村山由佳のレビュー一覧
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最初は、さすが著者さん、書店や編集、賞のことなどすごく詳しく書かれているなぁといった感想だったのですが、途中からまさかの展開に目が離せませんでした。本のページが少しずつ終わりに近づいていくのを感じながら、これは果たしてどのような結末を迎えるのかドキドキわくわくして読みました。
登場人物が芯をもっていたかと思ったら時に弱くて、人間らしさが出ていてとても魅力的でした。直向きに高みを目指し努力を続けるカインや千紘にどんどんハマっていく自分がいました。なので、最後の終わり方にはびっくりしたし、少し悲しい気持ちもありました。でも、イライラしたからって、他人に怒鳴ったり、車の座席を蹴っちゃダメです!
直木賞を巡って引き起こされた一連の出来事、タイトルの『PRIZE』もぴったりだと思います。
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Posted by ブクログ
「想いは、永遠なの。一度誰かとの間に芽生えたつながりは、ずーっと消えずに続いていく。たとえ、かたちを変えて、いつか思い出の奥にしまわれてしまったとしても、かつてそのひとと心をやり取りしたっていう記憶だけは、永遠に残るのよ。そう──ちょうど、海の底に沈んだ宝石みたいにね」
別れが辛いものであったり 自分の願ったこととは違う結果になっても私がその人と出会えたことは事実であり 「その人が自分の人生にいてくれた時間を、大切なものとして受け止められる。」 このメッセージを読むとなんとなく心が暖かくなる。
「人を恨みながら生きても、誰かと笑い合って生きても、同じように人生は過ぎていっちゃうのよ。あんたなら、どっちを選ぶ?」
憎むことが悪いわけではないし嫌うことが悪いわけでもないが自分の人生をどのような時間の使い方がしたいか 有限の時間を大切にする。
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Posted by ブクログ
ネタバレ結論:後半はかなり面白かったものの、結末があまりにもあっけなく、大きな物足りなさが残った作品でした。
※シンプルにハッピーエンドを期待しすぎました、、
序盤から中盤にかけて徐々に面白くなり、特に後半はカインと千紘の関係性に強く引き込まれました。
中でも印象的だったのは、千紘が過去に交際相手から受けた性被害をカインに打ち明け、カインが涙を流す場面。千紘がつらい過去をさらけ出し、それをカインが受け止める姿には胸を打たれました。二人の距離が少しずつ縮まり、作家と編集者という仕事上の関係を超えて、互いを理解し合っていく描写が素晴らしかったです。
主人公はカインですが、裏の主人公は間違いなく千紘。 それほど彼女の存在感が大きかったです。
だからこそ、結末には納得しきれませんでした。直木賞受賞という感動的な展開を期待していましたが、千紘による文章の差し替えをカインが受け入れず、受賞を辞退。さらに、チョコレートに添えられた「一生あなたを許さない」というメッセージ。
あれほど距離が縮まった二人が最後には断絶してしまい、「完全にバッドエンドじゃん」「え、これで終わり・・」というのが率直な感想でした。
後半の盛り上がりが良かっただけに、もう少し心に響く結末が欲しかったです。十分楽しめた作品ですが、個人的には『イン・ザ・メガチャーチ』の方が面白かったです。
ただ、良かったのは、作家や編集者が抱える苦悩、出版業界の裏側、そして直木賞を受賞することの難しさや重みなど、普段なかなか知ることのできない世界を疑似体験できたことです。この点だけでも、本作を読んだ価値は十分にあったと思います。
ちなみに後日、家族に結末を説明したところ、「私はそのオチでよかったと思う」と言われました。同じ結末でも受け取り方が違うのは興味深かったです。 -
Posted by ブクログ
出版業界や直木賞選考の過程が裏側まで分かるので、読書好き本屋好き、更に受賞作品に興味を持つミーハーな私にはもってこいの作品でした(笑)。
関係ないけど、大御所作家と思わせる作家もたくさん出てきて、きっと交流のある方々なのだろうなあ、なんて想像するのも楽しかったです。
普段から出版界隈(←使ってみた)を描いた作品を見つけると手に取ってしまうのですが、本書はその中でも特に生々しくて、著者の強い覚悟を感じました。
主人公の執念というか熱量が半端ではなく、著者の思いをここまでさらけ出せるってすごい!
そして、想定外の衝撃のラストでしたが、この結末は主人公らしく、残念な気持ちにもなったけど清々しさが勝り、読後感もよかったです。
とはいえ、パワハラ気質の主人公の罵倒が熱量ではフォロー出来ないレベルかな、と思い☆は一つ下げてしまった。。
ああいう文字の羅列を目にしてると、消耗するのよね・・・ -
Posted by ブクログ
美しくて艶やかな官能文学の世界だった。
誰にも言えずに秘めている性的趣向や、
自分でも気付いていない潜在的な欲求…
偶然か運命か、会うべくして導かれた男女が織りなす世界の行き着く先とは…
着物から繋がった東京と京都の2組の夫婦。
麻子と誠司
千桜と正隆
逢瀬の場面は、触覚にも嗅覚にも訴えるような濃厚な描写が続く。個人的には、千桜と誠司よりも、麻子と正隆の場面をもっと描いて欲しかった。
これも個人的嗜好だろう。笑
時に変化球で、麻子の祖母 トキ江がいい塩梅に大人の関係を窘めるのも印象深い。
小説だから結末をつけないといけないんだろうけど、現実だと、この続きが必ずある。
文学的な美しさ以上に、猥雑さのなかに艶かしさが光る作品。むしろラストのその先を読みたい、このまま読み続けたいと思ってしまった。
まぁこれ以上は、粋を超えて野暮になるんだろう。
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Posted by ブクログ
動物病院を舞台としたヒューマンドラマの短編連作小説。
信州の森に佇む小さな動物病院。生後間もない子猫、関節炎の老犬、チョコを食べてしまったインコなど、飼い主の人生に寄り添う動物たちが運び込まれてくる。彼らの命と向き合う病院スタッフの日常が生き生きと描かれる。
病院を取り巻く登場人物たちの人間模様にほのぼのする作品でした。「動物好きに悪い人はいない」を地で行く感じです。
個人的にはサブキャラであるオーナー医師がお気に入りです。凄腕、動物愛、ぶっきら棒、イジラレ役という完璧なスペックで、続編が出るならもっと活躍してほしいところ。
医療系の物語ではどこかで必ず「命」が絡んできますが、本作では愛玩動物の安楽死が扱われる回があって考えさせられます。その命の最期に責任を持つのは飼い主ですが、安楽死にせよ延命処置にせよ、結局は意思を言葉にできない動物に人間のエゴを押付けているだけかもしれないという記述を重く感じました。