村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
時代を駆け抜け、28歳で虐殺された婦人解放運動家伊藤野枝の評伝小説。
名前だけは知っていたが、このように鮮烈な生涯を送ったとは。
冒頭の文章が、何を意味するのかと思っていたら、野枝の最期を象徴するものだった。
野枝を立体的に描き出すためか、野枝自身の視点で進んでいた文章が、章の始めばかりでなく途中でも彼女の周りにいるひとたちの視点で、突然綴られる。
ある時は代準介、ある時は辻潤、またある時は大杉栄と。さらに、堀保子に神近市子と、めまぐるしく変わる。
読み進める際に戸惑いを覚えたことも。
これもひとつの小説方法か。
題名は、野枝がいつか一筆頼まれていたときに書こうと思っていた言葉だとか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性作家8人による、「女ともだち」がテーマのアンソロジー。
うむむむ、女の友情はもろいというけれど、こんなにすごぉ〜く気持ち悪くて、べとっとするものばかりだろうか…
相手と『同じ』を競うような構図が、いくつもの作品に…あー、たしかに、『おそろい』スキだよなぁ…トイレ一緒に行ったりしてるよなぁ…
いやはや。下手なホラーより怖い。
どれも面白かった。
その中で、「ブータンの歌」は、くすっと笑えて、阿川佐和子さんらしい軽やかさだった。
「ラインのふたり」嶋津輝さんは初読。ちょっと山本文緒さんのような奇妙な迫力。
他の作品も読んでみたい。
「獣の夜」森絵都さん、爽やかな作品しか読んだことがな -
Posted by ブクログ
村山由佳さんの小説は、まるでサスペンス映画を観ているかのよう。
ハラハラドキドキしながら、どうなっていくのだろう…とページを捲る手が止まらない。
読み手ににとても体力を使わせる作家だと思う。
登場人物に共感できるタイプがほぼいないにもかかわらず、引き込まれてしまうのは、会話がものすごくリアルだから。膨大なセリフが飛び交い、目の前で始まった諍いに自分も巻き込まれていきそうな臨場感がある。
お嬢様育ちで、悪意のかけらもなく、薔薇を自分の子供の様に慈しんで育てていた咲季子が、事件の後にとった行動は、理解できるとかできないとかの範疇を超えて、そうすることが一番自然なことのように私にも思えた。
自分の中