村山由佳のレビュー一覧
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『天使の卵』の方が鮮烈で、痛みや美しさがむき出しだった分、個人的にはより強く心を掴まれたし好みだなと思った。
けれども、『天使の梯子』には、喪失のその後を描く目新しさ、静かな深みがあった。
この作品は、ただの恋愛小説ではなく、哲学チックだったのが印象的で、罪と赦しの物語だったと思う。
大切な人を失ったあと、自分のせいだ、いやあいつが悪いと責め続けてしまう。罪悪感は、いなくなった人への愛でもある一方で、生きている人間の時間を止めてもしまう。歩太や夏姫を見ていると、その苦しさが痛いほど伝わってきた。
だからこそ、この物語における救いは大きい。
誰かが劇的に救済してくれるわけではない。同じように傷 -
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バレエの話、自分にわかるのか?と思ったが、むしろ戦争の話だった。
満州に住む兵士と少女たちの目線で戦争の末期が語られる。臨場感があって読むのが止まらない、久々の没入感だった。
現代と過去が交互に語られ、それが結びついていく後半は驚きもあって、それも楽しめた。
作者の戦争に対する強い思いも伝わってくる。
小説ができることってあるよねと思った。村山さんもそれを信じて書いてるのだろうなと思う。
朝井リョウが國分功一郎との対談で、「雨のように読者たちに伝えることができるのが小説だ」と言ってたのこういうことなんだろうなと思う。
戦争に負けてすぐ、満州では兵士が先に逃げ一般人を置き去りにしたこと、ソ連 -
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時は1992年。翌年のボリショイ・バレエ来日公演に向け、雑誌と週刊誌でそれぞれ特集連載を組むことになった長瀬一平と水野果耶。
彼らが取材を進めるうちに、世界的なバレエ振付家・久我一臣と、太平洋戦争中満州に渡り看護隊として従軍した副島翠の半生が交錯する。
シベリア抑留という過酷な体験を経て、なんとか帰国しても郷里では冷たくあしらわれる。戦争に翻弄される弱者の物語は、決して目を背けてはいけないものだとわかってはいても、読んでいてつらい。
自分の祖父母も戦争を体験しているのだが、その話を聞くことがないまま、皆亡くなってしまった。いつでも聞けるものと思っていたのに、いつの間にか戦後80年という時間が経 -
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ボリジョイ・バレエ団の来日が決まり、バレエに関わる連載記事を…という話から記者の長瀬一平と編集者の水野果耶が、世界的振付家・久我一臣にインタビューすることになる。
久我の半生を辿っていくうちに過酷な戦争体験をも知ることとなる。
最初は、バレエに心を奪われて稽古場に通う…というバレエダンサーとしての過酷さや身体の不調などだったが、戦争という逃れようのない渦のなかで体験した話になる。
それが、水野果耶の祖母まで関係していたとは…。
あまりにも悲惨な状況のなか、生きて帰ってこれたということは、それでも幸せだということなのだろうか。
正気でいられる精神を維持することを思うと言葉も出ない。