あらすじ
そのひとの横顔はあまりにも清冽で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持ちはあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない。第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛したデビュー作。
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切ない恋のありがちっぽいストーリーだけど、ラノベ感は全く感じなくて、すごく好み。切なさやかなしさや愛おしさがしっかり伝わってきて、ページを捲る手が止まらず、あっという間に読み終えてしまった。
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個人的に、読んだタイミングが良かった。
人との繋がりが絶たれたタイミングで読んだ。
人との繋がりが絶たれるという事実が描かれていた。
胸が痛くなるような、ただただ俯瞰で眺めてしまうような、そんな話だった。
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愛し愛されることは奇跡でもあり、罪なことなんだと。時には、支えてくれるけど、とても恐く逃げ出したくなる。でも、逃げた分の時間は戻ってくれない。だから、互いに大事に思っていないと取り返しのつかないことになる。人を愛し、愛されることはとても儚く繊細なんだなと。それを目の当たりにした気がします。
天使が導いた奇跡
主人公が父親を見て言うように、この話も
神経質になりすぎないところが良いのでしょう。
以下、気が付いたことを書きます。
〇初めの出会いのシーンには、後でわかることが
隠れている。その時のヒロインが
どういう気持ちだったかということだ。
また、巻頭からオマージュが見え隠れし始める。
1.引用されているマーローと同じころの、
あの有名な劇作家の奥さんは8歳上だった。
2.主人公たちは待っていたのか?「ゴドー」を。
3.主人公がずぶぬれになって会いに来る場面。
マーローの『ヒーローとリアンダー』を思わせる。
もしかして、「鮎太」でもある?
そういえば魚の絵が大事にされている。
〇主人公たちの周りに起きる大人や同世代の人の動きは、
彼らの生死や性の問題と平行したり、対照されたりし、
野卑なものさえ単に全面的に避けるべきものでもない。
〇主人公は過度の神経質を避け、助言や自らの向上心で
そして、良いものも悪いものも含めてやや多い偶然
にも助けられて一筋の道を歩む。
それは、平凡で厳しい現実をかいくぐるようにして
彼らのためだけに、天使が用意した道だったようだ。
〇「卵」とは象徴的な題名だ。
ヒロインをモデルにしたクロッキーは、もっと本質を
捉えた「ほんもの」を産み出さずに終わるのか?
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物語を通して歩太は一目惚れしてからずっと春妃のことが好きだ。たぶんその愛情に満たされている感覚が歩太にとっての幸せなんだなと思った。
春妃と一緒になりたいという気持ちはきっと若さゆえの勢いもあるように感じた。年齢差や親の理解、夏姫の姉である事実があっても前に進もうとする強さがあった。
それに対して、春妃は年齢差や夏姫のこともあってかどこか認めない空気感みたいなものが伝わってくる。きっと春妃は歩太よりもずっと大人で抱えているものが大きいから自分の心に素直になることに時間がかかるんじゃないかなと思った。
精神的に歩太は若すぎて、春妃は大人すぎるのかもしれない。そんな2人が徐々に歩み寄って大人に、純粋になっていく様子をみると、恋愛に必要なものと結婚に必要なものははっきりと違うんだなと思った。
最後に春妃が亡くなってしまったとき、歩太の中の純粋な部分も一緒に壊れてしまったんじゃないかなと思う。
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どうすればいいかわからない。助けてほしい。
高画質すぎるグラフィックと、若くて太い感情がこの短い2時間の間で流れ込んできて、脳が誤作動を起こしてる。
歩太は、まさに、魂の線が細くて、お湯で薄めすぎてしまったコーヒーの味(読んでる間に思いついた)がするんだと最初は思ってたけど、読み終わった後味は、本当に濃くて濃くて濃くて胸焼けしそうなものだった。
疲れた。
村山由佳のエネルギーには恐れ入る。このくらいの胆力がないと還暦を過ぎてあの生命力に満ちた品のある美しさは出せないのかな。お目にかかったとき(1/11)すごくしなやかで綺麗な人だ!ってメロメロになっちゃったけど、今(1/15深夜27時)現在、なんかもう怖い。これを書いた時村山由佳は29歳らしい。どんな青春時代を送ってきたのか、おそらくゆりこの5億倍もの力で世界を駆けずり回ってたに違いない。
すぐに続きを読まなきゃ!って思ったけど、読みたくない!とも思うから不思議。こんな気持ちになるのは初めて。
だってこんな世界を知ってしまったらさ、自分は全てを持っていて、逆にいうと全てを持っていないという気持ちになっちゃうじゃん。
誰か今の私に細い線画をつけてほしい。
私を導いてくれる、納得が欲しい。
何かに納得してないわけじゃない、いま私は戸惑っている
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切ない、恋。一目惚れの恋。大切なものを失ってしまうのは人生でよくあることで、だからこそ人の命は儚いと思い知らされた。死は人間の人生の終わりであり始まりでもある。
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キュウっとくるような恋愛小説。苦しい苦しい恋愛小説。最後は誰もハッピーじゃない。苦しいまま終わる。でも、それはみんながその場では真剣で一生懸命で、その結果。
著者は違うが、原田マハさんのゴッホを描いた作品を思い出してしまいました。
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初作家さん。厚くなくて読みやすかったので1日で読めました。
物語は淡々と進んでいき、甘い恋愛小説になるのかと思いきや、、、!!!!
切なくも悲しいラストに少し涙しました。
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なんか、ラノベ・漫画みたいだなぁと思った。
文学的な表現は心地よいけど。
この前に読んだ2作より、なんというか、テーマ性?問題?みたいなものが少なかったからかな?
しかし、なんというか、絶望的なストーリーだよ...。苦労と挫折を乗り越えたかと思った矢先、また大挫折(苦労)。。人生にこう何度も苦難はあってほしくないね...。
そして、この作者は、ご本人が芸術思考の強い方なのかな?(まぁ作家ってそういうものかしら)2作前に読んだものと共通して、芸術肌とは、という感性の炙り出しがある気がする。いろいろ苦しみがあって、結局、それが芸術には生きるかも、的な何かが。。
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著者デビュー作。高校の時に読んだ記憶があるものの、内容を全く覚えていなかった。読みながら、春妃と夏姫という姉妹の名前が可愛いと当時思ったことだけ思い出した。笑
歩太のお父さんが退院してから終わりまでの展開が急すぎてびっくりした。
春妃が色々背負い込んで、最期もあんな形でっていうのが可哀想。辛い、切ない、やりきれない、、、歩太の今後が心配。
今「おいコー」シリーズを読み進めているため、すごく共通点があるなと思ったのが第一印象。年下彼氏・年上彼女、料理上手な男子、それぞれの性格など・・・自然と勝利とかれんを重ね合わせてしまった。
村山由佳さんは、本当に読んでいてキュンとするような照れるような純愛を書く方だなあ。若い人のみずみずしくも切ない気持ちを、こんなにも鮮やかに描写できるのがすごい。
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DVDを見て(正直そう面白くはなかったけど)原作を読んでみたくなり、手に取った本です。DVDよりもよっぽど面白かったけど、やっぱ登場人物は、春妃(精神科医で主人公の恋人)は小西真奈美さん、夏妃(春妃の妹・主人公の元彼女)は沢尻エリカさんで動いていました。なぜか歩太(主人公)は市原隼人さんではなかったけど。(イメージが違う)きれいな景色をながめているような本でした。でも、最後はちょっといただけないなぁ・・・。早急すぎるので、登場人物もあまりに急な展開で戸惑っているけど、読んでいるこっちももっと戸惑ってしまった。
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途中から最後まで一気読み。
歩太から春妃への想いや行動に、「あぁ、若いってこういうことだな」と思わされた。言葉の選び方が綺麗でありながらも場面がリアルに思い浮かぶ文章で、賞を受賞するのもさもありなん、という感じ。
ただ、そうであるがゆえに物語としては後半に向け「え?」と思ってしまう箇所が多かった。
年末に男が乗り込んでくる場面は、その後の2人の関係性の進展を描くのに必要だったとはいえ、春妃が病院の同僚に家を教えているのは不自然ではないか。(性格上教えていてもおかしくはないかもしれないし、名簿とかで見ていたのかもしれないが…)
春妃が亡くなった時は妊娠していた状態で、結果として2回も赤ん坊を殺すことになってしまう演出は正直人の親の立場としてはしんどいし、夏姫との鉢合わせからの流れと合わせて展開が駆け足で一気に作り物感が増してしまった印象。
実際働きながら母になった身としては、赤ちゃん用の靴下を編む時間なんて正直なかったし、考えたこともなかった…(個人差あるとは思うけど、精神科医って忙しそうだし余裕あるんだろうかと思ってしまう)
とはいえ、リアルさを物語に求めるのも違うのかもしれないけれど…
個人的にはなんとかハッピーエンドになって欲しかったがゆえに結末は辛かったけど、続編があるようなのでまた読みたいと思った。
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哀しい過去を持つ2人の純愛物語。
主人公が美大志望、マメな性格、繊細な年上女性(未亡人)に恋ということで、何か既視感があるなと思ったら、ハチクロの真山くんだった。
ただ個人的には、春妃のような儚げな女性をあまり好きになれない、妹の夏姫があまりにも不憫、歩太は後半になるにつれて少し傲慢になってはいまいか。。など小言が頭に浮かんできてしまい、純粋に切ない、という感情は持てなかった。結末はあまりに全員が不幸で胸が痛い。
ただ文章に嫌な癖がなく、とても綺麗で読みやすかった。
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衝撃作「ダブルファンタジー」以来、村山由佳作品を読むのは二作目。
巻末の解説中の、賞レース選者の評価には、「筋書が凡庸」の言葉が並ぶが、それでもなお本作が受賞している、ということは、読者が望む恋愛小説の要素が詰まっている、ということなのだろう。
電撃的な一目惚れ、とか、運命的な再会とか、健気な姿の裏の深いトラウマとか、それがもうひと抉りされてしまうこととか、惚れた相手が今付き合っているひと(夏姫)の姉貴とか、やっとうまく行き始めたのに悲劇的な結末が待っている、とか、「純愛」に浸りたいと思う凡人が想像の及ぶ限り劇的な展開を小説にするとこうなる、という印象で、ストーリー自体はAIが書きそうな内容に思えた。
でも一気に読み終えてしまうくらい、引き込まれた。そして切ない。ラストは違う形で良かったのではないかと思う。医者が医療過誤に会う、という設定は、筋を劇的にするためとはいえ、医療従事者に失礼な気がするし。。
8歳歳上の女医さんに予備校生が一目惚れ、という設定に、「上手くいくはずがない」と思うものの、表紙に映画化の際のキャスティングである、市原隼人と小西真奈美が載っているので、「あり?」
とも思えてしまう。
もしもラストの事故が起こらなかった場合、二人の恋愛は上手く続いただろうか? 一目惚れして突っ走るような人間は、またいつかは「ビビッときた」とかなんとか言って、違う人を突然好きになったりするのではなかろうか、と余計な心配をしてしまった。
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恋心の中に主人公のような冷静さが存在したならば私の恋愛はもっと上手く行っていたはずだ。だから主人公は28の女を落とせたんだもの。
まあ、純愛ってやつですね。(?)
セックスはもっと官能に描いてもいいですよ。(十分官能でした)
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受験に失敗し、予備校に通いながら画家を目指す歩太の前に春妃という女性が現れた。歩太の前に春妃に一目惚れしてしまい、次第に彼女の過去を知るようになる。
これより前に、この作品の続編として書かれた『天使の梯子』を読んでいたので、また読みたくなった。
歩太と春妃の妹である夏妃の辛さがどれほどのものであったのか、この作品を読んでさらに強く感じられた。
愛する人の死ほど辛く苦しいものはない。
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罪悪感とどうにも出来ない悔しさ歯がゆさ、初めて彼女に出会った時感じた、壊れやすそう、は思っていたより呆気なくって。
でもわたしもこのぐらい純粋で、でも自分たち以外のことを大切にしようとする恋愛がしたい。
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こんな恋愛したことないのに、何故か懐かしく、甘酸っぱい。
ストーリー展開も登場人物も、ラストシーンもある意味『ベタ』です。しかし、だからこそ、いろんな人の中にある恋愛に関する記憶に刺さるのだと思います。
純愛小説を読みたくなった時にはオススメです。
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直木賞作家、村山由佳が1993年にすばる新人賞を受賞した恋愛小説。作者が凡庸とも言える物語を敢えて選んだうえで、恋愛の普遍性を描こうとしたのだと感じたのは深読みしすぎか?
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久しぶりに恋愛小説読んだし
内容もつらくて切なかった
その人を思う気持ち
をわかりやすく丁寧に描かれとって
感情移入して読むことができた
あんな真っ直ぐに人を愛して求めたことがあるやろうか。
20歳の彼はこれからどんな人生を歩んでいくんやろうか
Posted by ブクログ
久しぶりに映画の方を見たので小説も。ストーリーはありきたりだと思うけど、所々美しさが感じられます。映画の方の小西さんの印象が強すぎて、あっちの原作という捉え方になってしまった。