村山由佳のレビュー一覧

  • 風よ あらしよ 下

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    野枝が生きた時代が行間に溢れ、息苦しさを覚えながら読み進む。
    それだけ野枝が生き生きと描かれていることの証左でもあるだろう。
    己の信じる道をがむしゃらに生きる野枝。それゆえに非業の死を迎えなければならなかった。
    彼女は、大杉栄に同志的結合を見出し、共に生きる道を選ぶ。しかし、三角関係どころか五角関係にさえなろうという自由恋愛について、滔々とまくし立てる彼に無政府主義者の面影は無く、ただのすけこまし(失礼笑)にしか見えない。後半に子煩悩な面が描かれ、少し救いになる。

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    2023年08月09日
  • 風よ あらしよ 上

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    時代を駆け抜け、28歳で虐殺された婦人解放運動家伊藤野枝の評伝小説。
    名前だけは知っていたが、このように鮮烈な生涯を送ったとは。
    冒頭の文章が、何を意味するのかと思っていたら、野枝の最期を象徴するものだった。
    野枝を立体的に描き出すためか、野枝自身の視点で進んでいた文章が、章の始めばかりでなく途中でも彼女の周りにいるひとたちの視点で、突然綴られる。
    ある時は代準介、ある時は辻潤、またある時は大杉栄と。さらに、堀保子に神近市子と、めまぐるしく変わる。
    読み進める際に戸惑いを覚えたことも。
    これもひとつの小説方法か。
    題名は、野枝がいつか一筆頼まれていたときに書こうと思っていた言葉だとか。

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    2023年08月09日
  • 野生の風

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    30年近く前の小説。だいぶ前に買った本を本棚の中で発見したので読んでみた。恋愛小説だが、アフリカの魅力が存分に伝わってくるし、色彩の表現も際立っている。

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    2023年08月02日
  • Row&Row

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    ネタバレ

    出来るキャリアウーマンの妻と美容師の夫、二人の視点で夫婦生活が壊れていく様子、離婚に至る経緯が丁寧に描かれている。プライドが高いせいかもしれないが涼子の夫への遠慮がこんなに結論を引き伸ばしたのかもしれない。また結婚している男狙いの美登里、こんな女って案外あちこちにいるんだろう。男ってバカだ。
    そして、不倫した相手矢島の妻の男前な真っ当さに惚れ惚れしました。

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    2023年07月30日
  • 天使の卵 エンジェルス・エッグ

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    初作家さん。厚くなくて読みやすかったので1日で読めました。
    物語は淡々と進んでいき、甘い恋愛小説になるのかと思いきや、、、!!!! 
    切なくも悲しいラストに少し涙しました。

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    2023年07月17日
  • 風よ あらしよ 上

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    伊藤野枝という一人の女の生涯。
    社会の当たり前に染まることのできなかった、人として独立した存在はとても眩しい。
    明治から大正、新しい思想に目を開かれていく女たちもいれば、それまでの常識の範囲内で過ごし続ける女たちもいる。
    ぞれでも思うがままに

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    2023年07月16日
  • 野生の風

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    この文章では、いろんな色の描写が出てくるんだけど、不思議なことに、色彩だけではなく、匂いやそこに吹く風のそよぎまでもが存分に体感できるように感じられる。読後、解説にも似たような記述があって、やはりそうなんだと思った。どうしてそうなるのか分からないが、この人の文章は、間違いなくそういう感覚を引き起こさせる。5に近い星4つです。

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    2023年07月08日
  • もう一度デジャ・ヴ

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    これは事実上の村山さんの処女作であるらしい(後書きでそう書いてある)。
    で、面白い!ドラマや映画になっていてもおかしくないくらい。こないだ読んだアダルトエデュケーションとは全く違う作風だけど、どちらも素晴らしいと思う。もう少し村山さんの本を読んでみたくなりました。

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    2023年07月02日
  • 星々の舟

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    兄妹は禁じられた恋にはまり、末の妹は不倫にはまり、初登場の時は常識人と思っていた長兄も実は不倫にはまり、そんな兄弟達の父は妻がいるのにお手伝いさんとの不倫にはまり。

    家族として成立しそうもない状況なのに、家族であることを取り繕っているように思えて、正直不快な作品だと思っていました。

    しかし、最終章を読むうちに評価は反転。一人一人の事情や想いが掴めた途端に、一気に作品に色彩を感じました。

    最終章までの鬱展開が辛かったので星4つですが、その不快感を綺麗に洗い流してくれるラストに感動させて貰いました。

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    2023年06月25日
  • 【新装版】BAD KIDS

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    ネタバレ

    確かに瑞々しい!ピアノの曲全部調べちゃったし、なんなら聴きながら読んで捗ったな。どうなる北崎。柔らかくて、穏やかな愛情みたいなのを感じられる関係性でよかったな。

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    2023年06月22日
  • 女ともだち

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    ネタバレ

    女性作家8人による、「女ともだち」がテーマのアンソロジー。


    うむむむ、女の友情はもろいというけれど、こんなにすごぉ〜く気持ち悪くて、べとっとするものばかりだろうか…
    相手と『同じ』を競うような構図が、いくつもの作品に…あー、たしかに、『おそろい』スキだよなぁ…トイレ一緒に行ったりしてるよなぁ…
    いやはや。下手なホラーより怖い。
    どれも面白かった。

    その中で、「ブータンの歌」は、くすっと笑えて、阿川佐和子さんらしい軽やかさだった。

    「ラインのふたり」嶋津輝さんは初読。ちょっと山本文緒さんのような奇妙な迫力。
    他の作品も読んでみたい。

    「獣の夜」森絵都さん、爽やかな作品しか読んだことがな

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    2023年06月20日
  • Row&Row

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    ネタバレ

    ★4.5なんですが、刻めないので★4

    お叱りを承知で、すっごいざっくり概要を言うと
    『お付き合いして結婚した男女が、(根本的に)話がかみあわず、心も身体も離れていくお話。というか元々通じ合ってなかったかな...的な』

    え?間違ってないよね?笑


    ◆瀬を早み 岩にせかかる滝川の
    われても末に逢はむとぞ思う

    そこにないものの話ができない相手はつらい


    ◆「きみの醸し出す、あの〈寄らば斬る〉的な雰囲気、僕は嫌いじゃない」黒田部長→涼子


    ◆「大人っていうのは、自分で自分の機嫌を上手に取れる者のことをいうの」雪絵→涼子

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    2023年08月19日
  • 遥かなる水の音

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    ネタバレ

    フランスの都市からモロッコの様々な市街地を経てサハラ砂漠まで大切な人の遺灰を弔う物語で、
    ロードムービーを観ているかの様な感覚で読み入り浸りました。純愛小説にはとどまらないスケール感があり今までの作品とはまた異なった純度に満ち満ちたインパクトで、異国情緒ただよう感動的でもある作品でした。

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    2023年06月07日
  • 放蕩記

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    どこまでが村山さんの自伝なのかは分からないけど、少し特殊な家庭環境があったが故と夏帆自身の情欲と感性が独自のモノがあったために、性や生に深く纏わる人間の欲望がリアルに描けるのだと改めて思いました。母の存在は言うまでもなく
    理解者としても父の存在もこの上なく大きく感じました。

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    2023年06月02日
  • La Vie en Rose ラヴィアンローズ

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    村山由佳さんの小説は、まるでサスペンス映画を観ているかのよう。
    ハラハラドキドキしながら、どうなっていくのだろう…とページを捲る手が止まらない。
    読み手ににとても体力を使わせる作家だと思う。
    登場人物に共感できるタイプがほぼいないにもかかわらず、引き込まれてしまうのは、会話がものすごくリアルだから。膨大なセリフが飛び交い、目の前で始まった諍いに自分も巻き込まれていきそうな臨場感がある。
    お嬢様育ちで、悪意のかけらもなく、薔薇を自分の子供の様に慈しんで育てていた咲季子が、事件の後にとった行動は、理解できるとかできないとかの範疇を超えて、そうすることが一番自然なことのように私にも思えた。
    自分の中

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    2023年05月29日
  • 【新装版】BAD KIDS

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    ネタバレ

    ふわふわ浮遊するみたいな不思議な読後感だった。
    それは多分結末めいた結末が描かれていないからだと思う。
    これから都のお腹の中の子はどうなるのか北崎は帰ってくるのか、隆之と宏樹の関係はどう変わっていくのかわからないけれど、都と隆之の間にある穏やかな空気がたまらなく愛しかった。

    当人以外の人々には愛だ恋だと揶揄されてしまう2人の関係は本当に綺麗だと思う。

    私も誰かと一つのアメーバになりたい。ただそれだけ。

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    2023年05月26日
  • 【新装版】BAD KIDS

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    この本を読み終わった今、学生時代を思い出して胸がチクチク痛んでいる。特別華やかな思い出がある訳じゃないけど、なんだかんだで楽しかったな。

    自分の気持ちを抑えてまで、相手の為に動くって言うのは相当な愛と思いやりだよなー。

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    2023年05月10日
  • 遥かなる水の音

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    一人の青年の「僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな」という希望を叶えるために、青年の姉、恋人、友人2人の4人が共にモロッコへと旅立つ物語。
    モロッコの美しい景色の描写が見事で、まるで共に旅をしているかのように楽しめた。
    また、ガイドとの会話の中でイスラム教の「ラマダン(断食)」に対する考え方についても触れていて、これも印象深かった。

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    2023年04月30日
  • ダブル・ファンタジー(下)

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    坊主のくだりとかクソかと思ったけど。
    みんな同じ、結局そんなもん。どちら側にもなりうるということかしら。これ、最後まで読まないとなやつですね。
    自由とはさびしい。そこは共感できるなー。
    結局のところ不倫してる岩井先輩はあれやねんけどなんか嫌いにはなれない。

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    2023年04月30日
  • ありふれた愛じゃない

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    未熟だがまっすぐな年下彼氏との婚約に満足していたはずの真奈が偶然再会したのは、社会不適合だが危険なほど官能的な元カレだった-。楽園の島タヒチで真奈が選んだ愛とは

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    2023年04月20日