【感想・ネタバレ】帝国ホテル建築物語のレビュー

あらすじ

1923年に完成した帝国ホテル二代目本館、通称「ライト館」。“世界一美しいホテル”“東洋の宝石”として絶賛された名建築だが、完成までの道のりは、想像を絶するものだった――。二十世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトによる飽くなきこだわり、現場との対立、難航する作業、襲い来る天災……。次々と困難が立ちはだかったが、男たちは諦めなかった。ライト館の建築に懸けた者たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説!

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Posted by ブクログ

面白かった!
いろんな人の思いや紆余曲折があったんだなとしみじみした。今の帝国ホテルが建て替え工事に入る前に、ゆっくり観に行こうと思った

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

帝国ホテルの建物を明治村へ移すという話から始まるが、ほとんどは帝国ホテル二代目本館、通称『ライト館』の建築にまつわる話である。フランク・ロイド・ライトが設計した傑作建築として有名だが、帝国ホテル支配人の林愛作とライトの弟子である遠藤新の二人をメインに描いている。建築中に二度の火災があり、オープンの日が関東大震災とは驚き。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

帝国ホテルに以前宿泊したことがあり、日本三大ホテルなだけあってサービスや建物がとても素晴らしい迎賓館だと感動した。そんなときに本書を知り、興味を持ったため読んでみたが、読みやすく想像以上に面白くて夢中になった。
帝国ホテルの歴史について、初代は渋沢栄一が設立したということぐらいしか知らなかった。
国ホテルライト館は、渋沢栄一と初代帝国ホテルを設立したときの片腕であった大実業家の大倉喜八郎により林愛作が支配人に抜擢され、設計を世界建築三大巨匠のフランク・ロイド・ライトに依頼した新館である。ライトの助手を遠藤新が務め、その後は息子である楽がライトの日本人最後の弟子となった。

ライト館はフランク・ロイド・ライトの物凄い拘りが詰まった名建築なのだと知った。大谷石やテラコッタに施された多彩な幾何学模様や数々の彫刻と装飾、黄色いレンガ(スダレ煉瓦)など拘り抜かれており、建築に関わった多くの人々のとてつもない熱い闘いが痛いほど伝わってきた。そして、幾度も火事や地震に見舞われ、途方もない苦労があったことも。ライト館の副支配人であった犬丸徹三が林愛作の後継となり、その後安全面を考慮し閉館し解体が決まった。その時に明治村に玄関とロビーだけでも移築するという話が出て、様式保存という形で後世まで受け継がれることになった。そこまでするほど後世に残したい素晴らしい建築なのだ。

この物語を知った今、もうライト館に宿泊することはできないが、ぜひ一度明治村に足を運び、実際にライト館の拘り抜かれた唯一無二の建築の魅力をこの目で感じたいと思った。また、今まではあまり宿泊施設の建築について見ていなかったなとふと思った。今後、旅行の際は、有名な建築家が設計した拘りの詰まった一流のホテルに宿泊し、質の高い建築やサービスを楽しむのも良いなと思った。

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

久しぶりに丸善 丸の内本店に寄る機会があったので、「ジャケ買い」ならぬ「タイトル買い」で本書を購入。ページを繰れば今をときめく渋沢栄一が出てきて、更に彼の盟友、大倉喜八郎が出てくるではないか。大倉喜八郎はあらゆるジャンルの人にその名を知らしめる人物であるが、山登りをする人であれば赤石岳に至る「大倉尾根」(赤石岳東尾根)あるいは赤石岳への大名登山として知られている人物であり、自分もその一人であった。
本書の中心人物はフランク・ロイド・ライトと林愛作なのだが、物語の前半で上記有名人2人の登場となり自分はあっという間に釣られてしまった。更には舞台となる帝国ホテル東京は以前勤めていた会社のすぐ近くで、親近感も大いに刺激された。
帝国ホテルの通称「ライト館」の建設には多くの試練があり、それを乗り越えて竣工に至るのであるが、そこに絡んでくる大倉喜八郎がどうしても気になってしまって、帝国ホテル=大倉喜八郎のホテルという図式が頭の中に形成されてしまった。その延長で帝国ホテル「ライト館」が移設された明治村にも興味が湧いた。いつか訪れてみたいと思う。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて何気なく手に取ってみた本だけど、とても良かった。

大正期に仕事感の全く違う外国人とコミュニケーションを取るのは想像を絶するくらい大変なことだっただろう。日本古来の職人は自らの経験に基づいた感覚で作り上げる。一方の欧米人技術者は職人に対して要求を忠実に守ることを求める。日本の職人と海外からやって来た設計士や技師とのぶつかり合いは常に一触即発で、読んでいてハラハラした。よくぞ開業まで漕ぎ着けたものだ。

フランク・ロイド・ライトの名前や作品は知っていたけれども、彼の性格や作品に込めた並々ならぬ思いまでは知らなかった。帝国ホテル・ライト館は幾多もの難局を乗り越えて完成した、奇跡の作品だと思った。

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2024年07月29日

Posted by ブクログ

ライト館の建築から明治村へ移築されるまでに、これほど多くの人が関わり、長い年月を要したことに驚きました。
日本人の技術の高さ、ライトの強い拘り、凄まじい労力の結晶を是非私もこの目で見てみたいし、諦めずに明治村への移築を実現してくれた方々に感謝をせずにいられません。
もし最後までライトが指揮をとり完全なるライト館ができていたらと思うと悔しいですが、膨れ上がった総工費がとんでもなく莫大で、むしろよくもっと早くに解雇されなかったなと、、、。
いくつもの困難を乗り越えながらもライト館が建築されたことも、それを明治村に移築されたことも、長い年月の中で途方に暮れて誰がいつ投げ出してもおかしくないのに実現に至ったのは、ひとえに日本人の心意気だと感じました。


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2024年04月01日

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いやー、まいった、驚いた、面白かった。
昨年豊田までフランク・フロイド・ライト展を観に行ったけど先に読めばよかったと激しく後悔。林愛作が本書では触れられていないけど勤務先の設立にもかかわっていてこれまたびっくり。
2024-014

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

『帝国ホテル建築物語』
帝国ホテル2代目本館の建築前、建築中、そして取り壊し、移設の物語です。また、同時に、それを支えた多くの人たちの物語でもあります。
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【建築費】
設計・施工費は当初130万円でした。しかし、最終的な設計・施工費は900万円となりました。 調達は、増資および銀行からの借り入れでした。いかに資金繰りが大変であったのか?がわかります。
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【施工年月】
1916年に帝国ホテルと設計者;フランク・ロイド・ライト氏で契約が締結されます。着工は1919年です。3年の月日が経過したのは、周辺用地の買収に時間を要したためです。そして、オープニングは1923年9月1日です。着工から4年もの月日が経過したのでした。オープニング当日には、関東大震災に見舞われるなどの災難も重なりました。
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【竣工までの壁】
1;用地買収
まず、用地買収に時間を要します。施工した年代は大正です。したがって、江戸・明治時代から長く住み続ける政治家らとの調整に時間を要したのです。
2;基礎工事
日比谷界隈は江戸時代に埋め立てをした土地です。したがって地盤が弱いです。掘れば地下水が湧き出るという具合です。セメントの流し込みも困難な厳しい工事となりました。
3;煉瓦
設計者ライト氏は、デザインに加えて素材にもこだわります。その一つが煉瓦でした。煉瓦づくりを委託した職人が、技術はあるが、お金癖が悪い性質の人物でした。そのため、資金を提供してもなかなか「もの」が納品されない日々が続きました。
4;設計と現場の軋轢
当時の日本の建築技術は欧米と比較すると決して水準が高いとはいえませんでした。そのため、ライト氏の高い技術的要求に対して、現場の職人が疲弊してしまうことが重なりました。
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【読み終えて】
この小説は、帝国ホテル二代目本館の建築に関わった多くの人々の苦労や努力、思いや夢を描いています。ライト氏はもちろんのこと、帝国ホテルの支配人であった林愛作や、ライトの弟子であった遠藤新などの人物が印象的です。
彼らは、理想と現実、経営陣と現場、政治と民間などの対立や葛藤に直面しながらも、自分の信念や使命感を貫きました。
その結果、帝国ホテル二代目本館は、日本の近代化や文化の象徴として、長く人々に愛される建物となりました。
しかし、時代の変化や経済の事情により、1976年に取り壊されることになりました。その後、一部が明治村に移設され、現在も見ることができます。この小説は、建築の物語とともに、人間の物語でもありました。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

またもや素敵な作品に出会ってしまった。
「帝国ホテル」にまつわる知られざる熱く壮大な物語。

ホテル支配人、建築家、石工や瓦職人たち、焼き物師など、この建物に一体どれだけの人の想いが詰まっているんだろう…。
長い年月をかけて完成した建築なので、去る者もいれば、意志を受け継ぐ者もいる。
完成までの苦難の道のりを知ると、その重みを感じるし、奇跡にも思える偉業に心を動かされずにいられない。

世界の多くの人を魅了したこれまでにない美しいホテル、感動をもたらした名建築。
ついに完成したときは、もう感無量!!
濃い読書時間を堪能しました。

現在は、愛知県の博物館「明治村」に「帝国ホテル中央玄関」のみ様式保存されているようです。
作品を思い出しながらスダレ煉瓦や彫刻などの細部まで、いつかこの目で是非見てみたいなぁ。

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2023年09月28日

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ホテルや家の作り方、建築家、それぞれの職人たちについて初めて知る事ができた実話。これを読めば実際に帝国ホテルを見た時、感じられる事が大幅に変わると思う。
初めて見に行きたいと思った。
フランクロイドライト。

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2023年08月11日

Posted by ブクログ

植松三十里の帝国ホテル建築物語を読みました。
帝国ホテルは建築界の3大巨匠のコルビュジェ、ミース、ライトのライトの作品です。
建築家を目指す学生なら誰でも知っています。
私も3大巨匠の中でもフランクロイドライトが好きです。
その代表作の一つが帝国ホテルです。
保存の話から始まり、建築の過程がどれほど大変だったかが描かれており面白かったです。
大学の建築学科を卒業するとき、フランクロイドライトの事務所のタリアセンに行く話もあったので、余計親近感があります。
一気に読んでしまいました。

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2023年06月22日

Posted by ブクログ

帝国ホテルが百年以上に渡って果たしてきた役割。それに関わってきた大勢の人たちの思いが詰まっている一冊。その歴史は順風満帆とは言えず数々の苦渋だらけだったが、諦めないで支え続けた人たちにより今に至る。
世界的建築家フランクロイドライトの設計で建てられたライト館の中央玄関だけが愛知県にある明治村に再建移築されている。
今から彼此35年以上前に明治村に行っているので目にしているとは思うが、この本を読んだあとでまた行ってみたくなった。

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2023年05月24日

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読書会のテーマ本だったのですが、全員が大絶賛。

帝国ホテルに関わった人たちの一人一人の物語が凄い!そしてその点と点を壮大な物語として描いた作者は偉大だと感じれる作品でした。

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2023年04月21日

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帝国ホテルのライト館を設計したのはフランク・ロイド・ライトだが、この物語の主人公は支配人の林愛作であり、ライトの助手の遠藤新になる。

ライトをこの2つの核から少し離れて置く事により、彼を一種の神格化或いは天使の様な存在(随分アクの強い天使だが)としたのが、この物語をより面白くさせている要因の1つだと思う。

辰野金吾や伊東忠太、アントニン・レーモンドがバイプレーヤーで出てくるのも楽しいが、プロローグとエピローグに後日譚であるライト館の明治村への移転で谷口吉郎と名鉄社長の土川元夫が尽力するのも感慨深い。

有名無名問わず、キャスティングの妙が光る。無駄な登場人物がいない。何故か「悲の器」に通じものを感じた。

ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

フランク・ロイド・ライトが帝国ホテルを建てた時の話(今は明治村に一部が保存されている。)細部まで凝った意匠だったようで泊まってみたかったな。林 愛作ホテル支配人、ライトの弟子の遠藤 新など多くの日本人の尽力もあった。偉業を成し遂げた人の話を読むのは大変面白い。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

フランク・ロイド・ライトが設計した名建築、帝国ホテル二代目本館、通称ライト館が完成するまでの壮絶な道のりが、ドラマティックに描かれています。こんなにも多くの紆余屈折があったとは思いもしませんでした。自由学園明日館もライトの作品ですね。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

 帝国ホテル・ライト館建設に挑む苦難の歴史。林愛作が再建を引き受ける経緯からライト招聘、ホテルのサービス改革、ライトの難しい要求と真摯な対応、度重なる
天災と、十分な見応えとテンポの物語構成と人物の熱が良かった。愛作や新は勿論、愛作・ライトと常に対立しながらも要所で漢気を見せる大倉喜八郎や石工の棟梁・亀田易平らの熱の描き方が上手かった。
 愛作やライト視点では最後まで見届けることができない不完全燃焼のプロジェクトであり、物語としての帰結は難しかったと思う。愛作が団結を促してから、数十頁
経たずに地震の引責で辞める展開は非常にショックだった。最後は新が責任者として誇りをもって締めたが、支配人としてホテル発展に大きく貢献した犬丸徹三にももっと触れても良かったと思う。
 また、前後の現代(1960~70年代)パートの必要性には疑問。確かにライト館が後世に残した影響を示す効果はあるが、谷口吉郎の掘り下げが長すぎた。序盤などは60年代が舞台なのかと錯覚し、挫折しかけた。エピローグ、プロローグで地の文で数頁で良かったのではないかと思う。
 ただ、犬山市の明治村博物館を知ることができたのは
Good Jobだった。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

フランク・ロイド・ライトのこと、日本の建築の素晴らしさがよくわかった。
建築に関心があるひとにはおすすめ

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2023年11月16日

Posted by ブクログ

物語としても面白く帝国ホテルの歴史としても面白かった。明治村のことは読み終わってから調べた方がネタバレに合わないで済む。東京の有楽町方面に行く前に読んだ方がいい、

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2023年04月26日

Posted by ブクログ

ライトの東京での代表作の一つ。
そのストーリーが余すことなく描かれています。
レイモンドとライトの仲違いの理由が面白い。

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2023年02月25日

Posted by ブクログ

建築プロジェクトものです。読みやすくて面白かった。しかし詐欺だの火事だの地震だの、帝国ホテルは呪われているのかと思うくらい困難の連続。

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2023年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

帝国ホテルというと、自分の結婚式を挙げるときに、「こんな機会はなかなかないから」とウェディング系のイベントに夫と二人で行ったこと(披露宴で出るフルコースが、比較的良心的な価格で食べれる。おいしかった)と、その最後のデザートとして、スタッフの方がずらっと並んで、一皿ずつのデザートにリキュールに火をつけて仕上げをする炎の演出があって、高そうなオプションだなと思ったこと、数年後、友人が帝国ホテルで披露宴をするのに参列したら、その演出があって驚いたこと……なんかを思い出すのだけれど、建物への印象があんまり残っていない。

私が行ったことのある帝国ホテルはもちろん当時のライト館ではなく、印象も違うものなのだろうし、ビルが立ち並ぶのが当たり前になった東京で生きてきたなかでは、また担う役割も変わっているはずだ。

豪華で重厚、きらびやかで、少し敷居が高い。

個人的な感覚を言葉にするならば、そういったあたりだろうか。

最近気づいたことなのだけれど、小説にしてもドラマ・映画にしても、「お仕事もの」が好きだ。お仕事ものというとライトに聞こえるが、仕事をてきぱきと進めていくプロたちの様子を見るのが好きだ。
自覚したきっかけは「シン・ゴジラ」と、あとは「TOKYO MER」だと思う。余計な足を引っ張る人がいなくて、それぞれの役割をきっちりこなして、スムーズに物事が進んでいくところに、ある種の快感がある。

なにせ、現実ではそうはいかない。

で、この作品はお仕事ものではあるけれど、決してプロたちがテキパキとこなしてスムーズに進んでいくような話ではない。
それはどうなのよ、みたいなことが山ほど出てくる。それはおそらく、時代もあるのだろうけれども、今よりももっと曖昧なところも多くて、計算だけでは動かない物事を熱意と想いで動かしていくような物語だった。

いや、この仕事大変すぎない?というのは正直な感想。

こだわりの強すぎる建築家。
そのニュアンスが伝わらない大工や石工。
脆弱な地盤。
相次ぐ火事。
あとから文句をつけてくる重鎮。
足りなくなる資金。

しんっっどい!!!
でもそれらを乗り越えてでも作り上げるんだという気迫があり、建築の知識がなくても分かるほどの建物のすごさが伝わってくる。
技術は大きく進化しただろうけれども、今はもうそういう熱のこもった建物は建たないんだろう。
そしてきっと、現代にまったく同じものを再現しても、同じだけの感動は得られないんだろう。
当時、その時代に、その場で、それを目の当たりにしたからこそ得られる感動は、少し羨ましい。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

ジャンルとしてはノンフィクション…なのかな。
私は古い帝国ホテルを知らないのですが、是非一度は明治村に行ってその光の柱とやらを見てみたいなとおもいました。
明治村の存在もつい最近知ったばかりなんですけれどもね…

建築家の意向で総工事費がどんどん跳ね上がる、というくだりは痛々しいなぁと思いながら読みました。今も建材とか値段上がってますしね…

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2023年12月17日

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