あらすじ
《呪詛》とは、太陽神の怒りを買った者がその身に宿す罰である。
奇跡の御子様と呼ばれた《呪詛なし》の壮耶と、相棒のヒカルが訪れた施設。
ここには『視覚』『聴覚』『味覚』『四肢機能』などを喪失する《呪詛》を持った者たちがいた。
翌日、目覚めると、壮耶は視覚を失ってしまう。呪いを受けたのだ。
「これは何かの罰なのか?」
時間ごとに移り変わる《呪詛》と、異様な状況下で殺される人間たち。
太陽神の加護が失われたとき、明らかになるモノとは――。
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Posted by ブクログ
呪詛遊戯
市川憂人の長編ミステリー。
筆者はクローズドサークルの動機づけがうまく、一辺倒になりがちなクローズドサークルの世界観を巧みに設定する。今作では生まれながらに「太陽神」から与えられた「呪詛」を持たない人、持つ人の区別がある世界で、呪詛持ちは貧しく悲惨な生活を余儀なくされ、「呪詛無し」は中央にて裕福な暮らしをしている。「呪詛」は目が見えない、耳が聞こえない、味がしないなど、現代でもイメージできるものから、現代でも理解し難い様なものまで様々である。
これらの呪詛がクローズドサークルで閉じ込められた人達のなかで巡っていくという想像し難い設定になっており、大定義の密室の中で定時間ごとに「呪詛」が巡ってくるというサスペンスホラーチックな部分も孕んで入る。
今作は主人公壮耶と相棒のヒカルのコンビで、ヒカルは過去が不明確であり、主人公の家の前で倒れていた訳ありを助けた事で同居する事になる。彼らは何でも屋を営み、そこへ怪しい依頼が舞い込んで彼らは事件に巻き込まれる。
詳細を語れば圧倒的にネタバレしてしまうが、今作こそ「映像化不可能」と言える代物だ。文面だからこそ楽しめるトリックも散りばめられ、壮耶の視点からとてもスリリングな展開を体験できる。
結末からすればとても重苦しいと捉えられる内容であるが、壮耶とヒカルの生い立ちのせいか彼らのリアクションは前向きで重苦しさがない。人間の業を背負う様な重苦しい作品でもよかったと思うが、それが無い分読みやすく、難解な設定だがすらすらと読み進められる。しかし、途中の呪詛が重複してからは難しく、かなり頭を使った(とあるトリックもそうだ。)
最終、ひと段落してから冷静になれるが、事件後の壮耶とヒカルの暮らしは大きく変化しそうだ。特に壮耶が選んだ道はかなりの困難がありそうだが、きっと彼らなら乗り越えられるだろうと期待が持てる作品だった。