村山由佳のレビュー一覧
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『天使の卵』の方が鮮烈で、痛みや美しさがむき出しだった分、個人的にはより強く心を掴まれたし好みだなと思った。
けれども、『天使の梯子』には、喪失のその後を描く目新しさ、静かな深みがあった。
この作品は、ただの恋愛小説ではなく、哲学チックだったのが印象的で、罪と赦しの物語だったと思う。
大切な人を失ったあと、自分のせいだ、いやあいつが悪いと責め続けてしまう。罪悪感は、いなくなった人への愛でもある一方で、生きている人間の時間を止めてもしまう。歩太や夏姫を見ていると、その苦しさが痛いほど伝わってきた。
だからこそ、この物語における救いは大きい。
誰かが劇的に救済してくれるわけではない。同じように傷 -
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天羽カイン、情緒不安定過ぎる。
ピュアで視野狭窄なんだから手に負えない。
これで編集者たちが離れていかないのだから才能があるということなんだろう。
「作者が神だ」これに尽きる。
カインが性被害に対して無知であることがわかる場面の台詞で、被害に遭ったその足で警察に行けばよいというのがあったが、私の周りで同じことを言っている女性がいた。
その女性もカインほどではないが獰猛な言動の方だったので、あの場面がやけにリアルに感じてしまった。
誰が言っていたのか忘れてしまったが、作家の種類で『女性作家』と『女流作家』がいると聞いた。
どう違うのかそこも忘れてしまったが(大事なところ)おそらくカインは『女 -
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ネタバレ今年13作目。
主人公、天羽カインのキャラが強くて冒頭から惹きつけられる。
で、第二の主人公、千紘(編集者)の変化も面白い。
カインは直木賞が欲しい、周りから認められたい。毎回惜しいところまでいくけど、何かが足りなくて毎回落選。
作品を子供のように思っているので、寸前で落選は辛いでしょう。
で、編集者の千紘と作者として関係を深めながら、二人三脚で直木賞を目指すんだけど
直木賞候補に挙がった【テセウスは歌う】の大事な一部を、その信頼していた編集者によって書き換えられるという、、、
しかも、それが直木賞を受賞する結果に。
「何かが足りない」を埋めたのは自分ではなく、編集者の勝手は行動。
テセ -
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作家と、そのまわりにいる人々それぞれの『業』の話。
昔読んだことのある本の影響で、村山由佳さんの書く話は透き通っていて繊細なイメージがあったため、本作の主人公・天羽カインのエキセントリックな言動には度肝を抜かれた。
だけどどれだけ傍迷惑に周りを振り回そうとも彼女をどこか憎めないのは、賞が欲しい欲しいと叫ぶ割に嫌な生々しさを感じない、彼女の根底に流れる清廉な精神を好ましいと感じるからだろう。
そばにいたいとは全く思えないけど、ある一定の距離から見ている分にはとても魅力的なキャラクターだと思った。
ストーリーも、何気ないセリフやそれとなく提示された情報が終盤に深い意味を持つ、伏線回収の妙味をこ -
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天羽カインの激しい人物像がリアルすぎて読んでいてずっとヒリヒリしてた。ハラハラじゃなくて、ヒリヒリ。
絶対に同じ会社にはいてほしくない。一緒に仕事するのは絶対に無理。
そんな天羽カインの言動に読んでいて心が削られて、中盤くらいまでは読む手が進まず休みを挟みながら読んだけれど、自分の作品を我が子のように思い、読者を本当に大切にしているのがわかり、少しずつ根底にある素直さやコンプレックス、不安が垣間見えてきてからは気付いたら自分も直木賞の受賞作発表のときにはどうか受賞しますように…!と一緒に祈っていました。
作家が作家に評価されたり、評価したりってどう感じるんだろうと考えることがあるので、そう -
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ネタバレ作家・天羽カインは人気NO.1で本の売り上げも追従を許さないのに、2度のノミネートをされたのに直木賞が取れない!!どうしても直木賞が欲しい!!
そんな天羽カインの編集担当者・緒沢千紘の目線から第1章が始まる。この後、章ごとに目線が天羽カインや他社の石田三成に変わっていく。
最初は違和感があったが少し読み進めて慣れてくるとついついその目線になってしまっている自分に気づく。
そして、ただのわがままな中年女に見えた天野カインが、だんだん「自分に正直で不器用な一生懸命に生きてる、たまに幼い女の子のようにダダをこねる愛すべき女性」に見えてくる。
途中で「ああ、これで直木賞か」とつまらなく感じたが、最 -
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バレエの話、自分にわかるのか?と思ったが、むしろ戦争の話だった。
満州に住む兵士と少女たちの目線で戦争の末期が語られる。臨場感があって読むのが止まらない、久々の没入感だった。
現代と過去が交互に語られ、それが結びついていく後半は驚きもあって、それも楽しめた。
作者の戦争に対する強い思いも伝わってくる。
小説ができることってあるよねと思った。村山さんもそれを信じて書いてるのだろうなと思う。
朝井リョウが國分功一郎との対談で、「雨のように読者たちに伝えることができるのが小説だ」と言ってたのこういうことなんだろうなと思う。
戦争に負けてすぐ、満州では兵士が先に逃げ一般人を置き去りにしたこと、ソ連 -
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時は1992年。翌年のボリショイ・バレエ来日公演に向け、雑誌と週刊誌でそれぞれ特集連載を組むことになった長瀬一平と水野果耶。
彼らが取材を進めるうちに、世界的なバレエ振付家・久我一臣と、太平洋戦争中満州に渡り看護隊として従軍した副島翠の半生が交錯する。
シベリア抑留という過酷な体験を経て、なんとか帰国しても郷里では冷たくあしらわれる。戦争に翻弄される弱者の物語は、決して目を背けてはいけないものだとわかってはいても、読んでいてつらい。
自分の祖父母も戦争を体験しているのだが、その話を聞くことがないまま、皆亡くなってしまった。いつでも聞けるものと思っていたのに、いつの間にか戦後80年という時間が経 -
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ボリジョイ・バレエ団の来日が決まり、バレエに関わる連載記事を…という話から記者の長瀬一平と編集者の水野果耶が、世界的振付家・久我一臣にインタビューすることになる。
久我の半生を辿っていくうちに過酷な戦争体験をも知ることとなる。
最初は、バレエに心を奪われて稽古場に通う…というバレエダンサーとしての過酷さや身体の不調などだったが、戦争という逃れようのない渦のなかで体験した話になる。
それが、水野果耶の祖母まで関係していたとは…。
あまりにも悲惨な状況のなか、生きて帰ってこれたということは、それでも幸せだということなのだろうか。
正気でいられる精神を維持することを思うと言葉も出ない。