村山由佳のレビュー一覧
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東京でいじめに遭い、不登校になったゆきのは父方の祖父母のいる長野に移住することになる。
暖かい人たちに囲まれながら、なかなか学校に行かない雪乃に対して苛立ちを感じてしまいました。それは、子供の頃学校に行きたくないのに無理矢理行かされていた自分に対し、雪乃はこんなにも甘やかされて恵まれている環境だということに嫉妬を感じていたからでした。
ただ、読み進めていくと、最後の結末に収束させるためには、この長い長い不登校の期間が必要だったと納得しました。
学校に行かない間、雪乃は祖父母の農作業や父親が始めた納屋カフェの手伝いをするのですが、そこから自然に対する先人の知恵を学んだりして、読者としても学 -
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40代子無し夫婦、夫は美容師、妻は広告代理店で働くキャリアウーマン。
夫が経営する美容室は経営順調とは言えず、客足はまばらだった。妻の方が給料高く、夫は密かに負い目を感じていた。
そんなとき夫の趣味であるサイクリングサークルで1人の女性に出会う。
彼女はネイリストで、やがて夫の美容室で働き始め、彼女の纏う陽のオーラで客足が増え、徐々に美容室経営は軌道に乗る。
あるとき夫と彼女は一線を越え、男女の関係となる。それからは不倫関係にのめり込んでいく...
読後に書いているので表現が合っているか自信がないが、妻の上司が言った「絶対的な長所というものはない」というセリフが印象的だった。
相手への感情次 -
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村山由佳さんの小説はなんと美しいのだろうか。
人物の心情の描写も、風景描写も、物語自体も本当に美しい。
村山さんには世界がとても繊細で、美しく見えてるんじゃないかと思う。自分にも、世界が美しく見える瞬間がある。だいたい夕暮れである。それは、家の近くの目黒川沿いの景色であったり、新幹線から見る景色であったり、旅行先で見る景色であったりする。その瞬間、身体全体に高揚感と満足感が広がっていく。それに近いイメージと感覚が、村山由佳さんの文章を読むと浮かび上がってくる。
早く読み進めたいという気持ちと、一文一文しっかりと読みたい気持ちが矛盾する。
結局自分の場合は早く読み進めたい欲求を抑えきれず、あと -
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あなたがあなたであるためなら、そこから逃げていいんだよ。
逃げることは必ずしも悪いことじゃないんだなあ。逃げることも一種の強さだと思うの。
もちろん逃げないことも当たり前に強いんだよ。でもそうすることによってあなたがあなたらしさを失うなら。私は逃げたっていいような気がする。
子どもって何も考えていないようで、小さな体で精一杯考えてる。周りに迷惑をかけないように、精一杯考えてる。
不登校の雪乃は父親の実家で療養生活を始めるんだけど、慣れてきた雪乃にかけたおばあちゃんの言葉が身に染みたな。今この時楽しいことを選んで、それだけで生きていく訳にはいかないし、そうやって生きていくとどこかでダメな人間に -
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ネタバレ物語を通して歩太は一目惚れしてからずっと春妃のことが好きだ。たぶんその愛情に満たされている感覚が歩太にとっての幸せなんだなと思った。
春妃と一緒になりたいという気持ちはきっと若さゆえの勢いもあるように感じた。年齢差や親の理解、夏姫の姉である事実があっても前に進もうとする強さがあった。
それに対して、春妃は年齢差や夏姫のこともあってかどこか認めない空気感みたいなものが伝わってくる。きっと春妃は歩太よりもずっと大人で抱えているものが大きいから自分の心に素直になることに時間がかかるんじゃないかなと思った。
精神的に歩太は若すぎて、春妃は大人すぎるのかもしれない。そんな2人が徐々に歩み寄って大人に、純 -
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阿部定。きっとこの名前を知る人は大勢いるのではないだろうか。もちろんその事件も同時に思い浮かべることだろう。
愛する人の男性器を切り取り持ち歩いていたところを捕まった阿部定。世の中では単なる好色女の猟奇殺人事件と認識されているだろうし、私自身、そういう認識でいた。
でも、この『二人キリ』を読んで、その認識が少し違ってきた。
著者の村山由佳さんはもちろんこの事件が起こった時にはまだ生まれているはずもなく、でも、吉弥に実際話を聞いたかのようにリアルに描かれていて、この小説がフィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなるほどだった。
もちろん小説だから、大いに脚色はされてい