【感想・ネタバレ】闇の子供たちのレビュー

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Posted by ブクログ 2017年08月15日

 命より尊いものはない、とか、命はお金じゃ買えない、と戦後の日本人は教わってきたと思う。 
 でも貧困国ではそんなのは常識ではない。わずかなお金で子供を売ったり、人を殺したりする。自分の命は大事だが、人の命はお金で測る。


 物語の舞台はタイ。貧困からわずかな金で子供をブローカーに売る親がいて、突...続きを読む然都会へと連れていかれる子供がいる。
 子供は都会で売春をさせられる。まだ10歳ににも満たない年から、幼児性愛者の倒錯した性の相手をする。子供を買うのは先進国から来た旅行者。自らの性の欲求を満たすために、未成熟な子供に危険な行為をおこない、心身ともに破壊する。
 親は子供が都会でいかがわしい仕事をさせられていると、なんとなくわかっている。しかし、奴隷のように扱われているとは思っていない。


 ある日、都会に出ていたはずの娘が村に帰ってきた。エイズに侵され、ガリガリに痩せ、襤褸を纏い、獣のように真っ黒に汚れた体で。
 娘はエイズになり、もう客が取れないからという理由で袋詰めにされ、ゴミ捨て場に捨てられた。しかし故郷に帰りたい一身で、瀕死の状態で帰り着いた。
 だが故郷の村で待ち受けていた運命も悲惨なものだった…


 娘には妹がいた。
 
 妹も売られた。姉と同じく幼児売春の犠牲になっていたが、あるとき売春をしなくてもいいと言われた。そして栄養のある食事を与えれるようになった。その理由は臓器移植のドナーとして選抜されたからだったが、妹にその事実が知らされることはなかった。
 レシピエントは日本人の少年。日本人の命を救うために、タイ人の少女は命を失う。ここでも命はお金で取引される。


 読み終わって気づく。命より尊いものはない、という価値観は、自らの命が危険にさらされない限り、という相対的なものでしかないうことを。
 
 きれいごとをいうつもりはないから正直に書く。
 それに気づいたところで、いまの自分にはどうしようもない。もし医者に臓器移植しないと死ぬと言われても、国外では移植を受けませんという意思を伝えるくらいはできると思うが…


 根が深すぎる。

1

Posted by ブクログ 2018年10月29日

映画をみる。
原作は小説らしいが、まあすごい。

まあ臓器移植のほうはまだしも、売春のほうは同じ人間とは思えない、みたいに思えてしまう。みんな切羽詰まってるのだろうか。

タバコが悪の象徴みたいに描かれている。

0

Posted by ブクログ 2017年06月10日

あり得ないひどい話がたくさん。そもそもこの人の描く本は明るい話じゃないけど これは重いわ。重すぎる。

0

Posted by ブクログ 2018年09月16日

表現がかなり生々しいです。
フィクションだから嘘が書かれてるという人もいますが、現実に本の内容と近い残酷なことが起きているのは事実だと思います。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年10月19日

      -20080922

貧困が人ひとりの命を限りなく軽くする。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春、臓器売買、モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く。

0

Posted by ブクログ 2022年01月06日

ふと最近読んだ一冊。
偉そうに感想を言える立場じゃないんで敢えて感想は書かないけど、勉強になります。
内容はすごくヘビーです。

ちなみに映画も見ましたが、個人的には興味ある人は本を読んだ方がよりリアルな部分を知れると思います。

0

Posted by ブクログ 2020年09月09日

先の大戦の戦勝国によるグローバリゼーションの加害性を描いた作品。R25G。
映画で作品を知り、20歳の頃に肝試しに古本屋で購入。お陰で8年過ぎた今でも精神科院に通院している。
NGO職員の女性と新聞記者との訣別のシーンが、暴力描写の数々に打ちひしがれていた私へのトドメとなった。アレは作者による私ら読...続きを読む者への皮肉だな。
戦勝国による敗戦国への「高利貸し」。それを返済するための「土地開発」。貸すためのカネは私たちの預金から都合している。私たちの生活の裏側で作られてきた貧困は、私たちが加害者であることを示している。

0

Posted by ブクログ 2020年07月31日

※これから読む人へ※
1 最低5年分の精神科院受診料を用意してある
2 自宅の近所に精神科院がある
3 精神科院に付き添ってくれる人が身近にいる
この3つの条件を満たせない人には購読をおすすめしません。決して。

0

Posted by ブクログ 2020年02月22日

目をふさぎたくなるような描写が多々あり、でもそれが決して過剰表現ではないんだろうと感覚的に思うのだけれども、きっとそのような場面を目の当たりにしても現実的問題として受け入れられないような内容でした。

貧困で今日食べるものがなくても人生に希望が見出せなくても自殺したいとは考えないらしい。
そこに...続きを読むたくましさと、悲惨な現実が日常化してしまっている環境の重さを感じました。

家族の生活を支えるため子供が働かざるを得ないのは理解できる。
でも、家族のためって勝手なエゴを押しつけて子供を売り飛ばしたらいかんだろ。
そしてそのお金でテレビとか買ってんじゃねー。

ものがあふれている、何不自由ない毎日、それに感謝もできていないという自分の環境をせめてせめて見つめなおそうと思いました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月31日

読み終えて本作に書かれている内容がフィクションである事を願いながら、その可能性は限りなく0に近いのだろうと思うと心が痛む。

日本でも貧困ビジネスと呼ばれる問題があるが、世界に目を向けるとそこには金の亡者、いや、もはや人ではない魑魅魍魎達のために犠牲となる罪のない子供達がいる。

幼児売買、幼児売春...続きを読む、臓器売買等、金に取り憑かれた者達の飽くなき欲望を満たす為に同じ世界に生まれた同じ人間の子供が単なる商品として取り扱われ、用がなくなるとゴミと同じく捨てられていく。

1人でも多くの方に読んで欲しいと思える一冊です。


説明
内容(「BOOK」データベースより)
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。

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Posted by ブクログ 2019年09月02日

東南アジアでの人身売買、幼児売春、臓器売買などの貧困社会に蔓延る闇。今まで小説を読んでいて、これほどまで苦しく切なくなるという経験はなかなか無かった。
小説の中の物語でしかないけれど、世界の片隅で実際に起こっている出来事だと思う。確実に。
救いのない結末もまたこの問題が現在進行形のまま、終わりなき課...続きを読む題であることを彷彿とさせる。
梁石日さんの作品を初めて読んだが、衝撃的。

0

Posted by ブクログ 2019年01月30日

半ノンフィクションだと思う。アジアで行われている幼児売春、臓器売買。その問題の責任は、私たちにもある。

0

Posted by ブクログ 2018年11月18日

この本の題材は、タイを舞台にした少年少女達の売買、
売春、そして臓器提供。

ノンフィクションでもドキュメンタリーでもなく、分類すると
すれば、「事実に基づいた小説」ということになるんだろう。
この題材でノンフィクションにするには危険すぎて、この
悲惨な現実を世に伝えるには、「事実に基づい...続きを読むた小説」
という形をとる以外にはなかったのかなという気がする。

こんな凄惨なことが根絶できない理由の一つには、需要と
共有のバランスが保たれているという現実と、そのバランスを
利用し、肥大化させるシステムの存在がある。
国から見離され、事実上隔離され、生きてゆくには自分の
子供を売るしかないという人達。一方には、幼い子供達を
性の玩具としてしか見ない変態達。さらに、この需要と共有
のバランスに群がる悪党達。加えて言えば、この悪党達も
親から売られた、あるいは捨てられたという過去を持つ。

幾重にも織り重ねられ、強固で複雑怪奇なこのシステム。
この織りが解かれる時は果たしてくるのか、悲観的になって
しまう。

0

Posted by ブクログ 2018年03月12日

内容(「BOOK」データベースより)
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷...続きを読む徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。

この本を読んだ時に受けた衝撃は未だに忘れられません。が、あくまで創作にも関わらず、事実であると言ってしまったのが良くなかった。ソースも無しで想像のみで書いたとしてもこの作品の価値は変わらなかったのにそこはとても残念です。

0

Posted by ブクログ 2016年02月22日

何年も前に映画化のことを知り、購入したまま、積読状態になっていた本
やっと読むことができた

正直、顔をしかめたくなる場面も多く、主に文庫本のため、電車移動など自宅以外の場所で読んでいた私は、きっとものすごい表情をして読んでいたのだと思う。
私も貧困に興味があり、昨今の日本も貧困が騒がれているが、正...続きを読む直絶対的貧困により興味があり、そのためにできることはないか、といろいろ試しているところである。
本作の舞台である東南アジア、中東アジアやアフリカなど代表的な貧困の土地があるとされる場所に実際に赴いて何か行動をしようとしても、やはり本作に書かれているように政府や軍などの妨害が入るのだろう。
私は自分が今まで生きてきた中で、人の嫌がることだけは絶対にしない、などマイルールなるものが多々あるのだが、それらはきっと通用しないのだろう。
彼らは最初は生きることに必死で、ゆとりが出てくると欲望が強くなる。人間とは、本当に愚かで醜いと思わされる。しかしその一方で、やはり人間は美しくもあるのだ。
私は自分で自分が愚かで醜いと思う生き方はしたくない。そして、願わくば一人でも多くの人を日本人の思う最低限の暮らしレベルまでにしたい。

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Posted by ブクログ 2015年02月19日

どこにも救いが無い本でした。

同じ人間でも。

環境が違うとこんなにも変ってしまうものなのでしょうか・・

様々な歪みが集まり、濃く暗い闇になって、その生贄にされる子供たち。

その存在を知らなければ良かったと思いたくなってしまうほど深く絶望させられます。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月04日

描写の生々しさに絶句。
フィクションではあるものの、現実でも同じようなことが起こっているらしい。
自分の知らない現実に衝撃を受けた。
小さな子供たちが酷く扱われている描写は目を覆いたくなる。胸が締め付けられるようで、読み進むことが辛かった。
けど、最後まで読んで良かったと思う。
読んだからと言って、...続きを読むこの子たちに何かしてあげられるわけでもなければ、明日からの生活が変わるわけでもない。
明日からも資本主義の歯車として生産と消費を続けるのだと思う。
でも、一人でも多くの人がこういった現実を知り、受け止めていくことが問題をよくすることにつながっていくのではないかと思った。

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Posted by ブクログ 2015年01月30日

胸が痛んだ。一応小説という形式だが、おそらく実際にこういうことがあるのだろう。
貧しい国タイで売春を強いられる子どもと、海外から買いに来る大人たち。マフィアと軍と政治家の癒着により、政府も見てみぬふりをしている。家が貧しいため親も子どもを次々と売りに出す。子どもを唯一守ってくれるはずの親に見捨てられ...続きを読むる子の絶望を思い、導入部分を読んだだけで体調が悪くなり眠れなくなった。
後半はその暗黒マーケットに挑むNGOの人々やジャーナリストの活動も描かれているが、無力感に襲われる。
さらに恐ろしいことに、売られた子どもが臓器売買に利用されているという。豊かな国から臓器移植を受けに来て、生きた子どもから臓器を取り出す。とてもショッキングな内容の本だ。鬱になりやすい人は注意。

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Posted by ブクログ 2022年10月07日

日本人女性初のLA警察官で、人身売買に立ち向かうNPOであるlove spectrumを設立されている永田有理さんという方がいます。その方のインスタライブで、この本に書いてあることはフィクションだがほぼ実際に起こっていること、とお話しされていたので読んでみました。子供たちが売られ、性的に搾取され、臓...続きを読む器売買され…このようなことが世界のどこかで起こっているという事実に驚愕しました。あまりの生々しい描写に顔を背けたくなるほど…

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Posted by ブクログ 2022年04月27日

タイの貧困村を舞台にした児童人身売買とそれを暴こうと奔走するNGOの女性の物語。
わずかなお金の為に親に売られた少女。
売春宿で先進国の幼児性愛者に性虐待をされる描写はあまりに衝撃的で何度も本を閉じた。
生きたまま臓器を取られる少女もいる。
救いがなくやりきれないが読んで損はない。
この世界は知って...続きを読むおいたほうがいい。

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Posted by ブクログ 2020年12月11日

人間は、人間のままどこまで他人に無慈悲になれるか書かれている。文体がドライなのと、日本が舞台じゃないので最後までは読めるけど、世界のどこかの現実なんだろうな、と思うとやるせ無さは残る。

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Posted by ブクログ 2020年06月24日

これ映画化されて、ノンフィクションと紹介されてたけど実際にはフィクションということで随分と騒がれた覚えがある。

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Posted by ブクログ 2020年03月17日

タイの子供の人身売買の話。
なんていうか…本当にこんな事があるんだろうか、と疑問に思う自分は恵まれている人って事になるんだろうな、と。
子供に下剤を飲ませ、空っぽになってから麻薬を入れるって…

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Posted by ブクログ 2019年08月06日

あくまでフィクションのタッチで綴られているが、限りなくノンフィクションに近い。映画も制作されているが、現地での上映は拒否されている。幼児の売買春や臓器売買(ここは本意気に否定されている)がテーマで、読み進めるのがとにかく気持ち悪い。でもこうした弱者が構造的に作られていることは否定できないし、事実であ...続きを読むることは間違いない。なぜ人は慎ましやかに生きられないのだろうか。

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Posted by ブクログ 2017年06月26日

これはひどい、人間扱いされていない。完全にもの扱い。人間の相手をするから人間なんだろうが、やはりものでしかない。しかも安い、安すぎる。
一方で、NGO活動の無力感もやるせない。利権に守られており、むなしい活動になるばかりでなく、命の危険にもされされている。

そう、全般的に命の値段が安すぎるのだ。人...続きを読むの命は地球よりも重い?感嘆に人が殺される世界では、重みを全く感じない。それは貧困者だけではない。暴動時の狙撃や街中での殺人が多すぎるし軽すぎる。

筆者はこれが現実だ!として世界がみえていない平和ボケしている私たちに何かを突きつけようとしているだろうか?それとも多少なりともかかわってしまっている買う側の世界の人々に何かをつきつけようとしているのだろうか?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年07月03日

気持ち悪い、とにかく。グロい描写が読んでて不快。だけど限りなくノンフィクションなんだと考えて読むと、受け止めないといけないんだろうな。
幼児売春、人身売買。遠すぎて想像もつかないけど。
でも話に出てくる心臓移植を持つ母親。これが自分だったら、見知らぬアジア人の子の命なんかどうでもいいから、我が子を助...続きを読むけたいと思うんだろうな。

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Posted by ブクログ 2015年06月18日

世界がどうようにあるかを、端的に示している小説。
資本主義の世の中の一部分を示していると感じる。描写としては激しい部分も多いが、事実としてあるだろう。あなたの価値観は何ですかと問うているように感じる。
それは、国を大事にするのか、国を超えたものを大事にするのか。

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Posted by ブクログ 2015年05月04日

途中から変に社会派な内容なためか妙に中途半端な印象です。逆に前半部の陵辱シーンがずっと続いた方がストイックに訴えるものがあったような気がします。

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Posted by ブクログ 2015年04月25日

題材としては面白いけど小説としてはイマイチかな。
人身売買、子供の売春など実際こういうことはあるんだろうから、事実に基づいたノンフィクションというふうに受け取ったけど、どうなんでしょう。

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Posted by ブクログ 2015年01月25日

タイのスラムにある社会福祉センターを舞台に途上国で横行する児童を対象にした人身売買、売春、臓器売買の実態と、それを無くそうとする職員たちの活動を描いた物語です。

関係者の立場や利害関係を多面的に描いて問題の構造を提示する、フィクションではあるがルポタージュのような作品でした。人物描写や物語展開の印...続きを読む象が抑えられる分、安易な感情移入や同情を許さない過酷な状況が胸に焼き付けられます。

このような問題を解決するために私たちができるのは、結局のところ資金援助ということになるのでしょうか。

問題の根本がお金であり、その解決にもお金が不可欠…そこにこの問題の根深さを感じるとともに、それでも最早降りることのできないこの経済体制が、人々の意思で少しでも良い方向に向かうことを願うばかりです。

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