作品一覧
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4.3人間の飽くなき欲望の恐怖を描き、山本周五郎賞受賞や映画化で話題をよんだ、梁石日の衝撃のベストセラーが、電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『血と骨(上)』『血と骨(下)』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■『血と骨(上)』 敗戦後の混乱の中、金俊平は自らの蒲鉾工場を立ち上げ、大成功した。妾も作るが、半年間の闘病生活を強いられ、工場を閉鎖し、高利貸しに転身する。金俊平は容赦ない取り立てでさらに大金を得るが、それは絶頂にして、奈落への疾走の始まりだった……。身体性と神話性の復活を告げ、全選考委員の圧倒的な支持を得た第11回山本周五郎賞受賞作。 ■『血と骨(下)』 映画化で話題をよんだ、人間の飽くなき欲望の恐怖を描く梁石日の衝撃作!
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
上巻に続き面白い。執筆されたのが随分前にも関わらず、かなり新鮮な小説(小説というか文学?)。というのも、とにかく話が淡々と進んでいく。「えっ?今のくだりはもう終わったの?」となる感じ。普通こういう進み方をすると退屈になってしまうのが私なのだが、これは全くの逆。起伏もないし大した伏線回収が無いのにここまで惹きつけられるのは、卓越したキャラクター設定のなされる技か。大阪が舞台設定というのも、大阪で生まれ育った私に分かりやすく、尚のこと血と骨の世界に入り込めたのかもしれない。戦前戦後の大阪を、金俊平を通して見ることができてとても良かったと思う。
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Posted by ブクログ
狂った現実を淡々と描いたこの作品の、登録人数の少なさに少し驚きつつ。戦争というひとつの大きな事柄への関心のなさが表れているようで、なんとなく焦る。
慰安婦問題。色々と問題になっているけれど、一度読んでみるのがいいと思う。その上で、自分の心がどう感じるか、どう考えるか。それが結論じゃないかなと。
本作はあくまでフィクションなんだけど、戦争という大きな流れ、人を人として扱わないことが日常化する狂った時代を描いたという点では、どこまでもノンフィクションに近いんだろうと思う。
慰安婦たちもさることながら、人間が駒のように、虫けらのように扱われる描写も、胸が痛い。そこには人権も尊厳も何も存在せず、あ -
Posted by ブクログ
済州島で暮らす下級両班(富裕層)の18歳の春玉は親が決めた結婚に不安を抱いていた。それは夫となる男がまだ10歳の少年だったからだ。
両班の男性の冠礼式(成人式)は年々早まる傾向にあった。それは出世の階段を一日でも早く登らせるために、一日でも早く成人としての儀式を執り行うというためだったが、結果、肉体的にも精神的にもまだ幼い少年に嫁を迎えるという奇妙な習慣になった。
不安を抱きながら嫁いだ春玉に姑はつらく当たり、賄い婦のように見下す。頼りの夫は乳離れ出来ていない少年というだけでなく、母にべったりのマザコン。春玉には居場所がなかった…
その頃、済州島は日韓併合により日本の管轄下に置