梁石日の作品一覧
「梁石日」の「めぐりくる春」「闇の子供たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「梁石日」の「めぐりくる春」「闇の子供たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
Posted by ブクログ
梁石日『新装版 血と骨 下』幻冬舎文庫。
再読。著者の実在の父親をモデルにした全体的にどんよりと澱んだ重たい雰囲気が漂う長編小説。
昔の父親は家長としての威厳を持ち、その代わりに必死に働き、家族のことを大切にしていた。そして、会社の中で出世を重ね、地位と権力を手に入れる。しかし、男というのは権力を持てば、酒や博奕、女性に走るという残念な生き物なのだ。
主人公の金俊平の余りにも自己中心的で恐ろしく凶暴な生き様は昔の父親像と重なる部分もありながら、随分と掛け離れた部分もある。朝鮮人と日本人との違いという訳ではないようだ。
余りにも惨めで、悲しい末路だ。家族を省みることなく、金だけを信じて、やりたい放題し続けた男には悲しい末路が待ち受けていたのだ。
何とか戦火を乗り越え、闇市で物資を販売しながら子供たちと必死に生きる英姫。相変わらず酒を飲み、たまに家に帰れば家族に乱暴狼藉を働くだけの金俊平だったが、戦後の物資不足に目を付け、蒲鉾工場を立ち上げる。その資金は当然のことのように英姫が苦労して用立てる。
高信義らかつての蒲鉾職人に声を掛け、娘婿の働きで蒲鉾製造の認可をもらった俊平は蒲鉾工場を操業し、社名を朝日産業にした。蒲鉾工場は作れば作るだけ売れて、金俊平は一財産を作る。しかし、常に我が身のことばかりで、家族を大切にすることなどなく、英姫をはじめとする家族の心は次第に離れていく。特に長男の成漢は父親の俊平に反抗するようになる。
ある日、俊平の前に息子と名乗る武という男が訪ねて来る。しばらく俊平の家で暮らしていた武は俊平の隠していた金に手を付けようとして、追い出される。その後、武は暴力団の抗争で呆気なく死亡する。
俊平は再び若い清子を囲い、一緒に暮らすが、謎の奇病で倒れ、半年間入院する。その間に俊平の蒲鉾工場から職人が離れ、工場は閉鎖される。俊平が退院すると清子が脳腫瘍で倒れる。
俊平は蒲鉾工場で稼いだ大金を元手に金貸を始めるが……
本体価格790円
★★★★★
Posted by ブクログ
梁石日『新装版 血と骨 上』幻冬舎文庫。
再読。著者の実在の父親をモデルにした全体的にどんよりと澱んだ重たい雰囲気が漂う長編小説。ビートたけし主演で映画化もされているが、最初に読んだのはその前である。
余りにも自己中心的で恐ろしく凶暴な男の生き様とそんな男に翻弄されながらも必死に生きる家族の姿が描かれる。
在日朝鮮人という出自にあがらうかのように大酒を喰らい、狂ったように暴れ、家族を犠牲にしても何とも思わぬ男の愚かさよ。と思うのだが、程度の差こそあれ、自分も過去には散々馬鹿なことをして来たと反省すること仕切り。
1930年頃、東邦産業という大阪の蒲鉾工場で働く蒲鉾職人の金俊平。金俊平は済州島出身の朝鮮人でその巨体で頑強な体躯と凶暴さから極道にも恐れられていた。
金俊平は飛田の女郎屋で気に入った八重を身請けするが、あっさり逃げられ、自暴自棄の中、大酒を喰らい暴れ回り、東邦産業をクビになる。
その後、金俊平は従兄弟の高信義と共に東邦産業よりも大きい太平産業で蒲鉾職人となる。やがて、金俊平は通っていた飲み屋の子連れの朝鮮人である英姫を見初め、凌辱した挙げ句、強引に結婚する。結婚して落ち着くかと思われた金俊平は英姫の稼ぎを博打に注ぎ込み、大酒を喰らい、放浪しながら、別な女と暮らすというやりたい放題の生活を送る。
やがて、戦争が始まり、大阪も空襲で焼け野原となる。金俊平が放浪している間も、子供たちと必死に生活する英姫だったが……
本体価格790円
★★★★★
Posted by ブクログ
上巻に続き面白い。執筆されたのが随分前にも関わらず、かなり新鮮な小説(小説というか文学?)。というのも、とにかく話が淡々と進んでいく。「えっ?今のくだりはもう終わったの?」となる感じ。普通こういう進み方をすると退屈になってしまうのが私なのだが、これは全くの逆。起伏もないし大した伏線回収が無いのにここまで惹きつけられるのは、卓越したキャラクター設定のなされる技か。大阪が舞台設定というのも、大阪で生まれ育った私に分かりやすく、尚のこと血と骨の世界に入り込めたのかもしれない。戦前戦後の大阪を、金俊平を通して見ることができてとても良かったと思う。