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代々、使譯(通訳)を務める<あずみ>一族の子・針は、祖父から、那国が漢に使者を遣わして「金印」を授かったときの話を聞く。超大国・漢の物語に圧倒される一方、金印に「那」ではなく「奴」という字を当てられたことへの無念が胸を衝く。それから十数年後、今度は針が、伊都国の使譯として、漢の都へ出発する。
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Posted by ブクログ
邪馬台国のお話かと思ったらもっと前の時代から続くお話。語り部が変わっていくので、過去の人の話が出ると懐かしくなる。
面白い。帚木 蓬生氏の本は「国銅」「水神」につづき3冊目となるが、どれもすばらしい歴史小説だと思う。本小説は日本に文字のない時代の話であり、歴史を語る文献は日本には存在しない。数少ない、事実と事実の間を実にうまく肉付けし違和感のない小説に仕上げている。はるかいにしえの時代は、確かにこのような時代であ...続きを読むったのだろうと納得できる内容であった。
「日御子」というタイトルにも関わらず、上巻には卑弥呼さん出てきません。使えきという通訳の一族を中心に話が進んでいきます。 テキストや音源がたくさんある現代においても、語学の習得は難しい(少なくとも私には)のに、この当時、中国語をモノにするのは本当に大変だったろうなぁと当時の通訳さんの努力には頭が下が...続きを読むります。 うろ覚えですが、通訳一族の家訓で『毎日の習慣は才能に勝る』みたいな言葉があったので、私もコツコツ頑張ってみようかな、という気持ちになりました。 志賀島の金印についても、なぜあんなに貴重なものが忘れ去られていたのか、というのが書かれていて、作者さんの想像であることを理解していても、なかなか面白かったです。
大昔、まだ神話と歴史が混ざっているような時代に生きた通訳の物語。 ろくに資料なんか残ってないと思うんだけど、生き生きと臨場感溢れるこの描写はスゴイよ。
紀元一世紀ごろの日本。漢の国から移民して来たらしい「あずみ」一族は、九州各地の小国家で異なる文字(阿住、安曇、安澄)を当てながら使譯(通訳)を務めていた。その内の那国出身の安澄を九代にわたって描いた歴史小説です。 最初の主人公は那国の使譯として「漢委奴國王」印を得た使節団で働き、その子孫たちも伊都国...続きを読む、弥摩大国(邪馬台国)で活躍します。時に女性が主人公になり、その時は日御子(卑弥呼)に仕える巫女です。 最近の帚木さんらしく悪人はおろか、品性卑しい人さえも登場しません。全べての登場人物が前向きの善人という設定です。様々な苦難もありますが、その原因は時代背景や自然です。 そのせいか、やはり少し物足りなさを感じます。物語として大きなうねりが少なく「綺麗ごと過ぎでしょう」という感じです。しかし、当時としては大冒険の漢への渡航、馬車、製鉄、度量衡などの様々な発明品との出会いなどで読ませて行きます。それで物語を成立させていくのですから、なかなかのものと言えます。 帚木さん自身が福岡出身・在住の為か、邪馬台国九州説で描かれていますがその辺りは主題では無く、あずみ一族に伝わる3つの教えが主要なテーマになって居ます。
西の国から倭国へ渡って住み着いたあずみ一族。その中で使譯(通訳)を生業とする一族の灰、孫の針、針のひ孫の炎女、炎女の甥の在、在の子の銘と孫の治。 上巻では灰が針に語る那国から漢への使者に随行した時の話と針が伊都国から漢への使者に随行する話。随所に語られるあずみ一族の来歴と三つの教え。三つの教えは人と...続きを読むして生きる上での普遍的なものに感じる。皇帝に謁見する場面では使譯の仕事の重みを感じた。
卑弥呼が出てくるのかと思ったらそうでもなく、割と平坦な物語なので、上巻の終わりまでなかなか話に入れなかった。古代の通訳さんという設定は面白い。
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