あらすじ
世界中の富裕層の性的玩具として弄ばれるタイの子供たち。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。モラルや憐憫を破壊する資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作! 2008年映画化で話題を呼んだ作品が待望の電子書籍化。
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Posted by ブクログ
命より尊いものはない、とか、命はお金じゃ買えない、と戦後の日本人は教わってきたと思う。
でも貧困国ではそんなのは常識ではない。わずかなお金で子供を売ったり、人を殺したりする。自分の命は大事だが、人の命はお金で測る。
物語の舞台はタイ。貧困からわずかな金で子供をブローカーに売る親がいて、突然都会へと連れていかれる子供がいる。
子供は都会で売春をさせられる。まだ10歳ににも満たない年から、幼児性愛者の倒錯した性の相手をする。子供を買うのは先進国から来た旅行者。自らの性の欲求を満たすために、未成熟な子供に危険な行為をおこない、心身ともに破壊する。
親は子供が都会でいかがわしい仕事をさせられていると、なんとなくわかっている。しかし、奴隷のように扱われているとは思っていない。
ある日、都会に出ていたはずの娘が村に帰ってきた。エイズに侵され、ガリガリに痩せ、襤褸を纏い、獣のように真っ黒に汚れた体で。
娘はエイズになり、もう客が取れないからという理由で袋詰めにされ、ゴミ捨て場に捨てられた。しかし故郷に帰りたい一身で、瀕死の状態で帰り着いた。
だが故郷の村で待ち受けていた運命も悲惨なものだった…
娘には妹がいた。
妹も売られた。姉と同じく幼児売春の犠牲になっていたが、あるとき売春をしなくてもいいと言われた。そして栄養のある食事を与えれるようになった。その理由は臓器移植のドナーとして選抜されたからだったが、妹にその事実が知らされることはなかった。
レシピエントは日本人の少年。日本人の命を救うために、タイ人の少女は命を失う。ここでも命はお金で取引される。
読み終わって気づく。命より尊いものはない、という価値観は、自らの命が危険にさらされない限り、という相対的なものでしかないうことを。
きれいごとをいうつもりはないから正直に書く。
それに気づいたところで、いまの自分にはどうしようもない。もし医者に臓器移植しないと死ぬと言われても、国外では移植を受けませんという意思を伝えるくらいはできると思うが…
根が深すぎる。
Posted by ブクログ
読みやすく面白かった。
自分の知らない闇の世界を分かった気になれる程リアルだった。貧困による格差、報われない現実、実際に自分の生きてる世界で闇の取引が行われているという想像ができて読んでいてモヤモヤした。
Posted by ブクログ
映画をみる。
原作は小説らしいが、まあすごい。
まあ臓器移植のほうはまだしも、売春のほうは同じ人間とは思えない、みたいに思えてしまう。みんな切羽詰まってるのだろうか。
タバコが悪の象徴みたいに描かれている。
Posted by ブクログ
表現がかなり生々しいです。
フィクションだから嘘が書かれてるという人もいますが、現実に本の内容と近い残酷なことが起きているのは事実だと思います。
Posted by ブクログ
酷薄な現実を切り出して描くことにおいて、小説は優れたメディアだ。迫真力は映像メディアに軍配が上がるだろうが、小説はひとつのテーマを複眼的に浮き上がらせることが可能であり、多層的な時間軸でアプローチできることも強みだ。本書は小説の持つ武器をてんこ盛り状態にして、読者の眼前に悪夢を突きつけてくる。
本書のテーマ自体が誰しも目を背けたくなるものだということもあるが、著者の筆の力が禍々しさに物質感を加えていることは疑いない。
決して難解な小説ではなく短時間一気読みも可能と思われる。問題は最終ページを読み終えた後だろう。本書から受け渡された難問にどう向き合うべきなのか、それを考える時間のほうが読書時間よりも長くなることを、読者は覚悟しなければならない。
Posted by ブクログ
とても恐ろしく読み続ける事を途中でやめてしまいたくなるような小説だった。
生々しく描かれている発展途上国の子供を使ったビジネスは本当に怖く正直自分がこの立場でなくて良かったと思ってしまった。また自身にも発展途上国の人だからしょうがないと差別的な意識が少なからずありその事についても改めて読んで気付かされた。
自身の置かれている環境がどれだけ恵まれているのかその事を再確認して甘えずに努力していきたいと思った。
Posted by ブクログ
一気に読んでしまった。
最初は、ノンフィクションかと思ったら小説だったのね。
小児性愛は、まったく理解できない。
正常に成長していないアダルトチルドレンが自分の精神年齢に近い存在しか欲情しないのか?
在日の人しか書けない最後、自分が生まれ育った国日本、だけど親の出自により外国人と他人には見られる、
日本にいても、韓国にいても彼は外国人なのだろう。
自国を持っているようで、自国がない。
音羽恵子が最後に選ぶ愛着は、生まれ育った国よりミクロな単位で人への愛着だったんだな。
しかし、私はタイ王国ならタイ人が正さないといけない。
もちろん日本国は、日本人が正さないといけない。
大東亜戦争の戦後処理、GHQ主導で行って来た、だからいまだに日本は戦後処理がままならない。
日本人の意識を変えるのは、外国の勢力ではなく日本人がどうにかしないといけない。
Posted by ブクログ
日常的に行われる子供への性的虐待、それを容認するかのような国家体制、不法に行われる臓器売買等アジアの貧困地域の闇が痛々しく描かれている。
児童売春での性行為や虐待の描写がとても酷く、特にホルモン剤を打たれて死んでしまう少年やHIVにかかって亡くなってしまう少女の場面が頭から離れなかった。
Posted by ブクログ
-20080922
貧困が人ひとりの命を限りなく軽くする。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春、臓器売買、モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く。
Posted by ブクログ
ふと最近読んだ一冊。
偉そうに感想を言える立場じゃないんで敢えて感想は書かないけど、勉強になります。
内容はすごくヘビーです。
ちなみに映画も見ましたが、個人的には興味ある人は本を読んだ方がよりリアルな部分を知れると思います。
Posted by ブクログ
先の大戦の戦勝国によるグローバリゼーションの加害性を描いた作品。R25G。
映画で作品を知り、20歳の頃に肝試しに古本屋で購入。お陰で8年過ぎた今でも精神科院に通院している。
NGO職員の女性と新聞記者との訣別のシーンが、暴力描写の数々に打ちひしがれていた私へのトドメとなった。アレは作者による私ら読者への皮肉だな。
戦勝国による敗戦国への「高利貸し」。それを返済するための「土地開発」。貸すためのカネは私たちの預金から都合している。私たちの生活の裏側で作られてきた貧困は、私たちが加害者であることを示している。
Posted by ブクログ
※これから読む人へ※
1 最低5年分の精神科院受診料を用意してある
2 自宅の近所に精神科院がある
3 精神科院に付き添ってくれる人が身近にいる
この3つの条件を満たせない人には購読をおすすめしません。決して。
Posted by ブクログ
目をふさぎたくなるような描写が多々あり、でもそれが決して過剰表現ではないんだろうと感覚的に思うのだけれども、きっとそのような場面を目の当たりにしても現実的問題として受け入れられないような内容でした。
貧困で今日食べるものがなくても人生に希望が見出せなくても自殺したいとは考えないらしい。
そこにたくましさと、悲惨な現実が日常化してしまっている環境の重さを感じました。
家族の生活を支えるため子供が働かざるを得ないのは理解できる。
でも、家族のためって勝手なエゴを押しつけて子供を売り飛ばしたらいかんだろ。
そしてそのお金でテレビとか買ってんじゃねー。
ものがあふれている、何不自由ない毎日、それに感謝もできていないという自分の環境をせめてせめて見つめなおそうと思いました。
Posted by ブクログ
読み終えて本作に書かれている内容がフィクションである事を願いながら、その可能性は限りなく0に近いのだろうと思うと心が痛む。
日本でも貧困ビジネスと呼ばれる問題があるが、世界に目を向けるとそこには金の亡者、いや、もはや人ではない魑魅魍魎達のために犠牲となる罪のない子供達がいる。
幼児売買、幼児売春、臓器売買等、金に取り憑かれた者達の飽くなき欲望を満たす為に同じ世界に生まれた同じ人間の子供が単なる商品として取り扱われ、用がなくなるとゴミと同じく捨てられていく。
1人でも多くの方に読んで欲しいと思える一冊です。
説明
内容(「BOOK」データベースより)
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。
Posted by ブクログ
東南アジアでの人身売買、幼児売春、臓器売買などの貧困社会に蔓延る闇。今まで小説を読んでいて、これほどまで苦しく切なくなるという経験はなかなか無かった。
小説の中の物語でしかないけれど、世界の片隅で実際に起こっている出来事だと思う。確実に。
救いのない結末もまたこの問題が現在進行形のまま、終わりなき課題であることを彷彿とさせる。
梁石日さんの作品を初めて読んだが、衝撃的。
Posted by ブクログ
この本の題材は、タイを舞台にした少年少女達の売買、
売春、そして臓器提供。
ノンフィクションでもドキュメンタリーでもなく、分類すると
すれば、「事実に基づいた小説」ということになるんだろう。
この題材でノンフィクションにするには危険すぎて、この
悲惨な現実を世に伝えるには、「事実に基づいた小説」
という形をとる以外にはなかったのかなという気がする。
こんな凄惨なことが根絶できない理由の一つには、需要と
共有のバランスが保たれているという現実と、そのバランスを
利用し、肥大化させるシステムの存在がある。
国から見離され、事実上隔離され、生きてゆくには自分の
子供を売るしかないという人達。一方には、幼い子供達を
性の玩具としてしか見ない変態達。さらに、この需要と共有
のバランスに群がる悪党達。加えて言えば、この悪党達も
親から売られた、あるいは捨てられたという過去を持つ。
幾重にも織り重ねられ、強固で複雑怪奇なこのシステム。
この織りが解かれる時は果たしてくるのか、悲観的になって
しまう。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。
この本を読んだ時に受けた衝撃は未だに忘れられません。が、あくまで創作にも関わらず、事実であると言ってしまったのが良くなかった。ソースも無しで想像のみで書いたとしてもこの作品の価値は変わらなかったのにそこはとても残念です。
Posted by ブクログ
描写の生々しさに絶句。
フィクションではあるものの、現実でも同じようなことが起こっているらしい。
自分の知らない現実に衝撃を受けた。
小さな子供たちが酷く扱われている描写は目を覆いたくなる。胸が締め付けられるようで、読み進むことが辛かった。
けど、最後まで読んで良かったと思う。
読んだからと言って、この子たちに何かしてあげられるわけでもなければ、明日からの生活が変わるわけでもない。
明日からも資本主義の歯車として生産と消費を続けるのだと思う。
でも、一人でも多くの人がこういった現実を知り、受け止めていくことが問題をよくすることにつながっていくのではないかと思った。
Posted by ブクログ
幼児買春、幼児売買などのあまりにグロテスクでリアルな表現、そして重すぎる内容に、ややくらーい気持ちでこの作品の結末はどうなってしまうの…と思いながら読み進めた。
そして、日本の中にある(自分自身も)排他的な意識について考えさせられるラストだった。
Posted by ブクログ
グローバル化の中で貧富の差が広がり二極化していくとき、貧しい国の生活を支える闇経済を駆逐するのはその国の崩壊をもたらす恐れさえある。かと言って健全な経済を運営できる保証はない。弱肉強食のグローバル化はそれを許さない。幼児売春や臓器売買などは絶対に許されないことだが、憎むべきはこれらに直接関わっている者だけでなく、絶対的貧困を温存することで自らの豊かな社会と生活を保っている私たち自身なのかもしれない。
Posted by ブクログ
昔読んで映画も観た。映画のラストと小説のラストが違ったよなと思って再読。今読んでも嫌な気持ち。ではどうしたらいいのかはわからない。音羽恵子みたいにはなれない。でも知ることは大事だと思う。
Posted by ブクログ
日本人女性初のLA警察官で、人身売買に立ち向かうNPOであるlove spectrumを設立されている永田有理さんという方がいます。その方のインスタライブで、この本に書いてあることはフィクションだがほぼ実際に起こっていること、とお話しされていたので読んでみました。子供たちが売られ、性的に搾取され、臓器売買され…このようなことが世界のどこかで起こっているという事実に驚愕しました。あまりの生々しい描写に顔を背けたくなるほど…
Posted by ブクログ
タイの貧困村を舞台にした児童人身売買とそれを暴こうと奔走するNGOの女性の物語。
わずかなお金の為に親に売られた少女。
売春宿で先進国の幼児性愛者に性虐待をされる描写はあまりに衝撃的で何度も本を閉じた。
生きたまま臓器を取られる少女もいる。
救いがなくやりきれないが読んで損はない。
この世界は知っておいたほうがいい。
Posted by ブクログ
人間は、人間のままどこまで他人に無慈悲になれるか書かれている。文体がドライなのと、日本が舞台じゃないので最後までは読めるけど、世界のどこかの現実なんだろうな、と思うとやるせ無さは残る。
Posted by ブクログ
タイの子供の人身売買の話。
なんていうか…本当にこんな事があるんだろうか、と疑問に思う自分は恵まれている人って事になるんだろうな、と。
子供に下剤を飲ませ、空っぽになってから麻薬を入れるって…
Posted by ブクログ
あくまでフィクションのタッチで綴られているが、限りなくノンフィクションに近い。映画も制作されているが、現地での上映は拒否されている。幼児の売買春や臓器売買(ここは本意気に否定されている)がテーマで、読み進めるのがとにかく気持ち悪い。でもこうした弱者が構造的に作られていることは否定できないし、事実であることは間違いない。なぜ人は慎ましやかに生きられないのだろうか。
Posted by ブクログ
これはひどい、人間扱いされていない。完全にもの扱い。人間の相手をするから人間なんだろうが、やはりものでしかない。しかも安い、安すぎる。
一方で、NGO活動の無力感もやるせない。利権に守られており、むなしい活動になるばかりでなく、命の危険にもされされている。
そう、全般的に命の値段が安すぎるのだ。人の命は地球よりも重い?感嘆に人が殺される世界では、重みを全く感じない。それは貧困者だけではない。暴動時の狙撃や街中での殺人が多すぎるし軽すぎる。
筆者はこれが現実だ!として世界がみえていない平和ボケしている私たちに何かを突きつけようとしているだろうか?それとも多少なりともかかわってしまっている買う側の世界の人々に何かをつきつけようとしているのだろうか?