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Posted by ブクログ
ミランダ・ジュライの作品にはいつも笑いながら泣いてしまう。あまりにも切実にストラグルしているから。新作は主人公が自分と同い年ということもあって、いつも以上に身につまされるものがあった。
どうして人はこんなにみっともないのか、どうして夫婦はこんな最果てまでたどりつかずにはいられないのか、どうして人生はこんなにもままならないのかー。「十五年間ずっと水の中で手足をでたらめに動かしつづけて、やっと水面の上に顔が出た」ら、「それは思っていたのとは全然べつの場所だった。」!
ミランダ・ジュライのプライベートを鑑みてもあまりにも勇猛果敢な表現。わたしもエクセルシオール321号室で彼女に会いたい。あらゆる場所に、黄金色の光。
Posted by ブクログ
人生をローラーコースターに例えるのは安直だが、じゃあ登り切った頂点は、あなたにとって、いつなのか?
そして、そこからの落下は、恐怖?それともスリルに満ちた体験?
やっかいなことに、このメタファーは、滑り落ちた先で、これにてお終い!さようなら、ともいかないのだ。
完全停止して下車するその日まで、僕らに待っているのは再び車両を自力で押し上げていく作業だ。もう以前ほど楽々と高くへ昇ることはできなかったとしても。
ミランダ・ジュライの、“はいつくばって”は、彼女の、彼女たちの二周目のローラーコースターだ。
もちろん同じ敷かれた軌道には戻らない。
コースアウトした先にレールがあるかも分からない。
ふと気づけば無頓着だった若さ/性的な魅力は失われる手前。若い恋人に焦って執着してもモノにできない。幸せな家庭生活は、妻と母を無条件に請け負うことの言い換えだとも気づいている。
それってミッドライフ・クライシスでしょ、通り過ぎ去れば笑い話だよ、なんて世間の知恵みたいなことを彼女は当然言わない。
これって何?わたしは何処へ向かえばいいの?
まっしぐらに全力で落下した後に、冒険と探究が再び始まる。
つまり本当の問題は、更年期の乗り切り方のハウトゥーなんかじゃないのだ。
“わたし”がハッキリと気づいてしまったこと。
それは、ホルモンにコントロールされた身体と欲望が求めるままに人生を生きることではない。
かといって、旧式であれ進歩的であれ、頭と理性で考えた人生を生きることでもない。
誰も所有せず/誰にも所有されない、“遍歴する魂”の赴くままに、生きること。
例え大切な人を傷つけ、損なってしまうことが見えていても、自分の心を誤魔化さずに生きること。
それは自由であること。
これは高らかな宣言ではない。
本作中で示された家族の形のように、紆余曲折の末にパートナーもまた新しいガールフレンドを見つけて、対等な関係性が築かれるといった、物語的エンディングが待っていると期待するのは難しい。
それでも、墜落の痛みに怯えずに飛ぶのだ。
ゴミ袋に身を包んで窓枠を乗り越えるのか? No!
赤裸々で、生身で、弱さをあらわにしながら這いつくばって崖っぷちを前進する彼女は、タフだ。
“いちばんここに似合う人”の、世界に対して私をハグしてと、泣きべそと共に訴えていた彼女たちはもういない。
作中で語られる通り、四つん這いの体勢は、“ちょっとやそっとじゃ倒せない”。
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小説・文芸
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