村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
柔らかく仄かに燃え続ける幻のような小さな火だったり、燻られることなく強かに燃え続ける熱い火だったり。いろんな温度があれど、消すことのできない火を誰もが心の中で燃やし続けている。
物。
物はときに異常な執着を引き寄せることがある。
何よりも大切な物。誰にも理解はされないだろうし、理解されたくないこと。
特に、人と人の間にあった物だったり、誰かが残した物だったり、物を通して人を感じられるような物は、その物が持つ意味以上に大きな意味になって、ひとりじゃ抱えきれなくなることがある。
そのとき、物が物じゃなくなる。
でも『これは物じゃないんです、これは生きていて、襲ったり泣かせたりするんです』と言うと、頭がおかしくなったと思われるだろうから、とりあえず物として扱うことになるだろう。
きっとひどく孤独にあると思う。
この物語では、そんな孤独や喪失に寄り添ってくれる人(結局やっぱり人なんだな)がいて、それがどれだけ尊いものかを感じさせられた。 -
Posted by ブクログ
東京でいじめに遭い、不登校になったゆきのは父方の祖父母のいる長野に移住することになる。
暖かい人たちに囲まれながら、なかなか学校に行かない雪乃に対して苛立ちを感じてしまいました。それは、子供の頃学校に行きたくないのに無理矢理行かされていた自分に対し、雪乃はこんなにも甘やかされて恵まれている環境だということに嫉妬を感じていたからでした。
ただ、読み進めていくと、最後の結末に収束させるためには、この長い長い不登校の期間が必要だったと納得しました。
学校に行かない間、雪乃は祖父母の農作業や父親が始めた納屋カフェの手伝いをするのですが、そこから自然に対する先人の知恵を学んだりして、読者としても学ぶことがあり、そこに別の意味での面白さがありました。
祖父母という地縁を頼りに父親が始めた納屋カフェについて雪乃がなぜそんな無茶をできるのかと尋ねたことに対する返答がまた潔くてよかった。
“挑戦を続けていける秘訣とはつまり、人から褒められたい気持ちに正直でいる、ということ” -
Posted by ブクログ
40代子無し夫婦、夫は美容師、妻は広告代理店で働くキャリアウーマン。
夫が経営する美容室は経営順調とは言えず、客足はまばらだった。妻の方が給料高く、夫は密かに負い目を感じていた。
そんなとき夫の趣味であるサイクリングサークルで1人の女性に出会う。
彼女はネイリストで、やがて夫の美容室で働き始め、彼女の纏う陽のオーラで客足が増え、徐々に美容室経営は軌道に乗る。
あるとき夫と彼女は一線を越え、男女の関係となる。それからは不倫関係にのめり込んでいく...
読後に書いているので表現が合っているか自信がないが、妻の上司が言った「絶対的な長所というものはない」というセリフが印象的だった。
相手への感情次第で、短所を長所だと解釈したり、逆に長所を短所だと解釈する。
人は感情に左右される生き物である。
この物語の夫婦は、相手に対するマイナスの感情を隠し、夫婦生活が円滑に進むように努めていた。それが夫の不倫により、徐々に相手の短所だけが目立ってきてしまい、最終的には夫婦関係が修復不可能になってしまった。
夫婦の形は人それぞれだが、相手の短所も理解し受け入れるという姿勢や、自分の弱さをさらけ出せる関係を築いていくことが必要だと思った。