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乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選
戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。 -
姥捨て山戦争
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 民主主義は失敗した。老人の数の力を頼りに権力を握った老人政治家は私利私欲に目がくらみ公益より、私益を選んだ。年金は九十歳支給となり、日本全体は不満の渦に包まれる。暴動発生! その後、革命が起こり、若者と中年による軍事独裁政権が発足。敬老の日が廃止され、若者の日が制定、政府は現役世代の負担を減らす為に超強権的処置の現代的姥捨て山政策を行う。金の為に老人を追う若者と逃げつつ若者に抵抗する老人。老人への負担に苦しむ日本の近未来小説。勝つのは老人、若者のどちらか? -
うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理
名探偵は……コテコテの関西弁を喋る馬!? 殺人、窃盗、金銭トラブル――小さな田舎町で起こる不可解な事件に、元競走馬と牧場の娘のコンビが挑む! 『謎解きはディナーのあとで』の著者が仕掛ける、大本命ユーモアミステリ! ●「馬の耳に殺人」田舎の乗馬クラブで起こった殺人事件。容疑者とされたのは、なんと馬のロック。本当にロックの犯行なのか腑に落ちない牧場の娘・陽子(マキバ子)に、元競走馬のルイスが話しかけてきて……。 ●「馬も歩けば馬券に当たる」マキバ子の実家である「牧牧場(まきぼくじょう)」の求人に応募してきた藤川という青年。彼がお金に困っているのには、ある理由があって……? ●「タテガミはおウマの命」行方不明だった女子高生の死体を発見したマキバ子とルイス。唯一の手掛かりは、現場付近に残された馬のタテガミがべったりとついたガムテープだった……。 ――など、全5編を収録した連作短篇集! -
産まなくても、産めなくても
妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語──「第一話 掌から時はこぼれて」39歳の女性弁護士が、ふとしたきっかけで知った卵子凍結の情報に、心が大きく揺さぶられて……。/「第二話 折り返し地点」妊娠よりもオリンピック出場を優先してきた女性アスリート。レース前、胸に去来したものは?/「第三話 ターコイズ」不妊治療中の女性たちが集うイベントで、子宮の劣化の話を聞いて愕然となり……。/「第四話 水のような、酒のような」バブル時代に独身生活を謳歌した男が、不妊治療のクリニックで思わぬ宣告を受け……。/「第五話 エバーフレッシュ」妊娠をめざすのか、仕事を優先するのか。女性の厳しい現実に対応する、新しい社内制度とは?/「第六話 五つめの季節」三度目の流産で子供をあきらめかけたとき、養子縁組のことを知り……。/「第七話 マタニティ・コントロール」近未来。不妊治療や子育て支援に大きな予算が投じられ、妊娠は政府によって制御されようとしていた。 -
うまれたての星
昭和のあの頃、百万人の少女たちを夢中にさせた漫画雑誌があった! 1969年、人類が月面着陸をした年に出版社に就職した辰巳牧子は、経理補助として「週刊デイジー」「別冊デイジー」編集部で働き始める。 親分肌の川名編集長が率いる「週デ」は、漫画班・活版班・グラフ班に分かれて編集部員一同、日々忙しく動き回り、「別デ」を率いる小柳編集長は、才能あふれる若い漫画家たちを見出し、次々にデビューさせていた。 いつかは男性編集者に並んで漫画を担当したいと願う西口克子や香月美紀、少女漫画という縁のない世界に放り込まれ戸惑う綿貫誠治、暇さえあれば雀荘で麻雀ばかりしている武部俊彦・・・・・・。 女性漫画家たちがその若き才能を爆発させ、全国の少女たちが夢中になって読んだ“100万部時代”。編集部で働くひとりひとりの希望と挫折、喜びと苦しみに光をあて、時代の熱を描き出す大河長編! ◆著者プロフィール 大島真寿美(おおしま・ますみ) 1962年愛知県生まれ。1991年「宙の家」が第15回すばる文学賞最終候補作となる。1992年「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞しデビュー。2012年『ピエタ』で第9回本屋大賞第3位入賞。2019年『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で第161回直木賞受賞。『それでも彼女は歩きつづける』『空に牡丹』『結 妹背山婦女庭訓 波模様』『たとえば、葡萄』ほか著書多数。 -
海風デリバリー
大切な誰かのために、あなたの「こころ」を届けます―― 『幽落町おばけ駄菓子屋』の蒼月海里が描く、爽快&胸熱なアーバン青春お仕事ストーリー!! 新米配達員は、海や川を縦横無尽に駆け抜ける! 「運び手がいなくなったら、心を繋ぐこともできないから」 高校を卒業したばかりの海原ソラは憧れの東京湾岸エリアで、電動ジェットボード「ストリームライド」を使った配達業務に就くことに。 古きよき<舟屋>を拠点にした小さな会社「かもめ配達」で先輩や仲間たちと切磋琢磨するうちに、ソラはひとりの人間として成長していく。 そして、自分が「もの」だけでなく、人の「こころ」をも運んでいるのだと気づく……。 ウォーターフロントに生きる若者たちは、今日も誰かの「大切な想い」を運ぶ―― 超感動の《青春》×《お仕事》物語!! -
海風山風
毛利家の城奥ふかく「客人」として扱われている姫君・也々さまの救出こそ、速水茂平次の悲願だった。秘策をこらして一度は成功したのに、姫の姿は瀬戸内の島影に消えた。誰の仕業か? 茂平次がシャムに使した時から影のようにまつわりついている奇怪な党派の首領・甚吾の妨害なのか。知香と名のる野性の美女の正体も判らぬ。が、茂平次は決然と島に乗りこんだ……。実は、一触即発の豊臣・徳川の対立をまえに、鉄砲・火薬あつめに暗躍する一派にとって、也々さまの生いたちには、貴重な財宝をさがすカギが秘匿されているようだ。姫は何者の手中に……。<上下巻> -
海がきこえる〈新装版〉
天才YA作家 氷室冴子 デビュー45周年 激しくも切ない「90’s青春グラフィティ」 「あたし、高知に行くまでは世間とうまくやってるいい子だったのよ。あれからずっと世間とずれっぱなしの感じがする」 大学進学で上京した杜崎拓は「ある事件」で疎遠になった高校時代の転校生・武藤里伽子が、地元大学への進学を蹴り東京に舞い戻った事を知る。 気まぐれな美少女に翻弄されながら、その孤独に耳を澄ました短い日々を回想する拓に、思いもかけない再会の機会が訪れる。 スタジオジブリの長編アニメーション「海がきこえる」の原作。 キャラクターデザイン近藤勝也氏のカラーイラストを34点収録。 トクマの特選! イラスト 近藤勝也 〈目次〉 第一章 フェアウェルがいっぱい 第二章 マン 第三章 里伽子 第四章 里伽子ふたたび 第五章 やさしい夜 第六章 海がきこえる あとがき 解説 酒井若菜 -
海が天に届くとき
三麓美術大学の大学院で復顔(遺骨から生前の顔を復元する技術)を専門にする綾木遥花(あやぎはるか)は、復顔が社会の何の役に立つのかと悩む日々を送っていた。ある日、遥花はバイト先の科学博物館の理学博士・郷間俊樹(ごうまとしき)から呼び出される。有名私立大学の東京春天大学から郷間の元に、行方不明になっていたある教授の復顔の依頼が来ていた。『教員アンドロイド化計画』によってアンドロイドとなるその教授の顔の復元を、遥花は請け負うことになる。 東京春天大学広報課の星悠月(ほしゆづき)は、復顔を記録するために遥花のもとに通い始める。行方不明の教授の事情を知って倒れた悠月は、遥花との交流によって次第に己の過去に向き合い始める──。 悠月に隠された秘密と遥花の悩みが交錯する。これは、過去から未来へと時間を追い越す感動の物語。 -
海が見える家
のこされたのは、丘の上の海が見える家。 苦戦した就活でどうにか潜り込んだ先はブラック企業。働き始めて一ヶ月で辞職した。しかし、再就職のアテもなければ蓄えもない。そんな矢先、疎遠にしていた父親の訃報が飛び込んできた。孤独死したのか。どんな生活を送っていたのか。仕事はしていたのか。友人はいたのか。父について何も知らないことに愕然としながらも、文哉は南房総にある父の終の棲家で、遺品整理を進めていく。はじめての海辺の町での暮らし、東京とは違った時間の流れを生きるうちに、文哉の価値観に変化が訪れる。そして文哉は、積極的に父の足跡をたどりはじめた。「あなたにとって、幸せとは何ですか?」と穏やかに問いかけてくる、著者新境地の感動作! -
海近旅館
東京で働いていた私が残念旅館の女将に!? 亡き母の跡を継ぎ、東京での仕事を辞め静岡県伊東市にある「海近旅館」の女将となった海野美咲は、ため息ばかりついていた。 美咲の旅館は“部屋から海が見える”ことだけが取り柄で、他のサービスは全ていまひとつ。お客の入りも悪く、ともに宿を切り盛りする父も兄も、全く頼りにならなかった。 名女将だった母のおかげで経営が成り立っていたことを改めて思い知り、一人頭を抱える美咲。あるとき、不思議な二人組の男性客が泊まりに来る。さらに、その二人が「海近旅館」を買収するための下見に来ているのではないかと噂が広がり……。 ドラマ化もされた大人気作「鴨川食堂」シリーズの著者が贈る、おいしくて元気が出る、ハートフルストーリー! 文庫化にあたり、“今すぐ行きたい”著者厳選のおすすめ旅館を紹介する「美咲のおすすめ宿 厳選8軒」も収録! ※この作品は単行本版として配信されていた作品の文庫本版です。 -
海とジイ
最期を見据えた生き様から光を得る人生賛歌。 舞台は、美しくもありときに恐ろしい顔を見せる海と島。3人のおじいさん=ジイの生き抜く姿と,そのジイから思いを受け取る人々の心模様をときに温かく、ときにいきいきと、ときに静かな筆致で描ききります。全3編の物語。 ●海神~わだつみ いじめが原因で不登校になった小学四年生の優生。ある日、瀬戸内の島に暮らす曾祖父を訪ねることになる。死期が近いはずの曾祖父・清次は、病人とは思えないほど元気に優生らを案内し、饒舌に振る舞う。その後入院となった曾祖父と優生が交わした二人だけの約束とは……。 ●夕凪~ゆうなぎ 70代後半の老医師とそのクリニックに20年以上勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。必死で探す看護師の女性が行き着いたのは瀬戸内の島。もう戻らない、と告げる老医師の覚悟とは。静謐でほのかに温もる大人の慕情。 ●波光~はこう すべてを陸上競技に捧げてきたが、怪我により人生どん底になってしまった澪二。試験を前に逃げるように子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。石の博物館のリニューアルオープンの準備を手伝ううちに、今まで知り得なかった祖父の青春時代、親友、そして唯一の後悔を聞き……。 ※この作品は単行本版『海とジイ』として配信されていた作品の文庫本版です。 -
海の上の診療所
「初めまして。私、離島で困っている人を助けたいと思いやって参りました、ドクターコータ、独身です! 」 瀬戸内海の無医島を廻る診療船「海診丸」に乗り込んだ フリーランスの若手医師、瀬崎航太。 腕は確かなのだが、唯一の欠点は女性に惚れっぽいところ。島を訪れるたびにそこで出会うマドンナに恋をして、その人が抱える悩みを解決するために、島に住む人々や海診丸のメンバーを巻き込んで奔走。しかしいつも航太はフラれてしまい、涙をながしながらまた次の島に向かうのです。 果たして航太に幸せは訪れるのか……!? -
海の上の博物館
瀬戸内海に浮かぶ小さな島に建つ、茅埜辺市立博物館。遠くから見る光景は、まるでキラキラと輝く海に浮かんでいるかのよう。美しい自然に囲まれたその博物館では、個性豊かな学芸員たちが日々、懸命(?)に働いている。 いつも釣りばかりしている高垣館長、熊のような体格で無口な青年・秋吉、ニコニコしていて人当たりはいいが、ひ弱さ全開の桐谷……。 そんな人々に囲まれ、臨時職員として働きはじめたばかりの新人女子・若菜は、悪戦苦闘しながら成長していく。 憧れていた「博物館の学芸員」って、けっこう大変な仕事なんだなぁ~~~! -
海の教場
桃地政念は、海上保安官の中でも調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海上保安官といえど、海猿でもヒーローでもなく、小柄でメタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。 霞が関勤務の彼がある日、学生時代のマドンナ・高浜彩子から呼び出された。彩子は女性ヘリ操縦士の草分け的存在で、桃地とはある因縁を持つ。 ドキドキしながら向かった待ち合わせ先で告げられたのは「肝臓がんで余命一年」。京都府舞鶴市の病院に入院するという。シングルマザーの彩子は、息子の悠希が春から舞鶴の海上保安学校に入る予定で、そのそばで過ごすためのようだった。 彼女のために現地への異動を企てた桃地は同校の教官として赴任することに。船舶運航システム課程主計コース3組の担任となったが、腐れ縁の校長・比内から、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ……。 命と向き合う機会の多い、海上保安官という仕事。明るく人間味あふれる桃地の、学生たち、そして愛する人とのかかわりの日々に、感涙間違いなし! -
うみの歳月
宮城谷ファン必読! 若き日に書いた貴重な現代小説を初公開! 歴史小説家として世に出る以前に書いた現代小説がいま甦る! 未発表作品も含む現代小説五編と詩一編を収録。 小学生の時に身のまわりの世話をしてくれた年上の女・ツルと、故郷・蒲郡の生家の商事会社に勤める美緒。二人の魅惑的な女を描く「バラの季節」。 蒲郡の芸者置屋を舞台にした、川端康成や泉鏡花のスタイルを思わせる若き日の作品だが、師・立原正秋からは「陳腐だ」と赤エンピツで書かれて送り返されたという「秋浦」。 温泉町で土産物店を営む母と新婚夫婦三人の日々を、勤めを止めて母との同居を選んだ夫の視点から描いた中篇「発見者」は、執筆当時四十歳を過ぎ、最後に書きたいことを自由に書いてから筆を折ろうと決心して書いた作品。同じ時期に書いた「買われた宰相」(『侠骨記』に収録)が、後の中国歴史小説に繋がったという。 解説・湯川豊 -
海のシンバル
“僕は、君にちゃんと傷付けられて、幸せだった” 下関のラブホテルで働く青年×毎週水曜に売春する女子高生 気送管を使った秘密の文通でふたりは、一生分の恋をした。 「小説家になろう」第1位(※) 「書籍化クラウドファンディング」431%達成 話題のウェブ発恋愛小説ついに書籍化! (※)2025年12月 文芸(純文学)ランキング ”触れない。見れない。だからこそ、愛した。” 下関の海岸沿いに立つ“ファッションホテル”ピシナムで働く磯辺逢深は、そこで売春する少女・Rと、客室と受付を繋ぐ気送管を使って短い手紙のやり取りを始める。互いに惹かれる二人だったが、ある冬の日、Rは突然姿を消したーー。4年後、磯辺の元に「ピシナムの取材がしたい」とウェブライター・秋山千鶴が訪ねてくる。彼女との対話から、Rの失踪に秘められた残酷な真実が、ゆっくりと紐解かれていく。 (ファッションホテル:受付にホテルマンが24時間待機しているラブホテルの呼称) 不器用で痛々しい二人の恋に、きっとあなたも涙する。 -
海の底に雨は降らない
逆境のなかでは、人生を物語ることが救いになる? 介護していた母への自殺幇助容疑で捕まった光莉。 奪われた青春を取り戻す、彼女の再生の物語。 悲劇的に描かれがちなヤングケアラーの作品に反旗を翻した 『救われてんじゃねえよ』でデビューした著者、初の長編! 幼少期から十年間、学校にもほとんど通わず、北九州市の自宅で難病の母親をほぼ一人で介護してきた光莉。彼女は母の首吊り自殺を幇助した疑いで逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けてしまう。拘置所を出たあとは、叔母に引き取られて上京。二十歳の彼女は介護施設で働きながら中学の勉強をやり直すなど、青春を取り戻そうともがくなか、作家の日比谷と出会う。そして、自身の体験を小説にするよう勧められるのだが……。 -
海の地図
晶子は、啓介と、若く物憂い逸楽の夏を、海浜で過していた。ある夕方、残照の中を、喪の半旗を掲げたヨットが、入江に入った。渚へおりた晶子は、初老の船長・外村に出会い、なぜか全身に戦慄を感じた。やがて晶子は、父と外村が、今は亡き母をそれぞれ愛し、叔母もまた外村を愛していた、という隠された過去を知る。ある日、ヨットで沖へ出た啓介と晶子は、突然の嵐で遭難し、偶然、外村のヨットに救われる。外村は、かつて愛した女の遺児との邂逅に運命の手を感じ、晶子もますます、外村に魅かれていった。二人はかたく唇を交すのだが・・・・・・。長編ロマン小説。 -
海の蝶
柿本精器の社長夫人・羊子は生来、その美貌に加え、奔放な性格の女性だった。結婚前からすでに男関係があり、結婚後もやまなかった。夫の礼介はこれを知ると激怒し、以来、妻に復讐するかのように隠れて放蕩する。そして、10余年が過ぎた。だが、羊子の乱行はやまなかった。息子の章は、自然にうとんじられた。章にとって心の結びつきは、家庭教師である22歳の青年だけになる。青年と秘かに愛し合っていた女中の喜久乃が、主人の欲望によって犯され、動顛し泣き喚く姿を、少年の章は不安そうに眺めていた……。愛欲の中に潜む人間の業を捉えた、力作長編。 -
海のはじまり シナリオブック 完全版
目黒蓮主演! フジテレビ系月曜9時放送のドラマ『海のはじまり』。 第1話の放送後8日間でのTVer配信数が『silent』を超えて歴代最多! 見逃し配信の累計再生数が3400万回突破(※2024年8月18日時点) ドラマタイトルがX世界トレンド1位も獲得!(フジテレビ調べ) 大反響、感動の声が続々! 本編ではカットしたシーンも完全収録した、特別な一冊が誕生! 脚本・生方美久 × 監督・風間太樹 × プロデューサー・村瀬健の『silent』チームが再び集結! 完全オリジナルストーリーでお届けする、さまざまな形の“親と子”のつながりを通して描く、愛の物語。 ある日、自分と血のつながった娘がいることを知ったら―― 人は、いつどのように“父”になり、いつどのように“母”になるのか。 この時代だからこそ伝えたい、愛とは、恋人とは、そして家族とは。 交差するそれぞれの想いを、リアルに、丁寧に紡いだ、胸をかきむしられるほど優しくてせつない感動作! -
海のように深く、大地のように温かい
しがらみを断ち切った先に見えてくる、本当の家族の絆とは。 昭和35年。とある商店街の魚屋・磯吉商店を舞台に、3世代にわたる愛憎を描いた物語。 商店街の魚屋・磯吉商店を切り盛りするキヨ。中学を卒業後、キヨの下で働いてきたハル。 そして、ハルとともに家業を助けてきたキヨの長女トモ。 3人の関係は、長男のシンが帰郷して商店で働き始めたことで、少しずつ歪んでいく。 ハルとトモを頼りにしながら、キヨは自分の息子が店を継ぐという考えを捨てられなかった。店の将来を第一に考えて行動するハルは、次第にキヨから疎まれるようになり、一家の中で孤立を深めていく。事態を変えたのは、大人しかったトモの大胆な決断だった。 人情経営の愛憎渦巻く舞台裏を描いた家族小説。 【著者プロフィール】 天馬 ときわ(てんま ときわ) 三重県出身。1966年生まれ 関西外国語短期大学 英米語学科卒業 -
海は地下室に眠る
稲毛海岸近くの古い洋館・伝兵衛邸の地下から、正体不明の絵画が発見された。ドレスを翻し踊る女を描いたその絵は、過去にこの地域で流行っていた“赤いドレスの女”の怪談を思い出させるという。 学芸員のひかりは、絵について調べようとしていたところに映像作家の黒砂からある資料を預かる。千葉一の花街として栄えた蓮池にまつわるインタビューを集めたその資料では、ひかりの祖母が”流転の王妃”として知られる嵯峨浩との戦前戦中期の交流について語っていた。 地下室の絵画と祖母の過去、そして“赤いドレスの女”の怪談。欠片をひとつずつ紐解くと、運命に翻弄された女たちの秘められた過去が明らかになる――。 -
海は七色
九州若松港の肉体労働者たちと、そこを取り仕切る親分衆。彼らはみな血気盛んで、ギャンブルにのめり込んでいる。ふとしたことから、海女だったという女と出会い……。北九州の海や島も舞台に、心意気を見せる男たちの物語。『糞尿譚』が芥川賞を受賞した作家の傑作。 -
海は忘れない
戦後80年。今、伝えたい渾身の反戦小説。 高校2年生の遙瑠は、ある日自転車事故に遭う。目を覚ますとそこは、戦争の爪痕が色濃く残る昭和の世界。一冊の生徒手帳を手がかりに自分が「浜口晴子」という少女になり昭和33年にタイムスリップしたことを知る。 晴子として暮らし、戦後の時代を懸命に生きる多くの人と関わるうちに、誰しもが苦しみ、悶えぬいた現実を深く実感する。令和の時代を生きる遙瑠にとっては歴史上のことだった「戦争」は、普通に生きる人々を巻き込み、その傷跡は決して癒えることがないものだった。晴子としての想い出もたくさん作り楽しく暮らしていたある日、事故により、また令和の時代に戻ることに。 令和に戻った遙瑠は「未来に生きている自分ができることは何だろう」と戦争への認識を新たにし、「伝える人」として歩みを進める――。そして祖父に連れられていった読書会では大きなサプライズが・・・・・・・。 膨大な取材をもとにしたリアリティ溢れる時代描写、生き生きとした昭和の人々の生き様・・・・・・。児童文芸のベストセラー作家が放つ唯一無二の圧倒的な反戦・人間ドラマ。 -
海へ、そして土曜日【完全版】
知人の失踪をきっかけに入手した、16ミリ・フィルム。その自主制作映画のタイトルは『ダークネス、ダークネス』といった。照りつける太陽に海面、旧式のカメラ、そして大型オートバイ・ドゥカティ750SSに跨がった美しい女…。しかし、この映画の調査を依頼してきた美貌の人妻は、突然、自ら命を絶ってしまう。警察は他殺の線も疑って捜査しているというが、すべての謎は、あの映画の中に隠されている気がしてならない…。 文庫版の内容を全面的に改稿して生まれ変わった「完全版」。ハードボイルド・サスペンス小説。 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。 -
海辺のエール
江ノ電の小さな駅、十六夜駅。鎌倉駅からほど近く、閑静な住宅街にあるその駅には、一人の駅員と一羽の九官鳥「ハッチ」がいた。乗客たちの声を聞き、また別の乗客にその言葉を放つハッチは駅の人気者だ。 十六夜駅には、日々、様々な挫折や苦悩を抱えた人々が訪れる。人生の折り返し地点で将来に不安を抱くフリーランスの男性、恋人との手痛い失恋に打ちひしがれる女性、怪我で休みを余儀なくされたバスケットボール選手、50代の今も現役でストリップの舞台に立つ踊り子、周囲に馴染めずピアノが生きるよりどころとなっている女子高校生……。そんな彼らに届くハッチの“言葉”は、誰がどんな想いで発したのか分からないまま、前を向くきっかけをくれる。 生きづらさを抱えたすべての人にエールを贈る、感動の物語!
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