あらすじ
新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。憧れの人、木島隆文の音を超える凄い音を創りたいという強い思いだ。そんな彼を支えてくれるのは幼なじみのピノ子。仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メイルがふたりを結んでいる。そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優 鏡耀子の妖しい輝きに俊太郎は引かれていく。だが耀子は不倫の恋に傷つき、心を失いかけていたのだ。二人の間で揺れながら、彼は少しだけ大人になっていく。誰かを愛してしまうというのはこんなにも苦しい事なのか……。真摯な想いが時を駆ける青春小説。
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数多く読んだ村山由佳さんの作品の中では最高傑作だと思う。
主人公の高瀬俊太郎は歴代の男性の主人公の中でも一番現実にいそうな感じで、かつ小説の登場人物らしい心情の変化をして行くところが素晴らしいと思いました。
作者は二人の間で揺れ動く男性主人公を書かせたら天下一品。
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病院の待合室で読んでいて、涙がブワッと出てきたので、あわてて読むのを止めた本。
読む場所を選ばないとね・・・。
音響技師の青年、高瀬が主人公。
遠距離恋愛で、とっても大切なピナコがいるのに、女優にも惹かれていく。
でも、大切の度合いが違うんだよね。
メールを送り間違えてしまうところで、ベタなんだけど、ピナコに感情移入し、また高瀬に感情移入し、涙が出てきた。
電話で言葉を伝えるよりもメールの方がいいと思っていた高瀬が、職場の「おとな」達にも背中を押され、30秒抱きしめるために行動するところでは、主人公の変化がなんだか嬉しかった。
最後はハッピーエンドを予測させるさわやかな読後感。
この小説はパソコン通信の設定だが、携帯メールが当たり前の現在なら、どんな展開だったろう?!とかいろいろ考えてしまった。
私は、電話と手紙世代なので特に、今、恋愛世代だったら、きっと、全然違う人生を歩んでいたかも?!
で、どちらかというと、女優に年齢が近いので、そちらにも共感する所があるのですが、「旅人の木」の様に癒しを与えてくれる高瀬は、心のよりどころとして、必要だったんだろうな。
そこを浮気とか言われてしまうとつらいかも・・・。
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すぐ手が届く恋人と、手の届かない女優との間で心が揺れる。きみにできることは「寄り添う事」物理的でもあり、心情的でもある。物語はまだ進行形で5年、10年先に主人公たちがどのような道をたどったか続きが気になる。
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高校1年生の秋、文化祭で50円で買った。
物語は夜が明けて間も無くのところで終わるけど、ぼくが徹夜して読み終わったのもちょうど空が明るくなってきたときだったと覚えてる。
友達に貸すたびに返ってこなくて、何回も買い直すことになったな。
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二人の女性の間で揺れ動く、音声の男の人の話。
メールのやり取りで「あ」のつく、ひとことが楽しかった。感動も少し。
恋の悪いところと良いところを煮つめたみたいな作品。
夢に向かっている姿はキレイだと思う。
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好きって気持ちに理由なんてないし、人の気持ちはほんとにずるいなって思う。でも2人を好きになってもその気持ちをちゃんと別に考えられた俊くんはすごいと思うよ。えらいとは思わないけど。恋愛ってほんと難しい。大切なものを大切だってなんで気づけないのかな。
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優柔不断な主人公にイライラしながらも最後まで読んでしまう。
不思議といい作品に思えてしまう、そんな本です。笑
初期の村山さん特有の爽やかさがあって好きですね。
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リアルな恋愛観にあふれた作品でした。
高瀬俊太郎とピノコ、そして鏡輝子。
まったく異なるタイプの、ふたりの間で揺れ動く気持ち。
でもやっぱり、当たり前だったり平凡だったりすることがすてきなんだと。
かけがえのない存在って、ちかくにいるもんなんですね。
ハラハラドキドキしましたが、心温まるお話でした。
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新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。憧れの人、木島隆文の音を超える凄い音を創りたいという強い思いだ。そんな彼を支えてくれるのは、幼なじみのピノコ。仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メイルがふたりを結んでいる。そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優・鏡耀子の妖しい輝きに、俊太郎は引かれていく。だが、耀子は不倫の恋に傷つき、心を失いかけていたのだ。二人の間で揺れながら、彼は少しだけ大人になっていく・・・。
あとがきでも触れられているが、メールという手段を介してしか登場しないピノコという人物に対する想像を膨らませることができて、とてもおもしろかった。
二人の女性のどちらもが自分にとって大切だと感じる俊太郎の心の在り様はわからなくもないが、ピノコや耀子にとってそう簡単に割り切れないあたり、人の心は難しいなぁと思う。
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繰り返しの毎日の中で、大切なものを見失うことがある。だけど、手放してからじゃもう遅くて、大切ならしっかりとつかんでなくちゃいけないんだ、ということを教えてくれる作品。
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購入済み
内容(「BOOK」データベースより)
新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。憧れの人、木島隆文の音を越える凄い音を創りたいという強い思いだ。そんな彼を支えてくれるのは幼なじみのピノコ。仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メイルがふたりを結んでいる。そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優・鏡耀子の妖しい輝きに俊太郎は引かれていく。だが、耀子は不倫の恋に傷つき、心を失いかけていたのだ。二人の間で揺れながら、彼は少しだけ大人になっていく…。
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小説では珍しく、テレビ音響マンが主人公の作品。
同業者としても、そんなにリアリティーを損なう事も無かった。よくテレビ業界を描写している。
ただ、音響と、恋愛を上手くミックスしている感じがしないのは物足りない。
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新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。憧れの人、木島隆文の音を越える凄い音を創りたいという強い思いだ。そんな彼を支えてくれるのは幼なじみのピノコ。仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メールがふたりを結んでいる。そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優・鏡耀子の妖しい輝きに俊太郎は引かれていく。だが、耀子は不倫の恋に傷つき、心を失いかけていたのだ。二人の間で揺れながら、彼は少しだけ大人になっていく…。
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なかなかよかったです.
『メールは,確かに気持ちを伝えるには向いていても,お互いを抱きしめることはできない.どんなに思いのたけをつづった手紙でも,相手が三十秒抱きしめてくれる温かさにはかなわない』 これはちょっとドキッとしました.でも,確かにそうなんですよね.
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村山由佳のきみのためにできることを読みました。この小説も読みやすく、すんなりと頭に入ってきます。天使の卵を読んで、ソフトクリームのような小説を書く人だと思ったのですが、それは間違いでしっかり内容もある小説も書く人だったんだなあ、と再認識しました。特にメールのあて先を間違って冷や汗を書くなんてことは、業務上でもあったら大変なことだし、間違いそうになったことも何度かあったりして小説の中だけの話とは思えません。直木賞も受賞したとのことだし、第1印象を修正してもう少し他の小説も読んでみようかな。
Posted by ブクログ
「どうして今まで、こんな簡単なことに気づかなかったのだろう。
メールは、確かに気持ちを伝えるのには向いていても、お互いを抱きしめることまではできやしない。どんなに思いのたけをつづった手紙でも、相手が三十秒抱きしめてくれる温かさにはかなわない。」
このセンテンスにぐっときました。
ほんとにね、そう。しみじみ思う。
ストーリー的にも面白いです。
ただ、主人公の俊太郎があまり好きになれない。
ひとりの女性だけをずっと思い続けるような、芯からの強さを持っていてほしいと願ってしまいます。
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僕が必要としているヒト
僕を必要としているヒト
二人の人を同時に好きになる。きっと世間では許されないこと。
でも人は弱くてずるいから、求めるものが違うからと言って、できてしまうんですね。
様々な場面の情景がとてもきれいに描写されていて、その場所へ行ってみたくなりました。
Posted by ブクログ
村山由佳らしい話なぁと思いました
この人の小説はいつも恋愛という要素でいっぱいなはずなのに
また恋愛とは違った所にテーマがあるような気がします
主人公のだらしなさや身勝手さには厭きれましたが
どうしても嫌いにはなれませんでした
人間は誰だって自分の居場所というものを求めていて
一度それを手にしてしまうと"自分の居場所を失う"ということには鈍感になってしまって
気づいた時にはそれは跡形もなく消え去ってしまっているかもしれないのに
今悩んでいるこの瞬間にも
恋愛にはタイミングが大切ということを思い知らされました
Posted by ブクログ
音、それも音楽ではなく、音そのものにこだわる主人公、
その設定が新鮮だった。
主人公の優柔不断さみたいなもの、それが恋なんだろうな
と思わせる小説。さらっと読めます。
Posted by ブクログ
最初のメールのやり取りが微笑ましくて照れくさくて、つい顔がほころんでいました。5年経ってもなおあんな風な関係でいられるっていいな、と素直に思いました。私が遠距離恋愛をしたことがあるからか、どうしても気持ちがピノコに偏ってしまっていた気がします。だから展開が読めてたとはいえ悲しくなったり。
最後に俊太郎は「どんなに思いのたけをつづった手紙でも、相手が30秒抱きしめてくれる温かさにはかなわない」と気づきピノコの元へとバイクを走らせるのだけど、ここでやっと止まってたピノコと俊太郎の時間が再びゆっくりと流れ出すのを感じました。
・どれだけ大事に積み上げてきたつもりでも、なくなる時は一晩。
なくなってしまえばおんなじよ。
・実際、どんなことでもして奪い取るくらいに考えないと、欲しいものなんて何ひとつ手に入らないのよ。
・お互いに好きになり、想いを深め、体を重ね合って・・・相手の何もかもを手に入れたつもりでいても、それはたぶん錯覚なのだ。人の心なんて不確かなものだ。今は好きだと言っていても、愛していると言っていても先のことまではわからない。相手を信じるしかないとおもっても、信じている自分の心の方が変わらないという保証はどこにもないのだ。
Posted by ブクログ
女性作家で女性視点、とか、男性作家で男性視点はもちろんすんなりいくけど逆はどうなんだろう?といつも思う。この作品は女性作家で男性視点ですが。男性の気持ちはわたしにはわからないけど、こうやって大人になってゆく過程は誰にでもあるし共感できる部分も。
Posted by ブクログ
村山由佳の文庫作品はほとんど読んだと思っていたら、この作品を読み落としていた。
90年代の作品なので、シンクパッドやら電話回線のジャックなど、今となっては古い設定のものが物語の鍵となる。今読むとそれがかえって、いい演出をかもしている気がする。
ただし、時代が変わっても変わらないものがある。大きな意味で言うとそれは「愛」であり、もっと言うと愛と恋の区別かもしれない。いずれにしても、恋愛において何が大切なのか、その一つの答えを著者は描き出しています。
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人が自分以外の誰かを好きになるのは、
しょせん自分は独りなのだということを知るためでしかないのかもしれない
主人公高瀬俊太郎が最後に悟る・・・。
高瀬はいまの私と同世代。
社会人2年目のまだまだ若輩者と言われる世代の男である。
同級生ピナコとプラトニックな恋愛を維持しつつも
大人な女優鏡に惹かれていく。
ピナコが他の男性と関係をもっているのではないかと思うたび、
焦る俊太郎は人間の醜い部分というか弱い部分を曝け出しているように
思える。
ひとはいろんな人に魅了され、恋をする。
それは、自分と違うからなのかもしれない。
その人を通して、自分という人間を知ることができるから。
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主人公はテレビカメラマン
ある番組で共演した女優と親しくなっていき、
彼女の悩みを聞いてあげるようになる。
これは恋なのか…?
だが、主人公には恋人がちゃんといる。
Posted by ブクログ
おもしろかった。主人公の気持ちがなんだか、揺れ動きすぎてピノコがかわいそうに思えた。
もうチョット違う視点からも見てみたいと思う物語でした。
話的には結構満足かな。
Posted by ブクログ
「キスまでの〜」の次に読みましたが、こちらのほうが好きですね。ざっと言えば、遠距離恋愛の話(ちょっと違うか?)忙しすぎる主人公(男)と、地元で待つ彼女(OL)はうまくいくんでしょうか???私はピノコ(彼女)と同じ性格かもしれないので、よけいに高瀬俊太郎(主人公)にやきもきした。そんな彼が「きみ」のために、何ができるのか・・・・。そういえば、これ、映画化されたんですね。DVDさがしてみようかなぁ?