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うたかたの彼
波多野一人、通称・ヒトリ。誰もが彼に、ひとときの恋をする――。恋に不器用な大人の女性に贈る、甘くて苦い恋愛小説集。「デリバリーサンタクロース」/三十代前半・女性ライター。クリスマスを間近に控えたある日、編集者から渡されたいかがわしげなチラシ。URLにアクセスしてみると、ずらり並んだ若い男たちの中に、かつてのクラスメイト――波多野一人の名前があった。「漂泊シャネル」/二十代半ば・OL。お金もないのに靴を買ってしまった帰り道、犬猫でも拾うような気軽さで、シャネルを背負った男の子を拾った。「東京タイガーリリー」/女子中学生。渋谷ハチ公前。混雑と暑さにうんざりしていたあたしの前に、魔法みたいにそいつは現れた。「ウェンディ、ウェンズデイ」/三十代後半・専業主婦。水曜日。夫と子どもたちを送り出すと、ランチバッグにお弁当を詰めて、あの場所へ向かう。渋谷の路地裏に存在するネバーランドへ――。「ティンカーベルは100万回死ぬ」/義理の妹。「ずっとおまえがほしかった」。あたしの目を見てヒトリが言う。なんべんもくりかえしみた夢。もういいよ。もういやだ。こんなのもう、だれか鋏で断ち切って――。「屋根裏のピーターパン」/波多野一人。部屋の外に置かれていたとんでもなく物騒なブツを前におれは途方に暮れる。「まじかよ」――いまに限らずもうずっと、おれは途方に暮れているんだ。 「東京ネバーランド」改題。 -
うたかたパンチ
お笑いコンビ「松本ハウス」の松本キックが、「まずい料理を出す店」「満員電車」「動かないエレベーター」など、日常に紛れる些事を凝視し、独特で強烈な妄想力で物語に昇華。 あくまで真面目、でも不思議、そして天然。不気味で笑えて、ちょっと怖くて、読んでいるとクセになる、今までにない“不条理文芸”。 <収録作品> ・まずい料理を出す店 ・年齢不詳な ・局地的満員電車 ・すべて見ている ・検証の結果は、 ・言葉会議 ・おじいちゃんのチャレンジ ・毒グモ・セアカコケグモ探索 ・クリーンな議員 ・おせち料理殺人事件 ※本書は幻冬舎plus(http://www.gentosha.jp)に連載された「うたかたパンチ」を加筆修正したものです。 -
宴の前
隠された利権、過度な忖度、県民性の謎…。あらゆる選挙戦の中で最も闇が深いのは地方知事選だ! 知事の後継者が、選挙告示前に急死。後継候補を巡る争いに、突然名乗りを上げたオリンピックメダリスト、地元フィクサーや現職知事のスキャンダルを追う記者の思惑が交錯する。これまで四期連続当選してきた現職県知事・安川(76歳)は、今期限りでの引退を決める。後任については副知事の白井に任せるということで内々に話がまとまっていた。しかし、選挙告示の2ヶ月前に白井が急死し、次期知事候補は白紙に戻る。一方その頃、地元出身でオリンピックメダリストの中司涼子(42歳)が、突如知事選への出馬を表明する。マニフェストに「冬季オリンピックの誘致」を打ち上げ、一気に有力候補に躍り出る。混沌した様相はさらに加速し――。圧倒的な権力を持つ「地方の王様」を決める熾烈な争い。選挙小説の新機軸! -
歌はそこに遺された
『答えのない時代に、創る意味を問う。その 覚悟に心から敬意を』 ――池澤春菜(声優・作家) 『ネットとAIで「本物」と「正しさ」を見 失った世界を撃ち抜く1冊!』 ――宇田川拓也(ときわ書房本店) 彼女は死後、 世界一の歌姫になった。 今世紀最もエモい、 近未来法廷ミステリーの誕生! 「私と一緒に、ストーリーを作ろう。君が歌う からこそ意味がある理由を作ろう」 新進女性シンガー、荒井海鈴が殺された。彼 女の遺作『人魚』は、死をきっかけに大ヒット する。生成AIの楽曲が隆盛の時代に、生身の 人間の作った曲がここまでバズるのは異例だっ た。「あれを作ったのは、AI」と嘯く、海鈴 殺害の容疑者・備藤龍彦の言動に違和感を覚え た東京地検公判検事の堂崎千也は、独自調査の 一環で、彼女が所属していた事務所を訪ねる。 社長の椎名栄弥は、一般的な芸能事務所の顔と は別に、レッスン提供を主体とした怪しげなビ ジネスに手を染めているようだった……。 『沈没船で眠りたい』で読書界を唸らせた気鋭 が贈る、今世紀最もエモーショナルな、近未来 法廷ミステリーの誕生! 目 次 序 章 歌姫 第一章 人魚 第二章 潜行 第三章 漸深 第四章 深海 第五章 海底 第六章 発信源 【参考資料】 cover illustration/鈴木康士 cover design/岩郷重力+WONDER WORKZ。 -
歌詠み姫と晴明の鬼弟子
時は平安。和歌を詠み、人の悩みを解決し癒やす力を持つ貴族の姫君・沙良に、怪しい気配が忍び寄る。沙良を守るためにと送り込まれたのは、陰陽師・安倍晴明の弟子、暁と名乗る鬼の青年だった!? 笛の名手とお調子者の若君、秘伝の香袋を作る姫君など、貴族たちを助けるうちに沙良と暁の絆はしだいに深まっていく。しかし人々に悪しき影響を与える鬼・鬼童丸が沙良の力を狙っていて――。 心優しい姫君と鬼の青年が京の事件とお悩みを解決する、平安ファンタジー! ◇◇主な登場人物◇◇ ・沙良(さら) 貴族・小野家の姫君。和歌の女神の加護を受け、歌を詠むことで人を癒やす力を持つ。 ・暁(あかつき) 大江山の鬼だが、人を殺めることができずに追い払われた。晴明に出会い、助けられる。 ・安倍晴明(あべのせいめい) 京に名を馳せる陰陽師で暁の師匠。式神を操り、沙良と暁に助力してくれる頼もしい味方。 -
内気な美女には野獣を
如月そよ子。 鳥辺市の市会議員を務める彼女は、その美しさゆえ「愛らしすぎる市議」として全国でも知られている。しかし実は彼女、極度の人見知りで、いつもオドオドしている内気な性格。自分みたいな頼りない人間が市議を続けていいのだろうか?と悩み続ける日々を送っていた。 そんな彼女のもとに、ある日、野獣のように威厳たっぷりの一人(?)のイケメン秘書がやってきた――。 仕事に自信をもてず、あと一歩を踏み出せない貴女に贈る、元気になれるハートフルストーリー! -
ウチと白ばあちゃんと株の神様と
謎の金持ちばあちゃんに頼まれて、株の売り買いをした。その結果……。 「あなたに勝手に資産を使われたうえで、五百万円の損害」。そのばあちゃんは、ニコニコとウチに話しかける。売買を頼む、ばあちゃんからの手紙はすでにシュレッダーの中。でもって、「頼まれて、くれないかい?」って、上品にいっても、それを人は脅迫っていうのよ!! こうして、弱みを握られたウチは仕方なく、とある男と関わることになるのでした。 おまけに、いきなり彼氏に振られたり、両親の離婚話が持ち上がったりって……。 アキナ十七歳、一体、ウチの人生、どうなっちゃうの!? -
うちの神様知りませんか?
小説投稿サイト「エブリスタ」で現代ファンタジー部門総合1位を獲得した話題作の待望の書籍版を電子書籍化! 幼い頃の記憶を失っていることから、家族や友人たちと馴染めないでいた紗栄は、大学進学を機に、母方の実家の今は誰も住んでいない神社で一人暮らしを始めることに。そこで出会ったのは美しいが不愛想な妖狐の青年と、なぜか自分のことを知っている狛犬の少年だった。狛犬が言うには、この神社から神様が行方不明になっているらしく、そのせいでよからぬあやかしたちが神社の近くをうろついて困っているという。そのため、紗栄も神様捜しを手伝うことになるのだが……。妖狐と狛犬と女子大生の三人が織りなす、感動の青春あやかし物語。 -
うちの作家は推理ができない
また解決方法、忘れちゃいました! 解決パートのシナリオを忘れてしまう悪癖をもつ、現役大学生ミステリ作家が唸る結末を考え出して、やりこめたはずだったのに……手のひらで転がされていたのは、また担当編集者のわたしでした――。 現役大学生作家・二ノ宮花壇。圧倒的な筆力と構成力、瑞々しい文体をもつ売れっ子作家だ。……が、担当編集者のわたし、左京真琴からしてみれば、とんでもないガキである。彼が〆切を守ったことは皆無だし、生意気だし、口を開けば皮肉ばかり。その上、「いま書いている物語の推理パートを忘れてしまう」という悪癖まで持っている。わたしはそのたびに彼の物語を推理して、つじつまの合う結末を考えるのだが…… いつか・装画 -
うちの中学二年の弟が
一貫教育の私立鷺ノ院学園高等科一年生・鷺沼湖子は、同じ学校の中等科二年生の弟・六区に振り回される毎日。六区はそこらの女の子よりもずっと可憐なうえ、やることなすこと予測がつかない性格なのだ。学校で撮影されるという映画のヒロイン役が行方不明になっているのを知った六区は、唐突に女優の居場所を知っているようなことをマネージャーに告げて……!?【目次】えきすとら六区~うちの女の子より可愛い弟が~/ちょこれいと六区~うちの悪魔で天使な弟が~/ひろいずむ六区~うちの時空を超えた弟が~/特別編・じゃぱねすく六区~うちのコバルト男子の弟が~/じゃぱねすく六区・番外~うちのジャパネスクファンの母親が~/あとがき -
うちのにゃんこは妖怪です
火事で家を失った十七歳のみやびは、飼い猫(自称・仙猫)のニャンコ丸とともに深川のはずれにある廃神社へ向かっていた。しかしその途中、白狐の面をかぶった怪しい人物に襲われる。 危ないところを拝み屋だと名乗る男・神名九一郎に助けられ、ふたりは居候として九一郎の仕事を手伝うことに。妖怪絡みの事件に巻き込まれていく――! 「オサキ」シリーズの人気作家がおくる、江戸人情あやかし事件帖。 -
ウチの娘は、彼氏が出来ない!!
私だって恋してみたい。と娘(二十歳)は思っていた。 でも、漫画は次々に新刊が出るし、コミケに向けてコスプレの準備もしなきゃだし。 オタクの私はそれでも結構忙しいのだ。 なんていうか、“ご縁”もなかったし。 そんなことより心配なのはウチの母! いい歳して天然、暴走、世間知らずなかーちゃんを放っては置けない。 そんな時、二人に突如吹きつけた恋の春一番! 娘にとっては人生初の、母にとっては久々の、恋! 少女のような天然母・碧と、しっかり者のオタク娘・空。 トモダチ母娘のエキサイティングラブストーリー。 2021年1月クール、日テレ系列で放送の水曜ドラマを小説化。 出演:菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、川上洋平(Alexandros)、東啓介、沢村一樹、有田哲平、豊川悦司ほか -
うちへかえろう
不思議なぬくもりのある「家族ごっこ」小説。 舞台は大阪。35歳、ひとり暮らしの私は、契約社員として、顧客クレジットカード申し込み記載漏れリストを修正する職務に就き、どうにか日々をを過ごしていた。そんなある日、記載漏れリストのなかに、十数年来音信不通の姉の連絡先を見つける。 姉の出奔は、学生時代、私が当時付き合っていた恋人を奪って逃げたことに端を発していた。 しばらく躊躇した後、久しぶりに電話してみる。不思議な体温のやりとりが続き、じゃあ、会おうかという話になった。姉は、幼少期、母を「黒い太陽」と呼ぶほど、ひどい扱いを受け続けていた。年の暮れ。私は姉を連れて帰省することにするが――。 -
うちゅうをリボーンせよ。
【書籍説明】 今自分が消えても残るものはなんだろう。 震災がおきた時 多くの方の命が突然消えた時 ふと自問自答しました。 消えることではなく なにごともなかったかのように 忘れられることが 一番つらいと思いました。 そんな気持ちをこめてみました。 【目次】 はじめに あたしという人間 Call 運命は走り出す ふるさと 道程 嘘 理解不能 二度目の嘘 運命 バカバカしいったらありゃしない 帰り道 決意 後戻りはできません 記憶 あたしの常識非常識 Idea 見てはいけないもの、気づいてはいけないもの 望んではいないこと 怖 人の話を聞いてくれ 就任式と歓迎会 おかしい人はいっぱいいる 双子 強いみかた きっかけはどこにでもひろがっている 動きはじめる時間 おねがい 困ったこと 望まない再会 やるしかない時がある 夢 【著者紹介】 加藤虹(カトウコウ) 本が好き。 猫が大好き。 -
鬱屈精神科医、占いにすがる
心の医者にとって救済とは? 「わたし」を救ったという「透明な裁縫箱」が数十年をかけて結晶化し、本という姿になって今ここに現れた。 私小説にして哲学書、文学にいざなう力に満ちた、豊かな本だ。 小池昌代(詩人・作家) 精神科医は還暦を迎えて危機を迎えていた。無力感と苛立ちとよるべなさに打ちひしがれる。しかし、同業にかかるわけにもいかない。それならいっそ街の占い師にかかってみようと思い立つ。はたして占いは役に立つのか。幾人もの占い師にあたっていって、やがて見えてきたもの……。人間が“救済”されるとはいったいどういうことなのか。私小説的に綴られる精神科医の痛切なる心の叫び。 -
美しい表紙で読む日本の名作集
内容紹介 ■みだれ髪/与謝野晶子 女性の恋愛感情を素直に詠んだ斬新な作風が時代を経てもその魅力が失われない名作『みだれ髪』。 歌人・与謝野晶子の処女歌集です。その歌のほとんどは、後の夫であり、編者であった与謝野鉄幹への恋慕の情が描かれています。 ■たけくらべ/樋口一葉 吉原の廓に住む14歳の少女、美登利と運命の少年、藤本信如との恋を中心に東京の子どもたちの生活を描いた樋口一葉の名作です。子供から大人に移り変わる少年少女の心理を小説することは当時前例のない試みであり、一葉の名を有名にした代表作品でもあります。 ■梶井基次郎/桜の樹の下には 『檸檬』に並ぶ、梶井基次郎の代表的作品。 「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」という有名な冒頭文に始まる本作は、散文詩的・幻想的なモチーフが特徴。 また、話者である「俺」が、聞き手の「お前」に向けて話す台詞を、そのまま小説にする手法を用いた、著者にしては特異な形態がとられています。 表題作のほか、 白昼に闇を見るという青年の憂鬱、絶望を描く『蒼穹』、 見るもの全てを自分の意識の中に取り込んでしまう男の悲劇を描いた『泥濘』を収録。 ※「美しい表紙でよみたい」シリーズは、不朽の名作を美麗な表紙イラストともにじっくりと味わえます。 本作の表紙イラストは、現在イラストレーターとして国内外で活動中の安那(Anna)氏によるものです。 和風・ノスタルジックテイスト漂う作風が特徴で、叙情的な表情、季節感の表現を得意とする美しいイラストが、 時代を経ても色あせない名作文学の魅力をアップさせてくれます。 -
美しい夜
高校生の晴野(はるや)は部屋を出られない。胸がどきどきして苦しくなるからだ。 そのせいで学校にも行けず、ひとけのない夜にだけ外に出る生活。 奔放な母親は再婚した義父と暮らしており、連絡は途絶えがちになっている。 母親の記憶は、見知らぬ男からの暴力と二重写しだった。 ある夜、コンビニからの帰り、晴野は同級生の美夜子(みやこ)と出会う。 「悪い人間になりたい」という彼女は、そのわりに、飲酒も喫煙も、 万引きも暴力も「犯罪だから駄目だよ」と言う。 そして晴野は美夜子と、まるで子供の遊びのような、無邪気な夜の時 間を重ねていく。しかし夏のある日、彼は彼女の「秘密」に気づき……。 「魔法のiらんど大賞2022」小説大賞<文芸総合部門>特別賞 優しく美しい言葉で紡がれる、胸を打つ青春純愛小説。 -
うつくしが丘の不幸の家
海を見下ろす住宅地『うつくしが丘』に建つ、築 21 年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を念願の美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店二日前、偶然通りがかった住民から「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われてしまい……。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。わたしたち、この家で暮らして本当によかった──。「不幸の家」で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の物語。本屋大賞受賞作家による、心温まる傑作小説。/【目次】第一章 おわりの家――美容室開業に選んだ家を「不幸の家」と言われた女性。/第二章 ままごとの家――不仲の夫、家でした娘、反抗的な息子、迷える妻。/第三章 さなぎの家――男に騙された女性と、幼い娘を抱えたシングルマザー。/第四章 夢喰いの家――不妊治療がうまくいかず、離婚届を書いた年の差夫婦。/第五章 しあわせの家――恋人が置いていった子供と、かつて父に捨てられた私。/エピローグ/解説=瀧井朝世 -
美しき母への讃歌
代々の豪商の家に嫁ぎ、 日出夫を22で生んだ母。若旦那育ちの父は事業がうまくいかず、飲んでは母に暴力をふるい、やがて女と出奔してしまう。日出夫は小学5年、そのときから母子の貧乏が始まった。村に移り住み、製糸工場で働く母。日出夫を中学にやりたいが、その金がない。日出夫は進学をあきらめようとしたが……。母の大きな愛、それに応えようと成長する息子。学び舎、友、恋、青春の日々。 -
美しき誘惑に潜む復讐の牙
『美しき誘惑に潜む復讐の牙』 宮本哲也のもとへ一通の葉書が届いた。それは毎年秋に開催される高校の同窓会の案内だった。仕事がうまくいっていない哲也は同窓会を欠席することにした。 数日後、哲也に一本の電話がかかってきた。戸塚仁志からの電話だった。仁志とは学生時代にいろいろあったのだが、ひょんなことから仁志の妻である麗子の尾行を頼まれることになった。 仁志は浮気を疑っているようだったが、麗子が浮気をしている様子はなく……。 『海峡』 海峡の岸壁に男女の死体があがった。男の死体は南側の町に、女の死体は北側の町に。それもほとんど同時刻にあがったのだという。 海峡を隔てている町で関連していそうな事件など、そうそうあるものではない。謎めいた事件に町は色めき立った。 男の身元はすぐに判明した。大森雅紀という叩けばいくらでも埃が出てくる男だった。一方で、女の身元は不明のままだった。 刑事の亀山と池田は大森を調べれば女のこともわかるかもしれないと、大森について調べ始めた先で……。 『紙の海』 私は病室で千羽鶴を眺めていた。別れた彼女、聖子がかつて折ってくれたものだった。聖子はその名前の通り、心も体も清らかな女性だった。 聖子と結婚していたら……そう思いながら、私はこれまでの人生を振り返った。学生時代の記憶。聖子との出会い。忘れもしないあの日の忘年会。 私はどこで間違ったのだろうか。 どこからやり直せばいいのだろうか。 そして、最後に私は千羽鶴に込められた聖子の思いを知ることになる。 -
虚ろな境界
混沌がうずまく街で、少年は“世界の秘密”に触れる 舞台は架空の世界にあるニホン国のコウベ市。 アメリカをはじめとする多国籍軍の占領を受けたニホン国内では、総理を中心とした一派が独立へ向けた戦いを選択する。 コウベではサンノミヤの組織、竜胆会が薬物事件をきっかけに独立戦争へと参加していく。 竜胆会に育てられた少年、黒崎ジンもまたこの戦いへと身を投じた。 一連の騒動の裏ではある計画が進められつつあった。 偶然にもジンは、その謎に触れることになる。 ●目次 とある研究者の記録 プロローグ 第一章 第一節 暗黒街の冒険 第一章 第二節 爆炎の少女 第一章 第三節 悪魔の子ども 第二章 第一節 裸の王様 第二章 第二節 事件は踊る、されど終わらず エピローグ ●著者 奈良県産の男、高校生時代からアマチュア作家として執筆活動を始める。大学受験期でも書き続け、見事(?)第一志望の大阪大学に落ち、第二志望のK大学に進学。その後、民間企業に就職。夜中の十一時に帰宅後も執筆を続け応募するも二回落選。二十六歳で元々進みたかった研究職へ進むために大学院へ進学。二十八歳で某大学の任期付き講師をしている時に『虚ろな楽園』を書き上げて、応募したところデビューが決まる。今作はマイナビ出版様から出す二作目。 尊敬する作家は伊藤計劃先生、有川浩先生。 今は数学を生業にして執筆活動をしたり、数学を教えたりしている人。多分死ぬまで創作活動を続けるつもりです。 -
雨滴は続く
芥川賞受賞“前夜”の知られざる姿を描いた遺作 連載中に著者が急逝、刊行時に話題を集めた遺作が、三回忌を前に早くも文庫で登場。 2004年の暮れ、北町貫多は、甚だ得意であった。同人雑誌に発表した小説「けがれなき酒のへど」が〈同人雑誌優秀作〉に選出され、純文学雑誌「文豪界」に転載されたのだ。次いで、「群青」誌の編集者から、貫多は小説を依頼される。純文学雑誌に小説を発表することは、私淑してきた不遇の私小説作家・藤澤清造の“歿後弟子”たる資格を得るために必要なことであった。しかし、年が明けても小説に手を付ける気にはなれなかった。恋人を得たいとの欲求が、それどころではない気持ちにさせるのだ。貫多は派遣型風俗で出会った川本那緒子の連絡先を首尾よく入手し、デートにこぎつける。 有頂天の貫多は子持ちの川本と所帯を持つ妄想をする。ところが貫多は、取材に来た若い新聞記者・葛山久子に一目ぼれをしてしまう。小説家志望の葛山に貫多は自作掲載誌を送るが、その返信はそっけないものだった。手の届く川本と脈のなさそうな葛山、両者への恋情を行きつ戻りつしながらも貫多は「群青」に短篇、匿名コラム、書評を発表していく。そして渾身の中篇「どうで死ぬ身の一踊り」が掲載されたが、その反響は全く感じられなかった。同じころ、葛山からは返信が途絶え、川本にはメールが通じなくなり、前途に俄かに暗雲が立ち込めるのだった。 完成直前で未完となった、著者、最後、最長にして最高の長篇1000枚。巻末にヒロイン”葛山久子”による特別原稿を収録。 ※この電子書籍は2022年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
腕が鳴る
どんな部屋に住みたいか。 それは、自分の人生を見直すことでもございます。 片付けが、わたくしの使命―― スゴ腕の整理収納アドバイザーが、 驚きのアイデアで散らかった部屋と人生を大そうじ! 人生の棚卸し小説。 夫に先立たれ一人暮らしのタカ子は、ついモノを買い込んで、気づけば家は散らかり放題。整理収納アドバイザーの中村真穂に片付けを依頼すると、棚の奥からタカ子の編んだ大量のセーターが現れた。 タカ子は迷わず「捨てる」と言ったのだが……亡き夫の愛とタカ子の再出発を描く「買い過ぎた家」のほか、クセは強いが腕は確かな整理収納アドバイザーの、人生をも整えるお片付け連作小説。 -
宇奈月家の人びと
繁華街の雑居ビルの一角にある〈ヘアーサロン宇奈月〉は、銀座のホステス御用達のヘアセットと着付け専門の美容室。店主の宇奈月益美はその道一筋の美容師だ。ある夏の日、宇奈月家の四女・葉月がどうしても子供がほしいと思い詰め、還暦目前の益美にとんでもない相談を持ちかける。一方、ヘアメイクアップ・アーティストの長女・弥生は、専属契約を結んでいた女優の脱税疑惑に巻き込まれ、突然働き口を失ってしまい――。夫亡き後、店を守り続ける美容師と母親を支える五人の子供達の物語。 ※本書は、2018年8月に講談社より刊行された単行本『始まりの家』に加筆修正を行い、改題して文庫化したものです。 -
ウナノハテノガタ
〈螺旋プロジェクト〉、ついに文庫化! 「いいか、島でのこと、だれにも話してはいけない」 海の民の少年オトガイは、父から代々伝わる役目を引き継ぐ。 山の民の少女マダラコは、生贄の運命から逃れて山を下りる。 死を知らぬ海の民イソベリ、死を弔う山の民ヤマノベ。 二つが出会い、すべてが始まる原始の物語。 〈巻末座談会〉八作家が語る、〈螺旋プロジェクト〉のいままで 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』(本作) 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』 -
宇野千代という生き方 愛と美に生きた作家の波瀾万丈な生涯
時代を駆け抜けた不世出の女性、宇野千代の真実の物語 明治、大正、昭和、平成――激動の百年を、恋に、文学に、そして美の追求に、わがままなまでに自分らしく生き抜いた女性、宇野千代。作家、編集者、着物デザイナー、実業家と、多彩な顔を持ち、常に時代の先端を走り続けた彼女の波瀾万丈な生涯を、綿密なリサーチと豊かな筆致で鮮やかに描き出す、感動の長編小説。その知られざる素顔、胸に秘めた情熱、そして幾多の困難を乗り越えてきた不屈の魂に迫ります。 恋も仕事も、情熱のままに。愛と美を貫いた百年の軌跡 故郷・岩国での多感な少女時代、文壇への華々しいデビュー、尾崎士郎や東郷青児といった芸術家たちとの燃えるような恋、そしてその体験を昇華させた不朽の名作『色ざんげ』『おはん』の誕生。さらに、日本初の本格的ファッション雑誌『スタイル』を創刊し、編集長として、また着物デザイナーとして一世を風靡。事業の成功と挫折、幾度もの結婚と別離を繰り返しながらも、常に前を向き、新しい「かたち」を求め続けた彼女のエネルギーは、読む者に圧倒的な勇気を与えます。 2026年NHK連続テレビ小説「ブラッサム」のモデル、その生涯を深く味わう そのドラマチックな人生は、2026年秋から放送されるNHK連続テレビ小説「ブラッサム」のモデルとしても注目を集めています。宇野千代のより深い心の葛藤や、彼女を支え、あるいは翻弄した人々との濃密な人間模様を、小説ならではの筆致で丹念に描き出します。「花が咲き誇る」ような彼女の人生の真実を、より深く味わうことができるでしょう。 今こそ読みたい、明日への希望と「幸福」のヒント 「行動することが生きること」「幸福は幸福を呼ぶ」――宇野千代が遺した数々の言葉は、時代を超えて私たちの心に強く響きます。彼女の生き様は、先の見えない現代を生きる私たちに、自分らしく輝くためのヒントと、どんな困難にも負けない勇気を与えてくれるはずです。ページをめくるたびに、宇野千代という稀代の女性の息遣いを感じ、読み終えた後には、きっと温かい感動と明日への希望が胸に灯るでしょう。 -
鵜野森町あやかし奇譚
杉田智和氏(声優)絶賛! 「奇跡の価値を決める前に、この物語を読んで欲しい。」 エブリスタ「現代ファンタジー×切ない」部門第1位!(2019年3月24日調べ) 少年が出会ったのは、言葉を喋る不思議な猫と笑顔を忘れた少女……それぞれの“心”を取り戻すまでの、ひと夏の物語。ある事情で空手部を休み続けている男子高校生・朝霧夢路。嵐の日、彼は実家の神社に倒れていた霊獣・猫又のサクラを助ける。サクラを居候させることになった夢路は、ひょんなことから無口な同級生・日野咲と交流するようになるが、サクラは咲から「陰の気」を嗅ぎ取った。時を同じくして、鵜野森町には異様な雨が降り続け――。心に傷を負った少年少女と猫又が織り成す、感動の青春小説。 -
奪い愛、夏
「1億円で私と結婚しなさい!」 急展開の連続! 前代未聞の大どんでん返し! 危険な愛の駆け引きに息をのむ! AbemaTVオリジナルドラマ最高視聴数を記録した、“狂愛”ドラマを完全ノベライズ マッチングアプリ会社「ラブネクスト」の広報部に所属する桐山椿は、同じ部署の空野杏と社内には秘密で交際を始めた。しかしある日、和菓子屋を営む椿の父親が1億円の借金を抱え、店を手放さなくてはならない状況に陥ってしまう。返済期限が迫るが、どうすることもできない椿。そんななか、椿は夜道で突然、社長の花園桜にキスをされる。さらに翌日、命令どおりに社長室を訪れた椿を待っていたのは、桜からの驚くべき提案だった――。SNSでも話題沸騰となり、日本じゅうを震撼させたクレイジー“狂愛”ドラマが今、幕を開ける! (解説/鈴木おさむ)
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