あらすじ
アーチストとして成功し、ハンサムな夫と可愛い子とともに暮らす45歳のわたし。新たな自分に出会うための単独ドライブ旅行をきっかけに、人生が思わぬ方向に転がりだす。はたして自由を目指す旅路の先に見えたものとは――。中年期の魂のジェットコースターを描き切り、全米図書賞ファイナリストにも輝いた著者最高傑作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私はまだ主人公の年齢より若いけど、それでも20代の頃とは明らかに違う身体の疲れやすさや肌悩みは感じ始めていて、女の人生のピークが過ぎてしまったこと、このまま下降する一方であることを頭ではわかっていながら、見ないフリをしてやり過ごしている感覚はやっぱりある。
今からこの先の人生ずっと老ける一方であることは怖いし、きっと更年期が来たらそれなりに落ち込むだろうし悩むだろうし苦しみもがくかもしれないけど、それでも、この小説を読んで、歳を取ること、その境地で自分が新たに得られるかもしれないことがちょっと楽しみにもなった。
Posted by ブクログ
センスの良い家出文学。ニューヨークまでの大規模なアメリカ横断旅行に出かけたものの、億劫になり、近隣の街に潜伏してダラダラ過ごす。
またやってみたかった理想のお部屋改造で2万ドルかけてモーテルを買う改造。
クレアのセンスの良さ、リサイクルショップで手に入れたピンクのベットシーツやプロヴァンス様式の部屋の美しい、居心地の良い部屋の描写でくつろぎの気持ちになった。ダラダラいつもと違う場所で過ごす時間の素晴らしさを知ってる
ディービー15歳も年下の何となく好みの男、アホっぽくて無知でアーティストの主人公には釣り合うわない(お互い、どちらが優位とかではない)中、初めての散歩やくだらないことを話し合って過ごす時間は10代の学生の恋愛みたいだ。ただ、真剣になれない相手だからこそ。冷静を装って歩きながらも近くて腕が触れ合っていたことの記憶や、スムージー=モーテルの裏というローカル。バーで友達に合流されてがっかりしたこと、部屋に招き入れて綱渡りのような探り合い、彼にとっては退屈な街に現れた憧れの人で、恥を晒さないでほしいと、彼のダンスを見るのが怖いと感じたこと、日曜の息子との約束時間とフラッシュバック、感情の描き方が鮮やかで、自分の中にある古い記憶も呼び起こす。
田舎すぎる、母親からの干渉。
気持ちが切り替えられなくてネットストーキング
有名アーティストが自分への関心を失っていく様
オードラとの友情?45歳のプレ更年期が楽しみだし、その先には自由奔放なオードラというロールモデルがいる
友達をモーテルに招いて人生相談するの面白い
年上の女友達に閉経して良かったことを聞いたらたくさん出てきた
夫婦の精神レベルが高い。チープな不倫や浮気ではなくて建設的な話し合いがある。夫の愛人、最大の理解者
ディービーが序盤で退場したのが良かった。2人の恋愛じゃなくて、私の人生の話だから、通行人の1人でしかないこと。いろんな人が出てくるのがなかった
Posted by ブクログ
まず、ストーリーとして面白すぎた。岸本佐知子さんの翻訳のトーンも内容とすごく合っていて、原作を読めない歯痒さというよりも、オリジナルをちゃんと味わえている感を感じながら読めた(どこまでいっても結局オリジナルを読んでいることにはならないことは分かりつつも)。ちょっとした伏線回収がところどころに散らばっていて、日常にはなかなか起こらない類の偶然だけど、なくもなさそうな絶妙なライン。メッセージを書いた椅子を家族で散歩している公園で見つけてしまうとか。
でもこのストーリーの面白さはほんの序の口で、考えさせられるテーマは深海のように深い。私自身、40代に突入してまさに考えに考えて、考えすぎて膠着状態にあるドンピシャなテーマだった。女性としての自分、個人としての自分、これからの人生…あまりにもがむしゃらに走ってきたけれど、現実はご褒美をくれるどころか日に日に風当たりが厳しくなってきている感じとか。毎日一緒にいる、最も分かり合えるはずの身近な人との、どうにも埋まらない感覚のズレとか…
解決策なんてない。でも、もっと声をあげて叫んでも良いのかもしれない。きっと同士はいる。肩を抱き合って励まし合って、お互いの必死さを笑い合いながら背中を押したり撫でたりし合える同士を得て、もがき続けながら人生後半を進んでいくのかもしれない、なんてことを思った。
Posted by ブクログ
めっちゃおもしろかった!!
45歳の主人公に、何度「わかるー!」と思ったことか。
夫がいて子どもがいて、仕事もあり、家庭もあり。
年下の男の子にときめき。
女友達と長電話。
自分のお尻が垂れていることに気づいて、愕然として、ジムで猛烈に筋トレに励む。
エストロゲンがガクッと低下して、からだが一気に変化していく。
「このまま私は女じゃなくなるんじゃないか」という焦り。
主人公のそういう気持ちが、めちゃくちゃ生々しく描かれている。
しかも、主人公だけでなく、同世代の女性たちが何人も登場するし、最後の方には、実際に行われたアンケートから、中年期の女性たちの声まで出てくる。
だから、ひとりの女性の特殊な物語というより、現代を生きる中年期、更年期の女性たちの、心とからだの変化に翻弄される姿そのものが描かれている。
それが、もう、とにかくリアルすぎる!
主人公の「わたし」は、なんかもう必死すぎて痛々しくて、目を背けたくなるほどなのに、なぜか愛おしい!
「もう若くない」とわかっていても、まだ女でいたい。
誰かにときめきたい。欲望もなくしたくない。
そんなドタバタを全部描いている。
そこがすごくよかった。
もうやめてー!私たちの内面を暴露しないでーー!
と思いながら読んだ。
既婚女性は、これ、パートナーには読ませない方がいいと思う。笑
痛くて、笑えて、愛おしい。
ものすごい小説だった。
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ミランダ・ジュライの作品にはいつも笑いながら泣いてしまう。あまりにも切実にストラグルしているから。新作は主人公が自分と同い年ということもあって、いつも以上に身につまされるものがあった。
どうして人はこんなにみっともないのか、どうして夫婦はこんな最果てまでたどりつかずにはいられないのか、どうして人生はこんなにもままならないのかー。「十五年間ずっと水の中で手足をでたらめに動かしつづけて、やっと水面の上に顔が出た」ら、「それは思っていたのとは全然べつの場所だった。」!
ミランダ・ジュライのプライベートを鑑みてもあまりにも勇猛果敢な表現。わたしもエクセルシオール321号室で彼女に会いたい。あらゆる場所に、黄金色の光。
Posted by ブクログ
間違いなく今年ベストだし人生で最高の本の一つになった。
女性の性欲とか更年期になって失われる焦燥感をしっかり描いてるのって初めて読んだ。自分は更年期はまだ先だけど、この先お守りみたいになる本だと思う。
そして外文だしまあまあの頁数だけど、本当は普段本読まない全女性に読んでほしいな!
解説で本国では本書の読書会が盛んだったっていうのを見て日本もぜひ読書会開催して欲しい〜!
Posted by ブクログ
ミランダ・ジュライの新刊が出ている!と思って本屋で手に取った。家にはまだ読み終わっていない『いちばんここに似合う人』があるのに本書を買ってしまったのは、書き出しに心を掴まれたからだ。こんな魅力的なはじまり方があるだろうか。
あと、過去の作品を読んでから最新作を読むという読み方もあると思うが、何となくではあるが、ミランダ・ジュライは新作があれば新作から読んだ方が面白いような気がした。とにかく今を生きているイメージがあるので、最新を知りたくさせられるのかもしれない。この人は今どんなことをしているのだろう。作品よりもこの人が気になってしまう。
もの凄く面白かったのだが感想が難しい。男の自分が読んでどこまで共感できているだろうと考えてしまう。男性は楽しめない作品では全然ないので、とにかく多くの人に読んでみてほしい。見方によって感想は様々ありそう。
女性の更年期がテーマではあるが、性別や年齢を越えて、人生の曲がり角に光を当てる素晴らしい小説だった。 45歳の家庭もある女性アーティストが魂の赴くままに突き進んでいく。あまりにも奔放すぎる主人公の言動に笑いを堪えることができないくらいだが、小説とはいえ女性がここまで赤裸々に心情を曝け出すことに、現代の作家としての覚悟を感じる。
自分に正直であるが故に、どこかで今の生活が壊れることを望んでいたりするのだろうか。ふとしたことから一人旅を思い立ったことで、築き上げてきたものが壮大に崩れていく。
ひりひりとした痛みを伴いながら、こちらのちっぽけな倫理をどこまでも飛び越えていく。何故そんなイバラの道を?と思いながらも、いいぞ、もっとやれ!と、いつの間にか応援してしまう。
歳を重ねると落ち着いてくるなんて嘘なんだろうなと思う。オードリーの若林さんが言っていたが、大人は元気が無くなるから落ち着いて見えるだけらしい。クロマニヨンズの甲本ヒロトさんは、若い人に向けて「歳をとってもイライラするよ」と笑っていた。それが悪いことかどうかは時と場合によるのだろうけど、良い歳した大人だって盛大に転んだりしたいよなぁと思う。
どうしようもない人間の「どうしようもなさ」が、とても面白い。
不安定な精神の波に溺れそうになりながらも、何とか自分らしい生き方を探す。歳をとる事は悪いことばかりではないのだ。何もうまくいかなくても、過去に引き摺られながらも、それでも自分の人生を生きていく。強いメッセージを感じて胸が熱くなる。
そんな切実とした瞬間の連続にも関わらず、全体に張り巡らされたミランダ・ジュライのすっとぼけたユーモアに笑いを堪えられない。どんな感情で読めばいいのか謎のパワーに満ちた奇妙な小説でもある。これは自身の人生も多分に投影されているらしいので、当時の複雑な感情がそのまま入り乱れているからではないか。
複雑なことは複雑なまま、答えのないそのままの人生が詰まっていて、正解はないのだからもっと正直に生きていいのではないかという作者からの問いかけを感じた。
この本を読んで救われる人は沢山いるだろうなぁ。大きなテーマでありながら、元気の出る楽しい小説でした!
Posted by ブクログ
・あらすじから想定されるちょっとコミカルな筋。その先からはちょっと予想外の展開をして、最終的には静かな感動(達成感?)に辿り着く。小説を旅になぞらえる比喩があったりするけれど、まぁまぁ長いこの小説を読み終えたその読後感はまさにそれだなぁ、と思った。
・自分は男なので、この女性の更年期問題(それだけじゃないけど)に感情移入を完全に出来たかは、あやしい。ただ、「老い」の問題、それに伴う生物的、社会的、経済的な変化という点として見るならば、完璧でないながらも、重なる所は多い。
・その上でのある種エキセントリックな、そして滑稽な主人公の行動、その果てにあったちょびっとの癒しにはグッときてしまった。
・旅のたとえをしてしまったけど、あと読みながら、特に後半部分は、最近読んだ東畑さんのカウンセリングの本、まさにカウンセリングの道程の様な話だな、と思ったりした。
Posted by ブクログ
人生をローラーコースターに例えるのは安直だが、じゃあ登り切った頂点は、あなたにとって、いつなのか?
そして、そこからの落下は、恐怖?それともスリルに満ちた体験?
やっかいなことに、このメタファーは、滑り落ちた先で、これにてお終い!さようなら、ともいかないのだ。
完全停止して下車するその日まで、僕らに待っているのは再び車両を自力で押し上げていく作業だ。もう以前ほど楽々と高くへ昇ることはできなかったとしても。
ミランダ・ジュライの、“はいつくばって”は、彼女の、彼女たちの二周目のローラーコースターだ。
もちろん同じ敷かれた軌道には戻らない。
コースアウトした先にレールがあるかも分からない。
ふと気づけば無頓着だった若さ/性的な魅力は失われる手前。若い恋人に焦って執着してもモノにできない。幸せな家庭生活は、妻と母を無条件に請け負うことの言い換えだとも気づいている。
それってミッドライフ・クライシスでしょ、通り過ぎ去れば笑い話だよ、なんて世間の知恵みたいなことを彼女は当然言わない。
これって何?わたしは何処へ向かえばいいの?
まっしぐらに全力で落下した後に、冒険と探究が再び始まる。
つまり本当の問題は、更年期の乗り切り方のハウトゥーなんかじゃないのだ。
“わたし”がハッキリと気づいてしまったこと。
それは、ホルモンにコントロールされた身体と欲望が求めるままに人生を生きることではない。
かといって、旧式であれ進歩的であれ、頭と理性で考えた人生を生きることでもない。
誰も所有せず/誰にも所有されない、“遍歴する魂”の赴くままに、生きること。
例え大切な人を傷つけ、損なってしまうことが見えていても、自分の心を誤魔化さずに生きること。
それは自由であること。
これは高らかな宣言ではない。
本作中で示された家族の形のように、紆余曲折の末にパートナーもまた新しいガールフレンドを見つけて、対等な関係性が築かれるといった、物語的エンディングが待っていると期待するのは難しい。
それでも、墜落の痛みに怯えずに飛ぶのだ。
ゴミ袋に身を包んで窓枠を乗り越えるのか? No!
赤裸々で、生身で、弱さをあらわにしながら這いつくばって崖っぷちを前進する彼女は、タフだ。
“いちばんここに似合う人”の、世界に対して私をハグしてと、泣きべそと共に訴えていた彼女たちはもういない。
作中で語られる通り、四つん這いの体勢は、“ちょっとやそっとじゃ倒せない”。
Posted by ブクログ
45歳の(わたし)は大陸横断中断を端に人生、家庭、更年期の危機に面してしまう。その間いろんな事件が続くが、アメリカ人の多様な性表現、友人とのオープンな意見交換、芯の強さ、迅速果敢な行動など感心することばかり。抜群におもしろい物語でした。