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Posted by ブクログ
アヤコは、中学校では目立たない少女だった。こっそりと少女マンガを描きながら、オタクな友達と一緒に、教室の隅のほうでマンガの話で盛り上がっていたけれど、自分の描くものに全然自信なんてなかった。同じクラスの男子・シンはバンドでギターを弾いていて、いつか有名ミュージシャンになるという夢を抱いていた。
アヤコの目に、シンはきらきらと輝いて見えた。その歌には力があって、アヤコはシンなら夢をかなえることができると信じた。その応援に力を得て、シンもまた自分の可能性を信じた。
十年後にここで会おう。そのときは、シンは有名ミュージシャン。アヤコは漫画家。卒業式の日、そう約束した二人。
そして時は流れて、十年後、アヤコは少女漫画家として、人気連載を持つ身となっていた。一方、シンは現実の厳しさに負けて、リネン配達をして働きながら、十年前の約束の重みに憂うつさを抱えて……
シンの挫折がほろ苦く、アヤコの不器用な実直さが愛しい。同じ方の本『檸檬のころ』を読んだとき、解説に書かれていた一言ですが、「豊島ミホはふつうを輝かせる達人」ということ。本当にそうだと思います。ものめずらしくはないありふれた日常、誰でも通ってきたような感情が、とても活き活きと胸に迫ってきて、感情移入せずにはいられない。いい小説というのは、必ずしも壮大なストーリーとか斬新な手法というのを要しないんだなあと、つくづく思いました。
青春ものがお好きな方には、とてもオススメの一冊。
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