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Posted by ブクログ
シャーロックホームズの素晴らしさはトリックだとかどんでん返しにあるのではない。
ワトスンの語りから垣間見えるホームズという人間、ワトスンとの関係、魅力的な依頼人と犯人にあると思う。
基本的に人物の心情について細かに書いてあることは少なく、事実が多い。だからこそシリーズを読み進める過程でホームズの人間像が少しずつ自分の中で厚みを帯びてきて気がついたらお気に入りの人になっている。
まるで本当に事件を通して友達になったみたいに!
きっと世界中、たくさんの時代の人がホームズに夢中になってホームズを作り上げてきたんだと思う。だからこそ映画化、ドラマ化が絶えなくて。
「最後の挨拶」は今までの短編とは雰囲気が違う。三人称で引退後のホームズ。ワトスンも初老。時が作り出すものはなんだか少し悲しい。それと同時に愛しくもある。ワトスンとホームズの友情も気づけば何十年積み重ねたものなんだなあって思った。ワトスンはまた戦争に行くみたいだ。もうホームズと会えないかもしれない。東風の話をするホームズとのんびり答えるワトスンに胸が締め付けられた。小説の中の主人公はやろうと思えば歳をとらないこともできる。それでもやはり沢山の事件を通して歳を重ねたワトスンとホームズがわたしは大好きだ。
シャーロックホームズシリーズは紛れもなく2人の男の人生の断片を描いていると思う。
忘れ去られることが死ぬということなら、シャーロックホームズはたとえ現実にいなかったとしても、数え切れない数の人の中に命を宿した紛れも無いヴィクトリア朝時代のイギリスに生きた探偵だ。
Posted by ブクログ
ホームズの物語の中で、時系列的に一番最後の「最後の挨拶」が収録されている短編集。このあとに「シャーロック・ホームズの事件簿」がまだ執筆されるわけだけれど、引退したホームズの最後の事件か…と思うと、寂しいものは寂しい。馬車じゃなくて自動車が登場したり、ホームズが60代になっていたり…当時の読者はホームズロスになったんじゃなかろうか。
個人的に好きだったのは「瀕死の探偵」それまでの作品とはひと味違った展開をみせるから。
あと「悪魔の足」も。ホームズ作品って、未開の地の神秘を要素に入れてることがけっこうあるよね。当時の人々の冒険心とか文化人類学的な興味を刺激したんじゃなかろうか。
まあ今の感覚でいったらたとえば「四つの署名」にみられるような人種の扱いはアウトかもしれないけど、昔の文学作品にあんまり野暮なことはいいたくない。
さて、なるべく刊行順に読んできたホームズシリーズ、次は「シャーロック・ホームズの事件簿」といきたいところだけれど、新潮社版ではこれまで収録しきれなかった短編を集めた「シャーロック・ホームズの叡知」がある。
最初は読みづらいと思っていた古風な訳もくせになってきたけど、新潮社版のこの仕様だけはいまだに納得いかないなー
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