村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの巻は話が色々動き出して面白かったけどそれにしても、怖かった。
途中怖すぎてホラー小説かと思った。
前作から勝利が嘘に嘘を重ねすぎて、どこまで嘘つくのか、いつバレるのか、読んでて不安で苦しかった。
バイトがクビになる、丈と京子ちゃん、叔母さんの疑い、星野りつ子のストーカー、勝利の一人暮らし、かれんの転職と一人暮らし・・・
どんだけ秘密抱えるの。別にさらっと言っても良いこともあるのになーと思う。秘密を守る為に嘘をついて、その罪悪感があるからか余計後から言い出せなくて、なのにまた平気で嘘をつく。かれんにさえも。
なんだろう、かれんの言う優しい秘密と、勝利の抱えている秘密は違う気がする。
相手を思いやって嘘をつくことも時には必要だと、そう思ってきたけど、読んでいるとついて良い嘘と悪い嘘の違いが分からなくなってきた。後味が悪いというか、なんかモヤっとしたら悪い嘘なんだとは思う。
なにより衝撃だったのが星野りつ子の言動。メンヘラ?闇落ち?とはこのことか。勝利への試し行為がどこまでエスカレートするのか本当に怖くて、今までとは別人に見えた。
自分で自分を苦しめるのが読んでいて痛々しい。無敵の人になってしまった。
これでは『大事な女友だち』にもなれないと思うな。勝利に自分のエゴを全部ぶつけて、それで良い関係なんて。
ただ勝利もりつ子を遠ざけるタイミングを間違った。もしかして遠ざけようとも思っていなかったその甘さがこの問題を引き起こしたのかもしれないけど。本当は、りつ子を振った時に距離を置くべきだった、どれだけ近寄られようとも。
大切にする人を間違ってはいけない。人生において何事も優先順位をつけることは重要。
とは言っても勝利はまだ大学生なので、5歳も年上で社会人のかれんが叔母さんやりつ子に毅然と言ってあげても良いと思うけどなぁ。
勝利はもっとかれんに頼っても良い。
「一つでいいから、どんな時にも揺るがないものを持て。うまいと思うコーヒーの味でもいい。あるいは、手本にしたい誰かの背中でも、胸に響いた言葉でもいい。そういう、まわりの状況に左右されない自分だけの基準があれば、いざという時に方角を見失わずにすむ。ちょうど、どこからでも見える高い塔みたいなものさ。知らない場所で、たとえ進む道がわからなくなっても、そこへ立ち戻りさえすればまた一からやり直せる」
マスターのこの言葉、前に西加奈子の『サラバ』を読んだ時にも同じような言葉が出てきて、ハッとなった。
自分が信じるものを見つける。『サラバ』自体がそういう内容だった。
銀色夏生のエッセイにも似たようなことが書いてあった。
あれからそういうものを見つけられたとは思っていないけど、人生で何回も思い返したいほど心に響く大切な教え。
何度も出会う度に、少し勇気づけられる言葉。
20260322 -
Posted by ブクログ
柔らかく仄かに燃え続ける幻のような小さな火だったり、燻られることなく強かに燃え続ける熱い火だったり。いろんな温度があれど、消すことのできない火を誰もが心の中で燃やし続けている。
物。
物はときに異常な執着を引き寄せることがある。
何よりも大切な物。誰にも理解はされないだろうし、理解されたくないこと。
特に、人と人の間にあった物だったり、誰かが残した物だったり、物を通して人を感じられるような物は、その物が持つ意味以上に大きな意味になって、ひとりじゃ抱えきれなくなることがある。
そのとき、物が物じゃなくなる。
でも『これは物じゃないんです、これは生きていて、襲ったり泣かせたりするんです』と言うと、頭がおかしくなったと思われるだろうから、とりあえず物として扱うことになるだろう。
きっとひどく孤独にあると思う。
この物語では、そんな孤独や喪失に寄り添ってくれる人(結局やっぱり人なんだな)がいて、それがどれだけ尊いものかを感じさせられた。