村山由佳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ物語を通して歩太は一目惚れしてからずっと春妃のことが好きだ。たぶんその愛情に満たされている感覚が歩太にとっての幸せなんだなと思った。
春妃と一緒になりたいという気持ちはきっと若さゆえの勢いもあるように感じた。年齢差や親の理解、夏姫の姉である事実があっても前に進もうとする強さがあった。
それに対して、春妃は年齢差や夏姫のこともあってかどこか認めない空気感みたいなものが伝わってくる。きっと春妃は歩太よりもずっと大人で抱えているものが大きいから自分の心に素直になることに時間がかかるんじゃないかなと思った。
精神的に歩太は若すぎて、春妃は大人すぎるのかもしれない。そんな2人が徐々に歩み寄って大人に、純粋になっていく様子をみると、恋愛に必要なものと結婚に必要なものははっきりと違うんだなと思った。
最後に春妃が亡くなってしまったとき、歩太の中の純粋な部分も一緒に壊れてしまったんじゃないかなと思う。
-
Posted by ブクログ
女性マネジャー桐絵の目線から見る、少女ミチルのサクセスストーリー。
ライブハウスでミチルの歌声に惚れ込んで以降、彼女のスカウトから、その後に待ち受ける困難の数々。
絶妙なタイミングで嫌なキャラを発揮する先輩マネジャーの峰岸や、オーディションチャンピオンの真由。
良い方向に進んで行くだろうと予想しながら読んでいても、(ここで突き落とされるの?)(この出来事がそこに繋がるのか)と、ストーリー展開が激しく、読んでいてドキドキした。
読み進めていくにつれ、登場人物の魅力が増していき、関係性の変化などにもウルッとくる。
特にミチルの博多弁で紡がれる言葉や、純粋で素直なキャラクターは、桐絵でなくとも、この子には幸せになってほしいと思わせる愛らしさがあった。 -
Posted by ブクログ
ぼんやりした恋愛小説を読んだ反動で、とびっきりのドロドロ泥沼恋愛小説読みたくなって!
・性に淡白な着物屋の奥さん✖️実はマゾど変態旦那
・幼少期に叔父に性的虐待を受けてSに目覚めたキチガイ奥さん✖️サイコパスオラオラ旦那
↑この2組の夫婦がそれぞれパートナー交換して泥沼不倫していくお話。
スワッピングする前は2組とも、表面上は普通の夫婦だった。それが、本性を出せる相手になった途端、ここまで欲望丸出しの生き物に変わってしまうものか( ̄O ̄;)
着物屋の奥さん✖️サイコパスオラオラ旦那
の組み合わせは禁断の恋って感じで、ドキドキする。好きにならないようにって考えたらもう好きやんそれ( ・∇・)
一方、もう1組のカップルは
女王様と奴隷で、その対比がまた面白かった!笑
最後、プレイの行き過ぎで女王様に殺されかけて、マゾ旦那が入院したのきっかけにあっさり、それぞれ元の普通の夫婦に戻っていく。カップルの終わり方がひとときの幻想って感じで、普通の恋愛とは違う感じ。
半分ぐらい読んで、この小説の終着点はどこなんやろ?ってぼんやり思ってたけど、まぁそりゃそうか( ・∇・)
初めてこういう小説読んだけど、たまにはアリですね(^ν^) -
Posted by ブクログ
75歳父、65歳母、50歳長男、35歳次男、34歳長女、30歳次女。上二人は前妻の子。長女は母の連れ子で、父は違うと思っていたら、前妻が存命中に父とデキて、できた子。それを知らないまま次男と長女は愛し合ってしまったという過去があった。母が急死した、その後を描く連作短編。
『雪虫』愛し合った妹と血がつながっていたことを知り、勢いで家を出、北海道に住みついて15年の次男。アンティークショップを営み、妻と二人の子供がいるが、飲み屋の女の子と寝るような生活。母の死の連絡をもらい、帰って過去と対峙。母の秘密を知る。
『子どもの神様』もともと不倫関係だった父と母、隠れて愛し合っていた兄妹。そんな家族を見てきた次女は、普通の恋愛が出来ず、妻子ある男を愛するようになっている。割り切っていたつもりが、ある出来事により、男の頼る先が自分ではないということを突き付けられ、動揺する。
『ひとりしずか』兄の消えた喪失感を抱えて生きる長女は、幼馴染と婚約するも、結婚に踏み切れないでいる。。性的いたずらを受けていた過去を振り返る。
『青葉闇』公務員の長男は、息子よりも若い部下に言いよられ、定期的に抱くようになる。学生運動に参加していたという過去があり、かつての自分がなりたくなかった大人に、今なっていること、このまま定年まで勤め上げるしかないという未来に抗うかのように、家庭菜園に精を出す。
『雲の澪』高校三年生になる長男の娘。親友に紹介した幼馴染のことが本当は好きで、しかし親友も大好きで、そして、親が受験受験と口うるさく言ってくる中、漫画家になりたいという夢を温めている。小学校時代のいじめっ子と再会し、自分の身を守るため、親友を売ってしまい、傷つく。
『名の木散る』戦争中、中国へ送られていた父。死んでしまった忘れられない慰安婦に、許しを請う自分を、今も責めている。
ああー、やっぱ自分の年齢があれだからか、50歳長男のモノローグが一番刺さったし、光も見えた気がした。中年クライシスなんだろう。
「〈何のために〉ではないのだった。いまここに生きているという圧倒的なまでの実感――それだけでいいのだった。
もしも自分に若いころと同じような生命力がみなぎっていたなら、そんな境地にたとりつくことはなかっただろうと思う。光の中では見えず、日が陰って初めて見えるものもあるのだ。」