講談社文庫作品一覧

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  • 終戦のローレライ(1)
    3.9
    昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第24回吉川英治文学新人賞受賞。【2005年3月公開 映画「ローレライ」原作】 (講談社文庫)
  • 大江戸遊仙記
    4.0
    隅田川の川面に吹く心地よい春の風。船にゆられて墨提のお花見を満喫した後は深川で牡丹、谷中で螢を愛でる。せわしない現代の東京から、一気に160年前の江戸の町にタイムスリップ(転時)した中年男と意気で気風(きっぷ)のいい芸者の大江戸遊覧紀行。綿密な考証で江戸に遊び、江戸に学ぶ「大江戸シリーズ」第3弾。(講談社文庫)
  • 新装版 ジャパン・プライド
    値引きあり
    3.0
    百年に一度と言われた金融危機リーマン・ショック。長引く低金利と経済のグローバル化で傷ついたメガバンク。銀行マンたちも懸命にそれぞれの道を模索していた。超富裕層のオーダーに応えてみせるプライベート・バンキングの旗手・高梨勝。子育てに奮闘しながらも顧客から逃げない新宿西支店のフィナンシャル・アドバイザー南野治子。この国に誇りを取り戻すため、金融動乱に立ち向うバンカーたちの奮闘を描く白熱のビジネス小説! TBS日曜劇場「集団左遷!!」原作で話題の江波戸哲夫が新時代の銀行マンたちを描く!
  • いつの空にも星が出ていた
    値引きあり
    3.6
    うれしい日も、つらい日も、この声援と生きていく――。 本屋大賞受賞作家、40年の想いの結晶。 大洋ホエールズからDeNAベイスターズへ。 時を超えてつながる横浜ファンの熱い人生が胸を打つ感動作。 さえない高校教師。未来を探して揺らぐ十代のカップル。奇妙な同居生活を送る正反対の性格の青年たち。コックの父と少年野球に燃える息子。彼らをつなぐのは、ベイスターズを愛する熱烈な思いだった! 本屋大賞受賞作家が、横浜ファンたちの様々な人生を描き、何かに夢中になる全ての人に贈る感動の小説集。
  • サイレント 黙認
    値引きあり
    3.7
    あのとき、わたしが黙っていなければ――。 見て見ぬふりの負の連鎖が、おぞましい悪夢を呼び寄せる。 デビュー作『スイート・マイホーム』が映画化決定! ホラーサスペンス界の鬼才が放つ、戦慄のサイコ・スリラー! 建築会社に勤める勝人は、コーヒーショップ店員の華と運命の出会いを果たす。一目で心を奪われた勝人は、彼女との距離を少しずつ縮めていく。ところが、それから勝人は奇妙な子どもの姿を目撃するようになる。自分以外の誰にも見えない幻影に苦しめられながらも、華の優しさに救われる勝人。一方、華の弟である星也は、突然様子が変わった姉が気に入らない。華の彼氏は、本当に信用できるやつなのか? 血のつながらない姉にほのかな恋心を寄せる星也は、親友の葉月とともに、勝人のことを調べ出すが……。
  • マーダーズ
    値引きあり
    4.5
    大藪賞受賞作『リボルバー・リリー』が2023年行定勲監督で映画化決定! 気鋭の作家による衝撃の問題作。 この街には複数の殺人者がいる。彼らが出会うとき、 法では裁き得ない者たちへの断罪が始まる――。大藪賞作家が現代を舞台に描く圧倒的犯罪小説! デビュー2作目『リボルバー・リリー』でいきなり大藪賞受賞! ストーカーに襲われる女性を助けた夜から、 商社マンである阿久津清春の日常は狂い始める。 ブラウンの瞳と褐色の肌を持つその女、 柚木玲美は言った「あなたが殺人犯だと知っています」 17歳の夏、清春は人を殺していた。誰にも知られず――。 意図的に清春に近づいた玲美は、その「事実」と引き換えに、 母の死の真相と行方不明の姉の捜索を依頼する。 パートナーとなるのは、かつて実兄の殺害容疑をかけられた組対五課の刑事・則本敦子。 彼女もまた、過去の事件の証拠を玲美に握られていた。 異様な関係で結ばれた三人の捜査は、いくつかの未解決事件を掘り起こし、 やがて社会に潜む、起こしてはならない者たちを呼び寄せてしまう……。 この10年で日本全体の殺人認知件数は1万288。検挙率の平均は98%。 単純計算で206人の殺人犯が捕まっていないことになる。 また、年間約17万人が死因不明の異状死として届けられるが、解剖に回されるのはわずか12%。 およそ15万の「異状死体」が、詳しく調べられないまま死因を特定されている。 イギリスでの解剖率は約40%、アメリカで約60%、北欧では90%を超えるところもあり、 他の先進国と比べてこの数値は異様に低い。 つまり、この国では多くの「死」が見逃されている可能性があるのだ。
  • 子規、最後の八年
    値引きあり
    4.0
    二十八歳で結核を発症し、三十五歳で逝った正岡子規。脊髄カリエスによる激しい痛みに堪えながら、新時代の言語表現を追求する彼の病床には、漱石・虚子ら多くの友が集った。そしてその濃密な晩年は、現代日本語の書き言葉を完成させる道程でもあった。命尽きるまで情熱を燃やした子規の功績を辿る、近代日本文学史の労作。
  • ハヅキさんのこと
    3.7
    かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。 48歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛――。さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。
  • 女修行
    3.4
    女を忘れて20代の日々を仕事に費やし、ある日ふと「素敵な大人の女性」にはほど遠い自分に気付いた著者が一念発起。食事のマナーやメイク法、護身術、社交界デビューから介護に至るまで、大人の女性に必要なすべてを体験取材!2年をかけて学んだ22のレッスン。さあ、貴女も一緒に女を磨き抜きましょう。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 建てて、いい?
    3.7
    「家、欲しいな」思わず呟いた自分の言葉に驚く30代半ば、独身、アパート暮らしの長田真里。結婚相手を見つけるのでもなく仕事に成功するのでもなく、ひとりで心地よく暮らせる家を建てるのって、ありですか? 従妹の友紀子や両親を始め世間の壁を越えることで見えてくる風景。「彼の宅急便」を併録。
  • 女四世代、ひとつ屋根の下
    3.0
    「大きいおばあちゃま」と呼ぶ曾祖母と「小さいおばあちゃま」と呼ぶ祖母、そして両親と私たち姉弟(きょうだい)。曾祖父と祖父を早くに亡くし、女が四世代。それが中村家の「家族」だった。大家族での暮らし、大好きな父の死、奇跡的な三人目の出産、日本を離れたパリでの子育て。次世代に伝えたい家族の有り様。
  • ジョナさん
    3.5
    毎週日曜、死んだおじいちゃんの愛犬と公園へ行く。これが高校2年、チャコの習慣だ。しかしのどかな風景とは裏腹に頭の中は悩みでいっぱい。大学受験、親友との大喧嘩、そしてバラバラな家族。青春まっただ中って感じだけど当人は息苦しいことこの上ない。そしてさらにチャコは出逢ってしまう――恋に。
  • 小泉純一郎とは何者だったのか
    3.7
    首相在職日数、1980日。自民党総裁・小泉純一郎は戦後第3位の長寿政権に自ら幕を引いた。後継指名を受けた安倍晋三は靖国参拝問題、北朝鮮の核実験に直面する――。小泉政権は日本をどう変えたのか。小泉とは同い年、同窓生でもある著者が描く、絶大な人気を誇った宰相の素顔とは。
  • NO.6〔ナンバーシックス〕 #1
    4.0
    2013年の未来都市《NO.6》。人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう? 飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに……。「わたしはNO.6という物語の中で、生きる希望とやらを掴んでいけるのだろうか」――あさのあつこ
  • 天女湯おれん これがはじまり
    -
    人気作『天女湯おれん』の前夜を生き生きと描く。文政十二年、江戸の町を焼き尽くす大火によって、おれんは、義父も湯屋も失ってしまう。幕府が作ったお救い小屋で生活を始めるおれん。しかし、気風の良さで天女と慕われる彼女のもとには、ここでも次々と厄介事が持ち込まれるのだった。湯屋と裏長屋の再建のため、懸命に走るおれんを描く、爽快な人情話(講談社文庫)
  • アイビー・ハウス
    3.3
    夕食会を開く週末、傷ついた小鳥を看病した嵐の夜、日々の何気ない会話。共同購入した蔦のからまる赤いレンガの一軒家は、ともに子どものいない若い二組の夫婦にとって幸せの象徴のはずだった。だが、名も知らぬ若い女の訪問がいつのまにか潜んでいた四人の微妙な変化を浮かび上がらせていく。「群像」掲載時に話題となった作品をいきなり&いち早く文庫化。(講談社文庫)
  • ロバに耳打ち
    4.0
    昨日、酒を一升飲んでしまった。ぶ厚いイカの一夜干しが「お酒がほしいよう」とおれの左腕を引っ張るのだから、仕方ない。「記憶の中島」と呼ばれた異常な記憶力のおれも、今では昼に喰った飯すら忘れる。両親のこと、幼少期のこと。ゆる~い中に懐かしい匂いがする、らもエッセイ。(講談社文庫)
  • ふふふふ
    4.0
    繰り返される戦争やテロ、政治家の失言、脅かされる平和憲法、ないがしろにされる農業……。いつの間にやら窮屈になった世の中を、時には嘆き、おおいに憤慨しつつ、それでも真剣に愛し、格闘してきた著者が遺した言葉の数々。ユーモアと、定評のある観察眼が随所に光る、今こそ読みたい徒然の身辺雑記第二弾。(講談社文庫)
  • 遍路みち
    4.0
    夫・吉村昭氏の死後、氏に関連する来客や電話の応対に明け暮れた日々。三年が過ぎ、再び筆を執った著者が身辺のことを綴った小説集。長年過ごした自宅を建て替え、独り誰も知る人のいない温泉地に滞在する。けれど何をしても感じているのは、夫の気配と思い出だった。(講談社文庫)
  • 犬と鴉
    3.2
    空から落とされた無数の黒い犬が戦争を終わらせた。悲しみによって空腹を満たすため、私は図書館に篭る父親の元へ通い続ける。歪んだ家族の呪われた絆を描く力作。(講談社文庫)
  • 東京家族
    4.2
    瀬戸内海の小島で暮らす平山周吉と妻のとみこは、久しぶりに3人の子供たちに会うために東京へやってきた。最初は年老いた両親を気遣う子供たちだったが、日々の仕事や生活に追われ、少しずつ溝ができていく。そんななか、とみこが突然倒れ……。山田洋次監督がいまの家族を描いた感動作を完全小説化! (講談社文庫)
  • 猫の神様
    4.1
    彼が死んだのは、暖かい春の陽射しが射し込む、穏やかな朝だった。十年と八ヶ月一緒に暮らしたというのに、それはとてもあっけないお別れだった…ぎじゅ太が死んでからというもの、僕は毎日を呆然と過ごした。僕の薄い膜の中に入って来れるのはみャ太だけだった…こいつは長生きするだろう。これから先、ずっと長い間可愛がって、二人仲良く暮らして。でもそうはならなかった。独身ライターとその小さな家族の、愛と孤独の物語。(講談社文庫)
  • だから、僕は学校へ行く!
    3.8
    「僕は恵まれていた。だからこそ、今度は僕自身が、社会のために、子どもたちのために、その力を還元していく番なのではないだろうか」。ベストセラー『五体不満足』の著者が、教育委員会の非常勤職員として子どもと向き合い、やがて教師となるまでの胸の内を綴る。学校と教育に関わるすべての人の必読書。
  • 儒教と負け犬
    4.2
    どんなに美人でも仕事ができても30代以上、未婚、子ナシは負け犬! 大ベストセラー『負け犬の遠吠え』から6年。「なぜ我々は負け犬になったのか?」そのさらなる答えを求めて、著者は韓国、中国に飛んだ! かの地で出会った同胞=負け犬たちの生き方を通して浮き彫りになった、我ら“負け犬”真の敗因とは? (講談社文庫)
  • 枝付き干し葡萄とワイングラス
    3.5
    夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。(講談社文庫)
  • みきわめ検定
    3.1
    この男とキスのその先をするかどうかの、慎重なみきわめ。電車待ちのホームで突然わき起こる、見ず知らずの冴えない男に抱かれたい衝動。恋人に別れを告げられた女の一日。人生の花の盛り、「結婚前」の男女の点景を通して、日常に突如おとずれる取り返しのつかない瞬間を鋭敏に描き出した、傑作短編小説集。(講談社文庫)
  • 新装版 若き獅子
    3.4
    高杉晋作は、幼い頃から文武に秀で、鬼才と呼ばれた。「脱藩」しては主家に戻り、たちまちにゆるされた。これは異例のことである。いかに彼の才能が頼まれていたかがわかる(「若き獅子」より)。ほかに浅野内匠頭、葛飾北斎、明治の逆賊・小栗忠順など、時代を動かした英雄たちの激烈な人生を描く短編集。
  • 一命
    3.8
    病床の妻子を置いて家を出た浪人は、なぜ自ら命を絶ったのか?―二度映画化され、二度ともカンヌ国際映画祭に出品された不朽の名作「異聞浪人記」の他、武家における殉死の意味を問う「高柳父子」、家族愛を描く「拝領妻始末」など6編を収録。武士の悲哀を描き続けた時代小説家の傑作選。
  • 巨大幽霊マンモス事件
    値引きあり
    4.0
    ロシア革命から数年経ったシベリア奥地。逃亡貴族たちが身を隠す<死の谷>と呼ばれた辺境へ秘密裏に物資を運ぶ<商隊>と呼ばれる一団がいた。その命知らずな彼らさえも、恐怖に陥る事件が発生! 未知なる殺人鬼の執拗な追跡、連続する密室殺人、<死の谷>に甦った巨大マンモス……。常識を超えた不可解な未解決事件を名探偵・二階堂蘭子が鮮やかに解き明かす!
  • 鮎師
    4.0
    死相の漂う初老の男は、早川の淵に誰も見たことのないような巨鮎が潜んでいると告げた。初めは半信半疑だった中年の男も、ある日巨鮎の存在をその目で確かめ、いつしか巨鮎釣りにのめり込んでいった。「あいつだけは、誰にも渡さん」と死の床で吠える男と、中年の釣り師との間に奇妙な友情が生まれ、終極に向かう。
  • 星封陣
    値引きあり
    4.0
    東北の一村がいま奇怪な勢力に狙われる! 古代、蘇我氏に敗れた物部氏一族が東北にとてつもない秘宝を封じ込んだという。それを守る物部の末裔に対し、秘宝奪取に権力と暴力を使える巨大組織が襲いかかる。村人の主緋星幸丸(あかぼしさいわいまる)は自分が秘宝の鍵を握ると自覚、仲間と共に絶望的戦闘に決起する! 伝奇超大作。(講談社文庫)
  • クリスマス緊急指令 ~きよしこの夜、事件は起こる!~
    値引きあり
    3.2
    クリスマスに、不思議な事件が発生! 大伴黒主(おおとものくろぬし)の歌が、ダイイング・メッセージとなった事件を解明する「鏡影」。バーでカクテルを傾けながら謎を解き、相談者の心も溶かす「K's BAR STORY」。調律を誤ったオルゴールの音色が、琴線に触れ、宿泊客の人生さえ変えてしまう「オルゴールの恋唄」など、珠玉の短編集。
  • つぶやきのクリーム The cream of the notes
    3.6
    1~12巻539~726円 (税込)
    何から手をつけたら良いのかわからない状態とは、なんでも良いから手をつけた方が良い状態のことである――。けっこう当たり前なことのなかに、人生の大きなテーマは潜んでいるものなのだ。小説家・森博嗣がつい誰かに教えたくなって意外に真面目に綴った、世界の見え方が変わるつぶよりのつぶやき一〇〇個。(講談社文庫)
  • 孤愁の岸(上)
    3.8
    財政難に喘ぐ薩摩藩に突如濃尾三川治水の幕命が下る。露骨な外様潰しの策謀と知りつつ、平田靭負ら薩摩藩士は遥か濃尾の地に赴いた。利に走る商人、自村のエゴに狂奔する百姓、腐敗しきった公儀役人らを相手に、お手伝い方の勝算なき戦いが始まった……。史上名高い宝暦大治水をグローバルに描く傑作長編。
  • 地の底のヤマ(上)
    値引きあり
    4.2
    1~2巻539~1,078円 (税込)
    昭和三十八年。福岡県の三池炭鉱で大規模な爆発事故が起きた夜に、一人の警察官が殺された。その息子・猿渡鉄男は、やがて父と同じく地元の警察官となり、事件の行方を追い始める。労働争議や炭塵爆発事故の下、懸命に生きる三池の人々と、「戦後の昭和」ならではの事件を描いた、社会派大河ミステリー。
  • なぞの転校生
    3.6
    岩田広一が通う中学に山沢典夫という転校生が入ってきた。典夫はギリシャ彫刻を思わせる美男子であるのに加え、成績優秀でスポーツも万能だったが、なぞめいた雰囲気を持っていた。ある日とんでもない事件を起こした典夫の秘密とは? 1970年代のNHK少年ドラマシリーズシリーズとして映像化され人気を博した眉村卓がおくるSFジュブナイルの傑作。(講談社文庫)
  • 黄金の夢の歌
    値引きあり
    4.0
    口承によってうたい継がれてきた中央アジア・キルギスの英雄マナスは、永遠に年をとらない、とても元気な男の子。その「夢の歌」を聞きたいと旅をする「あなた」。氷河によって削られたジャイロの美しい牧地に心奪われ、その地を駆けめぐった多くの騎馬、狩猟民族の興亡に思いを馳せる。(講談社文庫)
  • 美神
    3.5
    阿佐子は、背中に薄いピンク色の羽を隠し持っているような子供だった。少女から女へ。儚いほど完璧な美、存在自体が放つ官能の気配、そのすべてが周りの人々を狂わせる。男たちは、峰蜜色にきらめく肌に惑い、阿佐子の表現する愛情はなんであれ、彼らの猜疑心を刺激した。あまりにも美しき破滅の愛の物語。
  • 帰路
    -
    初体験の感傷的な記憶、書いても書いても売れなかった時代に飲んだ酒の味、殺されるのを覚悟した学生運動の日日……売れっ子作家としてTVで顔も知られるようになって、問い続ける青春の意味。友情、恋愛、家族のいったい何が変わり、どこへ行こうとしているのか?走り続ける作家のハードボイルド連作。
  • 周作塾
    3.9
    金持ちになれる、女にモテる、人生を豊かにする、ツキを呼ぶ――「読んでもタメにならない」とシャレながら、楽しい人生をおくるための機智溢れるヒントを満載して綴る長編エッセイ。諧謔とユーモアをたっぷり詰めこみ、時代の風俗、生きるとは何かについてユニークなメッセージを熱く語る。
  • 夜かかる虹
    3.2
    ひとり暮らしの私を突然男連れで訪ね、男を置いて帰ってしまった妹リカコ。外見はそっくりで性格は正反対、甘い声で喋り、男に囲まれ、私を慕いながら、一方で恋人まで奪おうとする妹。痛くて切ない姉妹関係をリアルに描く表題作をはじめ、人とのつながり、自分の居場所を誠実に問う作品集。
  • 花冷え
    3.0
    紺屋の大店の末娘おたえは、幼くして両親を亡くし、叔父の店で育った。奉公人の弥吉は、5つ年上の型付け職人。いい仲になった2人を、叔父は夫婦養子にと考えていたのだが……。ささやかな幸せを求め健気に生きている、そんな女の一途な想いを情感溢れる筆致で細やかに描いた、珠玉の時代小説7篇を収録。
  • でりばりぃAge
    3.8
    夏期講習を抜け出した14歳の真名子は、広い庭のある古びた家が気になって、入り込んでしまう。そこでは青年がひとり静かな時間を過ごしていた。彼と話していくうちに、真名子の悩みが少しずつ明らかになる。友情、家族、進路、誰もが共感する、思春期の苦悩を瑞々しい筆致で描いた講談社児童文学新人賞受賞作。
  • レッスンズ
    3.3
    動物生態学を専攻している大学院生のマリエは、中学三年の少女リコの家庭教師になった。情緒不安定な母と家庭を顧みない父の狭間にあって、リコの心はいつも揺れ動いていた。高校受験を目指して始まった授業は、いつしかマリエにとっても大切な時間となる。人との出会いが奇蹟をもたらす、感動の長編小説。
  • 遊戯
    3.7
    「現実とネットの関係は、銃を撃つのに似ている」。ネットの対戦ゲームで知り合った本間とみのり。初対面のその日、本間が打ち明けたのは、子どもの頃の忌まわしい記憶と父の遺した拳銃のことだった。2人を監視する自転車に乗った男。そして銃に残された種類の違う弾丸。急逝した著者が考えていた真相は。表題作に加え、遺作となった中篇「オルゴール」も収録。
  • ワーホリ任侠伝
    3.7
    週末は六本木でクラブ活動にいそしむ商社OLのヒナコ。念願のワーキングホリデー資金捻出のために始めたキャバ嬢バイトが、彼女の波瀾万丈の始まりだった。運命の出会いと絶望、そしてヤクザに追われて海外脱出……。純情&エロティックに全力疾走する、パワフル青春小説。(講談社文庫)
  • 愛し続けるのは無理である。
    4.0
    人生は短い。若い時代はさらに短く、はかない。20代の女たちが、熱く「愛は続くものである」と考えるのは、とても健全だ。しかし、年齢を重ねたその先には「愛し続けるのは無理である」と骨身にしみた男と女の、刺激的で面白く、かつ、なぜか安らぐ関係が築ける機会が訪れる。人気脚本家が愛の真実を描くエッセイ集。(講談社文庫)
  • 底のない袋
    3.7
    夢の中で誰かに見せられた「底のない袋」。その袋に「面白そうだと思うものは何でもみんな抱え込むのだ。底がないからそのうち自然に遺(のこ)したいものだけが残ってゆく。楽しみという底なし袋にとび込むものは何だろう」と好奇心いっぱいに日々の暮しを見つめ、思い出を振り返った珠玉のエッセイ集。(講談社文庫)
  • 電化文学列伝
    3.8
    作品中の家電製品の描かれ方を軸に文学を語る、新しくて深い書評エッセイ。小川洋子『博士の愛した数式』のアイロン、吉田修一『日曜日たち』のリモコン、花輪和一『刑務所の中』の電気カミソリなど、作家が作品世界をどう構築するのか、その秘密が明かされる。書き下ろし短編小説、「導線」収録。『電化製品列伝』を改題。(講談社文庫)
  • 慈悲をめぐる心象スケッチ
    4.5
    「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。はたしてそうなのか。著者は反芻(はんすう)し、問い直す。しかし賢治はそう確信して「慈悲」を希求し、それゆえ自らに怒りを向ける。「世界のぜんたい」に人生を捧げる。痛ましいほど美しく清らかな賢治の想いを、同じく文学と宗教に生きる著者が描く。(講談社文庫)
  • 蒼いみち
    -
    南青山でのPRの仕事や、幼馴染み・フユちゃんと出かける金曜日の夜。充実しているはずの毎日に、なぜか励奈は何かが欠けているように感じていた。そんなとき間違い電話で偶然聞いた英語のメッセージが、思いがけなく新しい自分に出会う旅へ彼女を誘う。著者の作品世界の原点となる意欲作が待望の文庫に! (講談社文庫)
  • 私の好きな悪い癖
    4.0
    歴史小説第一人者の端然たる名随筆集。小説家の静かなる日常。幼い頃の下町・日暮里での暮らしから病気の事、締め切りよりも早すぎて編集者が戸惑う原稿の話。卯年生まれは口がうまいと言われ憤慨するかと思えば浅草の小料理屋で、罪のない嘘をつく。「エッセイは、小説を書く私の素顔である」という歴史小説の第一人者が、日常から掬い上げた事柄をまとめた上質の随筆集。(講談社文庫)
  • 吉田自転車
    3.6
    ゆるゆると疾走する自転車にのった戦車。爽快自転車エッセイ。時にはあてどもなくこきこきと、ある時はがしょがしょと雪を削りながら、俺はペダルをこぐ――愛車・ナイスバイク号にまたがり、『伝染(うつ)るんです。』の人気漫画家が、主に都内近所をゆるゆると疾走する初のエッセイ集。穴場的蕎麦屋へ激走せよ! 燃えよ体脂肪! 暴虐の駐輪場! チャリ文集に、乞うご期待。(講談社文庫)
  • 不発弾
    3.6
    今度はあなたが、爆発させてみる? 退屈な日常から逃れられるきっかけなんて、どこにでも転がってる。デパート勤務の的場智明は、地味な売り場での仕事に耐える日々を過ごしていた。そんな折、息子や娘の、“秘密”を妻までが一緒になって隠していたことに気づく。たまりにたまった憂さをはらすために彼がとった行動とは……。表題作など、現代人の爆発寸前の心境を的確に捉え、見事な筆致で描く、秀逸短編集。(講談社文庫)
  • 十津川警部 湖北の幻想
    2.5
    歴史のifに十津川が挑む壮大なミステリー浪漫! 時代小説作家の広沢は自分の妻を戦国時代の美女になぞらえ「お市の方」と呼んでいた。しかし妻には愛人がおり、その男が刺殺体となって発見される。現場には「オイチ」とダイイングメッセージが。また柴田勝家が秀吉に勝っていたら、という広沢の歴史小説は事件にどう絡むのか。十津川が辿り着いた真相は? (講談社文庫)
  • 十津川警部 五稜郭殺人事件
    2.8
    東京・四谷のウィークリィマンションで、ひとりの男性の刺殺体が発見された。床には〈ゴリョウカクト〉という血文字のダイイングメッセージが……。被害者はIT産業の技術者で、函館に新会社設立を計画する「函館新撰組」の中心人物だった。彼が遺した言葉の意味と事件の真相を、十津川は解き明かせるか。(講談社文庫)
  • 「横山大観」殺人事件
    -
    長いあいだ埋もれていた「横山大観」の若き日の傑作が発見された。そのニュースに美大の助手・茂木は愕然とする。数ヵ月前、雪深い秋田の商人宿で、行きずりの男が茂木に見せた絵がそこにあった……。次第に明らかになる12年前の殺人事件の真相は? 名探偵・岡部和雄警部の推理が美術界の暗部に迫る。(講談社文庫)
  • 中指の魔法
    3.8
    黒皮の長手袋をはめ、威風堂々としている「おおばあ」こと、ぼくのおばあちゃん。父さんのいないぼくは、おおばあと母さんに育てられてきた。おおばあの古い一軒家。おおばあが飼っている黒い日本犬、ぼくの親友のヤジロベエ。おおばあに教わった「呼吸(いき)合わせ」。眠り続ける少女。中学生になってからの少女と「再会」。ぼくは本当に「呼吸を合わせる」こと「生と死」の意味を知る。色鮮やかな「ぼく」の成長物語。(講談社文庫)
  • ヴァイブレータ 新装版
    4.0
    ヴァイブレータ――振動するもの。あたしの中身は震えつづけている。アルコールと食べ吐きで辛うじて自分を支えているライターのあたしは、コンビニで知り合った男のトラックに乗りこみ、航路の道連れとなる。肌の温もりとセックス、重ね合う言葉。四日間の「旅」を描く、痛いほどに切実な、再生の物語。『東京プリズン』で母と娘の物語を完成させた赤坂真理の代表作。映画も多くの賞を受賞。(講談社文庫)
  • 江戸時代はエコ時代
    3.7
    世界最大の都市・江戸を擁しながら、ほぼ完全な循環型社会を実現していた、かつての日本。驚異的なエネルギー効率を誇る農工業、民間人がボランティア的に行政参加するスリムな社会システム、季節に応じた知恵溢れる庶民の暮らし……。豊富な図版とともに「究極のエコ社会」江戸を読み解く。(講談社文庫)
  • ニッポンのサイズ 身体ではかる尺貫法
    4.0
    手のひらのサイズを元にした「尺」、米の消費量を元にした「石」など、現代ではなじみが薄くなった尺貫法も、実は身体のパーツを元に作られた合理的な単位だった。江戸庶民の生活に根ざした単位をめぐる合理的な暮らしのヒントが満載! 豊富な図版と、便利な換算表を収めた、おなじみ江戸博士のサイズ解釈便利帳。(講談社文庫)
  • 孤狼と月 フェンネル大陸 偽王伝1
    4.1
    13歳の少女フェンベルク(通称フェン)は王女にして悪鬼達の師団をまとめあげる将軍。祖国・ストライフを敵国の侵略から守り、国民の幸せを願い、そして愛する兄を支えるため、彼女は自らを鼓舞するのであった。そんな折、運命を変える出来事が!? 壮大なハイファンタジーのシリーズ第1巻、ついに旅立ち。
  • 鉄鼠の檻(1)【電子百鬼夜行】
    4.9
    1~4巻544~803円 (税込)
    「此の度手放したき品は今迄の品とは違ひて、世に出る事は有り得ぬ神品也」。禅僧・小坂了稔の手紙に心惹かれて箱根の老舗旅館、仙石楼に投宿した骨董屋の今川は元医師の老人・久遠寺を知る。が、二人が発見したのは世にも奇妙な小坂の屍。思えばそれが謎の巨刹、明慧寺を舞台の惨劇の始まりだった……。1997年本格ミステリ・ベスト10 第1位。
  • この生命ある限り
    -
    歩きたい、もう一度風のように野山を駆け抜けてみたい! 青春のある朝、突然の事故で左半身麻痺。不治の病を宣告される。やり場のない怒り、絶望、自殺未遂。結実はしなかった恋の日月、11人の同級生、著者をみつめた周囲の人々の愛。死と隣り合わせの5年を、残された片手で綴った生命のドキュメント。
  • 寝ずの番
    3.9
    希代の咄家・橋鶴が最期までオチをつけてオッチンだ。今宵は弟子たちが集まる通夜だけに艶っぽい逸話(エピソード)も飛び出す無礼講。笑って死ぬか、死ぬまで笑うか、どっちもどっち? 粋でホロリとさせる咄家模様を描く『寝ずの番』3部作ほか、読み出したら止まらない、Hで笑撃的な“らもテイスト”満喫の短編集。
  • 東京DOLL
    3.5
    マスター・オブ・ゲーム=MGと呼ばれる天才ゲームソフト制作者・相良は、新作のモデルに翼のタトゥを背負った少女・ヨリを選ぶ。映像モデルとして完璧な「人形」ぶりを発揮するヨリに、MGの孤独は癒されていく。だが、彼女には愛する男の不幸が見えるという異能があった。東京の今を描いた長編恋愛小説。
  • 風の旅団
    4.0
    中国奥地への学術調査隊に加わった青年・早見大介が、不審な死を遂げた隊長の「密命」を受けた。早見は任務を遂行すべく、バイクを駆って、雄大な天山山脈、タクラマカン砂漠、さらに秘境の地へ……。彼を襲う謎の男たちとの闘いののちに、彼が探りあてた未踏の地の秘密とは何か? 清新、熱血のバイク冒険小説。
  • 土佐日記
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1986年に重文指定の「為家自筆本」を底本にした、最も新しい「土佐日記」。男もすなる日記という物を、女もしてみんとてするなり……紀貫之が土佐守を解かれ、京へ帰る船旅の模様を、女の筆に仮託し仮名で綴った日記。諧謔性にとむ文体と劇的構成で、仮名文学の先駆的作品。定家自筆本との校異を付した決定版。
  • 人工水晶体
    -
    わずかに光しか感じなくなり、もはや「手なずけ」ようがないほどの白内障に病んでいた右眼の視力が、たった20分の手術で、1.5まで回復した。「人工水晶体移植手術」の驚異の体験記を、簡潔な名文でつづり、講談社エッセイ賞を受賞した表題作に、病気への対応法を軽妙に説く「養生訓」などを加えた「実用の書」。
  • 小田実の受験教育
    -
    代々木ゼミ現役講師の筆者が、特別に解き明かす、受験のマル秘テクニック。一度は大学をすべった「落第生」たちを、花のトーダイや憧れのジョーチに、次々と押込んできた20年間の実績に物を言わせ、大学受験常識のウソを徹底的に暴き、貴重な受験体験の意味を語る。人生を損したくない若者たち、必読の参考書。現役予備校講師が明かす、明るい受験成功ノウハウ集!
  • この人・この母
    -
    ここに登場するのは、素晴らしいおふくろや、お母さんたちです。生まれや境遇、経てきた苦労の数々は、みんな千差万別ですが、共通点はただ一つ……何かに向けて親が一途に生きていけば、子どもたちは勇気づけられ逞しく育っていく、ということ。型破りの愛情で結ばれた感動的な、この13組の母と子の素敵な関係。自分も10人兄妹の大家族に生まれた著者が、親と子のつながりの大切さを説く。楽しいエピソードがいっぱいで、小沢征爾・王貞治・畑正憲らには、こんな素敵なお母さんがいたという新鮮な驚きも。作家やタレントなど有名人13人のお母さんが語る、子育ての記録。おふくろ、万歳!
  • 蜻蛉日記(上)
    -
    1~3巻550円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 その美貌と、歌才で謳われた藤原道綱の母。受領の娘に生まれ、世を時めく藤原兼家の妻となり、当代の女性として稀にみる強烈なエゴと、豊かな感受性をもって成立した、現代になお新しい告白的自叙伝。従来の、契沖本に依拠し過ぎた研究に対し、それを批判的に摂取しつつも、新規点に立った、50年余の結実。川瀬一馬の校注・現代語訳でお贈りします。<上中下3巻 上巻>
  • 春来る鬼
    -
    三陸を舞台に民衆の哀しみを物語る短編集。風も雲も海も、まだ神の属性を失っていなかった遥か遠い昔……黒潮と親潮がぶつかりあう三陸の岬の浜に流れついた、駈け落ちの若い男女が、数々のためしをうけて村の一員となった頃、村に悪疫が蔓延し始める。それは南の海を渡ってくる鬼のたたりだという、三陸の漁村に伝わる伝説と――という「春来る鬼」(第一回吉川英治賞)ほか「三陸津波」「南部牛方節」「山の伝説」を収録する短編集。表題作は、小林旭・監督、三船敏郎・主演で映画化された名作!
  • 時の過ぎゆくままに
    -
    クラスでふたりは際立っていた。英語をきれいに発音できる少女と、訳出が上手な少女。ふたりの奇妙な友情は、大人になり、互いの社会的条件がちがってきても、独得の心理で表向き続いていたが……。洗練されたセンスと鋭い感性に裏うちされ、優美と毒とを巧みに織りまぜる、秀作12編。惜しまれつつ急逝した短編の名手の、「忘れがたみ」というべき作品集。女同士の友情に潜む毒の凄み! 鋭い感性で、人生の光と影を描き出す都会小説集。
  • 山のおんごく物語
    -
    おかかんに早く死なれた功は、百姓仕事を嫌いこんにゃく商売に夢中のおとっつあん、元気なおばばん、姉、弟と山おくの村で暮している。貧しい山の生活は辛いが、四季折り折りの自然、村の祭りや行事が功たちを慰めてくれる――遠国の厳しい生活を暖かく描いた、現代の民話ともいえる秀作。野間児童文芸賞受賞作品。
  • 階級
    -
    現代社会の〈辺境〉とも言える廃鉱に遺棄され、痛憤の生存を強いられる人々の、熾烈をきわめる階級的憎悪の情念。内面までも風化解体に瀕した人間破壊の状況は、読者に異様な衝撃と戦慄を与える。〈辺境〉の外で惰眠する人間の、精神の荒廃を烈しく指弾した傑作。他に、炭鉱離職者をテーマにした「せむしたちの冬」を収録。
  • 花散里
    -
    舞踏家・鹿野艶子、近代的未亡人・朝吹頼子、俳人・立川喜和……おんなの夕映えともいうべき年齢の3女性が、日常生活を律する倫理を超えた、性の神秘を経験していく過程を通じて、艶やかに人生の無常をうたう名作。
  • 象を撃つ
    -
    腐った貝を食べ、辺境に置き去りにされた老人たちが、妊婦を輪姦する――自らを「想像力の技術師」と信じこむ入院患者の描く、悪夢のような虚構の世界=小説。いっぽう、その彼が看護婦を妊娠させたという噂が、彼の抗弁をはねつけ、病院内に拡まる。想像力を超える非難と指弾という現実の荒廃を描出し、「小説とは何か」を追求した意欲作。
  • 小屋
    -
    自殺した知人の遺品を遺族に届けた19歳の青年は、その村に居ついて、村人や遺族の異様な光景に出会う。戦争にいって廃人同様になった父親。そして、その妻のモノローグを通じて、戦後25年経ったいまも、戦争の傷を癒せぬ、夫婦の戦慄的生活が現われる。暗い時代の深暗部を照し出した力作。他に「小泊海岸の犯罪」と「雪」を収録。
  • バブルと寝た女たち
    4.0
    バブル愛人たちの「SEX・金・恋愛」 大金が勝手に転がり込んできた「普通の女たち」はその時どうしたのか。バブルがはじけた今、彼女たちが「絵空事のような現実」を語りはじめた。衝撃のレポート。
  • 花隠密
    -
    花を好んだ11代将軍・徳川家斉に、各藩は競って自慢の花を献上した。四国・宇和島藩も、花造りの名人・田吹弥兵衛に花菖蒲を造らせ献上した。だが無残にも家斉は冷笑し、細川家献上の肥後菖蒲を讃美する。その結果、弥兵衛は割腹した。息子・弥十郎は、悲憤に耐え肥後に潜入する。花造りを盗むための隠密である。異色の題材に挑んだ時代長篇。
  • 心だより
    -
    歴史に埋もれた女たちを発掘し、その姿を生きいき甦らせて語る著者は、人間の不正義を許さぬ、苛烈で厳しい歴史認識を持つ一方、限りなく女の哀しさに寄りそう、心優しい情の人でもある。多くの人々との出会い、父と母、幼き日への回想など、さりげない日常の記憶の中に、人間的な真実の光を見る、珠玉の随筆集。古いものを愛し、さりげない情景に心魅かれる著者が、ひとり暮しの女の四季折々の心模様と、甦る幼い日の記憶をたどる、心に染みる静かな感動の好エッセイ。ハートに潤いを添える46選。
  • 実感・女性論
    -
    女には男を無作法にさせるものがあり、着飾った妻にわけなく不機嫌になる夫がおり、目をつぶる女の性格に彼は油断ならぬものを感じ、そして女は……。男と女が顔つき合わせ、身体をつき合わせて暮らしている、愛着と軽蔑と哀しみと奇妙に親しげなおかしみに満ちた愛と性の姿。鋭い感性が把えた女性論、人間論。
  • 一揆論 情念の叛乱と回路
    -
    鮮烈な詩魂と曇りない批評精神で、独自の創造世界を築く、異才・松永伍一が、一揆を題材として、民衆の情念の暗部を探った好著。いわゆる一揆の研究書ではなく、詩人の鋭い直観で、新たに発掘された史料に新たな角度から光を当て、叛逆を志向する日本人の心的構造と土俗的エネルギーの原質を解明。人間の反逆の心の回路をさぐり、その肉声をみごとに捉えた、意欲の論考全4章――鋭い直観力で、新たに発掘された史料の裏面を照射し、民衆の情念の暗部と、日本人の土俗的エネルギーの核心・原点を浮き彫りにした、問題の書!
  • 私の青春日めくり
    -
    ふりかえれば迷い傷つき、苦悩した青春の日々。人と歴史とのめぐり逢い。ひたむきに生きて愛を知り、少女は大人に……。敗戦を機に上京した焼け跡だらけの街での生活、初めて仕事を通して知った社会や激しく動く政治の季節のなかで、多感な若き心が揺れる。いま「青春」のあなたに贈る、自伝的長編エッセイ。若い人生の歩みを、みずから素直に描いて、感動をよぶ!
  • 風の子ファンタジー
    3.0
    自然を失った都会で、ふと私たちに季節の変化を呼びさましてくれる様々な「風」。その「風」を背景として、日常生活の中に妖精や自然の使いを登場させたこのファンタジーは、読者を幻妙な世界にいざないます。「火事」「雪の朝」「紙ふぶき」「青銅のライオン」「銀のローラースケート」など、新鮮で都会的な短編10話収録。
  • ハートが砕けた!
    -
    恋人がいなくても生きてはいけるが、これほど淋しいこともない。まして休日となれば、みじめさは頂点に達する。でも、「誰でもいいからとりあえず」で過ごすより、ひとりぽっちのほうがいい。本当に好きだと思える人が出てくるまで、次にずっといい恋をするために……。元気をくれる65のハートフル・エッセイ。
  • にぎやかな家
    -
    かつて家庭は小さいながらも、それぞれがひとつのノアのはこぶねであった。夫婦と子供たち、庭にはさまざまな木々や花々、小さな動物たち、ときには思いがけない来客もある。……ちょっと変な造りのこの〈にぎやかな家〉がかもしだす芳醇な世界は、極上ワインの味であり、失われゆくものへのひそやかな挽歌でもある。数々の名作を生み出し、多くの文学賞を受賞した児童文学者にして、元帝塚山学院大学学長の名作。
  • でんでんむしの競馬
    -
    でんでんむしで競馬ごっこをして、友だちのおもちゃをとりあげる、ちゃっかり者のタケやんを描いた「でんでんむしの競馬」など、戦前の京都の露地裏を舞台に、貧しくとも元気な子どもたちの生活を、鮮やかに描いて話題をよんだ、連作童話8編。日本児童文学者協会賞・野間児童文芸賞・赤い鳥文学賞・サンケイ児童出版文化賞・厚生省児童福祉文化奨励賞受賞作。
  • にっぽん亭主五十人史
    -
    平清盛は、娘のお産におろおろする子ぼんのうな父親。織田信長は、妻の実家の財力をフルに活用した夫。日本史上の英雄や才人を、父親や夫としてとらえ直してみると、意外な素顔が現われる。現代の弱夫強妻社会と照応させながら、古代から現代にいたる日本の亭主像を、小気味よくスケッチしてみせた、愉快な歴史エッセイ。
  • 推理日記 I
    -
    1~6巻550~1,320円 (税込)
    ミステリーの実作家であり、眼光紙背に徹する読み巧者としても知られる著者が、「推理小説は高級な遊び(エンターテインメント)である」との信念のもとに、数々の名作、傑作の魅力と問題点を摘出。――推理小説にはこんな読みかた、楽しみかたがあったのか、という“ミステリーを十倍楽しむ知的発見の書”である。
  • 青インクの東京地図
    -
    なつかしく、ゆるやかな風にふかれて歩く、東京の町エッセイ。さまざまな顔をした東京を、一人あてもなく歩いてみれば、思わぬたたずまいに出会い、尽きぬ詩情がこみあげてくる。路次に漂う市井の哀感が青春の日々に重なり、人々との邂逅が色鮮やかに浮かびあがる。さまざまな想いを軽妙につづった名文の数々。漂泊の思いを胸に秘め歩いて、人気イラストレーターがとらえた東京。
  • ヨハネの剣
    3.5
    世界最前衛赤軍の組織者の一人で、自らを「天草四郎の再来」と信じる男が組織の金を奪い、情熱の闘牛の国スペインへと逃走した。やっとのことで彼を見つけた追跡者の私に、彼は、「ぼくは救世主の到来を告げる預言者ヨハネの役にすぎなかった」と言う……。神に肉迫する研ぎ澄まされた超常能力に挑戦する表題作ほか、8編を収録。冒険、悪夢、スーパーヒーローなどなど、鬼才の「神の眼」が見た様々な世界!
  • 枇杷の季節
    -
    「異郷人」の自覚は、すでに彼には親しいものだった。父の転勤のたびに繰り返した転校、いつも身近にあった戦争の翳、渾沌としたそれらの日々に訪れた、人生への早い目覚めがうながしたものは……。原点としての幼少年時代とその心の領域の移りゆきを、よく醒めた文体で感銘ふかく描きつくす好短篇集。5篇を収録。
  • 白いりす
    -
    えぞりすのユックは、生まれつきの白毛のために親兄弟からも見放され、住みなれた森を出ていく。だが新しい森でも、美しい娘りすのミミカに嫌われ、ひとりで生きてゆこうと決心する……。北海道の大自然を背景に、いわれのない偏見や差別と戦う、けなげな白いりすの運命を描いた、感動の長編童話。サンケイ児童出版文化賞受賞。
  • 大地の冬のなかまたち
    -
    クラス委員でありながら、遅刻常習犯のサブ。ある日学校へつくと、サブの席に炭鉱からきた和男がすわっていた。なまいきでひねくれた和男と競い合いながら、サブはやがて和男に興味をもっていく。『天使で大地はいっぱいだ』に引き続き北海道の大自然を舞台に、たくましく成長していく子どもたちの姿を描いた長編力作。野間児童文芸推奨作品賞受賞。
  • 渓流
    -
    夫と離別し、一家の要として肉親の愛憎や葛藤を一身に引きうけるいっぽう、共産党の運動方針や除名問題というさまざまな体験や苦労を味わいながらも、党や文学団体との関わりの中に、自らの生き方を求める安川友江。内憂外患の情勢下で、思想的にも人間的にも誠実に生きようとする一女流作家の真摯な生を描く。
  • 天使で大地はいっぱいだ
    -
    北海道・石狩平野に住む森谷三郎(サブ)一家。サブたちの担任・キリコ先生を中心に、けんかあり友情あり、たくましく成長する子どもたち。また、彼らの悩みを真剣に受けとめ、ともに考えるおとなたち。厳しく、またやさしい自然の中での人々の出会いと別れ……。貧しくともおおらかに生きる子ども群像をえがく、長編力作。
  • 地べたっこさま
    -
    地べたっこさま(大地)が語る、民衆の怨念と仲間への限りないやさしさ――。児童文学界に新風を送った、ヒューマニズムあふれる民話風創作集。「かっぱの目だま」「おこんじょうるり」「首なしほていどん」「南蛮きつねつき」「赤ガラス大明神」など8編を収録。日本児童文学者協会新人賞・野間児童文芸推奨作品賞ダブル受賞。
  • 重き流れに(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    大陸の植民地に夢と野望を賭ける青年に嫁ぎ、夫と大陸に渡った16歳の幼な妻。夫を愛し、夫だけを頼りにして暮らす外地の生活は、新鮮であり、幸福に満ちていた。だが、夫から見知らぬ女に宛てた一通の手紙が、夫婦に翳りをもたらした。自己の全存在を夫への愛に賭けて、歴史の激流を生きぬいた、女の一生を描く。

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