石村博子の作品一覧
「石村博子」の「いのちの再建弁護士 会社と家族を生き返らせる」「終わらなかった戦争 サハリン、日ソ戦争が 戦後の日本に残したこと」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
1945年8月14日、日本はアジア・太平洋戦争の敗北を認め、ポツダム宣言を受諾し、翌8月15日には昭和天皇が玉音放送(終戦の詔書)を行った。この時、日本国外には660万人の日本人が点在していた。本書は、日本の敗戦後、民間人シベリア抑留者として極寒の地で苦役に耐え、苦難な生活を強いられながら生き抜いた9人の人生録である。日本への帰国を夢見る当事者、待ちわびる妻子や家族。ソ連で妻子を持ち、帰国をためらう抑留者。帰国が実現した当事者と両国家族との複雑な関係。ソ連(露)日両国の国策に翻弄され、自己意思残留というかたちで日本に切り捨てられた人々。著者は、日本は戦争により多くの命を失わせ、戦後処置においては、最も弱き人々を「効率的」に消去していったと断罪する。
なお、本書は2014年にNHKのBS1スペシャルで放送された「女たちのシベリア抑留」、及び2019年にNHKのプロデューサー小柳ちひろが同名で書籍化した先行調査も引用している。また、NHKのプロデューサー小柳ちひろ氏は、NHKで放送が続いている「映像の世紀バタフライエフェクト」のプロデューサーとして現在も精力的に歴史考証を続けている。
Posted by ブクログ
「アイヌ神謡集」で知られる知里幸恵の短い生涯、アイヌ民族としての葛藤とユカラを文字で残そうとする格闘、アイヌ神謡集誕生までの経緯をさまざまな資料等を活用して、描き出す好著です。
我が家にはギリシャ神話などの本とともに、書棚に岩波文庫版の「アイヌ神謡集」があります。1984年第7刷なので、思春期のころに手にしたはず。
序文を一読して大きな衝撃を受け、最初のシマフクロウの神のユカラを読み始めて、いわば虜になったのを思い出します。以来、アイヌ民族、アイヌ語、アイヌ文化、アイヌ民族に対する日本政府の対応の歴史、法制の変遷に関心を寄せ続けてきました。本書を手にして、ふたたび、さまざまな勉強をしていこうと決意した次第です。
Posted by ブクログ
満州からの引き揚げの物語と言えば、藤原ていさんの「流れる星は生きている」が強烈な印象があるが、これは全然違うパターンの引き揚げの話。
満州でコサック出身の母と日本人商人とのハーフとして生まれ、草原で馬を乗り回し、コサックとしての誇りを抱いていた少年が、たった一人で徒歩で引き揚げてきた話。その後、「ビクトル古賀」として格闘技で有名になった主人公に取材して、その生い立ちや生々しい終戦前後の満州の様子、引き揚げのときの様子を描いたルポルタージュの大作です。
一応、正規の方法で引き揚げ隊に入り、父親の知り合いと行動をするつもりだったが、引き揚げ列車は出発した瞬間から殺伐とした感じになり、大人たちは誰も一人ぼっちの子どもに手を差し伸べようとはせず、皆自分が生きて帰ることだけで精いっぱい。(それは、藤原ていさんの「流れる星は~」でもしっかりと描かれていた)。コサックとしての訓練を受け、どんな状況でも自分で生きる力が備わっていたビクトルが、余裕の表情で鼻歌を歌っているのが気に食わなかったらしく、「お前ロシア人だろ!」と大人から蹴り飛ばされ、列車から降ろされる。
しかし本人はまったく恨んだりはせず、「あのまま日本人の大人たちと行動していたら死んでいたかもしれない」と振り返る。
弱りはてた引き揚げ隊一行は実際、盗賊たちの格好の餌食になっているし、線路わきには行き倒れになった人達の死体がごろごろと転がっていた。ビクトルは必要になったら死体から靴やベルトなどをはぎ取り、中国語やロシア語を駆使して通りかかった町のロシア人に助けてもらったりしながら、本当に、徒歩で!引き揚げてきたのだ。
ご本人は、昨年(2018年)11月に83歳で亡くなった。格闘家として有名だったようだが、その少年時代やコサックというものに注目が集まることはなかった。彼の物語を掘り起こしたことで、最後のコサックの人々にも光をあて、教科書ではなかなかわからない、終戦前後の満州やシベリアの実態も人々の暮らし目線でわかる物語になっていてとても興味深かった。