村山由佳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
売れっ子小説家天羽カノンは直木賞にノミネートされるが受賞に至らない。待ち会では、受賞ならず、がわかると手当たり次第に物を投げるほど荒れる。
「どうしても直木賞が欲しい」
じゃあ、獲りに行きましょう、と天羽の担当編集者である緒沢千紘はのめり込むように並走をする。そうして二人三脚で作り上げた新作「テセウスは歌う」が3度目の直木賞候補となる。今までの全てを説明する冗舌体の地の文、あれもこれもと事情を抱え込むキャラクター、泣けとばかりに迫ってくるエモーショナルなセリフ回しがなりをひそめ、全体の印象が風通しよくタイトになった。
リアルの世界でもこんなに編集者は作品に口出しするのだろうか?そうだとしたらす -
Posted by ブクログ
村山由佳さんの小説はなんと美しいのだろうか。
人物の心情の描写も、風景描写も、物語自体も本当に美しい。
村山さんには世界がとても繊細で、美しく見えてるんじゃないかと思う。自分にも、世界が美しく見える瞬間がある。だいたい夕暮れである。それは、家の近くの目黒川沿いの景色であったり、新幹線から見る景色であったり、旅行先で見る景色であったりする。その瞬間、身体全体に高揚感と満足感が広がっていく。それに近いイメージと感覚が、村山由佳さんの文章を読むと浮かび上がってくる。
早く読み進めたいという気持ちと、一文一文しっかりと読みたい気持ちが矛盾する。
結局自分の場合は早く読み進めたい欲求を抑えきれず、あと -
Posted by ブクログ
あなたがあなたであるためなら、そこから逃げていいんだよ。
逃げることは必ずしも悪いことじゃないんだなあ。逃げることも一種の強さだと思うの。
もちろん逃げないことも当たり前に強いんだよ。でもそうすることによってあなたがあなたらしさを失うなら。私は逃げたっていいような気がする。
子どもって何も考えていないようで、小さな体で精一杯考えてる。周りに迷惑をかけないように、精一杯考えてる。
不登校の雪乃は父親の実家で療養生活を始めるんだけど、慣れてきた雪乃にかけたおばあちゃんの言葉が身に染みたな。今この時楽しいことを選んで、それだけで生きていく訳にはいかないし、そうやって生きていくとどこかでダメな人間に -
Posted by ブクログ
面白かったです
主人公は、作家・天羽(あもう)カイン
本屋大賞受賞、映像化作品多数、出せばベストセラーの超人気作家
それなのに、直木賞が獲れない。。。
何度も直木賞候補に選ばれながらも落ち続ける
どうしても直木賞が欲しい作家
2社の担当編集者、緒沢千紘、石田三成をも巻込んで
天羽カインを含めた3人の視点でお話は展開する
天羽カインは、賞〈プライズ〉である直木賞を獲得することはできるのか。。。
作家とは、編集者とは、を生々しく感じられる興味深いお話でした
直木賞受賞、吉川英治文学賞も受賞など数々の文藝賞を受賞
でも本屋大賞を受賞していない村山 由佳さんの書いたお話
って点も面白かったです -
Posted by ブクログ
ネタバレ執念が生んだ狂気。
正直、カインも千紘もまったく好きにはなれない。
カインは横暴で配慮や優しさというものがない。
千紘は周りが見えていない危うさと自分を過信しすぎている。
ただ作品にかける情熱、その点に置いては感心、尊敬した。
出版業界の裏側もありありと描かれ、より一層本を大切に読もうと思った。
徐々に2人だけの世界になっていき、狂気が加速していきどうなっていくの!?と思っていたところにあのラストとは…
正直、千紘に対してざまあみろという気持ちもあったが、それ以上にカインの作家としての矜恃に心動かされた。
彼女はこれからどんな作家になっていくのだろうか。
-
Posted by ブクログ
文学とは何なのか。
直木賞とはどんな文学賞なのか…
作家さん達がどれだけの思いで作品を創り上げているのか…
一度読んだだけでは読み切れていない感覚もある
けれど…
小説というものを文学に変えていくために、説明を加えるよりむしろ削ることで、余韻を残したり読者に想像させる
この作業を作家と編集者が信頼関係を頼りに行っているということ。
その絶妙な信頼関係が作品の出来を大きく左右させるということに、ただひたすら驚いてしまった。
そして、この作品にもなんだか思わせぶりで多くを語らないセリフや文章が散りばめられていて…読み解けないまま、何度も何度もページを行ったり来たり…
結局、NSFMさんのレビュ -
Posted by ブクログ
読んだ後、本を大切にしたい、なるべく書って読みたい、と思った。
改めて、多くの人が一冊の本を作るために関わっていることも。
超売れっ子女性作家の賞への剥き出しの欲求、賞レースの選考方法や、出版業界の裏側を少し垣間見た一方、小説が時代を経て多様化する娯楽としても、エンタメのジャンルを超えて文学として、本当に必要なのか、必要とされているのかを考えさせられた。
人との距離も同じく。
ラストまで高まる、女性編集者の狂気に似た作家への思いと、救い。
と同時に、既存の作家やモデルだろうとされる作家もたくさん現れ、とても面白かった。
この作家、本当にいたらいいなぁ、とも。