村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下世話な話で、実に面白かったです。
どうせなら、もっとどろどろの泥沼離婚劇になっても楽しめたのですが、この主人公が仕事のできる、さっぱりした女性なので、結局は周囲も含めて、まるく収まっていきます。
とはいえ、やはり結婚当初の条件には納得がいきません。
大手広告代理店で働くバリキャリ女子と、「いつか自分の美容室を持ちたい」という夢を抱く美容師男子。夫の夢をかなえるため、都内をあきらめ、埼玉の新興住宅地に店舗兼住宅を建てます。住宅ローンも妻の負担が大きく、彼女は大手町周辺まで片道1時間30分をかけて通勤する日々。
この設定だけで、「いつか無理が出るだろうな」と思ってしまいます。
でも、さすが村山由佳さんです。
これが昭和なら、おそらく成立しなかった設定でしょう。令和では、男性と同等、あるいはそれ以上のキャリアや年収を持つ女性は決して珍しくありません。その現実があるからこそ、この夫婦のすれ違いには妙なリアリティがあります。
読みながら、いろいろとわくわくしました。
バリキャリなのに、なぜか自己肯定感は低い主人公。
一方で美容師の夫は、少し甘えてくる若い女性にあっさり心を揺らしてしまう。
「もっと揉めろ、もっと揉めろ!」と思いながらページをめくっていました(笑)
けれど、この物語の面白さは、不倫や離婚そのものではなく、夫婦それぞれが「自分は何を失い、何を求めていたのか」と向き合っていく過程にあります。
令和の結婚や共働きの難しさを映し出した作品としても、とても興味深く読みました。 -
Posted by ブクログ
「ロウ アンド ロウ」というタイトルに、どこか聞き覚えがある気がして調べてみました。
野坂昭如作詞の「黒の舟唄」。
男と女のあいだには
深くて暗い河がある
誰も渡れぬ河なれど
エンヤコラ今夜も舟を出す
Row and Row
Row and Row
振り返るな Row-Row
意味深な歌だわ
小説は、子どもを持つことを諦めた美容師の夫と、第一線で働くキャリア妻との夫婦の物語。
都心から離れた新興住宅地に、自宅兼美容室を構えます。妻の収入にも支えられながらローンを組み、夢だった店を手に入れました。
一方、妻は片道一時間半をかけて都心へ通勤する日々。
互いを思いやり、それぞれの仕事を尊重し合いながら、今の生活を懸命に維持していくかと思われた二人。しかし、その均衡は少しずつ揺らぎ始めます。
夫の店に入った若い女性アシスタントが、二人の間で次第に存在感を強めていくのです♪
うわっ、この空気感、好きだわ。
この人たちは、これからどこへ向かうのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ良かった……良かったけど……飼い猫との別れを考えてしまって病んだ!!!それくらい大切な家族のことを改めて考える時間をくれた1冊。さすが、動物を愛する村山先生だからこそ、そういう人の内面を動かすことができるんだろうな。私も余裕がなくなったらロビンの飼い主みたいに声を荒らげて、そして後悔するんじゃないかととても怖くなった。話すことの出来ない動物の治療や生死の選択は何を選んでも「自分は間違ってたんじゃないか」と不安になってしまいそう。そんな時、エルザのような動物病院があったらなぁ、なんて考えてしまった。
なんとなく、続編もありそうだなー?と感じた。でもやっぱり辛い目にあってる動物を見るのは、たとえハッピーエンドだと分かっていても体力と神経を使う。