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1923年に完成した帝国ホテル二代目本館、通称「ライト館」。“世界一美しいホテル”“東洋の宝石”として絶賛された名建築だが、完成までの道のりは、想像を絶するものだった――。二十世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトによる飽くなきこだわり、現場との対立、難航する作業、襲い来る天災……。次々と困難が立ちはだかったが、男たちは諦めなかった。ライト館の建築に懸けた者たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説!
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Posted by ブクログ
面白かった! いろんな人の思いや紆余曲折があったんだなとしみじみした。今の帝国ホテルが建て替え工事に入る前に、ゆっくり観に行こうと思った
帝国ホテルの建物を明治村へ移すという話から始まるが、ほとんどは帝国ホテル二代目本館、通称『ライト館』の建築にまつわる話である。フランク・ロイド・ライトが設計した傑作建築として有名だが、帝国ホテル支配人の林愛作とライトの弟子である遠藤新の二人をメインに描いている。建築中に二度の火災があり、オープンの日...続きを読むが関東大震災とは驚き。
帝国ホテルに以前宿泊したことがあり、日本三大ホテルなだけあってサービスや建物がとても素晴らしい迎賓館だと感動した。そんなときに本書を知り、興味を持ったため読んでみたが、読みやすく想像以上に面白くて夢中になった。 帝国ホテルの歴史について、初代は渋沢栄一が設立したということぐらいしか知らなかった。 帝...続きを読む国ホテルライト館は、渋沢栄一と初代帝国ホテルを設立したときの片腕であった大実業家の大倉喜八郎により林愛作が支配人に抜擢され、設計を世界建築三大巨匠のフランク・ロイド・ライトに依頼した新館である。ライトの助手を遠藤新が務め、その後は息子である楽がライトの日本人最後の弟子となった。 ライト館はフランク・ロイド・ライトの物凄い拘りが詰まった名建築なのだと知った。大谷石やテラコッタに施された多彩な幾何学模様や数々の彫刻と装飾、黄色いレンガ(スダレ煉瓦)など拘り抜かれており、建築に関わった多くの人々のとてつもない熱い闘いが痛いほど伝わってきた。そして、幾度も火事や地震に見舞われ、途方もない苦労があったことも。ライト館の副支配人であった犬丸徹三が林愛作の後継となり、その後安全面を考慮し閉館し解体が決まった。その時に明治村に玄関とロビーだけでも移築するという話が出て、様式保存という形で後世まで受け継がれることになった。そこまでするほど後世に残したい素晴らしい建築なのだ。 この物語を知った今、もうライト館に宿泊することはできないが、ぜひ一度明治村に足を運び、実際にライト館の拘り抜かれた唯一無二の建築の魅力をこの目で感じたいと思った。また、今まではあまり宿泊施設の建築について見ていなかったなとふと思った。今後、旅行の際は、有名な建築家が設計した拘りの詰まった一流のホテルに宿泊し、質の高い建築やサービスを楽しむのも良いなと思った。
久しぶりに丸善 丸の内本店に寄る機会があったので、「ジャケ買い」ならぬ「タイトル買い」で本書を購入。ページを繰れば今をときめく渋沢栄一が出てきて、更に彼の盟友、大倉喜八郎が出てくるではないか。大倉喜八郎はあらゆるジャンルの人にその名を知らしめる人物であるが、山登りをする人であれば赤石岳に至る「大倉尾...続きを読む根」(赤石岳東尾根)あるいは赤石岳への大名登山として知られている人物であり、自分もその一人であった。 本書の中心人物はフランク・ロイド・ライトと林愛作なのだが、物語の前半で上記有名人2人の登場となり自分はあっという間に釣られてしまった。更には舞台となる帝国ホテル東京は以前勤めていた会社のすぐ近くで、親近感も大いに刺激された。 帝国ホテルの通称「ライト館」の建設には多くの試練があり、それを乗り越えて竣工に至るのであるが、そこに絡んでくる大倉喜八郎がどうしても気になってしまって、帝国ホテル=大倉喜八郎のホテルという図式が頭の中に形成されてしまった。その延長で帝国ホテル「ライト館」が移設された明治村にも興味が湧いた。いつか訪れてみたいと思う。
タイトルに惹かれて何気なく手に取ってみた本だけど、とても良かった。 大正期に仕事感の全く違う外国人とコミュニケーションを取るのは想像を絶するくらい大変なことだっただろう。日本古来の職人は自らの経験に基づいた感覚で作り上げる。一方の欧米人技術者は職人に対して要求を忠実に守ることを求める。日本の職人と...続きを読む海外からやって来た設計士や技師とのぶつかり合いは常に一触即発で、読んでいてハラハラした。よくぞ開業まで漕ぎ着けたものだ。 フランク・ロイド・ライトの名前や作品は知っていたけれども、彼の性格や作品に込めた並々ならぬ思いまでは知らなかった。帝国ホテル・ライト館は幾多もの難局を乗り越えて完成した、奇跡の作品だと思った。
ライト館の建築から明治村へ移築されるまでに、これほど多くの人が関わり、長い年月を要したことに驚きました。 日本人の技術の高さ、ライトの強い拘り、凄まじい労力の結晶を是非私もこの目で見てみたいし、諦めずに明治村への移築を実現してくれた方々に感謝をせずにいられません。 もし最後までライトが指揮をとり完全...続きを読むなるライト館ができていたらと思うと悔しいですが、膨れ上がった総工費がとんでもなく莫大で、むしろよくもっと早くに解雇されなかったなと、、、。 いくつもの困難を乗り越えながらもライト館が建築されたことも、それを明治村に移築されたことも、長い年月の中で途方に暮れて誰がいつ投げ出してもおかしくないのに実現に至ったのは、ひとえに日本人の心意気だと感じました。
いやー、まいった、驚いた、面白かった。 昨年豊田までフランク・フロイド・ライト展を観に行ったけど先に読めばよかったと激しく後悔。林愛作が本書では触れられていないけど勤務先の設立にもかかわっていてこれまたびっくり。 2024-014
『帝国ホテル建築物語』 帝国ホテル2代目本館の建築前、建築中、そして取り壊し、移設の物語です。また、同時に、それを支えた多くの人たちの物語でもあります。 ーーーーーーーー 【建築費】 設計・施工費は当初130万円でした。しかし、最終的な設計・施工費は900万円となりました。 調達は、増資および銀...続きを読む行からの借り入れでした。いかに資金繰りが大変であったのか?がわかります。 ーーーーーーーー 【施工年月】 1916年に帝国ホテルと設計者;フランク・ロイド・ライト氏で契約が締結されます。着工は1919年です。3年の月日が経過したのは、周辺用地の買収に時間を要したためです。そして、オープニングは1923年9月1日です。着工から4年もの月日が経過したのでした。オープニング当日には、関東大震災に見舞われるなどの災難も重なりました。 ーーーーーーーー 【竣工までの壁】 1;用地買収 まず、用地買収に時間を要します。施工した年代は大正です。したがって、江戸・明治時代から長く住み続ける政治家らとの調整に時間を要したのです。 2;基礎工事 日比谷界隈は江戸時代に埋め立てをした土地です。したがって地盤が弱いです。掘れば地下水が湧き出るという具合です。セメントの流し込みも困難な厳しい工事となりました。 3;煉瓦 設計者ライト氏は、デザインに加えて素材にもこだわります。その一つが煉瓦でした。煉瓦づくりを委託した職人が、技術はあるが、お金癖が悪い性質の人物でした。そのため、資金を提供してもなかなか「もの」が納品されない日々が続きました。 4;設計と現場の軋轢 当時の日本の建築技術は欧米と比較すると決して水準が高いとはいえませんでした。そのため、ライト氏の高い技術的要求に対して、現場の職人が疲弊してしまうことが重なりました。 ーーーーーーーー 【読み終えて】 この小説は、帝国ホテル二代目本館の建築に関わった多くの人々の苦労や努力、思いや夢を描いています。ライト氏はもちろんのこと、帝国ホテルの支配人であった林愛作や、ライトの弟子であった遠藤新などの人物が印象的です。 彼らは、理想と現実、経営陣と現場、政治と民間などの対立や葛藤に直面しながらも、自分の信念や使命感を貫きました。 その結果、帝国ホテル二代目本館は、日本の近代化や文化の象徴として、長く人々に愛される建物となりました。 しかし、時代の変化や経済の事情により、1976年に取り壊されることになりました。その後、一部が明治村に移設され、現在も見ることができます。この小説は、建築の物語とともに、人間の物語でもありました。
またもや素敵な作品に出会ってしまった。 「帝国ホテル」にまつわる知られざる熱く壮大な物語。 ホテル支配人、建築家、石工や瓦職人たち、焼き物師など、この建物に一体どれだけの人の想いが詰まっているんだろう…。 長い年月をかけて完成した建築なので、去る者もいれば、意志を受け継ぐ者もいる。 完成までの苦難...続きを読むの道のりを知ると、その重みを感じるし、奇跡にも思える偉業に心を動かされずにいられない。 世界の多くの人を魅了したこれまでにない美しいホテル、感動をもたらした名建築。 ついに完成したときは、もう感無量!! 濃い読書時間を堪能しました。 現在は、愛知県の博物館「明治村」に「帝国ホテル中央玄関」のみ様式保存されているようです。 作品を思い出しながらスダレ煉瓦や彫刻などの細部まで、いつかこの目で是非見てみたいなぁ。
ホテルや家の作り方、建築家、それぞれの職人たちについて初めて知る事ができた実話。これを読めば実際に帝国ホテルを見た時、感じられる事が大幅に変わると思う。 初めて見に行きたいと思った。 フランクロイドライト。
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植松三十里
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