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Posted by ブクログ
ある本を読んで、自分の好きな本の傾向を言い表せるきっかけとなった。
「男性の恋に真っ直ぐすぎるがゆえに、日常が崩れていく」
そんな小説が、どうやら自分は好きらしい。
品を無くして言わせてもらえれば、主人公に童貞臭が漂えば漂うほど、魅力的に感じる。
ヘッセの『ナルチスとゴルトムント』、東野圭吾の『夜明けの街で』、太宰治作品全般が好きである理由が、ここではっきりと明確になった。
あくまで童貞である必要はない。
ゴルトムントは作中で何人もの女性を抱くイケメンだし、『夜明けの街で』の渡部は妻子がありながら社内不倫をする。
どちらも一見、童貞の敵のようであるが、読み進めていけば、必ず彼らの童貞臭が漂ってくるはずだ。
この気づきを得て、「登場人物を全員童貞だと思いながら名作を楽しむ会」という謎の団体を立ち上げてみようかとすら思った。
では、何をもって童貞臭とするのか。
それは、今回この気づきを与えてくれたゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読めば、自然と分かるだろう。
この作品の名前はもちろん知っていたが、読んだことはなかった。
正直、「ウェルテルって、何に悩んでるの?」という状態。
読み進めていくと、ウェルテルが婚約者のいる女性に恋をし、どんどんメンヘラ化していく話だということが分かる。
悩みは最終的に、非常に身勝手な形で解決される。
その影響で若者の自死が模倣され、社会問題にまで発展したことから、「ウェルテル効果」という言葉が生まれたらしい。
ただ、それも納得できるほど、ウェルテル――もといゲーテの文章には、哲学が詰まりすぎている。
「そもそも、既婚者相手に恋愛なんかするなよ」という読者のもっともな疑問に対し、ウェルテルはこう返してくる。
恋愛をするなら相手を選べ。
仕事と恋愛の時間を分けろ。
財産も計算し、贈り物も誕生日の時に絞るなど節度を持て。
そんな忠告に従えば、有能な青年は出来上がるだろう。
しかし、それでは恋愛は終わりだし、芸術もなくなってしまう――と。
偶然、好きな人と指と指が触れ合えば、火に触れたように引っ込める。
それでも神秘的な力に押され、前へ進んでしまう。
朝目が覚めれば「今日は会える」という希望にすべてを飲み込まれ、
「明日こそは行かない」と誓っても、気づけばその人のそばにいる。
1700年代から、男の恋愛の柔らかいチャームは何ひとつ変わっていないのだと、ある種歴史を超えて童貞臭を抱きしめてくれる。
この本は、ただのメンヘラ恋愛哲学ではない。
人生、自死、嫌悪感――さまざまなテーマが絡み合った哲学書でもある。
素敵な一冊に出会ってしまった。
間違いなく、自分の中のTOP10に入る作品だった。
Posted by ブクログ
ロッテは純粋で無垢だと思っていたけれど、今回読み返してみて、もしかしたら無意識にヴェルテルを弄んでいたのかも?と思った。彼女自身も、誰かに愛されることで安心していたのかもしれない。悪気はないけれど、彼女の“優しさ”は残酷でもある。
後半に行くにつれて不安定になるウェルテルは読んでいて辛かった…。
彼の愛はものすごく重いけど、ロッテを理想化しすぎてるんじゃないかと思う部分もあった。
あと、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』、ドストエフスキーの『白夜』を思い出した。
『ワーニャ伯父さん』は、愛してはいけない人への想いを抱えながらも、どうしようもなく惹かれてしまう登場人物の苦しみが描かれていて、『白夜』は相手を理想化した故の激しい恋の物語で、ウェルテルが刺さった人にはオススメ。
Posted by ブクログ
「ひとが人生のうちでこの本に心を動かされることがなかったとしたら、それはあまり良いことではないだろう」とゲーテは語ったらしい。「こんなにあなたを愛した私を、あなたは決して憎めない」と、ロッテへの純粋な愛と信頼を貫き通した彼の儚い人生についてのこの小さな記録は、到達不可能な憧れに一身を捧げる(シェリーが星と蛾のたとえで美しく言い表したような)愛の喜びと、それの裏側でしかない悲哀を同時に提示し、我々の生に暗くも美しい影を落としている。ウェルテルはロッテの元を静かに立ち去るべきであっただろうか。ロッテはだけれど、確かにウェルテルに想いを寄せていたし、ウェルテルは、ただのエゴイズムから最悪の結果を招いたわけではない。愛そのものが純粋だとしても、その純粋さそのもののゆえに、ひとは、その純粋な愛を保ち続けることに耐えることができないのかもしれない。愛が美しくそして純粋であればあるほど、それを心のうちに保つにはあまりにひとは弱すぎる。
Posted by ブクログ
若さゆえにロッテに恋して浮かれて暴走してしまったけど、もとのウェルテルは身分関係なく友達をたくさんつくれるような人当たりのいい青年だから、ロッテの婚約者アルベルトのことも嫌いになれず、むしろ完璧な人だと認めて、自分が入り込む隙はないんだと理解してどんどん自分を追い詰めていってしまう。
自分のほうがロッテに相応しいと言ってしまえるくらい図々しかったらこんなに思い詰めることはなかったのかな。
友人のウェルヘルムに宛てた手紙で自殺を仄めかしていたし、本当は心のどこかで誰かに自殺を止めてほしかったのかな。
まだ若いんだし何より一途だし、なんとか自殺を思いとどまって生きてみたらロッテと同じか、それ以上に愛せる相手に出会えたんじゃないか。
恋に浮かれている最中はロッテはそれはもうとても素敵な女性に見えたかもしれないけれど、離れて時間が経って振り返ってみたら別にそこまで惚れ込むほどの女性でもなかったな、ってちょっとした笑い話にできる日がきたかもしれないのに、切ないなあ。
Posted by ブクログ
洗練された美しい文章がすごく良い。
苦しいほど切実な恋心が言葉を変えながらたっぷり200ページで描ききられていて、まるで演劇を観ているようだった。
「不機嫌というやつは怠惰と全く同じものだ。」という言葉に感服した。
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ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。
多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。
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