村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2022.05.28~05.29
ほっとする読後感。
丈と京子ちゃんの関係が好き。心の声を言ってくれる、その強さが頼もしい。
そして、中沢先生の「そんなの偽善だよ」の一言。だよね、と思った。私は、マスターたちのような達観した大人ではないので、中沢先生の気持ちの方がわかる。
最近、この作家の作品が私には大人過ぎて、読みづらかった。このシリーズだけは、自分がまだ大人になり切れていない頃の、青臭い思いの「あるある」感のまま続いてほしいと願っていた。
その思い通り、さわやかに終わってくれたことに、深く感謝したい。また、いつかこの続きが読めることを。 -
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Posted by ブクログ
最後のフレーズ「おやすみなさい」は、徹頭徹尾正しい一文だと思った。
帆奈美は、運命の波をさ迷って自分の幸福を見つけられないであろう人ーー元夫·隆一ーーに、さよならではなく、おやすみなさい、と言いたいのだ。電波/音波に乗せて、その過去の魂を鎮魂したい思いなのだろう。
作者は、躍起になっていると思う、「優等生な自分自身」の殻を破ろう、と。ただ、私は思う、無理はしなくとも、向こうからその瞬間はやってくる。しかし、帆奈美には待たせることなどさせなかった。つまり、帆奈美の運命/人生こそが、タイトルの言うところの「燃える波」なのだろう。帆奈美には待てないほどの抜き差しならぬ情熱があり、それが己から殻を破る -
Posted by ブクログ
恋愛小説としての魅力は、自分が男性だからか、ひねくれてるからなのかわからないが、ほぼ皆無に近かった。
ただ、主人公ハナの、都心から離れた南房総ののどかな一軒家での暮らしぶりがずっと胸を打って、見返すために線を何度も引いて読み進めた。
『庭は、人をつなぐ。遠くのひとを、近くする。』興味はあるもののガーデニング一般に労力を割く気になれなかった自分が、深く腑に落ちて、次の引っ越しは植物と暮らすことを決意できた。
こんな生活の中の豊かさを大いに教えてくれるものだった。
幼なじみと再会して、恋人になった、という話だけど、一年をゆっくり巡り、四季折々を丹念に味わうハナの感性を追体験するような小説でもあ -
Posted by ブクログ
あなたは、『初恋』の相手が今どこで何をしているかご存じでしょうか?
誰もが経験する『初恋』。あなたにも私にも、この世に生きる全ての人に『初恋』の経験があると思います。そんな経験をした年齢は異なるでしょう。そんな想いを寄せた相手も当然に異なります。しかし、その言葉を見るだけでもそれが現在進行形でも、過去形になっても人の心の中に特別な想いがよぎるもの、それが『初恋』だと思います。
その一方で、そんな『初恋』は成就することがあるのでしょうか?ライフネット生命が実施した調査によると、『初恋』の相手とゴールイン(結婚、婚約)に至った確率は、なんと1.0%なのだそうです。この値を高いと見るか、低いと -
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『志澤とのセックスで、ほんの何度かだけ垣間見た性愛の極み ー あの境地を、もう一度味わいたいという飢えが、奈津にはある』。
誰もが知っているはずなのに、誰もが嫌いではないはずなのに、そして誰もがその世界を夢見るはずなのに、それでいて人前では決して口にすることのない世界、それが『官能』な世界でしょう。そんな『官能』な世界が描かれた作品をあなたは読んだことがあるでしょうか?
一方で、そんな『官能』な世界を描いた作品は書く側にも悩みがあるようです。”ベッド・シーンをどう書くかということは、非常に悩ましいことでした”と語る村山由佳さんは、その理由を”セックスを通じて、それぞれの男に違う意味合いをも -
Posted by ブクログ
よかったと思います。
素直に、なんか優しい小説でした。
人からまとめてもらって、村山さん連続読みする機会に恵まれているのだけど、これは他のと少し趣きが違ったな。
なんていうか、酷すぎ辛すぎという流れはありつつも、最後はこれは穏やかに終わってたし(笑)。
あと、なんていうのだろう、舞台が完全に外国で、外国人小説家の話を読んでいるような感覚にもなったし。主人公の女性がひたすら内面と向き合って静かに自分を分析し続けてたからかな、全体的に、起こっていることは酷いけど、穏やかでした。
また、ミステリとかではないのに、最後どっちに向かうのか、必ずしも途中では予想のできない展開だったし。
ということで、☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレなんか、ラノベ・漫画みたいだなぁと思った。
文学的な表現は心地よいけど。
この前に読んだ2作より、なんというか、テーマ性?問題?みたいなものが少なかったからかな?
しかし、なんというか、絶望的なストーリーだよ...。苦労と挫折を乗り越えたかと思った矢先、また大挫折(苦労)。。人生にこう何度も苦難はあってほしくないね...。
そして、この作者は、ご本人が芸術思考の強い方なのかな?(まぁ作家ってそういうものかしら)2作前に読んだものと共通して、芸術肌とは、という感性の炙り出しがある気がする。いろいろ苦しみがあって、結局、それが芸術には生きるかも、的な何かが。。 -
Posted by ブクログ
猫に深く関わっている物語もあれば、ほんの一部分にかませて描かれているものもありますが、どれも面白かった。
「世界を取り戻す」
最近猫を亡くした身としては、共感できる部分が多々ありました。日常生活の中で描かれる猫と登場人物の絡みが泣ける。。第1弾もあるのかな?ぜひ読んでみたい
「50万の猫と7センチ」
作者の実家でかっているリアル猫のお話。家族として迎え入れるまでの経緯やとある事件にハラハラドキドキしつつ、最後はハッピーエンドというオチがお気に入り。
「双胎の爪」
猫からこんな風に話が転がるものなんだな、と驚きました。悲しい話の中で追い打ちをかけるストーリーが逸脱。