PHP文芸文庫作品一覧

  • 天離り果つる国(上)
    4.0
    1~2巻999円 (税込)
    「この時代小説がすごい!」2022年版(宝島社刊)の単行本部門第1位作品の文庫化。書評家・書店員など、本読みのプロたちに圧倒的な支持を得たこの作品の舞台は、飛騨白川郷。そこに織田信長の魔の手が迫るところから物語は始まる。戦国武将が喉から手が出るほど欲しいのは、金銀と、鉄炮火薬に欠かせない塩硝。それらは白川郷で豊富に産するという。宝の眠る里を我が物にしようと企む、織田・上杉・本願寺……。そんななか、信長によってこの地に送り込まれたのが、天才軍師・竹中半兵衛の愛弟子・七龍太である。“天空の城”と言われる帰雲城に拠って白川郷を治めるのは、内ケ嶋氏理。氏理には、野性味あふれる姫がいた。美しき里に魅せられた七龍太は、領民の平和な生活を守るため、信長の命に反し、姫武者・紗雪とともに立ち上がる。そこには、七龍太の出生に関わる、思いがけない出逢いも待っていた。『剣豪将軍義輝』『風魔』の著者、渾身の「戦国エンタテインメント」。
  • 龍が哭く 河井継之助
    4.4
    戊辰戦争の際、官軍と奥羽列藩同盟の間で武装中立を目指した長岡藩家老・河井継之助は、「英雄」として語られることが多い。しかし、彼は本当にそうだったのか――。藩を救うために諸国を巡った若き日、妻・すがとの絆、会津藩家老・秋月悌次郎や仙台藩隠密・細谷十太夫、そして武器商人エドワード・スネルとの親交を通して、動乱の時代を峻烈に生き抜いた人間・河井継之助の、真の姿に迫る感動の長編小説。
  • ディープフェイク
    4.0
    全てがフェイク、でっち上げなのに、誰にも信じてもらえないのは怖ろしい……。宮部みゆき氏 推薦! 身に覚えのない動画が、ある教師の人生を崩壊させていく――。日常のすぐ隣にある恐怖を描いた衝撃のサスペンス。コメンテーターとしても活躍する教師・湯川はある日、自分と女生徒がホテルで密会したという記事が週刊誌に掲載されていると知る。さらに、「ディープフェイク(AIによる画像合成技術)」で作られた、湯川が生徒に暴力を振るう動画も拡散。出勤停止、テレビ番組の降板、妻子が家を出ていく中、ネット上では湯川への大炎上が――。普通の人間が追い詰められ、全てを失っていくさまをリアルに描く、傑作サスペンス小説。
  • 京都東山ネイルサロン彩日堂 ネイリストは神様のなりそこない
    4.0
    そこは、指先に小さな奇跡をくれる場所――。元神様の店長と元狛犬の看板犬が営む不思議なネイルサロンを舞台にした、ほっこり現代ファンタジー! ある日突然会社をクビになってしまった、寿明日香。途方に暮れていた明日香は、偶然出会った可愛らしい犬に導かれ、京都東山の細い小路の奥にある「ネイルサロン彩日堂」に迷い込む。その店のオーナー兼ネイリストの千手観月にネイルをしてもらった明日香だが、翌日不思議なことに指が勝手に動き出して……。頑張るあなたに贈りたい、癒しの物語。文庫書き下ろし。
  • 家康と九人の女
    -
    殺したいほど憎み、恨んでも、家康との愛に生きた女たちの物語。桶狭間の後、「お起ちなされ」と家康に今川家からの独立を促した母・於大。その決断によって悲劇に追い込まれ、家康を憎むことになる正室・瀬名。自ら鎧を身にまとい、三方ヶ原で逃げ帰った家康にぬるま湯をぶっかけ、鼓舞した於葉。家康の弱さを受け止め続け、関ヶ原でも轡を並べたお須和(阿茶)。――徳川家康という男に惚れ込み、時に憎み、生涯を懸けて愛を貫いた九人の女たちの姿を描く歴史小説。文庫書き下ろし。
  • 人工知能
    3.5
    これはまるで、予言の書――。自動運転技術をめぐる来たるべき近未来の事件に、AI世代の青年が挑む! 中学生の頃から悪さばかりしてきた、新谷凱。彼が、唯一興味を持てたもの――それは「人工知能」の世界だった。携帯電話会社でのアルバイトや電気機器メーカーでの企画開発などを経て、AIに携わる仕事に就いた凱。その企業で彼は、ある事件の捜査に協力することになる。その事件とは、自動運転技術の搭載された試験中の車が人を轢いた、というものだった……。人気経済作家が人工知能の未来に警鐘を鳴らす、傑作サスペンス。
  • 明治無頼伝
    4.0
    新選組三番隊長・斎藤一――鳥羽伏見の敗戦後、会津藩に身を投じ、軍と闘い抜いた彼は、明治になり、藤田五郎と名を改める。新政府に抵抗を続ける旧会津藩士・高津仲三郎を助けるべくその跡を追い、東京警視庁に奉職しつつ、さらに西南戦争にまで参加した彼が見た「明治」という時代とは。幕末有数の剣士といわれ、時代の変化にも己の節を曲げずに強く生き抜いた男の軌跡を追う、本格歴史長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • 化土記
    -
    化土(けとう)――それは積み上げた先から崩れ落ちる土のこと。崖下にたまる化土は、淀んだ政治とそこにどっぷり浸かった役人たちの象徴だ。そんな化土にからめとられ、殺された男がいた。老中・水野忠邦配下で天保の改革推進派の幕臣・栗橋伊織である。故あって廃嫡されていた伊織の兄は、かつての想い女だった弟の妻・花重とともに、敵を追いかけ、印旛沼に向かうが……。時代小説の名手が紡ぎ出す感動の人間ドラマ。構想20年、2013年に亡くなった著者が遺した傑作長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • 花ならば花咲かん 会津藩家老・田中玄宰
    4.0
    2013年、会津は大河ドラマ「八重の桜」の影響で、大いに観光客で賑わった。藩祖・保科正之以来の「家訓」を遵守し、壮絶な鶴ヶ城籠城戦に散る悲劇の藩。だが、その精神的・経済的基盤の背景には、江戸中期に「中興の名家老」といわれた改革者の存在があった。田中三郎兵衛玄宰(げんざい)である。おりしも天明の大飢饉も重なり、借金が膨らんで人心が荒廃した会津藩を、五代藩主・松平容頌(かたのぶ)の厚い信頼のもと、殖産興業・藩風刷新の妙手を次々に断行していく。殖産興業においては徹底した実態調査をふまえ、焼物産業、漆器産業、清酒の開発、朝鮮人参栽培などを、会津の土地柄に合った形で導入する。藩風刷新においては、藩校・日新館を創設し、「日新館童子訓」を藩士全戸に配布するなど、あくまで藩祖の訓えへの原点回帰を徹底した。危機に立つ改革者のあるべき姿を渾身の筆で描ききった長編歴史小説。

    試し読み

    フォロー
  • 再建の神様
    4.0
    「事業再生」は「人間再生」だ! 株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長冨山和彦氏推薦! 倒産の危機、地元の抵抗、そして、東日本大震災――。ビジネスパーソン必読の、会津の温泉旅館を舞台にした感動のノンフィクション・ノベル。「再建の神様」と言われた早川種三を尊敬し、世のため人のために働くことを志していた若手地方銀行員・春木種生は、ある事件をきっかけに、銀行員の仕事に疑問を抱く。逃げるように東北新幹線に乗り込んだ彼は、再建請負人を名乗る男・渋沢栄二と偶然出会い、共に会津へ向かうことに。春木はなりゆきで、倒産しかけた温泉宿を再建することになったのだが、問題続きで……。元銀行員の著者による、人と企業の再生を描いた、傑作ビジネス小説。
  • 消えた依頼人
    5.0
    真実は――法の向こう側。かつて殺人罪に問われた女性の無罪判決を勝ち取った敏腕弁護士の大石は、今度は医療過誤訴訟を手掛けていた。勝訴となれば更なる名声を得られるとほくそ笑む大石だったが、その裁判当日、原告は法廷に姿を見せず、後日、原告の自宅を訪ねると、そこには全くの別人が!? 弁護士資格を剥奪されかねない窮地に追い込まれた大石の、起死回生の一手とは。傑作リーガル・ミステリー。
  • スーパーの神様 二人のカリスマ(上)
    4.5
    1~2巻880~950円 (税込)
    慎重な男は、時代を変えた。戦後の日本を「一商人」として生き抜いた男、藤田俊雄。商人でもあった母の教えを胸に、復員後、東京・北千住で義兄とともに洋品店を営むことに。儲けを最低限に抑え、客を第一に考えたその店は、食料品等も扱うなど業容を広げ、「スーパーマーケット」という新たな形態へと変貌を遂げていく。イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊氏等をモデルに、流通の頂点に立つ男たちの姿を描いた傑作ビジネス大河小説。『二人のカリスマ(上)』を改題。 〈目次〉第一章 焼け跡 第二章 商人になる 第三章 商人修行 第四章 スーパーマーケット 第五章 アメリカ 第六章 チェーンストア化 第七章 驚異の躍進 第八章 コンビニエンスストア
  • 姫君の賦 千姫流流
    4.3
    戦国最後の姫として、生まれた定め――時代に翻弄され、いわれなき悪名を浴びながらも凛として生きた千姫の生涯を鮮やかに描く、著者渾身の歴史ロマン! 徳川家康の孫で、二代将軍・秀忠の娘、千姫。天下の泰平のため、幼くして大坂の豊臣秀頼のもとへ嫁ぐが、徳川、豊臣の争いを止めることはできなかった。そして大坂城落城。その後、再嫁した本多忠刻の愛に包まれて穏やかな日々が訪れたかに思えたが、豊臣の影がどこまでもつきまとう……。動乱の時代における“姫”という存在の悲哀を、千姫の波瀾の生涯を通して描き切った著者渾身の長編小説。
  • 倭国本土決戦 諸葛孔明対卑弥呼
    -
    八門遁甲を操り、北伐を始める諸葛孔明に対し、魏国は起死回生の策として、“鬼道”を使う邪馬台国の女王・卑弥呼を呼び寄せた。木牛・流馬など、稀代の軍師・孔明によって次々と繰り出される奇策を破った卑弥呼のもとに、孔明が単身、倭国へ向かったとの報せが……。孔明の北伐の失敗と卑弥呼が歴史から消えた謎に迫った、三国志と魏志倭人伝の世界が交錯する、気宇壮大な歴史エンターテインメント小説。
  • 諸葛孔明対卑弥呼
    -
    「赤壁の戦い」――曹操率いる八十万もの大軍を、“奇門遁甲”によって潰走させた軍師・諸葛孔明。そのおそるべき力に対し、曹操がとった奇策こそが、倭国の女王・卑弥呼の召喚だった! 邪馬台国女王の正体とは? 卑弥呼が操る“鬼道”とは? 三国志の英雄と、日本史最大の謎ともいうべき卑弥呼との直接対決の行方はいかに。同時代に生きた二人の異才が壮大なスケールで繰り広げる、奇想天外な長編歴史小説。
  • 武士の碑
    4.0
    その男の奏でる調べは、武士の時代への鎮魂歌か――。西郷隆盛と大久保利通の後継者と目されていた村田新八は、岩倉使節団の一員として渡欧、パリにおいて、西郷が大久保と袂を分かって下野したとの報に接する。二人を仲裁するために帰国し、故郷・鹿児島へと向かったものの、大久保の挑発に桐野利秋らが暴発。ここに、日本史上最大にして最後の内戦・西南戦争の火蓋が切って落とされた。著者渾身の長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • まりしてんぎん千代姫
    3.5
    筑前立花城の城督・ぎん千代姫が婿に迎えたのは、後の名将・立花宗茂。島津、大友、龍造寺――三つ巴の闘いが繰り広げられる九州で、大友を支える立花家も戦いに明け暮れる。ぎん千代自ら鉄炮隊を率いて闘うなか、父・道雪に続き、宗茂の実父・高橋紹運も命を落とし……。豊臣秀吉の天下、そして関ヶ原の戦いへ。時代の荒波に翻弄される夫を支えつつ、摩利支天の如く、凜々しく、ひたむきに生き、加藤清正にも一目置かれたぎん千代姫の生涯を活き活きと描いた力作長編。『利休にたずねよ』の山本兼一が遺した戦国小説のなかでは珍しく、女性が主人公。解説は作家の植松三十里氏。

    試し読み

    フォロー
  • 跪き、道の声を聞け(PHP文芸文庫)
    4.0
    すべては、一人の男が失踪したことから始まった。――関東の裏社会を二分する十四会の会長・今切の足取りが外出先で途絶えた。若頭補佐の君島から捜索の依頼を受けた裏社会専門の探偵・時園は、今切の行方を追う。会長・今切の失踪で得をするのは誰か。関係者らを洗う時園に「今切のものと思われる小指が十四会に届いた」との一報が入った。――男たちの矜持と憎悪、そして哀しき過去が激しく交錯する長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • 火螢の城
    4.0
    戦国一臆病と呼ばれた男と、戦国一勇猛と呼ばれた男の戦いが始まる!慶長五年、徳川家康と石田三成が最も味方にしたい男がいた。京極高次――妻と妹の「尻の力」によって出世したことから“ほたる大名”と揶揄される武将である。この優柔不断な男が流されるまま、戦国一勇猛とされる立花宗茂を迎え撃つ羽目に。十倍以上の敵を相手に高次は「敗けない」戦をどう挑んだのか……。関ヶ原の戦いの趨勢を左右した大津城の攻防を迫力に満ちた筆致で描く歴史長編。

    試し読み

    フォロー
  • 未来記の番人
    3.0
    天下を揺るがす書として封印されてきた、聖徳太子の予言の書『未来記』。その書が納められている大坂の古刹・四天王寺には、“番人”がいた。将軍・家光の影で暗躍する怪僧・天海から、幻の書を奪取せよとの密命を帯びた“千里眼”の異能を持つ忍び・千里丸は、不思議な能力を持つ少女と出逢い、自分の生き方に疑問を持ち始める。秘宝をめぐる、異能者たちに公儀隠密、南蛮絞りの秘術を操る豪商も絡んだ壮絶な闘い。そして、『未来記』の正体とは? 戦国の余燼さめやらぬ寛永年間の大坂を舞台に、恋あり、涙あり、固い絆で結ばれた友情あり、裏切りありの痛快時代エンタテイメント!

    試し読み

    フォロー
  • 海の翼 エルトゥールル号の奇蹟
    4.2
    「エルトゥールル号の恩返しですよ」――イラン・イラク戦争の最中の昭和六十年、フセイン大統領が、四十八時間以後のイラン領空の航空機無差別攻撃を宣告。日本政府が救援機を出せない中、イランに取り残された二百人以上の日本人救出に動いた国があった……。そのトルコ政府の英断の裏に秘められた、明治二十三年の「エルトゥールル号遭難事件」とは。百年の時空を超えた日本とトルコの友情を描く感動の歴史長編。

    試し読み

    フォロー
  • プリンス
    NEW
    -
    軍事政権下の東南アジアの国から日本に留学したピーター・オハラは、大学で政治活動に情熱を注ぐ犬養渉と意気投合した。父・ジミーが祖国の民主化に向け、大統領選に出馬することを知ったピーターは、父の選挙を応援するため、渉とともに帰国する。しかし、人々の期待を一身に背負ったジミーが、凶弾に斃れてしまう。ジミーの遺志を継いだピーターと渉は、大国の思惑による国際政治の残酷な現実に対峙していく――。
  • 京都大正サトリ奇譚 モノノケの頭領と同居します
    -
    行方不明の父親を探すため、京都にやって来た木ノ下繭子。“サトリ”の血を引く彼女は、人に触れるとその心の声が聞こえてしまう能力の持ち主だった。ひょんなことから、天狗の子孫で、モノノケの頭領である小説家・壱村水月と出会った繭子は、彼の家に住み込みで働くことに。飄々とした水月に振り回され、モノノケたちの起こす騒動に巻き込まれながら、繭子は父の失踪の真相を知り――ほっこり和風ファンタジー!
  • 伊達女
    -
    心に鬼を棲まわせた“独眼竜”にして奥州の覇者、伊達政宗。数多の武将から恐れられ、後世にもその名を残した男の周囲には、たくましく、そしてたおやかな女性たちがいた――。我が子に毒を盛ったとされる母・義姫、影ながら政宗を支え続けた妻・愛姫、片倉小十郎の姉で政宗を育てた喜多、松平忠輝に嫁いだ娘・五郎八姫、真田信繁(幸村)の娘・阿梅……戦国の世を凜と生き抜く伊達の女たちを主人公にした連作短編集。
  • 無情の琵琶 戯作者喜三郎覚え書
    4.0
    京の呉服屋の三男坊ながら、戯作者を夢みる喜三郎(きさぶろう)に、婿入りの話が持ち込まれた。しかしその相手には、許嫁が短命に終わるという「婿殺し」の異名があり、戸惑う喜三郎は、知人の寺に相談に行く。するとそこには見知らぬ琵琶法師がいて、「救うべきは、その娘だ」と告げられる――。芝居小屋の怪、拐(かどわか)される幼子、人の心を狂わす妖刀……。京で大人気の芝居誕生に秘められた、悲しい真実を巡る感動の時代ミステリー。文庫書き下ろし。
  • あの日、少年少女は世界を、
    4.0
    「ねえ、わたしと一緒に人助けしない?」「正義」を信じられなくなった少年と、ヒーローになりたい少女。二人が出会った時、世界は少し変わり始める――。 ●STORY 高校生二年生の鈴森実(まこと)は、ある日、クラスメイトの城之崎聖良が、赤いジャージに身を包み、マントをつけた「ヒーロー」に扮して、困っている人を助けているところに遭遇する。「ヒーロー活動」を見られたと知った聖良は、「わたしと一緒に人助けしない?」と実を誘うが、実には彼女と関わりたくない「ある理由」があって……? 傷を抱えながら「世界」と向き合う、少年少女の思いが胸を打つ傑作青春小説。文庫書き下ろし。
  • 癒やしのお隣さんには秘密がある
    4.0
    【2023年7月、日本テレビ系列 ドラマDEEP ドラマ放映決定! Hulu、TVerでも配信予定 主演:田辺桃子・小関裕太】優しい隣人の正体は!? 真面目ゆえ、頼まれた仕事をなんでも引き受けてしまう苦労性の女・蓬田藤子。その隣の部屋に引っ越してきた男・仁科蒼真はとんでもなくイケメンで、しかもエリート会社員。藤子は次第に、親切で紳士的な隣人との交流に癒やされていく。なぜこんなボロアパートに越してきたのか、なぜ藤子に親身にしてくれるのか。多くを語らない仁科は、どうやらワケありのようで――? 苦労性真面目女子×ワケありハイスペ男子の胸きゅんラブコメディ! エブリスタ大人気連載、待望の文庫化。
  • 凪に溺れる
    4.5
    夢を追うべきか、諦めるべきか。「小説すばる新人賞」史上最年少受賞でデビューを飾った若き才能が、青春の難題を真っ向から描く! ●あらすじ 二〇一九年、無名のアーティストが歌う『凪に溺れる』という曲が、突如ネット上で拡散され始めた。その曲は多くの人々を魅了するが、後日、公式サイトにて、ボーカルの霧野十太(じゅった)が一年前に亡くなったことが発表される。なぜ今になって『凪に溺れる』が注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか――。一人の天才音楽青年と、彼が作った歌を軸に、夢と現実との狭間で藻掻く六人を描いた著者渾身の青春小説。
  • 星に祈る おいち不思議がたり
    4.0
    「おいちは江戸の女性ですが、今に繋がる生き方を貫いています」――あさのあつこ 現代女性にも通じる悩みを抱える主人公を思わず応援したくなる人気時代小説最新刊。父のような医者になりたいと願う娘おいちに、絶好の機会が訪れる。女性の医者を育てるための医塾が開かれるというのだ。おいちは、希望に胸を膨らませ、夢への第一歩を踏み出そうとする。そんななか、深川で謎の連続失踪事件が起きる。忽然と姿を消した四人に、共通点は見出せなかった。不可解な事件が気になるおいちの許に、岡っ引の仙五朗が思いがけない情報を携えてやって来る。この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができるおいちは、事件を解決に導くことができるのか。一方、心を寄せ合う新吉との関係も、新たな局面を迎える。仕事も家庭も持ちたいという娘の密かな願いは、叶えられるのか。人気の青春「時代」ミステリー第五弾!
  • 贋物霊媒師 櫛備十三のうろんな除霊譚
    3.5
    1~2巻850~880円 (税込)
    “今世紀最強の霊媒師”と謳われ、「浮遊霊、地縛霊問わず、あらゆる霊障、祟りに対処し、速やかに解決する」と豪語する霊媒師・櫛備十三には、実は肝心の霊を“祓う”力がない。今日も助手の美幸に叱られながら、持ち前の洞察力とハッタリを駆使して、心霊現象の問題解決に奔走するが、事態は毎回思わぬ方向に転んでいき――。記憶を失くしたサラリーマンの霊、マンションの一室に取りついた十七歳の少女の霊……インチキ霊媒師が明らかにする、霊たちの秘密とは? 異色の除霊ミステリー、堂々開幕!
  • 天保十四年のキャリーオーバー
    3.6
    天保十四年。七代目市川團十郎は、自分を捕縛し、追放した南町奉行・鳥居耀蔵への復讐に燃えていた。絶好の機会が訪れ、短刀を抜いたその瞬間、何者かの拳をくらい気絶してしまう。それが父を無実の罪で陥れられ、團十郎と同じく鳥居への復讐を誓う鶴松との出会いだった。目を覚ました團十郎は、鶴松とその仲間から、ある計画を聞く。鳥居は富くじの裏で百万両を溜め込んでいるらしく、それを根こそぎ奪おうというのだ。團十郎と鶴松たちは手を組み、その算段を立てるが……。一気読み必至の傑作時代エンタテインメント!
  • 帝国ホテル建築物語
    4.6
    1923年に完成した帝国ホテル二代目本館、通称「ライト館」。“世界一美しいホテル”“東洋の宝石”として絶賛された名建築だが、完成までの道のりは、想像を絶するものだった――。二十世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトによる飽くなきこだわり、現場との対立、難航する作業、襲い来る天災……。次々と困難が立ちはだかったが、男たちは諦めなかった。ライト館の建築に懸けた者たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説!
  • 風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
    4.3
    1~2巻850円 (税込)
    芸術(アート)という名のタイムカプセルが、いま開かれる――。京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、レイモンド・ウォンと名乗るマカオ博物館の学芸員が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてそこに記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。天才絵師・宗達の名画〈風神雷神図屏風〉を軸に描く冒険譚。「縦横無尽な想像力に操られたマハさんの筆致にすっかり魂を持っていかれた。カラヴァッジョと宗達を繋げてしまう発想には脱帽です」漫画家・文筆家・画家 ヤマザキマリさん推薦!
  • 住友を破壊した男
    4.3
    十倉雅和氏(経団連会長・住友化学会長)、絶賛! 「住友の事業精神の原点は、ここにあった」煙害問題の解決、企業の利ではなく人々のために……。“ESGの先駆者”伊庭貞剛の生涯を描き切った感動のノンフィクションノベル。この男なくして「住友」は語れない! 幕末、志士として活動後、司法官となった伊庭貞剛は、叔父で総理事の広瀬宰平に招聘され、住友に入社する。しかし当時の住友は、別子銅山の煙害問題を抱え、さらには宰平の独断専行が目にあまるほどであった。住友財閥の中にありながらも、住友を破壊せんばかりの覚悟を持って改革に臨んだ、“住友中興の祖”とよばれる経営者に光をあてた傑作長編小説。
  • スタンドアップ!
    4.0
    戦うのは自分のため。だけど、最後の力はみんながくれるんだ。――具志堅用高氏(元WBA世界ライトフライ級王者) 夫のDVから逃れ、シングルマザーとして小学生の娘を抱えながら働く三十三歳の愛。何に対しても自信がなく、気弱な彼女が出会ったのは、寂れたボクシングジムだった。最初は同僚に誘われ、渋々通い始めた愛だったが、徐々にボクシングの魅力に目覚めていき……。子育て・仕事との両立、プロ試験の年齢制限、別れた夫の妨害や世間からの偏見――さまざまな困難に立ち向かい、闘う女性を描いた勇気と再生の物語。
  • 名もなき少女に墓碑銘を
    4.0
    無聊(ぶりょう)を託(かこ)つ探偵・鬼束は、刑事だった時に逮捕した男が、水死したことを知る。携帯への着信から、亡くなる前にその男が、行方不明となっている娘の捜索を頼もうとしていたことを知った鬼束は、男の遺品にあった彼女の写真を手に入れ、娘の行方を追い始めるが……。見えてきたのは、娘を取り巻く家族の歪んだ愛情、捜索過程で得た家族写真……。手がかりを掴むたびに増す違和感の果てに、鬼束が目にした衝撃の真実とは? 傑作長編ミステリー。『絵里奈の消滅』を改題。
  • 官邸襲撃
    3.5
    その日、首相官邸は戦場と化した! 日本初の女性首相とアメリカ国務長官が首相官邸で会談中に、テロ集団が官邸を占拠。首相と国務長官が人質となる。女性で初めて首相付きのSPとなった明日香が、重傷を負った上司の指示のもと、たった一人でテロ集団に立ち向かうことに。官邸の外では日米の救出部隊が一枚岩になれず揉めるなか、アメリカ大統領をも巻き込むテロ集団の意外な目的が明らかになり……。政府の指示系統崩壊、アメリカ軍の介入、その混乱に乗じるテロ集団。しかし、明日香の行動が少しずつテロ集団の計画に狂いを生じさせていく。日本の安全保障政策に警鐘を鳴らす衝撃のクライシス小説。
  • 火定
    3.9
    ――己のために行なったことはみな、己の命とともに消え失せる。(中略)わが身のためだけに用いれば、人の命ほど儚く、むなしいものはない。されどそれを他人のために用いれば、己の生には万金にも値する意味が生じよう。(本文より抜粋)時は天平――。藤原氏が設立した施薬院の仕事に、嫌気が差していた若き官人・蜂田名代だったが、高熱が続いた後、突如熱が下がる不思議な病が次々と発生。それこそが、都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせる“疫神(天然痘)”の前兆であった。我が身を顧みず、治療に当たる医師たち。しかし混乱に乗じて、病に効くというお札を民に売りつける者も現われて……。第158回直木賞と第39回吉川英治文学新人賞にWノミネートされた、「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った傑作長編。解説:安部龍太郎。
  • クロカネの道をゆく 「鉄道の父」と呼ばれた男
    4.3
    我が職掌はただクロカネの道作りに候――。幕末、長州に生まれた弥吉こと、のちの井上勝(まさる)は、国禁を犯して伊藤博文、井上馨らと長州ファイブの一人として渡英した。ロンドンで西欧の近代化を目の当たりにし、鉄道(クロカネ)こそが国を発展させると確信する。帰国後、伊藤らが中央政界で活躍するなか、勝は立身出世には背を向け、ひたすら鉄道敷設に邁進する。鉄道の敷設権を要求するアメリカの主張を退け、さまざまな反対の声にも粘り強く交渉し、ついには日本人のみによる鉄道敷設を成し遂げた。のちに日本の「鉄道の父」と呼ばれる、技術大国の礎を築いた“魂の技術者”の物語。『クロカネの道』を改題。
  • 大正の后 昭和への激動
    4.4
    貞明皇后の波乱の生涯を描いた、近現代小説の傑作!――縄田一男氏(文芸評論家) 幼少の頃に農家へ預けられ、「九条の黒姫さま」と呼ばれるほど活発な少女として育った節子。その利発さと健やかさを評価され、皇太子妃として選ばれたことから、明治、大正、昭和をつらぬく節子の激動の人生が始まった。病に臥せることの多かった大正天皇を妻として支え、母として昭和天皇を見守り続けた貞明皇后が、命をかけて守りたかったものとは。大正天皇と皇后の実像に迫った傑作長編。
  • 常勝将軍 立見尚文(上)
    5.0
    陸軍大将・立見尚文は、元桑名藩士である。桑名藩は会津藩の盟友として幕末から佐幕派の雄として行動した。いわば賊軍出身者で大将まで立身するのはきわめて稀であり、しかも立見の場合、戊辰戦争・西南戦争・日清・日露の戦役と、つねに最前線にあって戦い、かついかなる厳しい状況下でも立見個人は敗走を知らない。まさに「常勝将軍」なのである。本書は、史上まれに見る天才指揮官であった立見尚文の生涯を、少年時代から永眠までを克明に描いた渾身の歴史大河小説である。上巻は、桑名藩内で頭角を現わし、戊辰戦争では鳥羽伏見の戦いからやがて北越方面へ転戦、雷神隊という精強な部隊を率いて新政府軍を恐れさせた立見の前半生を描く。旧幕府軍の降伏後は謹慎を経て司法省へ出仕、やがて指揮官としての能力を買われて陸軍に招かれる。西南戦争では西郷隆盛の本軍を追い込む活躍。陸軍軍人として立見の評価は一気に高まり、出世街道を駆け上がっていく。

    試し読み

    フォロー
  • 爆撃聖徳太子
    4.3
    隣国を次々に従え、世界帝国への道をひた走る隋帝国。その矛先は琉球、そして朝鮮半島へと向けられた。倭国に攻めてくるのも時間の問題……。この危機に敢然と立ち向かったのが、厩戸皇子、のちの聖徳太子である。遣隋使となった小野妹子をはじめ、周囲の人びとを巻き込んだ聖徳太子の戦いの行く末は!? 「なぜ隋の煬帝を怒らせる国書を送ったのか」「“聡耳”と言われた理由」「その後半生に政治的空白期があるのはなぜか」「黒駒伝説の真実とは」――聖徳太子をめぐる数々の謎を解き明かしながら、東アジアを舞台に壮大なスケールで描かれる、衝撃の古代史小説。
  • 嘘(PHP文芸文庫)
    4.2
    あの夏、私たちは「家族」だった――。息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年、父・孝蔵とは絶縁状態にあったが、認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。父との葛藤と息子の死に対する自責の念にとらわれる千紗子は、事故によって記憶を失った少年の身体に虐待の跡を見つけ、自分の子供として育てることを決意する。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は、幸せなひとときを過ごす。しかし、徐々に破局の足音が近づいてきて……。切なさが弾ける衝撃の結末――気鋭のミステリ作家が描く、感動の家族小説。

    試し読み

    フォロー
  • 想い星 茶屋「蒲公英」の料理帖
    -
    心にそっと寄り添うお茶とお菓子を召し上がれ。みたらし団子やわらび餅、味噌おにぎりに鯵の甘酢漬け……。江戸の味も楽しめる人気時代小説シリーズ、待望の第二弾! 長い武家奉公ののち一念発起して、みたらし団子とお茶を出す茶屋「蒲公英」を開店したさゆ。「客の事情には立ち入らない」と決めていたが、万引きを繰り返す少女や、人付き合いが苦手な絵師希望の娘など、様々な悩みをもって店を訪れる者たちは、さゆに背中を押されて今までの自分から一歩を踏み出す。鍛えた料理の腕と生きる知恵で、江戸の人びとの心を癒やす、人情時代小説。文庫書き下ろし。
  • 転職の魔王様
    4.1
    1~2巻789円 (税込)
    未来が見えない大人たちに捧ぐ、最旬お仕事小説シリーズ第一弾! 大学卒業後に入社した企業でパワハラに遭い、三年たたずに退職した未谷千晴。働く自信と希望をなくしてしまった千晴だが、「普通の大人」に戻りたいと、叔母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが……。
  • 帝都地下迷宮
    3.6
    鉄道マニアの公務員・小日向巧はある日、廃駅で立ち入り禁止となっている地下鉄銀座線萬世橋駅へと潜り込む。そこで出会ったのは、政府の“ある事情”により地下で生活する謎の集団「エクスプローラー」だった。その集団内で起こった殺人事件をきっかけに、小日向は捜査一課と公安の対立も絡む大事件に巻き込まれていき……。エクスプローラーが抱える秘密とは? 殺人犯は誰か? 東京の地下で縦横に展開するノンストップミステリー!
  • 魔性
    3.4
    この男に魅せられたら、もう逃げられない……。生真面目な父を持つ志穂子は、その反動からか仕事に恋に奔放な日々を送っていた。ある日、以前バンドのボーカルをしていて、今は不動産業を営む晃と出会う。この男は危険だと周囲の忠告を受けながらも、晃に惹かれていくことを止められない志穂子。しかし、晃は徐々にその正体を表し始める……。一人の女性が「魔性」を持つ男に絡め取られ、転落していく心理を鮮烈に描き出す、戦慄のサスペンス。
  • 荒ぶる魂 空気投・三船久蔵十段
    4.0
    強い、強すぎる! 今のオリンピックなら、金メダル確実!? 小柄な体格ながらも百戦百勝! 「理論の嘉納、実践の三船」と並び称された柔道家の破天荒な人生とは。岩手県久慈に生まれ、悪ガキとして育った三船久蔵は、仙台二中に進学し、柔道と出合う。小柄ながらも地元で敵なしの久蔵は、上京後、講道館に入門し稽古に励み、異例の速さで昇段、数多の強敵を倒していく。不断の鍛錬の末に辿り着いた「押さば回れ、引かば斜めに」の境地は、幾多の新技を創出し、やがて究極の神技「空気投」を生み出す。不世出の柔道家の生涯を描いた長編小説。『「柔道の神様」とよばれた男』を改題。
  • 幸村
    -
    流星の陣――「己という樹に花を咲かせる道」を選んだ真田幸村は、父・昌幸と練り上げた必殺の陣形を胸に秘めていた。徳川との来るべき戦いに向け、長宗我部盛親、塙団右衛門、明石全登らを味方に引き入れる幸村。さらに希代の忍者・猿飛佐助、真田忍び衆を束ねる霧隠才蔵、怪力の海野小平太、幸村の影武者を務める禰津小六、弁舌に長けた望月善太夫に加え、関ヶ原で死んだはずの島左近……。真田丸の激闘から大坂夏の陣へ。彼らを従えた幸村“最後の戦い”の幕が上がる!
  • 帰蝶
    3.7
    「上さまは、いつから、悪鬼に魂を売りわたされたのか――」夫・信長が、神をも畏れぬ所業に手を染めていく。歯止めをかけるべく、出身である美濃の家臣たちの期待を一身に背負った正室・帰蝶(濃姫)は、残虐さをあらわにしていく夫に怯えながらも織田家の奥を束ね、したたかに、たくましく生きていく。そんな帰蝶が心を許せるのは、美濃衆と、心の友とも言えるあの男だった……。そして起きた本能寺の変――。信長に叛旗を翻したのは、帰蝶の従兄・明智光秀。光秀に最後の決断を促したのは、一体誰なのか。織田家の要となった帰蝶の運命はいかに。大胆な発想を交え、女の目線から信長の天下布武と本能寺の変を描き切った衝撃作。解説は、作家で、同じく帰蝶を題材に小説を執筆している宮本昌孝氏。
  • 我、六道を懼れず[立国篇](上) 真田昌幸連戦記
    -
    誰も救えぬ温情よりも、何かを救う非情を――! 壮絶なる長篠の合戦で二人の兄を失い、真田家を嗣ぐこととなった昌幸。しかし武田家の滅亡を食い止めることができず、信長から秀吉へと天下の趨勢も大きく移り変わっていく。昌幸は戦国乱世という荒波の中で真田家を守るため、次々と非情な采配を下していくのだが、そこに徳川家康からの理不尽な要求が突きつけられてきた……。果たして昌幸の決断とは。

    試し読み

    フォロー
  • 異邦人
    3.9
    「美しさ」は、これほどまでに人を狂わすのか。たかむら画廊の青年専務・篁(たかむら)一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々(うつうつ)とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが……。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。解説:大森望

    試し読み

    フォロー
  • 東京ダンジョン
    3.6
    地下鉄、全線緊急停止!! 地下鉄の新線開業を間近に控えたある日、保線作業員の的場哲也は、勤務中にトンネルの中で怪しげな人影を見つける。またインターネット上でも、東京の地下に「地底人」が出現するという噂が飛び交っていた。そんな中、的場は母から、弟の洋次が鬼童征夫なる経済学者が主宰する怪しげな勉強会に通っていると相談を受ける。事情を探るために鬼童の講演会に出かけた的場は、そこで意外な人物を見かけるのだが……。東京の地下鉄や地下街に爆弾を仕掛け、「東京の地下を支配した」と宣言する、テロリストたちの意外な正体と、その目的とは何か? 複雑怪奇な地下迷宮(ダンジョン)と化した東京の地下を舞台に繰り広げられる攻防。警察や的場たちは、果たして地下鉄を、そして東京を守れるのか。『TOKYO BLACKOUT』『迎撃せよ』『怪物』などが話題の、クライシス小説の旗手が描く、緊迫のサスペンス。

    試し読み

    フォロー
  • 明日、世界が終わるとしても
    4.0
    それは新たな悲劇か。それとも、悲劇を乗り越えた希望か。一九九九の年、七の月、空から恐怖の大王が降ってくるだろう――ノストラダムスの予言を知った四人の高校生は「死」を思い、残された期限をどう生きるかを考える。その記憶は、大人になった彼らの人生に意外な影響を与えていくのだった。夢に挑む史生、意外な職につく恵津子。時代の荒波に揉まれながらも「生きること」に真摯に向き合う彼らの姿を描く、胸を揺さぶる物語。『虹とノストラダムス』を改題。

    試し読み

    フォロー
  • ライジング・ロード
    5.0
    大手電機メーカーをある事情で退職したエンジニア・野口陽子は、存続が危ぶまれる東北の三流大学に非常勤講師として招かれた。彼女に課せられた使命は「ソーラーカー」を作り、レースに出て大学の知名度を上げること。しかし集まった学生は落ちこぼればかりで資金も技術も足りない。一流大学や大企業チームとの圧倒的実力差、そして震災……。あらゆる逆境を跳ね返すべく、彼女たちの挑戦が始まった。

    試し読み

    フォロー
  • 白虹
    4.0
    警察官時代に起きた悲劇的な事件の記憶から逃れるかのように、毎年夏の間だけ山小屋でアルバイトをする五木健司。「辞職しなければ、いい刑事になった」と惜しまれる五木はある時、名頃という男を救助したことから、殺人事件に巻き込まれてしまう。名頃が恋人・裕恵を殺し、自分も死んでしまったというのだ。事件現場となった群馬県・長沢山を訪れ、そのまま山小屋へと入ることでその事件を忘れようとした五木の元に、裕恵の手帳と、裕恵の父からの「すまなかった」というメッセージが届けられる。1週間の約束で山を下り、東京へと戻った五木は、1枚の山の写真を手掛かりに、5年前に起きた事件へとたどり着くが……。複数の事件が絡み合い、幾重にも張り巡らされた罠に気づき、事件の真相へとたどり着いた後に、五木が見たものは……。拭い去れない過去にとらわれ続けてきた五木に、救いはあるのか――。本格ミステリの名手による、傑作山岳ミステリ!

    試し読み

    フォロー
  • 成り上がり 金融王・安田善次郎
    -
    ハダカ一貫から、日本一の金融王へ!幕末から明治、大正と、激動の時代を生きた銀行業の元祖・安田善次郎。富山の貧しい下級武士出身ながら、商人として「千両の分限者」となることを志した善次郎は、数々の挫折と失敗を乗り越えて両替商・安田屋を江戸で開店、成功をつかんでいく。一代でみずほフィナンシャルグループの礎を築いた安田善次郎の、波瀾万丈の前半生に光を当てた長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • 利休にたずねよ
    4.1
    女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭に昇り詰めていく。刀の抜き身のごとき鋭さを持つ利休は、秀吉の参謀としても、その力を如何なく発揮し、秀吉の天下取りを後押し。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、理不尽な罪状を突きつけられて切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出したものとは何だったのか。また、利休の「茶の道」を異界へと導いた、若き日の恋とは…。「侘び茶」を完成させ、「茶聖」と崇められている千利休。その伝説のベールを、思いがけない手法で剥がしていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。

    試し読み

    フォロー
  • 雛森寧子のミステリな日々 コンビ作家の誕生
    4.0
    ミステリ作家志望の君島は、文章力を評価されるも謎解きのトリックが弱いと編集者に指摘され、トリックは強いが、文章力に乏しい引き籠もりで、極度の人見知りの雛森寧子を紹介される。外出を嫌がる寧子を小説のネタ集めと称し、連れ出した先で出会ったのは、喫茶店で砂糖壺からコーヒーに大量の砂糖を入れる女、降りしきる雨のなか傘を壊す男……。不可解な出来事に、寧子は鮮やかな推理を披露する!? 文庫オリジナル。
  • 猫を処方いたします。
    4.2
    1~2巻770~789円 (税込)
    京都市中京区の薄暗い路地にある「中京こころの病院」。心の不調を抱えてこの病院を訪れた患者に、妙にノリの軽い医者が処方するのは、薬ではなく、本物の猫だった!? 戸惑いながらも、決められた日数、猫を「服薬」する患者たち。気紛れで繊細、手がかかるけど愛くるしい猫と暮らすことで、彼らの心も少しずつ変化していく。そして医者が猫を処方するのには、ある「理由」があって――猫と人が紡ぐ、もふもふハートフルストーリー!
  • 喫茶ソムニウムの優しい奇蹟 お代はあなたのお悩みで
    5.0
    1巻770円 (税込)
    ここは、夢のはざまの喫茶店。あなたの悩みはなんですか? 「わが家は幽世の貸本屋さん」シリーズで大人気の著者、最新作! 悩んでいる人の前にあらわれると噂の喫茶店・ソムニウム。亡くした飼い猫に後悔を抱く女性、他人を優先しすぎて恋愛ができない男性、夢をかなえた結果、母親を失望させてしまったタクシー運転手……。そこでは、わだかまりを抱えた客たちの「胸に咲く花」を対価に、不思議な店主が願いを叶えてくれるという。「胸に咲く花」とは何か、そして店主の意外な目的とは――。切なくも心あたたまる連作短編集。文庫書き下ろし。
  • 満鉄探偵 欧亜急行の殺人
    3.3
    列車内に死体!? 陰謀渦巻く事件に凸凹コンビが挑む! 総裁・松岡洋右から特命を受けた、満鉄の秘密調査員と軽薄で謎めいたイケメンの相棒――。列車が目的地に到着するまでに二人は真実を探り出せるのか。昭和11年(1936)、満州。詫間耕一は、南満州鉄道株式会社の内部調査の秘密調査員として、書類紛失事件を調べることになる。当初は簡単に解決できる事件に思えたが、事件にかかわりがあると目された人物が殺されてしまう。コンビを組むことになった辻村とともに、事件の謎を追うために乗った哈爾浜行きの急行列車のなかで、さらなる殺人事件が起き……。「八丁堀のおゆう」シリーズの著者が贈る、ノンストップミステリー! 文庫書き下ろし。
  • ひこばえに咲く
    4.0
    りんご畑の納屋に眠っていた150枚の絵。その絵が一人の女によって見出されたとき、時を超えて物語は動きだす――。実在の画家をモデルとした感動の長編小説。父が経営する銀座の画廊が閉店し、そこで働いていた香魚子は自分の行く末や恋人との未来に不安を抱えるなか、ある画集を手にする。それは知られざる画家・上羽硯(ケン)の絵だった。その絵に衝撃を受け、津軽の地に飛んだ彼女を迎えたのは、ケンを慕う絵描き仲間の女性・フク。ケンの個展を開催するため奔走する香魚子であったが、ケンとフクの二人には、戦前からの“秘められた過去”があった――。
  • 引き抜き屋 1 鹿子小穂の冒険
    4.1
    1~2巻770~789円 (税込)
    ドラマ化原作本! 『犯人に告ぐ』『検察側の罪人』の著者、渾身の新境地。父が創業した会社で若くして役員となった鹿子小穂は、父がヘッドハンターを介して招聘した大槻によって会社を追い出されてしまう。そんな小穂を拾ったのは、奇しくもヘッドハンティング会社だった。新米ヘッドハンター・小穂は、一流の経営者らに接触するなかで、仕事や経営とは何か、そして人情の機微を学んでいく――。緊迫感溢れるミステリーで人気の著者が新境地に挑んだ、予測不能&感涙のビジネス小説。
  • 思い出探偵
    4.0
    人生は「思い出」の積み重ねでしかありえない。良きにつけ悪しきにつけ、そのひとが生きてきた証なのだ――。小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴……、そうした小さな手がかりから、依頼人の思い出に寄り添うようにして、人や物を捜し出していく“思い出探偵”。京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を始めた元刑事の実相浩二郎は、探偵社のメンバーである元看護師の一ノ瀬由美、時代劇俳優をめざす本郷雄高、十年前に両親を惨殺されて心に傷を負った橘佳菜子と共に思い出と格闘し、依頼人の人生の謎を解き明かす。「思い出」は心を豊かにすれば、苦しめもする――乱歩賞作家が紡ぎ出す、せつなさと懐かしさが溢れるミステリー。

    試し読み

    フォロー
  • 月と日の后(上)
    4.0
    1~2巻760円 (税込)
    紫式部が支えた国母の一代記! 七代の天皇を見守り、“望月の栄華”を成し遂げた藤原彰子の波瀾の生涯 わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入った彼女を、夫である一条天皇は優しく受け入れるが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。しかし、一人の幼子を抱きしめた日から、彰子の人生は動き始める。父や夫に照らされる“月”でしかなかった彰子が、やがて「国母」として自ら光を放ち出すまで――平安王朝をドラマチックに描く著者渾身の傑作長編。
  • ソルジャー&スパイ 公安機動捜査隊〈特別作業班〉
    -
    〈アンデッド(不死身)〉な自衛官×悪意を嗅ぎ分ける公安捜査官 正体不明のテロリストに立ち向かう二人の運命は!? 中東派遣から帰隊した防衛省中央情報隊の萩生一尉を待っていたのは、日本に入国するという正体不明のテロリスト「ベル」を追うために、公安外事第四課・真波との協働を命じる辞令だった。異例の指示を受け、お互い反発しあいながらも捜査を開始するが、「ベル」を狙うCIAの非公認工作部隊からの妨害が入る。忍び寄るテロの魔の手から日本を護れるのか。緊迫のスパイアクション、開幕! 文庫書き下ろし。
  • 下鴨料亭味くらべ帖 料理の神様
    3.8
    1~2巻750円 (税込)
    老舗を救うのは革新の味か、伝統の味か――。傾きかけた京都の料亭「糺ノ森山荘」を継いだ明美のもとに、亡き父の紹介状を携えた初老の料理人が現れた。この男、腕は確かだが、つくる料理は古風なものばかりで、現場の板長との衝突が絶えない。そこで明美はどちらが料亭に相応しい料理をつくれるか、板長の座をかけた料理対決を提案する。イワシ、筍、鱧……旬の食材を用いた勝負の行方、そして男の正体とは。文庫オリジナル。
  • 本所おけら長屋 外伝
    4.3
    金はないが情はある、お節介で名高い「おけら長屋」を舞台にした大人気シリーズの“外伝”は、人気登場人物たちの若き日を描く前日譚。 ●「馬鹿と外道は紙一重」万造と松吉は偶然、同じ日におけら長屋に引っ越してくる。意気投合した二人は、長屋の髪結いの女の家で、小遣いをもらって暮らしている小一郎という優男に憧れるが……。 ●「家督は寝て待て」上総久留田藩藩主の四男だった高宗は、いかにして津軽黒石藩藩主になったのか? 十五歳の高宗と五歳の玉姫の出会いを描く。 ●「金太が街にやってくる」おけら長屋は、実は“事故物件”だった!? 住民らに立て続けに災いが起きる中、長屋立ち退きの話まで持ち上がる。なんとか阻止したい住民たちが考えた案とは? ●「みちのくさとり旅」妻を亡くし、黒石藩の剣術指南役を辞した鉄斎は、剣術とは何かという答えが見いだせないまま、江戸に向かっていた。旅の途中、仙台に立ち寄った鉄斎は、宿屋で盗難騒動に巻き込まれる。 特別付録として、シリーズ第一幕(1~20巻)の名場面ガイドも収録。笑いと涙の“おけらワールド”を、ぜひご堪能ください。文庫書き下ろし。
  • 幽霊長屋、お貸しします(一)
    4.0
    1~2巻750円 (税込)
    江戸で起こる刺激的な事件を集めて記事を書く、読売の“種拾い”の少女・お奈津は、親方から“事故物件”専門の家守(不動産屋)・直吉の話を聞く。見た目は良いが、無愛想でどこか陰のある直吉に興味を持ち、彼から家を借りた者たちを調べるお奈津は、各家の幽霊騒動に巻き込まれるうちに、霊の切ない事情や秘密を知っていき――。江戸を舞台に、死後も続く縁や思いを温かく描く、時代小説シリーズ第一弾!
  • 桜色の風 茶屋「蒲公英」の料理帖
    3.7
    隠居したおばあちゃん、好きなことを仕事にします! 四十年勤めた武家奉公を終えたさゆは、甥夫婦が営む薬種問屋に身を寄せて隠居するも、これまでの充実した日々から一転、張り合いのない生活に嫌気がさしていた。幼馴染の小夏との再会をきっかけに、「自分のやりたいこと」は何かを考えた末、家族の反対を押し切って茶屋「蒲公英」を開店。五十五歳にして初めての商売、町家暮らしに戸惑いながらも、料理上手で聞き上手なさゆのもとには、悩みを持つ人が訪れるようになり――。長年の武家奉公で鍛えた料理の腕と生きる知恵で、江戸の人びとの心を癒やす人情時代小説。文庫オリジナル。 〈目次〉第一話 桜ほろほろ 第二話 蕗に筍、宵の風 第三話 花かつお、香る 第四話 ツツジの花が咲く前に 第五話 茜色の夕暮れ
  • 暁天の星
    4.0
    坂本龍馬に愛され、認められた男・陸奥宗光――。明治新政府では県知事などを務めるも、政府転覆を企てたとして投獄されてしまった陸奥。そんな彼の才能に目を留め、花開かせたのは、時の総理大臣・伊藤博文だった。外務大臣として入閣した陸奥は、日本を欧米列強に伍する国家にすべく奔走し、不平等条約の改正に尽力する。そして、日本の尊厳をかけて強国に挑まんとする陸奥を支え続けたのは、妻の亮子だった。本書は、著者が最期に「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら綴った長編小説。残念ながら未完ではあるが、著者の歴史作家としての矜持を感じ取れる貴重な作品である。陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の著者の想いは、長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。
  • 風神館の殺人
    3.5
    高原の保養施設「風神館」に集まった十人の男女。彼らの目的は、自分たちを不幸に陥れた企業の幹部三名に、死を以って償わせること。計画どおり一人目を殺害したあとに、彼らが目にしたのは、仲間の一人の変わり果てた姿だった。誰かが裏切ったのか!? 仲間の死を警察に通報すれば、復讐計画が頓挫してしまう。外部との連絡が遮断された館で、皆が疑心暗鬼にかられる中、さらに仲間が殺されて……。猜疑と信頼が交錯する密室ミステリの秀作。『崖の上で踊る』を改題。
  • ねじれた過去 京都思い出探偵ファイル
    3.8
    遊園地に残されたカメラ、撮影現場から失踪した斬られ役、喫茶コーナーで倒れた記憶喪失の男――わずかな手がかりから人生の謎を解き明かし、ねじれた過去を修復するのが、思い出探偵社の仕事。京都府警の刑事だった実相浩二郎、元看護士の一ノ瀬由美、かつて両親を惨殺されたため心に傷を抱える橘佳菜子に、新メンバーを加えた探偵社の面々が繰り広げるハートフル・ミステリ。シリーズ第二弾。

    試し読み

    フォロー
  • 我、弁明せず
    4.2
    明治・大正・昭和と、三井財閥のトップとして、日銀総裁として、大蔵兼商工大臣として、怒濤の人生を走り抜けた池田成彬――。しかし、日本の財界をリードしつづけたその業績と較べると、彼の名前はあまりにも知られていない。金融恐慌、2・26事件、そして太平洋戦争と、逆風吹き荒れるなか、世間の悪評を物ともせずに突き進み、歴史の荒波に消えていった池田成彬の人生に光を当てた長編小説。

    試し読み

    フォロー
  • 天明の密偵 小説・菅江真澄
    4.0
    日本民俗学の先駆者として知られ、各地の風俗・民俗などを日記体で詳細に書き記し、200冊以上の書物を残した菅江真澄。三河・吉田宿の御師の次男に生まれ、国学者で藩の御用商人でもあった植田義方のもとで勉学に勤しんだ彼は、岡崎へ出て和歌を、名古屋では絵画と本草学を身につけた後、30歳で古里を後にして長い旅に出る。当時は、天明の大飢饉や浅間山の大噴火などの天変地異、賄賂にまみれ、幕府を意のままに動かす老中・田沼意次と松平定信ら譜代衆の対立、松前藩問題と北方ロシアの脅威など、幕藩体制が大きく揺らいだ激動の時代だった。そんな中、彼は何を求めて、信濃、出羽、陸奥、そして蝦夷地へと旅をしたのか――。彼を蝦夷地へと駆り立てたものは何だったのか――。本書は、立身出世を願うも叶わず、生涯を旅に生きざるをえなかった菅江真澄の虚実入り交じった人生をミステリーの手法で掘り起こしながら、彼の秘密に迫った傑作歴史小説である。

    試し読み

    フォロー
  • 星をつなぐ手 桜風堂ものがたり
    4.5
    桜野町にある桜風堂書店を託され、仲間たちとともに『四月の魚』をヒットに導いた月原一整。しかし地方の小さな書店だけに、人気作の配本がない、出版の営業も相手にしてくれない、などの困難を抱えることに。そんな折、昔在籍していた銀河堂書店のオーナーから受けた意外な提案とは。そして桜風堂書店を愛する人たちが集い、冬の「星祭り」の日に、ふたたび優しい奇跡が巻き起こる。『桜風堂ものがたり』感動の続編。
  • 幕間のモノローグ
    3.5
    その“芝居”には、裏がある。巧妙にはりめぐらされた伏線を一行たりとも見逃すな。『教場』の著者が贈る、驚愕の連作短編ミステリ。顔を売りたいはずの「斬られ役」の俳優は、なぜカメラに背を向けて倒れたのか。俳優のマネージャーが「わざと」自動車事故に遭ったのはなぜか――。演劇学校の講師であり、ベテラン俳優でもある南雲草介は、ドラマや映画の撮影現場で起こるさまざまな事件やトラブルを鮮やかに解決していく。だが、演技に潜む「罪」を見抜く南雲にも、ある秘密が隠されていた。役者たちの「業」を描いた著者渾身の傑作ミステリ。
  • 怪談都市ヨモツヒラサカ
    3.7
    ダイヤにない時間に来る地下鉄、死者の声が聞こえるマンホール……。それはすべて、あの世への入り口。高校生の石津南美は、そりの合わない家族やクラスメイトに囲まれながら、退屈な毎日を送っていた。そんな時、南美は黒塚亜莉沙という美しい少女と出会う。二人はすぐに打ち解けるが、ある日亜莉沙は、異形の者がひしめく電車に乗り込み、南美の目の前で何処かに消えてしまった。南美は、亜莉沙を救い出すことを誓うが――。異界に通じる場所「ヨモツヒラサカ」の秘密を追う、傑作ホラー小説! 文庫オリジナル。
  • 三兄弟の僕らは
    4.2
    両親は死んだ。ある「秘密」を僕らに遺して――。愛情深い父母の元、平凡な毎日を送ってきた稲野家の三兄弟。しかし彼らは、ある日突然、両親を交通事故で亡くしてしまう。そんな三兄弟の家に、ほとんど面識のなかった母方の祖母がやってきた。彼らは戸惑いながらも祖母と暮らすうちに、近隣の住民のトラブルや、自分たち兄弟の関係、そして亡き父母が遺したとんでもない「秘密」とも向き合うようになり……。「東京バンドワゴン」「すべての神様の十月」シリーズの著者が贈る、若き三兄弟の成長を描いた心温まる家族小説。
  • ほかに好きなひとができた
    3.6
    この男の「好き」は、なにかがおかしい――。第4回小説現代長編新人賞を受賞してデビューし、『嫁の遺言』『四百三十円の神様』などが話題の著者が贈る、戦慄の傑作サスペンス。「ほかに好きなひとができた」。次から次へと女性とつきあい、すぐにそう別れを告げる男・神崎登吾。彼から唐突に別れを切り出された一人である仁村萠は、その言葉を受け入れられず、姿を消した登吾を追い、彼に関係のある人物たちを訪ねてまわる。神崎登吾に運命を捻じ曲げられた人々の証言から、彼がかたくなに語ろうとしなかった過去が、徐々に浮き彫りになっていく。そして萠が最後に辿り着いてしまった、衝撃の真実とは。『好きなひとができました』を改題。
  • 灼熱
    3.6
    医者である英雄と一見、幸せな結婚生活を送る絵里。しかし彼女は本当の名前を咲花子といい、英雄が元夫を殺した証拠を探していた。一年半前、咲花子は刑事から当時の夫が転落死したこと、何件もの詐欺を働いていたことを知らされる。詐欺師の妻として彼女自身もマスコミに叩かれる中、夫殺しの容疑者だった英雄の不起訴が確定。希望を失った彼女は、自殺サイトで知り合った絵里という女性と自殺を試みるが、咲花子だけが生き残ってしまう。咲花子は絵里の個人情報を使って身分を変え、英雄に復讐することを決意するが……復讐に生きる女性の情念を描いた愛憎のミステリー!
  • 天方家女中のふしぎ暦
    4.0
    奥様は幽霊!? 『帝都メルヒェン探偵録』の著者が贈る、うるっときてきゅんとする、幽霊×女中の新たな物語! 昭和五年、天涯孤独の少女・結月は霊感が強いことから周囲の人に気味悪がられていた。奉公先を追い出され、田舎から帝都・東京に出て仕事を探していた結月は、天方家で女中として雇われることに。天方家は、穏やかな主人の涼、朗らかで天然な奥様の閑子、素っ気ない息子の漣の、一見普通の三人家族。しかし実は、怪現象が次々起こることから、女中がすぐに辞めてしまう、いわくつきの家であった。働き始めた結月の日常は、主人の怪しい仕事を手伝わされたり、息子の式神に見張られたり、庭の大蝦蟇に話しかけられたり、子犬の霊につきまとわれたりと、奇怪な出来事に大忙し。しかし天方家には、さらに何か大きな秘密があるようで……。結月が女中として働く天方家をめぐる、不思議な日常と奇妙な事件を描いた傑作和風ファンタジー。エブリスタ人気連載、待望の電子書籍化!
  • ジンリキシャングリラ
    3.6
    “北陸の小江戸”と呼ばれる町で、父と二人暮らしの高校一年の雄大は、イケメンなのに女子が苦手でちょっぴり喧嘩っ早い。入学早々、先輩と衝突して野球部を追われるが、可愛い先輩に誘われるまま人力車部へ入ることに。そこには、人気者だがモテない部長、男前すぎる女性車夫、サボりの天才など、個性溢れる仲間がいて……。青春のきらめきと甘ずっぱさを描いた感動の物語。書き下ろし短篇「浅間くんのお父さん」を収録。
  • 駒子さんは出世なんてしたくなかった
    3.8
    えっ、私が部長になるの!? 「女性の出世」が会社に巻き起こす波乱とは。ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者が贈る、働くすべての人のための痛快お仕事小説。水上駒子42歳。出版社で働く管理課課長。専業主夫の夫と高校生の娘あり。彼女の平穏な毎日に突然降りかかった辞令。しかしそれは、もう一人の女性課長と競い合い、勝ったほうが部長になる、というものだった。異例の昇進に、社内をかけめぐる噂と悪口。足を引っ張る年上の部下と、同性のライバル。セクハラ、パワハラの横行する男社会で、駒子はどう戦うのか。
  • 火花散る おいち不思議がたり
    3.5
    菖蒲長屋で赤子を産み落とし、消えた女――。不思議な能力を持つ娘おいちは、その女の聞こえるはずのない叫びを聞いてしまう。岡っ引・仙五朗らと力をあわせ、女を捜していたおいちのもとに、女が惨殺され、無残な姿で見つかったとの報せが――。傷痕から見えてきた女の正体、女が抱えていた事情、そして母を亡くした赤子の運命は? 一方、松庵のもとには、老舗の薪炭屋の主人と内儀がやって来て、母おきくの病を治してほしいと懇願する。一見、なんの関係もないかに思われた二つの出来事だが――。父・松庵のような医者になりたいと願うおいちは、夢に向けた一歩を踏み出すことができるのか。そんなおいちに想いを寄せる新吉、凄腕の岡っ引・仙五朗、そして個性的なキャラである伯母のおうたも健在。人気の青春「時代」ミステリー第四弾。
  • 花は咲けども噺せども 神様がくれた高座
    4.3
    「立川談志」の落語に魅せられた杉崎は、勤めていた会社を辞め、落語家を目指した。異例ともいえる七年の前座修業ののち、なんとか二つ目になり、「山水亭錦之助」と命名されるも、食えない日々が続いていた。「人生の選択を誤ったな」と嗤う大学時代の友人、OBらを後目に、がむしゃらに高座へと上がり続ける錦之助に、ある日、末期ガン患者の前での落語を、との打診があり……。慶應義塾大学出身として話題の現役落語家が、自らの体験を基に綴る、真打ち目指して奮闘する男の、笑いと涙の、心に沁みる人情物語。文庫オリジナル。
  • 猫のいる喫茶店の名言探偵
    3.7
    うだつが上がらない平凡すぎる新米弁護士のノリは、東京・谷中にある猫のいる喫茶店の一角で事務所を開いた。秘書を務めるのは弟のノリ。シュッとしたイケメンだが、名言大好きの変わり者。事務所に持ち込まれてくるのは、嫁姑問題の愚痴や落書きの犯人探しから、前科者に対する立ち退き交渉、遺産相続のトラブルまでさまざま。そこに絡んだ謎や人々の悩みを、兄弟で力を合わせ、名言を使って解決していく。古今東西の名言が満載の、思わず涙がこぼれる連作ミステリー。『名言探偵』を改題。 ※本文中に出てくる名言には誰の言葉であるかが明記されていますが、それとは別に、各話に“隠し名言”なるものを盛り込んでいます。登場する人や物がヒントになっていますので、それにまつわる名フレーズ(セリフや歌詞)を探してみて下さい(一部、アレンジされているものもあります)。
  • 青鬼(PHP文芸文庫)
    -
    ゲームから、映画、アニメ……。一大ムーブメントを巻き起こし、大人も子供も夢中になったフリーゲーム「青鬼」。公式ノベライズの第一弾、待望の文庫版を電子書籍化。大人気ゲームの魅力が存分に盛り込まれているとともに、小説オリジナルの要素も加わった、ゲームを知らない人も楽しめるホラーミステリー作品になっている。「もしかして私たち、ここに閉じ込められちゃったんじゃないの?」転校生のシュンは、化け物が出ると噂のある街外れの洋館〈ジェイルハウス〉の前でクラスメイトと出会い、その不気味な館へと忍び込んだ。20年間無人のはずの館内に響き渡る怪しげな物音、こちらを覗き込む血走った目玉、突然転げ落ちる甲冑の首……。怪現象を目の当たりにし、恐怖にかられた中学生六人は、逃げ出そうと玄関に向かうが、扉はびくとも動かない。脱出を試みる彼らに、正体不明の巨大な青い影が忍び寄る――。
  • 占い日本茶カフェ「迷い猫」
    3.8
    一杯の温かいお茶が、不思議とその悩みに効きますよ。猫を連れた女性が日本各地で開く「出張カフェ」の物語。ご当地のお茶、器、お菓子の情報も盛り沢山! 日本全国津々浦々を愛猫のつづみを連れて巡りながら、小さなスペースを間借りしたり、ギャラリーやイベントの一角に招かれたりして、出張カフェ「迷い猫」を営んでいる如月たんぽぽ。占い師としての顔も持つ彼女は、ご当地のお茶、お菓子を出しつつ、訪れる客の悩みを聞いていく。そして彼女自身も各地で「あるもの」の行方を探していた……。心がほんのり温かくなる癒し系連作短編集。
  • 左近(上)
    4.0
    1~2巻730円 (税込)
    我、昇竜たらん――。大和国(やまとのくに)を治める筒井家で、その剛直さと胆力を認められた島左近清興(きよおき)は、若くして侍大将に取り立てられる。そんな中、梟雄(きょうゆう)・松永弾正久秀が大和に攻め入ってきた。次々に城を落とされ窮地に陥る筒井家にあって、左近は、松永勢を相手に獅子奮迅の働きをするが……。下剋上の時代に義を貫き、のちに「三成に過ぎたるもの」と謳(うた)われた乱世の申し子・島左近の生き様を渾身の筆致で描いた長編小説。著者急逝のため、絶筆となった力作長編だが、文芸評論家・縄田一男氏も「未完ではあるが、読み応え充分」と太鼓判を押す、大河ドラマ『天地人』原作者の最高到達点。
  • 京都東山「お悩み相談」人力車
    -
    写真家の夢を諦め、人力車の車夫をしているショーケンは、彼女に愛想を尽かされ、面倒な新人の教育係を押し付けられる等、冴えない毎日を送っていた。しかも人力車に乗ってくるお客は、なぜかずっと仏頂面な女子や、人力車デートでの告白をもくろむ女性、忍ぶ恋を抱えた老婦と訳ありの客ばかりで――。お節介で不器用なショーケンが、自らの将来に迷走しつつも都大路を疾走、彼女たちの悩みを、ちょっと変わった京都案内で解きほぐす!? エブリスタで連載され、大人気の青春ストーリー、待望の書籍版を電子書籍化。
  • ナイン 9つの奇跡
    4.0
    野球大好きの老若男女で結成された、9人だけの草野球チーム「ジンルイズ」。20歳の学生から81歳の老人まで、職業もラーメン屋店長、会社経営者、元プロ野球選手と様々だ。しかし彼らは勝負にこだわらない。様々な事情で過去に野球を断念しているジンルイズ・ナインにとっては、「野球を楽しむ」ことこそ第一なのだ。ある日、ジンルイズのオーナー吉見高志(8番レフト)は、遠藤と名乗る不思議な老人と出会う。遠藤の魔法と計らいによって、ジンルイズは全日本野球選手権大会の地区予選に出場することに。一回戦、二回戦、と奇想天外な試合運びで勝ち進むジンルイズ。遠藤の魔法のおかげなのか、それとも……。本書は『翼はいつまでも』で坪田譲治文学賞を受賞した著者が、野球を題材にした長編小説。物語の展開とともにナイン一人一人に起こり始める「小さな奇跡」を通じ、人生の応援歌として描いた大人のためのファンタスティック・ストーリー。
  • 東京カウガール(PHP文芸文庫)
    3.8
    彼女を知りたい。できるなら、救いたい――。『東京バンドワゴン』の著者が描く、もうひとつの東京物語。夜の街に頻発する、「半グレ集団」をターゲットにした謎の連続暴行事件。カメラマン志望の大学生・木下英志は偶然その現場に居合わせ、反射的に動画を撮影してしまう。そこには圧倒的な強さで、屈強な男たちを叩きのめす一人の美しい女性が映っていた。後日改めて動画を見た英志は、その女性に見覚えがあることに気が付く。彼女は一体何者なのか。そしてその目的を知った英志の決断とは――。著者新境地の青春ミステリ。
  • 逃亡刑事
    4.2
    県警内部、全員敵!? 「どんでん返しの帝王」が贈る、息をもつかせぬノンストップ・ミステリー。単独で麻薬密売ルートを探っていた刑事が、銃で殺された。千葉県警刑事部捜査一課の高頭班が捜査にあたるが、事件の真相を知った警部・高頭冴子は真犯人に陥れられ、警官殺しの濡れ衣を着せられる。自分の無実を証明できるのは、事件の目撃者である八歳の少年のみ。少年ともども警察組織に追われることになった冴子が逃げ込んだ場所とは!? そして彼女に反撃の手段はあるのか!? 息をもつかせぬノンストップ・ミステリー。
  • 墨龍賦
    3.8
    建仁寺の「雲龍図」を描いたことで知られる海北友松(かいほう・ゆうしょう)は遅咲きの絵師だが、山水図屏風、竹林七賢図、花卉図屏風、寒山拾得・三酸図屏風など、すばらしい作品を遺している。しかしそこに至る道は、決して平坦ではなかった。近江の浅井家に仕えていた実家・海北家が滅亡。武士に戻りたくとも戻れず、葛藤を抱きつつ絵師の道を選び取った友松は、明智光秀の片腕・斎藤利三と出会い、友情を育んでいく。その利三が仕える光秀が信長に叛旗を翻す。本能寺の変――。しかしその天下は長く続かなかった。利三の運命は……。武人の魂を捨てきれなかった友松は、そのとき何を考え、どんな行動をしたのか。苦悩の末、晩年にその才能を花開かせ、安土・桃山時代の巨匠・狩野永徳と並び称されるまでになった男の生涯を描く傑作歴史小説。著者・葉室麟が、デビュー前から書きたかった人物を、円熟の筆で描き上げている。解説は、作家の澤田瞳子氏。
  • 賤ヶ岳七本槍
    -
    織田信長の後継者となるべく、羽柴秀吉が柴田勝家に挑んだ天正11年(1583)の「賤ヶ岳の戦い」。この一戦で秀吉の若き七人の旗本が戦場を駆け巡り、功名をあげた。加藤清正、福島正則、加藤嘉明、片桐且元、脇坂安治、平野長泰、糟屋武則――世にいう「賤ヶ岳七本槍」である。しかし慶長3年(1598)、天下人・秀吉が没したことで、七人の運命は大きく分かれていく。豊臣から徳川の時代へ。武名を謳われた彼らそれぞれの視点で、その生きざまを描いた連作短篇集。
  • 百年先が見えた男
    3.7
    すごい経営者がいた! 日本オリジナルの合成繊維の事業化、そして国交回復前の中国へ――。敗戦後の日本人の誇りを取り戻させた大原總一郎の激動の人生を描いたノンフィクションノベル。松下幸之助に「美しい経済人」と評された稀代の経営者・大原總一郎――。数々の分野でシェアNo.1を誇る企業=現在のクラレを創り上げた男の生涯は、波乱に満ちたものだった。国産第一号の合成繊維「ビニロン」の事業化や、国交回復前の中国へのプラント輸出……。激動の昭和史を背景に、“百年先が見えた経営者”と言われた男の生涯を描く感動の企業小説。『天あり、命あり』を改題。
  • ぼくたちは神様の名前を知らない
    3.0
    無意味で残酷な世界の前で、彼らが取り戻そうとしたもの。それは、つまり、希望だ――。東日本大震災がきっかけで、離れ離れになった幼馴染の六人。中学三年生になったある日、東京で暮らしていたセータの下に、仲間の一人が投身自殺をしたという知らせが入る。当時の担任とともに現場である北海道の岬に向かった五人だが、その帰りに橋から車ごと落下する事故が起きてしまい……。過酷な運命に翻弄されながらも、現実を受け止め、前を向こうとする少年たちの「再生」を描いた感動の長編小説。解説は、いきものがかり・水野良樹氏! 『蘇生』を改題して、加筆。
  • 調印の階段 不屈の外交・重光葵
    -
    終戦70年、いま読むべき本No.1!! 「外交の最前線で戦い続ける姿に、涙が止まらなかった」前中国大使・丹羽宇一郎氏(解説より) 31年、駐華公使・重光葵は上海でテロに遭い、右脚を失う。そこからの彼の人生は、目前に立ちはだかる“階段”を昇り続けるものだった。外交の第一線に復帰し、孤立する日本を救うため日中戦争を終結させようとするも、戦局は悪化。敗戦直後、再び外務大臣になると、日本史上、最も不名誉な“仕事”である降伏文書への調印を引き受け、マッカーサーとの交渉に挑むのだった――。昭和の外交官・重光葵の知られざる生涯に光を当てた長編小説。

最近チェックした本