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作品一覧
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4.3人間の飽くなき欲望の恐怖を描き、山本周五郎賞受賞や映画化で話題をよんだ、梁石日の衝撃のベストセラーが、電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『血と骨(上)』『血と骨(下)』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■『血と骨(上)』 敗戦後の混乱の中、金俊平は自らの蒲鉾工場を立ち上げ、大成功した。妾も作るが、半年間の闘病生活を強いられ、工場を閉鎖し、高利貸しに転身する。金俊平は容赦ない取り立てでさらに大金を得るが、それは絶頂にして、奈落への疾走の始まりだった……。身体性と神話性の復活を告げ、全選考委員の圧倒的な支持を得た第11回山本周五郎賞受賞作。 ■『血と骨(下)』 映画化で話題をよんだ、人間の飽くなき欲望の恐怖を描く梁石日の衝撃作!
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
梁石日『新装版 血と骨 下』幻冬舎文庫。
再読。著者の実在の父親をモデルにした全体的にどんよりと澱んだ重たい雰囲気が漂う長編小説。
昔の父親は家長としての威厳を持ち、その代わりに必死に働き、家族のことを大切にしていた。そして、会社の中で出世を重ね、地位と権力を手に入れる。しかし、男というのは権力を持てば、酒や博奕、女性に走るという残念な生き物なのだ。
主人公の金俊平の余りにも自己中心的で恐ろしく凶暴な生き様は昔の父親像と重なる部分もありながら、随分と掛け離れた部分もある。朝鮮人と日本人との違いという訳ではないようだ。
余りにも惨めで、悲しい末路だ。家族を省みることなく、金だけを信じて、 -
Posted by ブクログ
梁石日『新装版 血と骨 上』幻冬舎文庫。
再読。著者の実在の父親をモデルにした全体的にどんよりと澱んだ重たい雰囲気が漂う長編小説。ビートたけし主演で映画化もされているが、最初に読んだのはその前である。
余りにも自己中心的で恐ろしく凶暴な男の生き様とそんな男に翻弄されながらも必死に生きる家族の姿が描かれる。
在日朝鮮人という出自にあがらうかのように大酒を喰らい、狂ったように暴れ、家族を犠牲にしても何とも思わぬ男の愚かさよ。と思うのだが、程度の差こそあれ、自分も過去には散々馬鹿なことをして来たと反省すること仕切り。
1930年頃、東邦産業という大阪の蒲鉾工場で働く蒲鉾職人の金俊平。金俊平 -
Posted by ブクログ
上巻に続き面白い。執筆されたのが随分前にも関わらず、かなり新鮮な小説(小説というか文学?)。というのも、とにかく話が淡々と進んでいく。「えっ?今のくだりはもう終わったの?」となる感じ。普通こういう進み方をすると退屈になってしまうのが私なのだが、これは全くの逆。起伏もないし大した伏線回収が無いのにここまで惹きつけられるのは、卓越したキャラクター設定のなされる技か。大阪が舞台設定というのも、大阪で生まれ育った私に分かりやすく、尚のこと血と骨の世界に入り込めたのかもしれない。戦前戦後の大阪を、金俊平を通して見ることができてとても良かったと思う。