【感想・ネタバレ】二人キリのレビュー

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Posted by ブクログ

読み応えたっぷりの大作でした。私にとっての「アベサダ」はやっぱり猟奇殺人の記号でしかなかった人だけど、この本に出会えて、全く違う印象になりました。読書

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

あの有名な「阿部定事件」を題材にした作品。
超大作映画を見終わった感覚…。
フィクションなのに、ものすごいリアリティー。
たった1ヶ月程の関係かもしれないけど、間違いなく純愛だったと言える。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

凄いものを読んでしまった…。
有名な阿部定事件。幼少期にTVでチラッと見てあまりの猟奇的事件に恐怖を感じた。阿部定の幼少期から事件後を周りの証言と共に多角的に、事実と虚構を交ぜ描かれている。何故事件は起きたのか…。
現代で言う境界性パーソナリティ障害、愛着障害なんだろうなと感じた。執着、依存。どちらか一人が少しでも冷静でいられたら…出会うべくして出会ってしまった二人。
出会ってから25日であそこまでのめり込み殺してしまうとか。
愛なのか…?

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

とうとう読み終わりました。
『阿部定事件』を舞台とした小説を書くために取材を続ける吉弥さんのストーリーと取材をした人たちの証言のパートがあり、分かりやすく物語に入り込めました…が、時々これって吉弥さんが書いた物語に入り込んでる??って混乱してしまうところもあり、いつもより時間をかけて読んでしまいました。

読んでみての阿部定さんの印象としては相手を燃え尽くす程の愛情?独占欲?、、、なんとも言葉にし難いものをもつ女性だったんだなと思いました。
実際の阿部定さんの証言なども書かれていたので。
その熱のようなものを持つ一方でズブズブと沈み込むような孤独が根っこにあって抜くことができなかったんだなとも思いました。
本書を読むまでは阿部定さんは『炎』のような人かなって思っていたので、表紙の2人で水に沈み込むような様子が??ってなっていました。
読み終わって納得、2人きりでうんと深いところで、誰にも邪魔をされない世界でずっとって思っていたのかなぁなんて。

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2024年04月30日

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村山由佳さんの作品は若い頃によく読んでいた、おいしいコーヒーシリーズ以来。15年以上?ぶり。
普通の恋愛物かと思っていたし、なんの情報も入れずに読んだので、正直驚いた。阿部定事件の事も知らなかったので、なおさら衝撃的。
長編だったけど、長さが気にならないほど面白かった。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

真実は本人しか解らない。
当の本人ですら言葉にすることが、
出来ないこともある。
自分以外の誰かが思わぬ形で
言葉にしてくれることもある。
長編でしたが貪るように読み進めました。
ありがとうございます。

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2024年04月13日

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吉弥が書き綴った阿部定事件の証言者ルポに、強く惹き付けられる。深掘りした人物像、流暢な台詞回しは秀逸。波瀾万丈な生涯を送った定に、穏やかなラストシーン。堪能した。

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2024年04月12日

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世にいう「阿部定事件」の証言を集める男。
「風よあらしよ」で描いた伊藤野枝の生涯も圧巻だったが
今度は本人のみならず様々な人の目を介したことで更に深みを増し迫ってくる。

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2024年04月04日

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 定の置かれていた状況とその時々の心情が丁寧に描かれていた。これまで、定が強行に至った動機がよく分からなかったが納得した。
 定と吉蔵には、当人同士にしかわからない愛の絆が存在し、縛られずにはいられなかったことが伝わってきた。お互い片時も離れられないくらい愛する人と出会えることは幸せだけれど、維持できなくなるとその苦しみは計り知れないと感じた。

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2024年03月31日

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そう言われると、自分も本当の恋愛を知らないのかもしれない。

なんて思っちゃうから、今が幸せ絶好調の人は、この本から遠ざかった方が良かったりして。
もしくは、敢えて読んでみるとか。

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2024年03月31日

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阿部定は、昔TVの特集かなにかで観た記憶はあるが、詳しくは憶えていない。今回この本を読んでみたくなったのは「二人キリ」というタイトルに惹かれてだ、結局ほんとうのところは当の二人にしかわからないということかもしれない。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

最初はちょっと読みにくく感じたけれど、すぐに慣れて物語の中に引き摺り込まれた感じ。
阿部定事件は名前とざっくりした内容しか知らなかったので、興味が湧いてしまいこれから調べようと思う。
2人は純愛だったのかど変態だったのか。
今となってはわからないだろうけど、定のおにぎり食べてみたかったな。
読み応えがあったのでまだ阿部定の濃厚な余韻がムンムンする。

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2024年03月24日

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村山由佳さんの作品には、盆地にある狭い畳の部屋に夏の湿気が溜まっているような、むせ返るような性欲を感じて大好きなんだけど、
二人キリではもうまさにそれがむわっとすごい湿度で描かれている感じでした。
度々ある「におい」の描写がなんとも生々しい…
そしてなんといっても、描かれた男性の鯔背な立ち居振る舞いが、ありありと目に浮かんで、これがたまらんのだ。

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2024年03月24日

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ネタバレ

2024/01/26リクエスト 5

定と吉の関係に究極を見た
肉体を伴う恋が、人をどれほど狂わせるか
逮捕後、定の持っていたイチモツはアルコール漬けにされる
それを公判中に見せられてどう思うか聞かれ
非常に懐かしく思っております
と答える
そう答えられる定を心のなかでは羨む人も多いだろうな。
大まかな筋は真実だろうけど、その周りの肉付けはこの著者ならでは。定の語っている感情の起伏が泣けるくらい素敵に感じた。こんな人と巡り会える人生は、素晴らしいものだろうな。

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2024年02月25日

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題材的にエログロではあるし、卑猥な単語も赤裸々にふんだんに使われてあるのだが、人間の深部を奥へ奥へと掘り下げるようなアプローチに引き込まれて、すごい読書体験だったなと満足度が高い。
特殊な猟奇的事件から、かえって愛欲の普遍性みたいなものまで見せられて、、、澄まして日常生活を営む普通の人が、なんか卑怯にすら思える。

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2024年02月12日

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うわー、これまたすごい本を読んだな。
有名な「阿部定事件」を題材にした本作。
フィクションなんだけど、これが事実のような気がしてしまう。
226事件の同じ年にあった事件だったのか。
恩赦で5年で出てきたとか、坂口安吾がインダビューしたとか、今とは当たり前だけど時代が違うのだなぁと。
定を知る人の証言の読んでると、彼女の悋気に辟易し、なんて嫌な人なんだろうと思っていたのに後半は、彼女にやっぱり共感は出来ないんだけど、ちょっと愛しく思えてくるから不思議だ。
ほんのひと時の恋というか大恋愛が一生を変えてしまい思いもよらない所に来てしまった感じが怖くもあり運命だったのかなとも思う。
ただ14歳のときに無理やり処女を奪われたとなってるけど、無理やりなのか?仕掛けたのは定からなのでは?そこだけ被害者ぶられるのがちょっとだけ微妙。

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2024年02月08日

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〈阿部定事件〉、恋愛沙汰の猟奇事件?というイメージしかなかったので、読む前に調べてみたらやはり私の苦手なグロ系事件…
読み始めるのには勇気がいったけど、結局めちゃくちゃ面白くて数日で読み終えてしまった!

ある青年が阿部定本人や関係者に話を聞き、〈阿部定事件〉の証言として手記にしていくんだけど、初めは私も好奇心剥き出しで読んでいたのが、いつのまにか阿部定にシンクロしている…
事件の山場ではもう、阿部定に乗り移って私まで一生分の情念を使い果たしたかのようで、しばらく茫然としてしまった。
調べたとき「グロっ!」と思ったのに、この感情は、全然遠い世界のことじゃない。人を愛すれば誰でもこんなふうになるのだとさえ思わせられる…
いろんな人への思いが高まりすぎて、最後の証言では、名前を見ただけで涙が溢れてしまった…。

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2024年01月26日

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不倫やお妾さんがいることが肯定される世界は、私には理解できない世界だから、定さんと吉さんがどれだけ愛し合っていたかが描かれても、なんの感情も湧いてこなかった。

ただ、阿部定を描くとともに、大正から昭和の時代背景、その当時の人たちの生活習慣、226事件や大東亜戦争など歴史的な出来事などが書かれていて、一つの歴史小説を読んでいるようで、そっちの方の興味の方が大きかった。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

これだけの情念が持てるとはある意味天晴れとも思ってしまった。「阿部定」という名前とセンセーショナルな事件は頭の片隅にあったものの、その詳細や人となりなどは全然知らずにいた。フィクションとはいえ壮絶な一代記だった。少女時代からませており、愛欲にまみれた人生なのでゴシップ的な興味を満たしてくれつつも下品にはならないのは流石村山さん。単に阿部定を知る人のインタビュー形式というわけではなく、様々な角度から書かれているので構成にも工夫がされていると思った。それでも分厚い本なので流石に後半はもう疲れてきてグッタリ。

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

事件のことを何も知らずに読んだけれど、アベサダという女性の怨念が強く感じられた。
本当の愛ってなんだろう。
たった1ヶ月ほどの恋愛がこんなにも人生を狂わせるのは怖いけど少し憧れる気持ちもある。

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2024年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二人キリ

著者:村山由佳
発行;2024年1月30日
集英社
初出:「小説すばる」2022年10月号~2023年10月号

阿部定について書いた評伝小説。作家の波多野吉弥は7歳年下の映画監督Rと仕事をしている。今も映画を撮っているが、次は阿部定事件を扱った「定吉二人」に向けて吉弥が書いている。しかし、脚本ではなく小説を書いている。Rは完成を待ち望んでいる。小説でいい。脚本はRが書けば映画は撮れる。映画と小説の同時公開を狙う。

阿部定事件が起きたのは、吉弥が子供の頃、昭和11年。彼はその時から阿部定に興味を持ち、あらゆる切り抜きなどの資料を暗記するほど読んでいた。そして、若いころから関係者へのインタビューを行っていた。幼なじみ、定が働いていた店の関係者、定とできていた男たち・・・など。そして、吉弥は40代のときに初めて定を訪ねてインタビューを試みる。

話の中で明かされるが、吉弥は殺された石田吉蔵の息子だった。吉蔵の妾だった小春が母親。この千枚級(本は500頁弱)の大作は、吉弥が書いている評伝小説そのものになっている。小説の中には、14の証言(インタビューした人たちの話)が紹介されていて、それに加えて小説部分がある。14の証言は、阿部定が3回出て来ているので12人ということになるが、最後は死んだ吉蔵なので、これは架空ということになる。

評伝小説なので、あらかたの部分は評伝、すなわちノンフィクションに近い。いろいろなものが実名で出てくる。書き上がった小説は、本になる前に定に読んでもらった。締めくくりは、定の失踪。そして、読んだ定も本当に失踪する。しかし、小説を読んだから真似をしたのではなく、その前から消えようと思っていて、準備もしていたのだった。

長かったが面白かった。5つ星評価で★★★★☆。やや甘めだけれど、★★★☆☆よりは面白い本だった。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

阿部定という奔放な美しい女性が、なぜ愛人を殺害し、男性器を切り取り持ち去ったのか。
彼女は愛人を独り占めしたかったからそのような行動に及んだのだと思う。
自分は片時も離れたくない、と思っているのに、相手は本宅へ帰ろうとしていることも、定の感情を駆り立てた一因だ。
一緒に居た期間は短かったものの、定と吉蔵の燃えるような数日間は凄まじかった。これほど互いを求め合う者達をこれまでに見たことがない。

吉弥も自分の父親を殺されているのにも関わらず、定の魅力に浸かっていく様子が分かる。(性的な意味では無い。)
定を知っている者の証言を読んでいくと、定を悪く言う人、良い印象を持っている人、悪く言いながらもどこか憎めない人など様々で、彼女の人間的魅力に感服する。
定が吉蔵との関係を「悲恋ではない」と言うシーンが好きだ。全力で愛したからこそ、後悔がないのだと思う。

吉蔵は死ぬ時に、大して抵抗しなかったように思う。まるで定になら殺されてしまっても良いと言うように、あっけなく逝ってしまった。
吉蔵がそのまま生き続けていたとしたら、2人の関係はどうなっただろうと考えると、別れる運命しか思い浮かばない。やはり、定はああするのがきっと良かったのだろう。

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2024年03月25日

Posted by ブクログ

実在の阿部定事件のフィクション。定に関わった幼少期からの人物、金の付き合いの男達も含めて相当な厚みの内容だった。主人公は定に局部を切り取られた妾の息子が裁判記録や定の関わりに直接インタビューした記録と言う形をとっている。
内容がだけにエロい箇所は多いが、それ以上に人間の脆さと、壊れる前に踏みとどまる人間の対比が哀しく描かれている。

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

阿部定事件をベースに定の生涯を描いている。石田吉蔵の妾の子吉弥が本にするためいろんな人に取材し、定の懐にも入りかなり想像をたくましくして最後は吉蔵の語りで締めた。こういう定もあり得たと思う力作だ。
ただ、映画にしてもこの作品にしても阿部定はセックス依存症で精神を病んでいるとしか思えない。グロテスクな事件をなんとか美しい物にしようと頑張ったような作品。
サイドストーリー的な吉弥と映画監督Rの関係の方が面白かった。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

モテない奴はこれを読め!!

Good Dad(グッドダッド)が
Good Genes(グッドジーン)に敵わないとわかるぜ!

すみません、訂正です。
わかるだけでモテるようにはなりません

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

読み終えて、やはり『風よ、嵐よ』を思い出した。
どちらも激しい。
時代が、知らない過去ではなく、私の人生と重なる時期もあることに、ほーっと思った。
出てくる店などの名称も実在のものだし。
今回の作品はやはり黒ムラヤマかなぁ。
性描写が多すぎて、逆に冷静に読めてしまった。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

フィクションなんだろうけど、ノンフィクションなのではと思わせるほどの細部にわたっていろんな角度から(証言、14歳の時に強姦されたと言われてる慶大生、幼なじみ、娼館時代の同僚、腐れ縁で親代わりの男、最後の愛人市議会議員、吉田屋の女将(吉蔵の妻)、満佐喜屋の従業員)
があって読み応えはじゅうぶん。
それにしてもこんな性欲の強い女性がそれに呼応できる唯一無二の男と出会ってしまったんだね。
あのまま、校長先生(議員さん)のお妾さんで小料理屋でも持って静かに一生を終えた道もあったろうに。
いや定のことだからまた浮気して捨てられてってことを繰り返していたかもしれない。
でもこんな猟奇的な殺人事件が起こさずにすんだじゃないのかな。
血で書いた”定吉二人きり”がまた効いている。
とにかく最後は連泊連泊でお金も底をつき、お金の無心に愛人に会いにいってそれで飲んだり食べたり、もう終わってるよね。
最後は行方不明のなって(もうとっくに亡くなっていると思うけど)晩節を汚すよりあのイチモツを抱えたまま自死したほうが伝説になった気もする。
けど阿部サダはやはりああゆうふうにしか生きられなかったんだろな。
監督のR(男性)と小説家の吉弥(吉蔵とお妾さんの間に息子)お互い惚れ合っているのは最初からなんとなくわかった。

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

猟奇的殺人犯でありながら逮捕直後の写真では、にこやかな笑みを浮かべる阿部定。

掴みどころのない阿部定が、村山由佳アレンジで令和に蘇る。

近所で評判の美少女は早熟で男好き。
殺害された石田吉蔵の妾の子である吉弥が、定と関わりのあった人物から集めた数々の証言から、彼女の実像が浮かび上がって来る。

吉蔵と出逢ってからの定の立ち振る舞いは目を見張る。
独占欲も執着心も包み隠さず、自らの欲望の赴くまま、狂ったように繰り返す性交。

吉蔵を殺害後に刻んだ「定」の名と、残した「定吉二人キリ」の血文字。

愛と狂気は表裏一体だと確信する。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

実在する事件をもとにした作品。
それを知らずに読んでいて、なんか妙に現実味があるなと思い、巻末を確認して実話をもとにしていると知った。
途中から証言を書き連ねるという書き方になったとき、こんな一言一句書き起こせないだろと心が離れかけたけど、最後まで読んだあとだと、合点がいく。
作中で主人公が書き上げた本は最高の出来と評されているけど、全文登場していないとはいえ、最高と書く勇気はすごいと思った。

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2024年02月26日

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