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別冊GUNZOU
1946年に創刊した講談社がほこる文芸誌――「群像」。 2026年10月号をもって創刊80周年を迎えることを記念し、「別冊GUNZOU」をお届けします! 日本の文学が世界でも脚光を浴びるようになった今、これから先必ずや「世界」でも注目されること必至の実力作家6名が、同一テーマのもとに書き下ろした作品で豪華共演&英訳も同時収録!! 6名の作家と6名の翻訳家が一堂に会したことで生み出された最前線の言葉たち。 創刊80周年を彩る「世界」文学をぜひ、お楽しみください! ~~~豪華収録作!~~~ 彩瀬まる 「私たちは星」 井戸川射子 「もっと大きな鳥がいたはずなんだけど」 今村夏子 「今日で最後」 柴崎友香 「なにもしていない」 豊永浩平 「ETCカードが挿入されていません。」 宮内悠介 「七つの性をもつ男」 Maru Ayase 「We Are Stars」 Translated by Haydn Trowell Iko Idogawa 「Wasn’t There a Bigger Bird?」 Translated by Jesse Kirkwood Natsuko Imamura 「After Today, That’s It」 Translated by Lucy North Tomoka Shibasaki 「Nothing to Do With It」 Translated by Eriko Ikeda Kay Kohei Toyonaga 「ETC Card Is Not Inserted.」 Translated by Kalau Almony Yusuke Miyauchi 「The Man with Seven Genders」 Translated by Matt Treyvaud -
売女の人殺し
恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらがふたたび登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。 「女ってのは売女の人殺しよ、マックス、立ち枯れた木の上から地平線を見つめている凍えた猿、闇のなかで泣きながら、決して口にすることのできない言葉を求めながらあなたを探しているお姫さまなの。わたしたちは誤解のなかに生き、人生のサイクルをつくり上げているのよ」(「売女の人殺し」より) インドから帰還した同性愛者のカメラマンの秘められた記憶、Bと父がアカプルコで過ごした奇妙な夏休み、元サッカー選手が語る、謎のチームメートとの思い出……恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらが再び登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。 [解説]若島正 -
現代ユウモア全集 23巻 『戀を吹く喇叭』 佐々木味津三
『右門捕物帖』や『旗本退屈男』で、日本の時代小説・捕物帖の基礎を築き、昭和初期に活躍した人気大衆作家の貴重な24篇を収録。 佐々木味津三は、大正中期から作家活動をはじめ、菊池寛に認められて雑誌「文芸春秋」の創刊に関わり、横光利一や川端康成らと雑誌「文芸時代」も立ち上げ、純文学方面の新進作家として嘱望された。しかし、実家が抱える多額の負債と、弟妹三人と長兄の遺児五人の養育義務を負ったことから、金にならない純文学から、大きな収入の見込める大衆文学方面に舵を切る決断をする。 本巻には、そんな彼が純文学から大衆小説路線に移る前後の1923年~1929年の間に、文芸誌から大衆娯楽雑誌まで様々な媒体に発表された24篇を収録。一番新しい「大江山仙介の見合」が巻頭で、一番古い作品「新東京繁昌記」が巻末という構成は意図的なものを感じる。同時代のスポーツネタを入口に、読者を次第に作品世界へと呼び込み、最後にすでに過去となりつつある関東大震災直後の戯作的ルポルタージュで余韻を残す形となっている。作品傾向も社会風俗や時事的話題を取り入れた話が多い。人気絶頂の大学野球をネタにした「大江山仙介の見合」、新興映画の発信地として勢いのあった蒲田撮影所を舞台にした「忘笑症患者」、大家さんとの小競り合いを「階級闘争」という流行語で呼ぶ「お犬様」、 田山花袋「蒲団」をパロディ化した「女性軽蔑家」などなど。特に巻末の「新東京繁昌記」は、大震災の数ヶ月後に発表された作品で、混乱の中で強かに生きる東京人の姿を活写した一つの風俗史料ともなっている。なお、佐々木味津三は本巻刊行から約4年後の1934年、急性肺炎を起こして僅か37歳で亡くなった。 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究者で追手門学院大学准教授・佐藤貴之。付録には、表紙や裏表紙など、当時の貴重な資料も収録する。 (電子版 2026年9月25日配信開始) -
だれか、わたしを助けて
【2026年 ジョイス・キャロル・オーツ賞 受賞】 ◎間室道子さん(代官山 蔦屋書店) とにかく「極寒の町」を読んでほしい! ラストに押し寄せる胸の痛みは、マイナス六十度の町で呼吸し、 生きてる人々の愛と命を体感させる。 ◎河出真美さん(梅田 蔦屋書店) たった数十ページで、登場人物の数十年分の人生が あなたの前に立ち現れてくる。 わたしの人生と似ても似つかないかれらの人生を覗いて、 それでもわたしは思っていた。 あなたの気持ちがわかる、あなたのことを知っている、と。 ◎梅﨑実奈さん(紀伊國屋書店新宿本店) エリカ・クラウスの物語が最高潮に輝く瞬間は、 常にラストシーンだ。 どんな悲劇が展開されようとも、単純な涙では終わらない。 この途方もない余韻は、圧倒的に詩である。 ◎古屋美登里さん わたしはこれまでさまざまな作家の作品を読んだり、 訳したりしてきたが、 これほど胸が震える小説に出会ったことはない。 ***** 逃れようのない現実を前に、わたしも、あなたも、「だれか、助けて」と心の中で叫んでいる。 極寒の町を捨て、運命の男と共に出ていくのか。 愛する人が死を望む時、この手で殺せるのか。 赤の他人の子どもたちを、本当に救うのか──。 岐路に立つ12人の、それぞれの決断。 『いつかわたしに会いにきて』で熱烈な支持を集めたエリカ・クラウス、待望の最新短篇集。 ***** 【目次】 日本の読者のみなさまへ 極寒の町 ピアノ ダッジ通りの北側 ヘラジカを食べてくれ だれか、わたしを助けて バンコクにいると 立っている男 ユダヤ人 神を畏れるごとく我を畏れよ あなたとなら一晩中こうしていられるけど、それって人生で最悪の夜になりそう ブルー・ホール 心臓と大血管損傷 訳者あとがき ***** -
「特殊捜査班カルテット 新装版」シリーズ【全3冊合本版】
警察にはできないやり方で犯罪を暴く、異端者四人組の潜入捜査!子供の頃、家族を何者かに惨殺され、怒りに衝き動かされるタケル。中国残留孤児三世に生まれたことで日本人を憎むホウ。出自から目的まで、すべてが謎に包まれたカスミ。そして、3人を特殊捜査チームに仕立てようと目論む、警視庁の異端者クチナワ。それぞれの想いを秘めた4人が犯罪に立ち向かう――。孤独な潜入捜査班の葛藤と成長を描く、スピーディーでバイオレンスなエンタテインメント巨編。※本電子書籍は下記3冊を1冊にまとめた合本版です。『生贄のマチ 特殊捜査班カルテット 新装版』『解放者 特殊捜査班カルテット2 新装版』『十字架の王女 特殊捜査班カルテット3 新装版』 -
辻邦生電子全集 13巻 未完小説『フーシェ革命暦』ほか
激動のフランス革命の中を生き抜いた謀略政治家、ジョゼフ・フーシェの生涯を題材にした長篇歴史小説と関連エッセイ6篇を収録。 フランス革命~ナポレオン時代にかけて暗躍し、「カメレオン」「変節漢」とも評された稀代の謀略政治家ジョゼフ・フーシェ(1759 -1820年)の一代記として、「文學界」1978年1月号から「別冊文藝春秋」1993年夏号まで、断続的に連載された作品『フーシェ革命暦』 。 革命前夜~1789年7月14日のバスティーユ襲撃に至る過程を中心として、バスティーユ襲撃後の「女たちの行進」までで終わり、その後のフーシェが本格的な政治家として活躍する時代は描かれず、未完小説として単行本化された。 流謫の地トリエステで晩年のフーシェが自らの生涯を手記として回想する形式で描かれた本作は、修道院付属学校の田舎教師から革命の権力闘争の渦中へ身を投じ、冷徹な現実主義をもって激動の時代を生き抜いていく姿を通して、革命期の社会の底流と人間心理を重厚かつ緻密に描き出している。つまり、「フランス革命を背景に、後に権力の裏側を操る政治家となるフーシェが、どのように形成されていったのかを描いた歴史小説」として、「革命そのもの」よりも、革命を観察し、人間の心理や権力の動きを読み取っていく若きフーシェにかなり重点が置かれているのである。本作以外には、「間奏曲『フーシェ革命暦』」等の関連エッセイ6篇も収録。解説は、歴史学者で学習院大学名誉教授・福井憲彦氏が担当。 ※この作品はカラーが含まれます。 -
私労働小説シリーズ【2冊合本版】
『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』「あたしのシットはあたしが決める」ベビーシッター、工場の夜間作業員にホステス、社食のまかない、HIV病棟のボランティア等。「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々の「他者のケアをする仕事」を軸に描く、著者初の自伝的小説にして労働文学の新境地。「自分を愛するってことは、絶えざる闘いなんだよ」シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。店員、作業員、配達員にケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。他者のケアを担う者ほど低く扱われる現代社会。自分自身が人間として低い者になっていく感覚があると、人は自分を愛せなくなってしまう。人はパンだけで生きるものではない。だが、薔薇よりもパンなのだ。『私労働小説 負債の重力にあらがって』Don‘t Blame Yourself!セクハラ、パワハラ、カスハラ、人種差別に事なかれ主義やポジティブ教の上司まで。ジョブには最低なものとの戦い(ワーク)がつきまとう。「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている。」だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。 ※本電子書籍は、2023年10月刊『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』と25年10月刊『私労働小説 負債の重力にあらがって』の2冊を収録した合本形式での配信となります。 -
イレナ・レイの消滅
ブッカー国際賞受賞の翻訳家が仕掛ける罠 国際ブッカー賞受賞、 ノーベル文学賞受賞作家を手がける 世界的な文芸翻訳家による言語と翻訳と陰謀の物語。 クロフトの書きぶりには傑出した力強さがある。 ──オルガ・トカルチュク(ノーベル文学賞受賞作家) いくつもの言語を手なずける言語の匠にしか書けない。 ──ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー『フライデー・ブラック』 ノーベル文学賞の有力候補であるポーランドの作家イレナ・レイが新作長編を書き上げたという報に、彼女の作品を担当してきた各言語の翻訳者たちがポーランドの森に集まった。この森の村に、作家の住処があり、そこで合宿をしながら新作を翻訳するためである。 英語、スペイン語、スロヴェニア語、セルビア語、ドイツ語、ウクライナ語、フランス語、そして初参加のスウェーデン語。各言語の翻訳者たちはお互いの名前も知らず、ただイレナ・レイの作品の崇拝者として、これから一つ屋根の下で暮らすことになる。いつものように。 しかし今回はどこかおかしかった。イレナの夫の姿はなく、イレナ本人の言動もどこか奇妙で、やがて「開封禁止」という謎のメールをよこした直後、イレナは忽然と姿を消した── 恐慌に陥る八人の翻訳者たち。手がかりは新作の原稿の中にあるのか。あるいはイレナの家の中にあるのか。イレナ・レイが隠してきた秘密とは何なのか? 翻訳者としてオルガ・トカルチュクらの世界文学を手がけ、国際ブッカー賞を受賞したジェニファー・クロフトが、ヴィトルド・ゴンブローヴィッチにインスパイアされて紡ぎ出した、言葉と創作と翻訳、謎と森と菌類をめぐる長編小説。 -
婚約者の王子に毒を盛られたので愛が冷めました
婚約者の王子・グウィンを献身的に支えていたルエラは、浮気相手との自由を欲した王子に毒を盛られてしまう。絶望のなか毒の後遺症に蝕まれるルエラの前に現れたのは、美しい天才魔術師・ユリシーズだった。ルエラの治療のためにやってきた彼は、女嫌いで人と深く関わろうとしない変わり者。だけど次第に二人の間に特別な想いが芽生えはじめ――。 その一方、王子たちは次期王座を狙うべくルエラに再び近づいてきて……!? 壮大なるファンタジーロマンス開幕。 【登場人物】 ◆ルエラ・ネスビット 強い意志を持つ侯爵家令嬢。次期王妃候補として、王子を献身的に支えてきた。 ◆ユリシーズ ネスビット家と契約している天才魔術師。毒に侵されたルエラを救おうと奔走する。 -
断章のグリム 完全版
鬼才・甲田学人が贈る、悪夢のメルヘン完全版。 この世界の怪現象は全て、神の見た悪夢の泡である。集合無意識の海から浮かび上がった悪夢の泡は、個人の恐怖と混ざり合い、歪んだ「童話」となって現実世界に溢れ出す。 凄惨な過去を抱え悪夢と戦う時槻雪乃。普通であることが信条の白野蒼衣。二人は〈神の悪夢〉を滅ぼすため、想像を絶する物語を追い、その悲劇を解き明かしてゆく。悪夢が作り出した『灰かぶり』と『ヘンゼルとグレーテル』。その恐怖と結末は。すべての起源に迫る奇書『マリシャス・テイル』初収録の完全版。 -
P+D BOOKS 女箸
男女の愛と欲を様々な角度でとらえた作品集。 ――克子はもう、何といつていいかわからない。まさか、こんなにまで決定的な勝利感を、二十年もたつてから早苗に対して味わおうとは空想もしてみなかつたことだ。早苗は、まさか、若い美青年に襲われるというようなスリルと快楽には無縁だろう。克子は、急に速夫がいとしくなり、この男が帰つたら、二階の速夫の部屋を訪ねてみようかと思つた。(「男客」)―― 子どものころから劣等感を味わってきた克子。とくに早苗には、小学校から女学校まで容姿でも才能でもまったく歯が立たなかった。時が流れ、流行作家の妻となっていた克子は、夫の甥に迫られ、自分の魅力が残っていたことに幸せな気分になった。続いて早苗の夫と名乗る人が現れたが、そのしょぼくれた風采を見て、克子は優越感を覚える。だが、その男の正体は信じがたいものだった……。 男女の愛と欲を描いた「男客」「ある晴れた日に」「女たらし」など7つの短篇に、表題作「女箸」を含む掌篇15作から成る「星くず」を加えた名作品集。 -
P+D BOOKS ある美人の一生
男性上位時代を気丈に生き抜いた女性の生涯。 ――わき子は、打ちのめされた。 良人(おっと)は、妾宅をかまえていたのである。……男というものは、狡猾で、不潔で、いやらしいケダモノだった。彼女は、良人が、一時に、遠い他人になって、身辺にいなくなったのを感じた。―― 美人で名高い疋田家の長女・わき子は、数々の縁談のなかから帝国大学出の医師と結婚する。夫の富太郎は美男の上に寛容、夫の家族もやさしくて、非の打ちどころのない結婚生活が始まった。やがて男の子が生まれるが、病気で亡くなってしまう。富太郎は妻を慰めるために、病院と家を新築。わき子は夫の気遣いのおかげで子を失った喪失感からようやく抜け出せると思った矢先、まじめ一本槍だと思っていた夫に愛人がいたことが明らかになる。はたして完璧だと思われた家庭は、このまま崩壊してしまうのか……。 明治から大正、昭和と、女性は黙って耐えるのが当たり前だった時代を、気丈に生き抜いた女性の生涯を描いた大河小説。 -
第三きぼうビル
【電子版巻末にはふすい先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 ここは、地方都市の裏路地にある3階建て雑居ビル『第三きぼうビル』。 1階には居酒屋、 2階はフロアが二つに分かれていて、片方がベンチャー企業の事務所。もう片方が美容室。 3階には探偵事務所がそれぞれ入っている。 もともとは「きぼうビル」「第二きぼうビル」が存在したが、先の二棟は取り壊され、 現在残っているのはこの第三だけである。当然ながらエレベーターはない。ボロいビルである。 ここで働くなんとも頼りない大人たち(計5名)が、ささやかで強烈な日常を繰り広げていく連作短編集。 -
明日、僕は死ぬ。君は生き返る。
『寿命の半分で、死んでしまった人を生き返らせる』 鬱屈した日々を送る高校生の達也が交わした不思議な契約。それは、達也の身体を病で亡くなった少女・春花の魂が一日置きに乗っ取る〈二心同体〉現象の始まりだった。 直接会えない二人を繋ぐのは交換日記だけ。奔放な春花が達也の身体で自由に過ごし、“昨日の自分”に振り回される新たな日常のなかで、達也の孤独な世界は鮮やかに変わり始め……。世界で一番近くて遠い、背中合わせの恋を描く奇跡のラブストーリー。 第19回電撃小説大賞で〈金賞〉を受賞し、話題沸騰となったデビュー作『明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。』を全編完全リメイク。 登場人物の変更やストーリーの再構成を行い、新たなる感動を巻き起こす――! 【登場人物】 ・榊 達也 とある事情で家にも学校にも居場所がない孤独な男子高校生。 ・姫路春花 病気で亡くなった女子高校生。破天荒で明るい性格。 -
月見荘にただいま
四〇歳になり、周囲の気遣いが重荷になった独身のキャリアウーマン・香澄。完璧な母であろうとするシングルマザーの美海。年を重ね、伴侶を亡くし、人生を終えたように感じていた七〇前の佐智子。 異なる停滞感を抱える彼女たちは、ひょんなことから月見荘の住人として出会い、互いの悩みを知る。さらに、ミステリアスな男性の住人・綱島が彼女たちの凝り固まった価値観を揺さぶり始め――? それぞれが、自分らしく生きて新しい世界へと一歩を踏み出していく物語。 -
ヒトならざる、ケモノ
エブリスタ×竹書房 Web小説コンテスト大賞受賞のクライムサスペンス! 「さて、始めましょうか。処刑の時間です」 切り落とされた人体の一部とともに届いた、生配信への招待状。 そして開宴する戦慄の「処刑部屋」。 熱血刑事が追うSNS参加型Web殺人事件、その奥に隠された驚愕の真相とは!? ある日、錦糸公園の噴水で発見された人間の両腕。 そこには動画サイトへ誘導する黒い招待状が添えられていた。 指定の21時、画面に現れたのは仮面を被った不気味な人物と、椅子に縛り付けられた両腕のない「被告人」。 仮面の男は「被告人」の性犯罪を暴くと、視聴者へ「有罪」か「無罪」かの判断を委ねる過激な生配信=「処刑部屋」を開始する。 その後も警察を嘲笑うかのように、事件は第二、第三の被害者を生み出し、凄惨な処刑とともに、犠牲者たちの醜悪な素顔が暴かれる。 捜査を進める刑事・有瀬光多は、一連の事件の陰に「葉田里乃」というすでに亡くなった一人の少女の存在と、彼女をめぐる男たちの異常な愛憎劇に辿り着く。 法で裁けぬ悪を討つ正義か、ただの凄惨な復讐か。 理性を捨てて《ケモノ》と化した犯人と、葛藤する刑事の執念が交錯する、ノンストップ・クライムサスペンス! 「私が裁く。人間を捨てた、本当の獣たちを――」 -
HOTEL NIGHTHAWKS
宿泊だけじゃなく、とんでもない依頼を受けることも……。 どんな難題(?)にも、スタッフ一同、誠心誠意対応させていただきます。 《東京バンドワゴン》《花見小路》などの人気シリーズで知られる著者の愛新作は、北海道〈すすきの〉の老舗ホテルが舞台! 北海道札幌市の歓楽街〈すすきの〉にある老舗ホテル[ホテル・ナイトホークス]。滞在客の中には、いろんな事情を抱えた人たちがくることもある。ホテルのオーナーは、そんな人たち(ときには猫たちも)のため、従業員たちとともに、様々な人脈を使い、時に警察や法律に頼ることが出来ないことでも、解決していく。 開拓期の旅館にルーツを持つ、ミステリアスな老舗ホテルを舞台に、〈東京バンドワゴン〉シリーズなどで人気の著者が描く痛快小説。 Prologe 僕が〈HOTEL NIGHTHAWKS〉に就職することになったきっかけ 1 〈HOTEL NIGHTHAWKS〉新人ホテルマンの僕にできること 2 逃げてきたお客様にできること 3 みことさんが〈HOTEL NIGHTHAWKS〉をやり続ける理由 4 逃げて戻った花嫁の事情 5 ホテル暮らしをする女性の事情 6 夢とか希望とかのためにできること 7 生き続けるために逃げる女性の事情 8 ピアニストと猫の行方 9 猫とピアニストとヤクザの事情 10 三時間で全てを終わらせて全てが始まるように 11 その日にむけての、諸々の事情確認 12 〈HOTEL NIGHTHAWKS〉へようこそ -
定年物語(上下合本)
正彦さんが定年を迎え、さてこれからは、一緒に旅行を……と期待していた二人。 しかし、折しも世の中はコロナで自粛中。 そんな中で、新たなフェーズに入った二人の生活は? 俳句、骨董と、趣味の道をきわめる正彦さんと、二次元コードに苦しめられたり、日々のちょっとした生活の変化を楽しんだりする陽子さんの日常を綴る。【上巻】 正彦さんの定年とともに陽子さんも時々感じることがある。 それは老い……。 書店で一番下の文庫を取ろうとしゃがみこんだら、なかなか立ち上がれなかったとき、インボイスの手続きに必要なQRコードを読み込めなかったとき……。 それでも人生は続く。 正彦さんと共に楽しく! 定年を迎えた二人の新たな生活を描く!【下巻】 -
妖言
“歩き巫女”の一族の分家に産まれた嫡男“忍海(おうみ)”。泰平の世をひっそりと生きてきた一族であったが、江戸末期の黒船来航を機に在り方を見直す事になった。嫡男である為、跡継ぎから外された忍海は自由に生きる事を許される。だが、歩き巫女としての生き方しか知らない彼は、自分の生き方を見付けるための旅に出る。 鬼の歩き巫女、男くノ一漫遊記(ピカレスク)シリーズ。 妖刀村正に憑りつかれた男を口利きして欲しいと頼まれる、お話。 ※本作は鞍馬榊音の個人誌作品の電子書籍版となります。【56ページ】 -
ハードボイルドの夜
不審物を配送せよ! バイク便のライダーである「俺」は悩みながらも、仕事を続けている。 その日引き受けた仕事は、いかにも怪しげなブツだった。「俺」は刑事の同級生に助け舟を求めるが......。 細密な描写で描く、配達ストーリー。 -
人生はにゃんダフル
主人公のたま子は、自称ネコ!? 料理動画を配信して生きるたま子は、生き方がすべてネコずくし。魚料理が大好きで、皿も舐めて食べる。 そんな彼女の密かな楽しみは、街中を駆け回ることだった。 ある日、たま子はその腕をかわれ、パルクールの教員に誘われ......。 自称ネコが巻き起こす、ニャンダブル・ストーリー! 電子版は猫にちなんだにゃんにゃん価格(税抜)でお届けします。 -
川柳句集 羅針盤 ――ためらいの先へ
著者は川柳・俳句・短歌の垣根を軽やかに越え、ボーダレスに創作活動を展開する短詩型表現愛好家。『羅針盤――ためらいの先へ』は、「川柳とは何か」という問いへの答えではなく、問い続けるための小さな方向感覚を手渡す一冊である。 著者は川柳を、人間と向き合うための「構え」や「態度」と捉え、全72句にその視線を一貫して注いでいる。生きていく中で個人の輪郭が失われていくような違和感や不条理を、身近な物や身体感覚へとそっと置き換える比喩が鮮やかである。 1句1ページの構成がもたらす豊かな余白は、読み手を結論へ急がせず、ふと立ち止まって自分の現在地を確かめる時間を育んでくれる。そんな静かな問いに満ちた句集である。 ●収録作品より 二行目の日記に潜む嘘ひとつ 朝礼で行方不明の一人称 そっと舟押し出すように友の通夜 ポケットに手垢のついた羅針盤 ただ風の気配を待っている余白 -
川柳句集 百歳の笑み(改訂版)
岐阜を拠点に活動する著者が、40年もの長い年月をかけて磨き上げた480句を収録した「百歳の笑み」に加筆修正した改訂版。 「斜光のなかで」「招き猫」「野鳥のしらべ」「へのへのもへじ」の4章構成。割り箸を割る音、新刊を開く感触といった何気ない日常の一コマ、また見落とされがちな季節の移ろいや小さな感動が、著者の研ぎ澄まされた感性で丁寧に拾い上げられている。重くなりがちな「老い」のテーマさえ軽やかなユーモアへと昇華させる著者の視点は、同世代には深い共感を、若い世代には生きる勇気を与えてくれる。本質を捉える確かな眼力で、現代社会の矛盾や世相を軽やかに突く時事川柳も魅力的である。 本書の全編を通じて流れているのは、著者が人生で導き出した川柳賛歌と「生」の肯定である。ページを繰るごとに川柳への親しみが深まり、読者の心を解きほぐすに違いない。巻末の『句集のおわりに』では、著者が長年培った作句の手ほどきを公開している。「想像力を刺激する余白を残すこと」「難しい言葉よりも、誰にでも伝わる言葉を」などの川柳哲学は、これから川柳を始める人へのやさしい指標となり足元を明るく照らすだろう。川柳のエッセンスが凝縮されているため、時間のない現代人にもピッタリである。老若男女問わず、人生の同伴者として繰り返し読みたくなる一書。 割り箸の軽く馳走のする香り 新刊のミリッと本を開く良さ 百歳を祝う写真に笑むばかり 日めくりの大吉らしき明日透けて 封切らず旨い酒だと自慢する 百生きりゃ百の苦労も笑いだす 寝る前に感謝を込めて消す明かり -
全国川柳作家集 ムンクよ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 数々の川柳大会で入賞を重ねる実力作家であり、青森県を拠点とする「おかじょうき川柳社」代表を務める、むさしの句集。既成の川柳の枠にとどまらない奔放な発想力で、日常の身体感覚、雪国の風景、原発、戦争など幅広いテーマを自在に詠む。ミサイルやウルトラマンなど多彩な句材を軽やかに取り込み、現実と幻想の境を揺さぶりながら、新しい川柳の可能性を鮮やかに示す一冊である。 ●収録作品より ムンクよ写楽よカモメは空のどこで死ぬ 白鳥もミサイルも飛ぶ青い空 生きていることも錯覚なのですね 前例がなんだ雪ダルマは走る ミサイルはいらない桃をひとつくれ -
全国川柳作家集 心織・心耕
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 熊本県を拠点に活動する村上和巳の句集。自己の内面を「経糸」、社会との関わりを「緯糸」として、人生、病、老い、家族、死、戦争、平和までを十七音に織り込む。哲学や文学の気配、日常の言葉、時事へのまなざしを交差させながら、巧みな比喩と知的なユーモアで、人間と時代のありようを浮かび上がらせる一冊である。 ●収録作品より 夕焼けが私好みの色に焼け 生きようと思う理由がたんとある 風が舞う火が舞う阿蘇は時も舞う 女々しいが雄々しい戦より平和 許すという鮮やかな敵討ち -
全国川柳作家集 猫のシッポ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 北海道を拠点に活動する鈴木厚子の句集。心象風景としての月や雪、夫婦、愛猫、老いと長寿まで、暮らしの実感を幅広く詠む。女の本音と可笑しみをまっすぐにすくい上げる語り口には、北の大地の風を思わせる軽やかな気風と、タフでしなやかな行動力が息づく。歩んできた人生を軽やかに受け止め、猫のシッポのように凜と前を向く一冊である。 ●収録作品より お静かにゆるーり沈むカフェの椅子 月光を浴びた水から語り出す 空気になれず他人になれずまだ夫婦 モンローウォーク猫のシッポがピンと立ち 生きてます笑っています泣いてます -
全国川柳作家集 原色の過去
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 北海道を活動拠点とする沼澤閑の句集。原発、核、戦争、温暖化、難民など現代社会の危機を見据え、政治や制度の矛盾を川柳ならではの穿ちで浮かび上がらせる。散歩、読書、孫、猫、食卓といった暮らしの細部にも温かな目を配り、過去の記憶と今の時代を鮮やかに照らし出す一冊である。作者自身による代表句の音声も収録。 ●収録作品より 蠢く原発主語のない責任 今日もまた森林火災温暖化 ちちをかえせははをかえせ八月忌 ガザの火をプーチン小手をかざし見る お互いの笑顔が薬老いふたり -
全国川柳作家集 魔のボレロ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 稲沢ひろせの句集は、恋の熱情や嫉妬、孤独を率直に見つめ、女性の内面に揺れる情念を鮮やかに詠み上げる。年齢を重ねる実感、病や死、復興、戦争、地球環境にも目を向けながら、魔女、ボレロ、月、酒などの印象的なモチーフを自在に配し、愛と生の危うさを、現代を生きる女性の感性でしなやかに大胆に刻む。 ●収録作品より 日常を捨てておいでと魔のボレロ 一途な恋静かに狂う薄月夜 どん底で光って見えたのは希望 復興の街で未来と巡り合う 病む地球CTスキャンしてみるか -
全国川柳作家集 こころの調べ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 川柳界で活躍の幅を広げている千葉県在住の渡辺柳山の第2句集。川柳と音楽と映像を愛する著者は、その鋭い感受性で、人の心の揺れや家族の情景、環境問題から政治、戦争まで幅広い題材を自在に詠む。人への温かな視線を忘れず、日常の機微と時代の空気を五七五に映し出す句集である。作者自身による代表句の音声も収録。 ●収録作品より 七夕の願いごとまで五七五 川柳の学び尽くせぬ奥深さ 今日もまた森林火災温暖化 一目惚れ鼓動高鳴り不整脈 笑うたび世界が少し丸くなる -
全国川柳作家集 道楽川柳
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 ふといしうたに句集には、占い、散歩、食事、読書、ラジオ、ピアノなど多彩な日々の楽しみを題材に、肩の力を抜いて生きることの大切さや生きる知恵が詠まれている。出版や作句活動、健康、暮らしの備えにも目を向けながら、小さな習慣や楽しみを日々の味わいへと変えていく視線が、実感的にユーモラスに表現されている。作者自身による代表句の音声も収録。 ●収録作品より 千円の靴履き後悔しています 更新が止まると調子くるう日々 貯金して自著の上梓が生きがいに 読書する間静かなレア喫茶 健康が目的長生きは手段 -
全国川柳作家集 50点満点
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 群馬県出身で看護の学びと勤めの経験を持つ伊藤正美は、心身の不調に向き合う中での実感を、薬の名や検査、病院の風景に託して詠む。痛みや不安を抱えながらも、社会問題、国際問題を織り交ぜながら、生活の手触りを十七音に刻む。周りの大切な人たち、そして自分自身への感謝を忘れずに、医療へのまなざしを通じて、「乱世」を軽やかに詠み上げる。 ●収録作品より 神様にお願いをするマグミット 仙骨の地下鉄走る練り辛子 アレジオン恋人繋ぎ止めました 夕焼けのドグマチールの明日は晴れ 水無月のオレの味方はワークマン -
あの魔女を殺せ
グロテスクな生(いき)人形の作り手として、賛辞を集める常世三姉妹。彼女たちの人形にはまるで人の魂が宿っているかのような迫力があり、世界中の好事家を魅了していたが、一方でその人形作りについて黒い噂が囁かれていた。三姉妹の新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、六歳の娘とともに群馬の山中にある彼女たちの拠点である館に向かう。ところが新作発表会の夜、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。館も孤立状態となり、残された姉妹は、館中を捜索し始めるが――。ある魔術を受け継ぐ一族を巡る驚愕の事件を巧みに描いた、鮎川哲也賞作家の意欲作。 -
太宰治との七年間
太宰が愛し信頼した弟子による鮮烈なる記録 野原一夫編集担当の名著57年ぶりの復刊 『互いの個性が切り結び合うドラマ 師弟愛とヒューマニズムが一貫』安藤宏 「いろいろと人の悪口も言ひたい。安心してそれを言へる相手は、誰も無いんだよ。お前の夢を見た夜もある。」(太宰が堤に宛てた書簡より) 「苦しいことがあったら、三鷹の奥で、下手な作家が、下手な小説を、うんうん苦しんでかいていることを思い出してくれたまえ。ひどい失敗ばかりしている、罪の兄貴がいると思えば、気持ちのなぐさまることもあるだろう」(堤と初対面時の太宰の言葉) 「戦後、太宰が名声の確立を代償に失っていったものが堤には直感できていたのかもしれない」 安藤宏 「残念なことをしたな。もう八年早く、お前と知り合っていたら」と太宰に言わしめた愛弟子・堤重久。ふたり並走した鮮烈なる季節の記憶を反芻し、活き活きと語り行動する師・太宰の姿を描き出す。堤が提供した実弟・康久の日記が『正義と微笑』の着想を齎したことでも知られる。師との出会い、やり取りから多くの人間関係、恋、酒、別れまで。貴重な記録を57年ぶりに復刊。 解説:安藤宏 【目次】 初対面の感動 先輩と山岸さん 酒中の文学論 後輩と亀井さん 「斜陽」の女性 武蔵野と銀座 開戦の日 三鷹の一夜 プロポーズ 甲府に遊ぶ 裂かれた恋 奥多摩の壮行会 入隊と除隊 熱海と三保 戦争末期 津軽・三鷹通信 再会と訣別 あとがき 解説 “三鷹サロン”の優等生 安藤宏 -
詩文集 葦の地方
【小野十三郎没後30年記念企画】 詩とは偏向する勁さのことだ。――小野十三郎『詩論』より 大阪を拠点に短歌的抒情に抗して”歌と逆に歌に”詩を追求しつづけた小野十三郎。昭和の名詩「葦の地方」、教科書で親しまれる「山頂から」ほか代表詩篇二十五篇。さらに短歌に「奴隷の韻律」を見出した峻烈な批評、自伝抄「夢魔を追って」等を収めた文庫オリジナル作品集。 ■目次■ 海から見えるもの 【Ⅰ 詩】 断崖/葦の地方/明日/山/渺かに遠く/葦の地方(五)/ 不当に「物」が否定されたとき/ぼうせきの煙突/犬/大怪魚/ 一本のろうそく/ハマスゲのたぶさ/木々が芽吹くとき/ 雲も水も/山頂から/旅と滞在/雀/拒絶の木/明治のすき焼/ 新しい仕事/最期の木8・10/カヌーの速度で/前夜 亡き妻に/ さらば始祖鳥 【Ⅱ 批評】 「詩論」から/短歌的抒情に抗して/奴隷の韻律/民衆侮蔑ということ/「奴隷の韻律」補遺/詩の音楽性/反逆の抒情――『中野重治詩集』/現代詩と伝統 【Ⅲ 回想】 夢魔を追って/空飛ぶ蒸気機関車/大阪文学学校二十年/ 葦原の痕跡 花田清輝のこと 【巻末附録】 私の出会った人々〔抄〕(金時鐘)/ 時空を貫く批評の視線(富岡多惠子) 【解 説】 アナキズムを起点にした生涯(細見和之) -
人質交渉人
ニューヨーク市警の人質交渉人アビー・マレンに、30年以上会っていなかった知人のイーデンから電話がかかってくる。彼女の携帯に、8歳の息子を誘拐したと連絡があったという。犯人は500万ドルを要求。一般人には払えそうもない異様に高額な身代金に疑問を抱きつつ、アビーはイーデンに寄り添い、指示を出して犯人との交渉に乗り出すが――。人質交渉人は、犯罪者の心理を深く考察し、適切な言葉で相手の心を変えて、事件解決へと導くプロフェッショナル。圧巻の交渉術と緻密なサスペンスを堪能できる、一気読み必至のミステリ3部作が開幕!/解説=若林踏 -
箪笥の中
この家からは逃れられない。ねっとりと絡みつく母娘三世代の愛憎劇。 主人公・雛絵は、美しく手先が器用な祖母・母親相性があまり良くなかった。 祖母・母親からも亡き祖父、父親に似てしまったと言われて、疎外感を抱いている。 ある日、祖母・母親は親族に立ち退き拒否をする住民の相談した。 後日、町で小規模な増水事故が起きる。その犠牲者は例の立ち退き拒否をしていた住民だった。 雛絵の小学校時代、高校時代、結婚後と年代別で描かれる、母娘三世代の愛憎劇ホラー。 ●目次 序 一章 嬢ちゃん 二章 坊や 三章 お婿さん 四章 旦那様 終 ●著者 篠たまき(しのたまき) 二〇一六年『やみ窓』にてデビュー。著書は『人喰観音』『氷室の華』『月の淀む処』『観音異聞』など。アンソロジー『異形コレクション』『てのひら怪談』『こわい話の時間です』など。 -
左遷先は女性都市!CT ~怪盗の街でいちゃラブハーレム~
え!? 俺が、ムチムチ怪盗に誘拐されちゃった!? 女性に優しい男性貴族が治めるという激レアな女性都市「ロンドリア」を訪れたアリストは、いきなり街を騒がす巨乳怪盗ヴェスパーにさらわれてしまう。実はヴェスパーは怪盗をしつつロンドリア市民の精神を支配する陰謀を阻止しようとしていると知ったアリストは、お供のネレイダ、かつて助けたアーリャ、古代遺物に封じられたミネルヴァたちとともにヴェスパーに協力する怪盗団になるが、彼らの前には都市の守護者・シャルロットが立ちはだかるのだった…! 霧雨と時計塔の近代的な女性都市を舞台に、エッチなハーレム&冒険の異世界ハーレムファンタジー第6弾! -
昭和16年夏の敗戦・昭和23年冬の暗号(合本)
日米開戦前、総力戦研究所の精鋭たちが出した結論は「日本必敗」。 それでも開戦に至った、日本的意思決定の過程を描く『昭和16年夏の敗戦』。 終戦後、皇太子明仁の誕生日に、東條英機はじめA級戦犯が処刑された。 のちの天皇誕生日にアメリカが仕掛けた「暗号」から敗戦国日本の真実を解き明かす『昭和23年冬の暗号』。 現代日本の原点をひもとく2作品を合本。 *『昭和16年夏の敗戦』目次 プロローグ 第一章 三月の旅 第二章 イカロスたちの夏 第三章 暮色の空 エピローグ あとがき 参考文献にかえて 我われの歴史意識が試されている 新版あとがきにかえて 対談 『昭和16年夏の敗戦』の教訓 石破 茂×猪瀬直樹 *『昭和23年冬の暗号』目次 プロローグ 第一章 子爵夫人 第二章 奥日光の暗雲 第三章 アメリカ人 第四章 天皇の密約 第五章 四月二十九日の誕生日 第六章 退位せず 終 章 十二月二十三日の十字架 文春文庫版のためのあとがき 参考文献 解 説 梯 久美子 書き下ろし論考 予測できない未来に対処するために 文庫再刊によせて ※『昭和23年冬の暗号』は『東條英機 処刑の日』の改題作品です -
一気読みシェイクスピア
シェイクスピア全37作品、完全解説!! 心理サスペンス、恋愛リアリティショー、RPGさながらの冒険譚、 ダークヒーロー、シスターフッドなどの現代的テーマまで、 すべてのエンタメの原点にして、最先端。 史上最高のクリエイター、シェイクスピアの全作品を 相関図イラスト×濃縮ストーリー×深掘りポイント解説で一気読み! 演出家視点で楽しみつくす、前代未聞の入門書! 【目次】 第1章 人間凝縮の島 ハムレット/夏の夜の夢/ジュリアス・シーザー/十二夜 第2章 どうにもならない感情の島 ロミオとジュリエット/オセロー/マクベス/アントニーとクレオパトラ 第3章 この世界はどうなる?の島 リア王/リチャード三世/タイタス・アンドロニカス/トロイラスとクレシダ/コリオレイナス 第4章 おしゃべりがとまらない!の島 から騒ぎ/お気に召すまま/間違いの喜劇/ウィンザーの陽気な女房たち/恋の骨折り損/ヴェローナの二紳士 第5章 今の視点で観たい!の島 ヴェニスの商人/アテネのタイモン/じゃじゃ馬馴らし/終わりよければすべてよし/尺には尺を 第6章 人間クロニクルの島 歴史劇って何?/ジョン王/リチャード二世/ヘンリー四世(全二部)/ヘンリー五世/ヘンリー六世(全三部)/ヘンリー八世 第7章 奇跡が起きる島 冬物語/シンベリン/ペリクリーズ/テンペスト -
ワケあっておチビと暮らしてます
不愛想男子×自由すぎる4才児 ちぐはぐな二人の毎日は、ハプニングの連続だけど・・・!? 「あ。いいこと考えたっ。うた、ここでゆらと住む!」。高1の結良(ゆら)のもとに、おてんば4才児のうたがやってきた。ワケあって二人暮らしをすることに。毎日がハプニングの連続だが、不愛想な結良は、つむちゃんパパやクラスメイト、同じアパートの咲羽子さんなど、まわりの人を頼れるようになる。そして母の日。お出かけ中にうたの我儘から事件が起こる! 結良は初めてうたを怒るが、実はうたには言えなかった想いがあって――。少しずつ家族になる二人の、笑えて泣ける60日間。 -
ラストノート
内田有紀×寺西拓人W主演で話題沸騰! フジテレビ系 木曜よる10時放送ドラマ「ラストノート」を完全小説化! 最悪の出会いから始まる大人の純愛物語 交わるはずのなかった歳の差の男女が導かれる、 人生で最も激しい恋の結末とは――? 香料会社で働く49歳の女性・一瀬葵は、結婚や離婚、仕事での挫折を経て、 「これ以上、何の変化もいらない」と、現状維持の日常を生きていた。 そんなある日、親友のトラブルをきっかけに、 夢を諦めた30歳の青年・樋口澄晴と出会う。 年齢も、生きてきた環境も違うふたりだが、 お互いの本当の想いに触れたとき、運命は大きく動き始める……。 それは、香水の最後に残る特別な余韻“ラストノート”のように、 忘れたはずの想いが静かに香り始める瞬間だった。 “大人ぶる”ことをやめた大人たちが、 “大人であること”を脱ぎ捨てる──大人の純愛ストーリー。 -
アラームが鳴らないうちに
「このアラームが、 あの日伝えられなかった言葉の 代わりをしてくれるから——」 過去に戻れる喫茶店で コーヒーを淹れつづける主人公、数。 不思議な力を持つ数の、 忘れられない後悔とは? 【シリーズの核心にせまる第7巻!】 とある街の、とある喫茶店の とある座席には不思議な都市伝説があった その席に座ると、望んだ通りの時間に戻れるという ただし、そこにはめんどくさい…… 非常にめんどくさいルールがあった 一、過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことはできない 二、過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない 三、過去に戻れる席には先客がいる その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ 四、過去に戻っても、席を立って移動することはできない 五、過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、 そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ これだけのルールを聞いても、過去に戻りたいと訪れる客は後を絶たない そして、亡くなった者に会いに行こうとする客には、 ウエイトレスがあるものをカップに入れ、こう告げる 「死んだ人に会いに行く人は、ついつい情に流されてしまい、制限時間があることを知っていても、 別れを切り出すことができなくなります」 この物語は、そんな不思議な喫茶店で起こった、 ウエイトレスの想いと、客の後悔が交錯する心温まる四つの奇跡 第一話「妻の写真を撮りに行く男の話」 第二話「母親の介護に疲れた女の話」 第三話「元気だった頃の母に会いに行く男の話」 第四話「父にウエディングドレス姿を見せたかった娘の話」 あの日に戻れたら、あなたは誰に会いに行きますか? -
靄のかかる下北沢にご用心。
月に一度ほど、下北沢には靄のかかる晩があるという。 そんな夜は、用心したほうがいい。 “時空の裂け目”に、のみ込まれてしまうからだ――。 「下北沢のあのあたりは、少し時空がずれていたのかもしれない。」 ――吉本ばなな(巻末書き下ろし解説) 迷い込んだ昭和の街、異世界に繋がる非常階段、 祭囃子が鳴り響くキャンパス、そして、亡き愛犬との再会…… テレビやYouTubeで話題の 「下北沢タイムリープ」の著者が描く 読後、言葉を失うエッセイ集。 ふらりと入った下北沢の焼肉店で、 昭和に迷い込んだとしか思えない光景を目にする。 数年後、その夜の出来事を裏づけるような不可解なLINEが届き……。 (――靄のかかる下北沢にご用心) 開いている非常階段の扉から中へ入った途端、 “場所”も“時間”も狂った世界へと迷い込んでしまう。 元の世界には、どうやって戻ったらいいのか? (――開いている扉にご用心) 高尾山キャンパス。ここでは不可思議な現象が多発する。 あるとき、どこからか祭囃子が聞こえてきて……。 (――祭囃子にご用心) 行く先々で、同じ見知らぬ老人がじっとこちらを見つめている。 ありえない場所に現れつづける、その人物の正体とは。 (――見知らぬ人の視線にご用心) ……ほか5編、コラム2編収録。 日常のすぐ隣にある、説明のつかない出来事を綴った体験エッセイ。 この先にあるのは、もしかしたら、あなたがまだ知らない世界の話。 でも、“いつか”あなた自身が体験することになるのかもしれない。 【目次より】 ◎靄のかかる下北沢にご用心 ◎未来人にご用心 ◎夢の世界にご用心 ◎赦しの声にご用心 ◎開いている扉にご用心 ◎謎の少年にご用心 ◎祭囃子にご用心 ◎見知らぬ人の視線にご用心 ◎診察室にご用心 ◎解説のようなもの 吉本ばなな -
九宝ギンコの奇怪特報
それは市井の噂か真の怪異か―― 上等だ。妖怪記事を足掛かりに、成り上がってやる。 日々代わり映えのない記事の執筆に飽き飽きしていた、産業情報新聞社につとめる九宝ギンコは、連日新聞社に寄せられる妖怪絡みの取材依頼の中に、見覚えのある名前を見つける。「花園藤吉郎」。それは、とある事件で世間を騒がせた名だった。届けられた便箋には「自殺した女中が、鬼火に化けて出る」とあり、ギンコは取材を決意する。 取材のさなか、声聞師と言われ、日下狂四郎と名乗る男と出会う。 この男、何やらただ者ではないようだが……… 窮地の婦人記者・ギンコと襤褸着の切れ者・日下狂四郎が 人を惑わす事件の真相を暴き出す、明治浪漫ミステリー! -
モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~ 公式ヴィジュアルブック
大ヒットゲームシリーズ「モンスターハンター」の世界で描かれるRPG第3弾『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』のヴィジュアルを余すことなく収録する1冊。主人公をはじめとする人気のレンジャーたちやモンスターのヴィジュアル・設定を開発スタッフのコメントとともに掲載。話題となったフードイラスト、世界観の設定画、ムービーの絵コンテなど、設定資料ももりだくさん。表紙カバーの他、「シモンとの出会い」を描いた描き下ろしイラストまで収録したファンなら納得のヴィジュアルブックです。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 -
沈黙の患者
「あのまま一人で焼け死んでくれていたら……」 真面目に生きてきた人が、陥穽にに落ちる時――。 「高齢化社会×犯罪未満」をテーマにした傑作心理サスペンス。 デビュー10周年の現役医師作家の新境地! 「沈黙の患者」 まだらぼけの母がボヤを出し、介護に悩まされる、バツイチでビルの清掃員として働く56歳の早智。近所の鷺沼に唆されて、「認知症の母」をレンタルして介護保険を騙し取ってしまった。500万という大金に最初は喜ぶ早智だったが、鷺沼が“念書”なかなか返してくれず、焦り始める。念書に使ったのは息子の名刺だったのだが、その息子は……。 「ニセの語り部」 『わたしたちの戦争を語り継ぐ会』のスタッフ・早苗は、88歳の語り部・兵頭の“語り”に感動して涙し、その語りを広めようとする。しかし兵頭は年齢を高く偽っている、彼の記憶は借り物ではないか、という噂が流れる。早苗は必死に彼を庇おうとするが、SNSでの攻撃が始まってしまう。 「王子様の不親切」 医学療法士・村上は訪問リハビリサービスで担当する87歳の御影さんに「王子様」と呼ばれ、色々頼られている。しかし、“お金”にまつわることで、どうしても引き受けられない頼みを断ったことから、担当を外されてしまう。どうすればよかったのか――答えの出ない村上は、別の利用者からあることで、現金を預かることになり、動揺する。 「夕暮れの善意」 子ども食堂のボランティア・春菜は、ある日訪れた老人・寺尾と“孫”メグの仲睦まじさに心温まるものを感じた。しかし、寺尾は見ず知らずの少女を連れてきているのではと疑惑が持ち上がる。面倒ごとに巻き込まれたくない春菜はスルーしようとするが、彼の家を訪ねた際、不審なアルバムを見つけてしまう。 「シル専の女」 79歳の父に58歳の「恋人」ができた。父が騙されているのではないかと疑うアラフィフ独身姉妹の美穂と江里。恋人・淳子の入れ知恵で父が通院もせず降圧剤を飲んでいないことなどを知り、二人を無理やり別れさせる。しかし、父はそれを境に生きがいを失い、みるみる体調を崩してしまった。江里はこんなことなら認めればよかったと嘆くが……。
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