などのように、依頼人(あるいは依頼人の側近)が既に犯人が誰だか分かっているというパターンが少し多く感じた。これだけ多くの作品を出せばマンネル化というものは避けられない故にしょうがないことだが。
魅力的な悪役としてミルヴァートンの登場が印象深い。とにかく抜け目のない男。相当頭の切れる人物でありながらも、あっさり短編一話で死去してしまうのが少々残念なところ。ミルヴァートンとホームズの対決を再び見てみたいところだった。
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宿敵モリアーティとライヘンバッハの滝に落ちたはずが、読者の熱意により”奇跡の復活”を遂げたホームズ。
この経緯からして面白く、またホームズものをやめたがっていたドイルには申し訳ないですが、またこうして二人の活躍が読めて嬉しいですね。
ホームズものの短編集は冒険、思い出と読んできましたが、すっかり二人のスタイルも固まり、本作が読んでいて一番安心感を覚えました。
楽しい図形が描かれた「踊る人形」(ストーリーは胸が痛い……)、「美しき自転車乗り」「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」などが洗練されていて面白かった!
「犯人は二人」では、ドラマでポワロさんも泥棒していたなぁとニヤニヤ。優れた探偵にはやはり優れた犯罪者の素質があるのでしょうか?
ある程度この時代の知識を抑えておけば、こちらはかなり読みやすい部類の一冊かと思われます。
そして延原訳では訳者あとがきまで欠かせません!
毎度こちらで明かされるドイルの”勘違い”や行き過ぎたシャーロキアン達の行動は、感服するやら呆れるやら……。しかし、そこまで熱狂する読者がいるということで、ホームズものが『ストランド』誌読者にどれだけもてはやされていたかがわかりますよね。
短編集の利点は、どんなスキマ時間でもささっとその世界に没入できること。
江戸川乱歩選の短編集も手に入れたので、おいおい読んでいきたいと思います(^^)/
Posted by ブクログ
今回はホームズの裁量で裁かれたり、ちょっとブラックなホームズを感じるお話が多かったです。
『青いガーネット』がクリスマスの出来事で特別許されたのかと思っていたのがそうではなかったんだなというのと、140年近く前の話でシリーズを読む前の神格化されたホームズ像がだんだん崩れた今回だから法に背いたり、ブラックなのも受け入れやすかったかなと思いました。
『踊る人形』『犯人は二人』『六つのナポレオン』『金縁の鼻眼鏡』『第二の汚点』と気に入った作品も多く、垣間見えるホームズとワトスンの信頼関係や日常も良かったです。
Posted by ブクログ
シリーズで言えば6作目。
今回の短編は殺人が多い。
監視カメラや科学捜査がなく物的証拠と人の証言、現行犯などでしか犯人逮捕の手段がない時代。裁判も陪審員の心情に訴えたもん勝ち感すらある。そりゃ犯罪は多かっただろうし、人の都合によって迷宮入りや誤認逮捕なども多発していたんでしょうね。
やっぱりホームズの正義のためなら殺人OKみたいなスタンスは肌に合わない。
そんな人間を警察は頼りにしてはいけないよ。と思ってしまう。
まぁ、その他の部分はホームズ大好きです。
Posted by ブクログ
犯人を的中させることは容易ではないが、一つの証拠から一つの結論を出していく一瞬の解決が、そして当時のイギリスの描写がおもしろい。
再読だが、ゴールをイメージできたのは6つのナポレオンだけ。あとは新鮮な気づきで読めた。何が違うんだろうか
Posted by ブクログ
劇的に再登場するかと思いきや、意外とあっさり帰って来る『空家の冒険』はもちろん、暗号にわくわくさせられる『踊る人形』、ホームズとワトスンが犯罪に手を染める『犯人は二人』、『六つのナポレオン』など秀逸な短編がてんこ盛り。個人的には『美しき自転車乗り』が好き。いくら心配だったとはいえ単なるストーカー行為で不気味極まりない。愛情が高じてというケースが多い気がする。『第二の汚点』のスッとぼけ振りも大いに笑える。『シャーロック・ホームズの冒険』も面白かったが、バランスが良いのは本書かな。
Posted by ブクログ
相変わらず面白い。
作者がホームズを殺して終わらせようとしたのに、読者から批判が殺到したとかで今回ついに復活!
いかにしてシャーロック・ホームズが生きていたか詳細に語られるものの、少々苦しいなとも思った。笑
ホームズを目の当たりにして、ワトスンが気を失ってしまうシーンが好き。
Posted by ブクログ
ホームズの鮮やかすぎる帰還のシーンは、ドキドキとワクワクが止まらなかった…これでこそホームズ!という感じでたまらない!!
あと、ホームズが生き残った理由に日本の柔術を心得てたから、というのがあって少し嬉しかった。
だいぶホームズシリーズも読み慣れてきたのもあると思うけど、とても読みやすい文章でテンポよく展開していくから飽きないな…
Posted by ブクログ
空家の冒険
ホームズ復活、ライヘンバッハ、モリアーティ配下モーラン大佐、狙撃手
踊る人形
3つの弾丸、夫死亡、妻重体
美しき自転車乗り
ストーカー、求婚、結婚強制
プライオリ学校
息子行方不明、懸賞金、自転車の跡、牛の足跡(偽装)、もう一人の息子
黒ピーター
犯人は二人
六つのナポレオン
金縁の鼻眼鏡
アベ農園
第二の汚点
Posted by ブクログ
「最期の事件」以後、同時世間を賑わせた展開が現代でも己一人で感じることができる。
ワトスン博士とホームズの活躍は無論面白い。
それに加えて趣を感じるのは訳者、延原さんのあとがきである。
シャーロックホームズシリーズの裏話のようなものがひどくおもしろい。
新潮文庫のホームズシリーズを読む方にはぜひ後書きにも目を通してもらいたい。
どっぷりとコナンドイルが描くシャーロックホームズの世界へ浸ることができる
Posted by ブクログ
「コナン・ドイル」の『シャーロック・ホームズの帰還』を読みました。
『最後の事件』でライヘンバッハの滝壺に落ちて転落死したと思われていた「ホームズ」ですが、、、
本作の最初の短編『空家の冒険』で、作者の巧妙なトリックにより死の淵から生還しました。
まっ、読者からの強い要望で復活したというのが真実のようですが、何はともあれ、お陰で「ホームズ」シリーズが少しでもたくさん読めるのは嬉しいことですね。
読んでる間は、現実から離れて19世紀のロンドンに赴いた気分に浸りながら作品を読みましたよ。
(実際は、ほとんど満員電車の中なんですけどね・・・ )
今回読んだ、新潮社の文庫本に収録されているのは以下の10編なのですが、、、
■空家の冒険
■躍る人形
■美しき自転車乗り
■プライオリ学校
■黒ピータ
■犯人は二人
■六つのナポレオン
■金縁の鼻眼鏡
■アベ農園
■第二の汚点
原作には13篇の作品が収録されているのに、ページ数の関係とかで省かれているらしいです。
創元社の『シャーロック・ホームズの帰還』には13篇すべてが収録されているらしいので、ちょっと残念でしたね。
でも、10編をとてもワクワクしながら読むことができたので、まぁ、ヨシとしましょう。
全て楽しく読めたのですが、特に印象に残ったのは、
謎解きが遅れ依頼主を守れなかった『躍る人形』、
謎の自転車に追跡される『美しき自転車乗り』、
「ホームズ」と「ワトスン」が依頼主を守るため、危険を覚悟で、なんと泥棒に入ってしまう『犯人は二人』ですかね。
でも、ホント、全編楽しく読めましたよ。
「ホームズ」と「ワトスン」が共同生活を送っていた、100年前の"ベイカー街221B"に行ってみたくなりましたね。
(当時、ベイカー街に221Bという番地は存在しなかったらしいですけど… )
Posted by ブクログ
この本の中に納められている『黒ピーター』で、シャーロック・ホームズが言った言葉が刺さった。『…。人は常に起こり得べき変化に対する心構えを持って、対策を抱いていなければならない。これは犯罪捜査学の第一原則だ』犯罪捜査学でなくても、日頃の仕事にも当てはまる。
ところで、子どもの頃親しんでいたシャーロック・ホームズシリーズを何十年の年月を経て今ごろ読んでいるのは、『憂国のモリアーティ』がきっかけだ。
このマンガには正典に対するオマージュが込められており、いたるところに正典を彷彿とさせる題材が散りばめられている。
『第二の汚点』は、マンガでの『大英帝国の醜聞』の原案になっているはずだし(題名は『ボヘミアの醜聞』を仄めかしてる)、登場人物であるトリローニ・ホープ伯爵のファミリーネームは、『シャーロック・ホームズの研究』に出てくるジェファーソン・ホープ(伯爵殺しの犯人)に使用されている。
今後このシリーズを読み進めていく上で、どんな気づきがあるのか楽しみだ。
Posted by ブクログ
ファンに乞われてシャーロックを復活させた著者は、作者冥利に尽きただろうか? 犯人は分からずともトリックは何となく想像できる作品が多く、著者が楽しんで書いたというよりも、読者を楽しませる方向にシフトしたような印象を受ける。解説にもあるとおり、発行順に読み進めている。次は『恐怖の谷』を読もう。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
表題のとおり、帰ってきたホームズ!
滝つぼに落ちたのはモリアーティ教授のみで、
ホームズは自分が死んだことにして、
もろもろの悪意から身を隠していたのだった!という
あまりのホームズ人気に仕方なくコナン・ドイルが
おそらく無理やり考え出した設定の下再び始まる探偵譚。
死んだと思っていた親友がいきなり現れて驚きはするものの喜ぶワトソン。
現代ドラマのワトソンの方は確かメッチャ怒ってたような気もするけど、原作ワトソンは怒りのいの字もない感じ。
この人は、結構バカにされたような言い方をされてちょっとムッとしたりもするんだけど、最終的にはホームズのすること全部を肯定するんだよなあ。
ホームズの才能(?)に心底心酔している感じ。
んでもってホームズはそれを素直に喜んでる感じもあり。
ちょい前に読もうとしたホームズものはそのワトソンの態度が結構ホームズに否定的なとこが多かったのが違和感ありで
最後まで読めなった。
結局のところ事件のおもしろさもあるんだけど、
ホームズものってこのふたりの関係性が一番の魅力なのではないかと・・・・。
踊る人形、暗号ものっては覚えていたんだが、
そーゆー話だったかあーっと。
犯人は二人は結構衝撃的。
現代ドラマホームズのあの人はこの人がモデルかあっと納得。あっちではホームズがホンとに殺しちゃったけど・・・。
6つのナポレオンは
なるほど~感が強くてすき
Posted by ブクログ
The Return of Sherlock Holmes(1905年、英)
ホームズ・シリーズ、短編集。シリーズ復活の第1作「空き家の冒険」、ポーの「黄金虫」の流れをくむ暗号解読もの「踊る人形」、傑作と名高い「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」など。
Posted by ブクログ
ホームズ終わったはずだけど、読者から要望されて再登場。
よくマンガで見るパターンで復活してました。
敵も結構悪知恵働いててシリアスでした(空家の冒険)
「踊る人形」と「犯人は二人」が好きでした。
Posted by ブクログ
ホームズシリーズも折り返しまでやってきた
名前は聞いたことのある有名なエピソードもあり、序盤の作品よりも面白くなってきたなぁと感じる。
本人は渋々書いている?という話もまた面白いのだが、考察深まるような表現がシャーロキアンを魅了するのもまた納得。
ホームズはやはりミステリートリックを楽しむというよりはヒーロー物に近いのだなぁという感覚を改めて再認識
Posted by ブクログ
ライヘンバッハの滝へ落ちたはずのホームズが復活を遂げる今作。
今作は有名な踊る人形事件が含まれているが、コナン好きな私にとっては、これこそが!みたいな気持ちにさせられた。
毎回のことだが、ホームズシリーズの短編集は登場人物を記憶する前に話が終わってしまうので物足りなく感じてしまう。
Posted by ブクログ
やはりどうしても「そんなこと書いてあったか?」とかフェアじゃないだろ、とか思ってしまうのだが、本書が書かれた時代にフェアだアンフェアだなんていう概念が存在しないのは言うまでもない。
それでも、やはりこのホームズシリーズが近代探偵小説や、探偵像の基礎を作り上げたのは間違いないだろう。
〈収録作〉
空家の冒険
踊る人形
美しき自転車乗り
プライオリ学校
黒ピーター
犯人は二人
六つのナポレオン
金縁の鼻眼鏡
アベ農園
第二の汚点
特に良かったのは、『金縁の鼻眼鏡』
ただの鼻眼鏡からそれの持ち主の人物像を暴きあげるのも見事だし、「近眼で視力が極めて悪い人物が、鼻眼鏡なしに草の上だけを上手く歩いていくことはできない」という推理も納得。