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Posted by ブクログ
大自然の雄大さと人間の心の闇を世界に曝け出した問題作。
世は植民地時代、主人公が血生臭い経験をしながら、アフリカ大陸奥地にある貿易会社の拠点に赴くと悍ましい光景が広がっていた。
おおまかなあらすじはこの小説に辿り着いた読書人なら誰でも知っているかもしれない。
しかし、その中の一定層は、この手の小説に冷ややかな視線を向けるのではないだろうか。
「そういう重たい話は現実世界で十分だ」
「読んでいて疲れるのにはうんざりしている」
私はこのような気持ちから、発売直後に購入したにも関わらず、約三年もの間積読していた。
重い腰を上げたキッカケは些細なものだった。なんとなく近代の海外文学を読みたくなっただけだ。
読み始めた瞬間に気がついた。この小説は読みやすいと。そして、面白い。
本作の語り手であるマーロウの語り口がとにかく秀逸だった。ユーモアがあり、葛藤があり、秘密があり、勢いがあった。
この重い主題を、非常にスリリングな読書体験に変えてくるコンラッドは間違い無く稀代の作家である。
もし、私のこの文章が、本作を手に取ったものの読み始める気力が湧かない方に届き、読むキッカケとなったならそれ以上の嬉しさはない。
Posted by ブクログ
大英帝国の繁栄を担う貿易商社員がコンゴの奥地のジャングルで目にしたものは、誰もが目を背けたくなるのような現実だった。19世紀のヨーロッパの植民地主義は、文明的、人間的に劣後した地域をキリスト教的な理想主義のもとに啓蒙するという高邁な使命によって、貿易利益の独占、資源的搾取を覆い隠すような陳腐なショーであった。クルツというヨーロッパ人を象徴として、人間性の闇、文明人が未開人になり、未開人が文明的になるその皮肉を、陰鬱で明快な表現で書き上げている極めて歴史的価値が高い一冊。ヨーロッパの植民地主義を人文的に一考する上で、欠かせない一冊であろう。
Posted by ブクログ
植民地支配の醜悪さがきつい。
何度かヨーロッパに戻れる機会があったのに、思いとどまったクルツの心情を考えながら読む。
未開の地に西洋文明を教示、ついでに象牙で一儲けのつもりが、身も心も自らが軽蔑する蛮人以下になってしまう。身を守るために残忍にならざるを得ない、ジャングルの圧倒的な自然と、そこに住む人たちのわけのわからなさ。
多面的でいろんな読み方ができる本だと思うけれど、逐一、対比がはっきりしているのでストーリーや会話の意図はとりあえずは読み取りやすい。
例えば船に乗組員として乗せた食人族が、白人のマーロウ達を飢えていたとしても襲わなかったこと。それに比べてクルツが奥の駐在所の入り口に無数の生首を置いていること。
人としての尊厳や残虐さや死生観などが、ジャングルと西洋文明の徹底的な対比を通して語られていく。
最後のクルツの言葉を婚約者に言えなかったマーロウは、そういう人だからこそ、帰って来れたんだと思う。
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