あらすじ
明治28年、福岡県今宿に生まれた伊藤野枝は、貧しく不自由な生活から抜け出そうともがいていた。「絶対、このままで終わらん。絶対に!」野心を胸に、叔父を頼って上京した野枝は、上野高等女学校に編入。教師の辻潤との出会いをきっかけに、運命が大きく動き出す。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。著者渾身の評伝小説!! 第55回吉川英治文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
伊藤野枝中心かと思いきや
当時の前衛的グループの群像劇
真偽はわからないが
リアリティがある。
青踏、の時代は政治的な自由だけでなく
性に関しても自由さを求めていたとは
戦う女性がテーマだろうが
当時はこんなに戦ってたのかい
上巻ではまだ大杉栄が顔を出した程度
下巻の期待をしてしまう
ついでにさりげなく恩までうりつけるあたり老獪としかいいようがない
懐に飛び込んできた窮鳥を助けてやらねば、という侠気に自ら酔っ払っているだけで、全体重をかけてよりかかってくるようなノエの激情に流されているというのがほんとうのところだろう。
情緒的なところもありながら、それに流されない理知を持っている、こういうことに向いていると思いますよ、
その誇らしさがみるみるノエの新しい背骨になってゆくのをあきらは肌で感じた
Posted by ブクログ
2022年にNHKでドラマ化されたのを観てからすっかり伊藤野枝にハマってしまった一人の女です。笑
上巻はここで終わるんですね。。。
なんともヒリヒリしたところで区切られて即座に下巻に手を伸ばしました。
Posted by ブクログ
大杉栄とともに虐殺された伊藤野枝の生涯を描いた物語。上下巻を一気に読み通しました。上巻は女学校に上がったり卒業後に結婚させられたり、そこから逃げ出したりとてんやわんや。大杉栄と出会うまでに、辻
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関東大震災から100年。
震災後、大杉栄と、伊藤野枝、幼い橘宗一くんが殺害された。
新聞などで多くの記事を目にした。
伊藤野枝ってどんな人?
詳しく知りたい。
村山由佳さんが書かれた伊藤野枝は魅力的だった。
野枝の存在を身近に感じつつ下巻へ。
Posted by ブクログ
時代を駆け抜け、28歳で虐殺された婦人解放運動家伊藤野枝の評伝小説。
名前だけは知っていたが、このように鮮烈な生涯を送ったとは。
冒頭の文章が、何を意味するのかと思っていたら、野枝の最期を象徴するものだった。
野枝を立体的に描き出すためか、野枝自身の視点で進んでいた文章が、章の始めばかりでなく途中でも彼女の周りにいるひとたちの視点で、突然綴られる。
ある時は代準介、ある時は辻潤、またある時は大杉栄と。さらに、堀保子に神近市子と、めまぐるしく変わる。
読み進める際に戸惑いを覚えたことも。
これもひとつの小説方法か。
題名は、野枝がいつか一筆頼まれていたときに書こうと思っていた言葉だとか。
Posted by ブクログ
伊藤野枝という一人の女の生涯。
社会の当たり前に染まることのできなかった、人として独立した存在はとても眩しい。
明治から大正、新しい思想に目を開かれていく女たちもいれば、それまでの常識の範囲内で過ごし続ける女たちもいる。
ぞれでも思うがままに
Posted by ブクログ
当時の社会規範に真っ向から挑む気性の激しい女性その一生懸命さや行動力を持って、太く激しく短い生涯を生きた。まだ日本が未熟な時代で、体制により虐殺されてしまうが、今に生きていたら、どのように声をあげていただろう。
Posted by ブクログ
【2024年171冊目】
伊藤野枝と大杉栄。数奇な人生を送った二人の男女を中心に、物語は展開していきます。野枝の幼少期に始まり、初恋とその相手である辻、文壇の世界に飛び込むきっかけとなった平塚らいてうや、大杉の妻である保子など、物語の主体は次々と移り変わりますが、そこは作者の手腕。話自体はするすると入ってきます。
が、私はどうやら実在の人物を題材にした話はあまり好みではないようで、読むのに結構時間がかかりました。あまりにも世界観に入り込めなくて、読書好きで博学の友人に相談したところ、二人の死因について教えてくれ、それをきっかけに興味を持ち直したという体たらく。
上巻の最後が修羅場じみていてちょっと笑ってしまいました。このまま下巻も読み進めたいと思います。