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特別試し読み版 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集
※特別試し読み版では、町田康訳『宇治拾遺物語』より、「こぶとり爺さん」として知られる「奇怪な鬼に瘤を除去される」を丸ごとお楽しみいただけます。 -
令和の雑駁なマルスの歌
小説を書きあぐねている作家「私」の住むアパートに、旧知の室谷信夫が駆け込んでくる。室谷は私に抱き着くや、泣きじゃくるばかり。「いい加減にしろや」と突き飛ばすと、目を剥いて痙攣し、眠ってしまった。いったい何があったのか? 目を覚ました室谷が言うには――同じ会社に勤める半井寂美と交際し、将来を言い交わしていたが、4週間ほど前から様子がおかしくなった。連絡はつかず、会社で会っても目をそらす。社内の噂では、やはり同僚の男・新田と結婚が間近いという。奸智に長けた新田は仕事上でも、室谷を軽んじるばかりか罠に陥れて栄進し、室谷は無能呼ばわりされるに至った。憤懣やるかたない室谷は、新田を「滅ぼす」、それが「正義」だと言い張る。日中戦争のさなか、発禁処分を受けた石川淳の短編「マルスの歌」へのオマージュだろう。ウイルスが猛威を振るう令和二年、やがて踊り出す群衆を町田は幻視している。「優しさ」ってなんだ? -
Web新小説
<特集>『新・日常考―きのうまでと違うこと』 「非日常」が私たちの「日常」を覆いつくしてから、二年余りが過ぎました。いままた恐ろしい「非日常」を告げるニュースが途切れず、不安な日々が重ねられていきます。それでも、きのうより今日を、明日こそはと願う気持ちは万国共通のはず。新・日常考―きのうまでと違うこと。「日常」を問い直し、新たな日々を編むための試みです。 【目次】噓でもいいから/堀江敏幸、斎藤茂吉の危機と再生/小池光、離れて働く、みんなと働く/酒井順子、特集とりとめな記/ 特集編集班、週末のアルペジオ/三角みづ紀、藤沢周・連作小説館⑥/藤沢周、猛獣ども/井上荒野、町田康の読み解き山頭火/町田康、しおり物語/岡もみじ、アマネク ハイク/神野紗希、兼好のつれづれ絵草紙/三遊亭兼好、漱石クロニクル―絵で読む夏目漱石の生涯―/大高郁子、楸邨山脈の巨人たち/北大路翼、Dr.よねやまの芸脳生活芸術家の生き様を医学で考える/米山公啓、江戸の愛猫/宮川匡司、気まぐれ編集後記/万年editor -
新版 死を想う
水俣病をはじめ多くの死を見つめてきた作家は、どのように死をとらえどう生きるのか、日本を代表する詩人が率直に問いかけた魂の対話、増補版。石牟礼文学の入門書としても。 -
たそがれてゆく子さん
男が一人、老いて死んでいくのを看取るのは、本当によかった。 夢に見た専業詩人の生活、ぽっかりとした自由。 もんもんと考え、るると書く。 カリフォルニアのキャニヨンを犬どもを従えひたすら歩く。 料理や洗濯は、しないことにすぐ慣れた。 山賊のように台所で立って食べた。卵ばっかり食べていた。 ひとりの肩にのしかかるローンに光熱費、熊本地震、石牟礼道子さんのこと、末っ子の結婚、 そして……日本に帰ろう。 「みんなホルモンのせいでしたと、今は言い切りたい」―― 女のための戦記『閉経記』から五年。 書くことで生き抜いてきた詩人の眼前に、今、広がる光景は。 -
走る?
あなたは走っていますか? 人生には、走るシーンがつきものだ。 中田永一、東山彰良、柴崎友香など、十四人の多彩な作家が「走る」をテーマに競作した異色のラン小説アンソロジー。 【収録作品】 中田永一「パン、買ってこい」 柴崎友香「ベランダと道路」 王城夕紀「ホープ・ソング」 佐藤友哉「熊の野戦」 遠藤徹「桜の並木の満開の下」 前野健太「いびきが月に届くまで」 古川日出男「藤村加奈芽のランニング・ストーリー」 岩松了「走る男」 小林エリカ「飛田姉妹の話」 恒川光太郎「リスタート」 服部文祥「小さな帝国」 町田康「ずぶ濡れの邦彦」 桜井鈴茂「誰にだって言いぶんはある」 東山彰良「或る帰省」 -
記憶の盆をどり
頭のなかに雨が降る。 小説という名の異世界。 町田康の九つの世界に溺れる一冊。 犯人当てミステリー 背筋も凍るホラーサスペンス 異世界ファンタジー お伽話の現代語訳 果ては美少年BLまで―― 名手が演じる小説一人九役! 【内容紹介】 狭い部屋で暮らす男のもとへやって来た、白い謎の生き物。 機嫌がよいときはころころ転がって過ごしているが、 機嫌が悪くなると、糞尿を垂れ流し、嘔吐し、ひどい声で喚き立てる。 だが、ある日を境に、生き物はどんどん可愛くなり、 男の人生もみるみる好転し――(「エゲバムヤジ」)。 短篇の快楽に満ちた作品集。 【収録作品】 エゲバムヤジ 山羊経 文久二年閏八月の怪異 百万円もらった男 付喪神 ずぶ濡れの邦彦 記憶の盆おどり 狭虫と芳信 少年の改良 -
猫のエルは
数多くの猫たちと共に暮らし、作家の眼と深い愛情とで彼らを見つめ続けてきた町田康さんだからこそ書けた、五つの猫の物語。作中の愛すべきユニークな猫たちをヒグチユウコさんがイラストに描き起こした、猫を愛するすべての人に贈る珠玉の作品集。猫の眼で、世界はこんなふうに見えています。〈収録作品〉諧和会議/猫とねずみのともぐらし/ココア/猫のエルは/とりあえずこのままいこう(全5編) 数多くの猫たちと共に暮らし、作家の眼と深い愛情とで彼らを見つめ続けてきた町田康さんだからこそ書けた、五つの猫の物語。 作中の愛すべきユニークな猫たちをヒグチユウコさんがイラストに描き起こした、猫を愛するすべての人に贈る珠玉の作品集。 猫の眼で、世界はこんなふうに見えています。 〈収録作品〉 諧和会議 猫とねずみのともぐらし ココア 猫のエルは とりあえずこのままいこう (全5編) -
P+D BOOKS 廃市
退廃的な田舎町で過ごした“青年のひと夏”。 誇り高い姉と、快活な妹――いま、この2人の女性の前に横たわっているのは、一人の青年の棺だった。 美しい姉妹に愛されていながら、彼はなぜこの世を去らねばならなかったのか? 卒業論文を書くために「廃墟のような寂しさのある、ひっそりした田舎の町」にやってきた大学生の「僕」は、地所の夫婦、妻の妹の三角関係に巻き込まれる。 古き日本の風情を残しながらも、どこか享楽的な田舎町での青年のひと夏の経験から、人の心をよぎる孤独と悔恨の影を清冽な筆致で描いた表題作「廃市」は、後に大林宣彦監督によって映画化された。ほかに「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」「沼」の全6編を併録。 -
矢の家
フランスのディジョンに住む資産家ハーロウ夫人の死は、養女ベティによる毒殺である――夫人の義弟ワベルスキーがそう警察に告発したとの報が、ロンドンにある夫人の法律事務所に届く。事務所の若き弁護士フロビッシャーは事態を収拾すべく、事件を担当するパリ警視庁の名探偵アノーと接触してから現地に赴き、ベティとその友人アン、ふたりの可憐な女性と出会うのだった。“矢の家”グルネル荘で繰り広げられた名探偵と真犯人との見えざる闘いに、読者は解決編において驚嘆するであろう。文豪・福永武彦による翻訳で贈る、メースンの代表長編。/解説=杉江松恋 -
人生パンク道場(角川文庫)
相談1 顔のきれいな若いどす黒い女に騙されるおじさんが許せない。相談2 フリーター 金たまらず。相談3 昔の彼と別れて後悔。相談4 引きこもりの幸せ。相談5 彼の話ばかり。相談6 阪神ファン。相談7 息子の進路。相談8 酒。相談9 女遊び。相談10 男女。 相談11 趣味。相談12 内定。相談13 1限目に間に合わない自分に喝を入れてほしい。相談14 想像の中で人を殺していいか。相談15 酒をやめられない。相談16 頼まれごとを断りたい。相談17 善意による迷惑。相談18 片想いに悩んでいる。相談19 バンドのメンバーの中で彼と別の男を好きになってしまった! 相談20 愛人になるべきか。 など、日常の不安に満ちたバラエティに富んだ質問に、目からウロコのお答え。爆笑エッセイ。 文庫化にあたり、新たに3つの質問に答える書き下ろし収録! -
死を想う
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 寝たきりの母を持つ詩人は、死とはどういうものか知りたかった。他の人にあけすけに聞けない、「でも石牟礼さんなら」。これまで多くの苦しみと死を見つめてきた作家は、切実なことをぐさりと言われたような気がした。こうして十二月の穏やかな日、二人は語りはじめた。老いと病、介護・看護、家族の死、さらには『梁塵秘抄』。そして「いつかは浄土へ」という祈りに至る安らぎの対話。 -
切腹考 鷗外先生とわたし
鴎外を読む、鴎外を生きる 前夫と別れて熊本から渡米し、イギリス人の夫を看取るまでを鴎外の文学と重ね合わせるように書く。詩人が鴎外作品に入り込む新境地。 20代の頃、熊本の切腹マニアを訪れた「わたし」。前夫と暮らした熊本から渡米し、ユダヤ系イギリス人の夫を看取るまでの20年を、「阿部一族」や「ぢいさんばあさん」に重ねる時、言葉が動き出す。生きる死ぬるの仏教の世界に身を浸し、生を曝してきた詩人が鴎外を道連れに編む、無常の世を生きるための文学。解説・姜信子 目次 切腹考 鴎外先生とわたし どの坂もお城に向かう 先生たちが声を放る 弥五右衛門 マーマイトの小瓶 普請中 ばあさんとぢいさん ヰタ・リテラーリス 山は遠うございます 隣のスモトさん 阿部茶事談(抄) ダフォディル 地震 (森倫太郎として死) 解説 風速50米の哀しみ 姜信子 ※この電子書籍は2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ショローの女
新しい生活が始まった。 熊本―東京を行き来するあたしを待つのは、 愛犬(三歳)、植物(八十鉢)、学生たち(数百人)。 ハマる事象、加齢の実状、 一人の寂しさ、そして、自由。 老いの体感をリアルに刻む最新エッセイ。 熱く共感を集めて大好評の 『閉経記』『たそがれてゆく子さん』に続く 〈伊藤比呂美の今〉 週一で早稲田に通勤 こんやくにハマる 熱中症になりかける 鉢植えをどんどん買う 靴が合わない ズンバに行かない 父の寂しさを思う 食べるのがめんどくさい 入浴剤に凝る サンディエゴに帰る オヤジたちに絶望する 『ボヘミアン・ラプソディ』礼讃 高齢者の運転を考える しょうゆ味に回帰 仔猫を拾う LINVEがおもしろすぎる 甘くない食パンが食べたい 姿勢が悪い 不安がひたひたと沁みてくる ロボット掃除機を購入 友人にマスクを送る 空港への道を忘れた 車を買う びんのふたが開けられない 学生とオンライン飲み会 母のコートを着る 譲渡犬のサイトを見る…………本書のエピソードより -
小学館世界J文学館 ビリー・ジョーの大地
※本作品は『小学館世界J文学館』(紙版)に収録されている同タイトルの作品と同じ内容です。 土嵐の吹きすさぶ荒野で少女は育った。 1934年、アメリカ中西部。13歳の少女、ビリー・ジョーの両親は、水不足に悩む土地で小麦の農場を営んでいる。この地域では、環境破壊によってたびたび強烈な土嵐が襲い、農作物は損なわれ、家にも学校にも土ぼこりが舞いおこる。そんなとき、ビリー・ジョーは大好きなピアノを弾く。激しいリズムでピアノに向かっていれば、土ぼこりのことなんか忘れられるから。ところが、突然の悲しい事故が一家を襲う。キッチンで起きた火事。母が、まだ産まれぬ弟が、そしてビリーも……。大切なものを喪って、父も、ビリーも、心が荒れていく。この土ぼこりの土地に、いつまで暮らすというのだ。ビリーは一人、西へと向かう汽車に乗ろうと、真夜中の停車場へと向かう。 「散文詩」として描かれた、苛酷な環境で育つ少女の物語。装飾なく叩きつけるように書かれた切実な文体は強い感動を生み、多くの賞を獲得した。詩人・伊藤比呂美の名訳がよみがえる! ※この作品は一部カラーが含まれます。 -
限界から始まる、人生の紆余曲折について
「死ぬ男を看取るって、本当に面白かった。ねえ、上野さん?」(伊藤) 「私も看取ったけど、面白かったとは言えないわね」(上野) 「結婚をめぐる葛藤はほとんどありませんでした」(鈴木) 単行本『往復書簡 限界から始まる』の文庫化を記念した、著者の上野千鶴子さん、鈴木涼美さん、文庫版の解説を担当した伊藤比呂美さんによる鼎談イベント「限界から始まる、人生の紆余曲折について」。因縁の深い3人が鋭く突っ込み、笑い、称えあいながら、それぞれの「想定外の人生」を語り合いました。上野千鶴子の「結婚」に安堵した人たち、鈴木涼美が「産む女」になった理由、伊藤比呂美の「看取り」の快感――。愛と勇気と希望に満ちた2時間のトークを電子書籍化。 -
私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?
パンク歌手から芥川賞作家、そして唯一無二の文人へ。町田康、はじめての自分語り! 独特な文体・語法と奇想天外な物語で幅広い読者を有し、多数のヒット作を発表してきた作家・町田康。一度読んだらやみつきになる、あの唯一無二の文学世界は、いかにして生まれ、進化してきたのか。町田ファンならずとも、文芸ファンなら誰もが気になる謎について、作家自らが内面を「暴露」する注目の一冊。本書では、人生初の試みという「自分語り」を幼少期から還暦を迎えた現在まで、好きだった本や作家、自身の作品解説といった文学世界はもちろん、影響を受けた民謡・浪曲・落語・ロックなどの芸能世界も取り込みながら、徹頭徹尾、町田ワールドを全開していく。 【目次】 本との出会い 夢中になった作家たち 歌手デビュー 詩人として 小説家の誕生 創作の背景 作家が読む文学 芸能の影響 エッセイのおもしろさ なぜ古典に惹かれるか 古典の現代語訳に挑む これからの日本文学 -
P+D BOOKS 夜の三部作
人間の“暗黒意識”を主題にした三部作。 人間の奥深い内部で不気味に蠢き、内側からその人を突き動かそうとする“暗黒意識”を主題に書かれた『冥府』『深淵』『夜の時間』の三部作。 作家・福永武彦の死生観が滲み出た作品群だが、各ストーリーにつながりはない。 「僕は既に死んだ人間だ。これは比喩的にいうのでも、寓意的にいうのでもない。僕は既に死んだ」という書き出しで始まる『冥府』は、死後の世界を舞台にした幻想的な作品。 『深淵』は敬虔なクリスチャンの女性と、野獣のごとき本能むきだしの男との奇妙な愛を描いた物語。二人それぞれが一人称の告白体で、サスペンス的な要素も色濃い作品。 『夜の時間』は、男女の三角関係を、過去と現在の二重時間軸構造で描くロマンあふれる作品。 -
P+D BOOKS 海市
親友の妻に溺れる画家の退廃と絶望を描く。 妻子ある画家・渋太吉は、伊豆の海村で蜃気楼のように現れた若き女性・安見子との道ならぬ恋に溺れていく。 渋はかつて一緒に死ぬ約束をした女性を裏切り、妻とは離婚寸前の状況にあった。やがて、安見子は親友の妻であることが判明するが、彼女への思慕は変わらず、肉体関係を続けていく。 恋愛の幾つかの相を捉え、著者が得意とするカットバック手法で、それぞれの愛憎劇が複層的に展開されていく。 福永武彦が、退廃と絶望の中の愛の運命を描いた佳作の復刊に、著者の長男・池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。 -
文藝春秋
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