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Posted by ブクログ
「呪詛」という罰にまみれながら、最凶の謎に挑め! ディストピアSF&特殊設定本格ミステリー
■あらすじ
太陽神の怒りを買ってしまったものが宿す「呪詛」。それは様々なハンディキャップを身体に受けてしまう罰であり、視覚や味覚など様々な機能を奪われてしまう。
貧民街では呪詛を持つものが多いなか、《呪詛なし》と呼ばれた壮耶は便利屋を営んでいた。ある日、彼は運び屋の仕事を受託し、相棒のヒカルと共にとある施設を訪れることになる。そこには多くの呪詛を受けた人々がいて…
■きっと読みたくなるレビュー
こりゃすごい、こんなにも強烈な特殊設定が組み込んである本格ミステリーは久しぶりすね。市川憂人先生らしく、幻想的かつ不気味な世界観。レトロフューチャーSFのような、実現世界ではないパラレルワールドでの物語です。
まぁとにかく本作一番の特殊要素は「呪詛」。ほとんどの登場人物が呪詛をもっている。視覚、聴覚、味覚、四肢機能など、様々な身体機能の一部が不自由な状態なんです。もちろんこれ以外にも、もっとおかしな効果をもつ呪詛もあるんですよ。
そして物語が進み、ある施設内においてはその呪詛が… "ややこしいこと" になります。そんな状態の中、さらに人物の失踪や殺人事件が起こるのです。さらにさらに、特別なアイテムが出てきたりして、"もっとややこしいこと" になる。
正直さっぱり追えない、何が起こってんのよコレ、凄すぎる。これちゃんとロジカルに解けが人いるのかしら。でもちゃんと伏線もあるし、後々なるほど~と感心するところもいっぱいあるんだよね。終盤の謎解きフェーズはエグイすよ、マジかこれ。さすが市川憂人先生は、本格ミステリーの最前線を書かれているミステリー作家ですね。
また本格謎解きだけじゃなく、そもそも「呪詛」って何なの? という疑問や、壮耶とヒカルの過去や関係性などもしっかりとストーリーに組み込まれています。練りに練った設定に頭が下がります。
さて本作はディストピアが酷いこの物語はあくまでフィクション。でも格差社会なところは現実と共通しているような感じがしますね。「呪詛」が存在する背景なども、なんだかリアルで聞いたことがあるような話でこわいお。
やり過ぎなくらいやり過ぎの特殊設定ミステリー、ファンの方は読み逃せませんよ!
■ぜっさん推しポイント
本作でもっとも怖いのは、太陽神への信仰によって「呪詛」が宿ってしまうという考え方。作中でも価値観や正当性が議論されるんだけど、あるかないかわからないものに対する凝り固まった意識ほど恐ろしいものはない。
執着って視野を狭くしちゃうから、その結果、周囲のひとに悪影響を及ぼしちゃうんすよね。広い視野で、色んな視点で物事を見るようにしたいと思いました。
Posted by ブクログ
呪詛遊戯
市川憂人の長編ミステリー。
筆者はクローズドサークルの動機づけがうまく、一辺倒になりがちなクローズドサークルの世界観を巧みに設定する。今作では生まれながらに「太陽神」から与えられた「呪詛」を持たない人、持つ人の区別がある世界で、呪詛持ちは貧しく悲惨な生活を余儀なくされ、「呪詛無し」は中央にて裕福な暮らしをしている。「呪詛」は目が見えない、耳が聞こえない、味がしないなど、現代でもイメージできるものから、現代でも理解し難い様なものまで様々である。
これらの呪詛がクローズドサークルで閉じ込められた人達のなかで巡っていくという想像し難い設定になっており、大定義の密室の中で定時間ごとに「呪詛」が巡ってくるというサスペンスホラーチックな部分も孕んで入る。
今作は主人公壮耶と相棒のヒカルのコンビで、ヒカルは過去が不明確であり、主人公の家の前で倒れていた訳ありを助けた事で同居する事になる。彼らは何でも屋を営み、そこへ怪しい依頼が舞い込んで彼らは事件に巻き込まれる。
詳細を語れば圧倒的にネタバレしてしまうが、今作こそ「映像化不可能」と言える代物だ。文面だからこそ楽しめるトリックも散りばめられ、壮耶の視点からとてもスリリングな展開を体験できる。
結末からすればとても重苦しいと捉えられる内容であるが、壮耶とヒカルの生い立ちのせいか彼らのリアクションは前向きで重苦しさがない。人間の業を背負う様な重苦しい作品でもよかったと思うが、それが無い分読みやすく、難解な設定だがすらすらと読み進められる。しかし、途中の呪詛が重複してからは難しく、かなり頭を使った(とあるトリックもそうだ。)
最終、ひと段落してから冷静になれるが、事件後の壮耶とヒカルの暮らしは大きく変化しそうだ。特に壮耶が選んだ道はかなりの困難がありそうだが、きっと彼らなら乗り越えられるだろうと期待が持てる作品だった。
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小説・文芸
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