村山由佳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
村山由佳さんの小説はなんと美しいのだろうか。
人物の心情の描写も、風景描写も、物語自体も本当に美しい。
村山さんには世界がとても繊細で、美しく見えてるんじゃないかと思う。自分にも、世界が美しく見える瞬間がある。だいたい夕暮れである。それは、家の近くの目黒川沿いの景色であったり、新幹線から見る景色であったり、旅行先で見る景色であったりする。その瞬間、身体全体に高揚感と満足感が広がっていく。それに近いイメージと感覚が、村山由佳さんの文章を読むと浮かび上がってくる。
早く読み進めたいという気持ちと、一文一文しっかりと読みたい気持ちが矛盾する。
結局自分の場合は早く読み進めたい欲求を抑えきれず、あとで後悔する羽目になる。
-
Posted by ブクログ
あなたがあなたであるためなら、そこから逃げていいんだよ。
逃げることは必ずしも悪いことじゃないんだなあ。逃げることも一種の強さだと思うの。
もちろん逃げないことも当たり前に強いんだよ。でもそうすることによってあなたがあなたらしさを失うなら。私は逃げたっていいような気がする。
子どもって何も考えていないようで、小さな体で精一杯考えてる。周りに迷惑をかけないように、精一杯考えてる。
不登校の雪乃は父親の実家で療養生活を始めるんだけど、慣れてきた雪乃にかけたおばあちゃんの言葉が身に染みたな。今この時楽しいことを選んで、それだけで生きていく訳にはいかないし、そうやって生きていくとどこかでダメな人間になってしまう。今の自分は何をどれだけ辛抱しているかなあ、したくないことから目を背けているだけなのではないか。ってね。
優しいけど、ちゃんと本質を突いてくる言葉で。
私も弱音を吐くのがきっと下手で。
頑張ることは正義、だから頑張る。たとえしんどくても気が付かないふりをしてた気がする。人にはなんでも話してねって言えるのに、自分のことはなんで言えないのかな、私。
むしろ雪乃は強いと思うんだよな、逃げる道を選べたから。いや、これは逃げたというのかそもそも。逃げたと言うより、自分自身を見失わないようにするための行動だったのではないかな。
でも雪乃ってすごく恵まれてるよ。雪乃の周りの人たちって本当にすごくあったかい。だからこそ、雪乃も周りの人達を助けてあげてほしいな。
これからの暮らしが書かれていない、これはあえてかな?好きに考えられるのもいいし、書いていないことで暮らしがずっと続いていることを示唆するようで割と好きかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語を通して歩太は一目惚れしてからずっと春妃のことが好きだ。たぶんその愛情に満たされている感覚が歩太にとっての幸せなんだなと思った。
春妃と一緒になりたいという気持ちはきっと若さゆえの勢いもあるように感じた。年齢差や親の理解、夏姫の姉である事実があっても前に進もうとする強さがあった。
それに対して、春妃は年齢差や夏姫のこともあってかどこか認めない空気感みたいなものが伝わってくる。きっと春妃は歩太よりもずっと大人で抱えているものが大きいから自分の心に素直になることに時間がかかるんじゃないかなと思った。
精神的に歩太は若すぎて、春妃は大人すぎるのかもしれない。そんな2人が徐々に歩み寄って大人に、純粋になっていく様子をみると、恋愛に必要なものと結婚に必要なものははっきりと違うんだなと思った。
最後に春妃が亡くなってしまったとき、歩太の中の純粋な部分も一緒に壊れてしまったんじゃないかなと思う。
-
Posted by ブクログ
女性マネジャー桐絵の目線から見る、少女ミチルのサクセスストーリー。
ライブハウスでミチルの歌声に惚れ込んで以降、彼女のスカウトから、その後に待ち受ける困難の数々。
絶妙なタイミングで嫌なキャラを発揮する先輩マネジャーの峰岸や、オーディションチャンピオンの真由。
良い方向に進んで行くだろうと予想しながら読んでいても、(ここで突き落とされるの?)(この出来事がそこに繋がるのか)と、ストーリー展開が激しく、読んでいてドキドキした。
読み進めていくにつれ、登場人物の魅力が増していき、関係性の変化などにもウルッとくる。
特にミチルの博多弁で紡がれる言葉や、純粋で素直なキャラクターは、桐絵でなくとも、この子には幸せになってほしいと思わせる愛らしさがあった。