あらすじ
デビュー30年記念作品、待望の文庫化!
捨てられた猫、恋人の犬、カエルのぬいぐるみ…言葉は交わせなくても、私は愛している。異質な存在との触れ合いを描いた傑作短編集。
長年連れ添ったカエルのぬいぐるみ 「晴れた空の下」
恋人が引き取ったラブラドル・レトリーバー 「同じ夢」
偶然出合った、余命が短い捨て猫 「世界を取り戻す」
人の手を渡り歩く、ナンタケット・バスケット 「グレイ・レディ」
かつて共に草原を駆けめぐった愛馬 「乗る女」
戦後のシベリアで心を通わせた看護婦 「訪れ」
単行本 2023年1月 文藝春秋刊
文庫版 2025年12月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人と人ならざるものの関わりにまつわる短編集。
人ならざるものも色々な切り口で読んでいて飽きなかった。夜寝る前に読むのにちょうどいい本!
普段短編集はあまり読まなかったけど、魅力に気づいてしまったかも。。
Posted by ブクログ
人ならざる者の話。
私自身、人ならざる者に感じるものが多くあるから、共感が溢れる作品だった。
人ではない生命の言葉を、人が表現するという物語だからこそ感じた愛に、何度も涙が溢れた。
とても素敵な寓話達でした。お気に入りの一冊です。
Posted by ブクログ
猫、犬、馬、動物の他にもカエルのぬいぐるみや、ナンタケット・バスケットが登場する六つの短編集。
人と人以外でも動物や物との間にも愛はあると実感出来る。作者の言葉の紡ぎかたがとても素敵な物語だと思う。
『グレイ・レディ』は女性とナンタンケット・バスケットの愛をバケットの視点で描かれている。物語のラストで女性と一緒に棺にバケットを納めるシーンはジーンとした。
Posted by ブクログ
晴れた空の下/同じ夢/世界を取り戻す/グレイ・レデイ/乗る女/訪れ
物語の終わりと始まり
六つの物語は
様々な存在が様々な存在への愛を語る
最後のページは
自身の中にある物語に対する作家の愛
だろうか
Posted by ブクログ
すべての作品に没入。斬新というかバグってるというか、理屈や常識を超越した愛って、確かにありそうな気がする。一方、語りのなかで何となく「誰かに理解してもらいたい」という心の声がサブリミナルのごとく伝わってきて、リアルな人間臭さも醸し出している。これは明らかに愛に対する行動と意識のギャップで、それが寓話という不思議な世界観を作り出していると感じた。
Posted by ブクログ
人と、人ならざるものとのつながりが描かれた6つの作品からなる短編集。
一つ一つが完全に独立している短編集を久々に読んだ気がするが、どの作品も、愛の美しさを感じられる作品だった。
Posted by ブクログ
著者の多彩な語彙と表現力が素晴らしい。
性愛表現があったけれど、その対象を人に限定しない所や、愛情や深い結びつきを丁寧に言葉で表現して、肌感で想像させてくれる所が、あったかくて優しくて良いな〜と思った。
アンソロジーで、色んな角度から色んな思いを向けて語られるスタイルが面白いと思った。
「距離を置くことによって、関係性が上手くいく」というフレーズに救いと安堵を感じた。
Posted by ブクログ
相手をどれほど愛しているかの、言葉の表現がすごく素敵で、「好き」以上の情熱が、すんなりと伝わってくる。
すごく好きな相手には、たしかにそう思うのだ。
Posted by ブクログ
デビュー30周年の快作。自身が原点回帰にして到達点というぐらいなので、さすがに読み応えはありました。人間同士以外にも愛はある。短編集の寓話なので好みが別れそうですが、私は好きです。読んだ後からじわじわと味わいが出てきました。私は猫の話が特にお気に入りです。
Posted by ブクログ
柔らかく仄かに燃え続ける幻のような小さな火だったり、燻られることなく強かに燃え続ける熱い火だったり。いろんな温度があれど、消すことのできない火を誰もが心の中で燃やし続けている。
物。
物はときに異常な執着を引き寄せることがある。
何よりも大切な物。誰にも理解はされないだろうし、理解されたくないこと。
特に、人と人の間にあった物だったり、誰かが残した物だったり、物を通して人を感じられるような物は、その物が持つ意味以上に大きな意味になって、ひとりじゃ抱えきれなくなることがある。
そのとき、物が物じゃなくなる。
でも『これは物じゃないんです、これは生きていて、襲ったり泣かせたりするんです』と言うと、頭がおかしくなったと思われるだろうから、とりあえず物として扱うことになるだろう。
きっとひどく孤独にあると思う。
この物語では、そんな孤独や喪失に寄り添ってくれる人(結局やっぱり人なんだな)がいて、それがどれだけ尊いものかを感じさせられた。
Posted by ブクログ
思いがけず涙が溢れた。
ホッコリと柔らかい気持ちになるような関わり合いがある一方、どのエピソードにも多少のしっとりした(官能的な)シーンもあるのが個人的には「ンー…」という印象。
それを差し置いても素敵な小説であることに変わりはない。
あの時、たまたま本屋に立ち寄って、この本を手に出来て良かった。
Posted by ブクログ
人ならざる愛しきものたちで繋がれる人々。
たまたま角を曲がっていたら綺麗な宝物が落ちていたみたいに、ものすごく得をした気持ちになりました。
グレイ・レディが1番好き。
Posted by ブクログ
全体的に「言葉によらない心の交流」が描かれており、読みやすい文体で独自の世界観を表現した短編集。
個人的にはあまり好みの話ではなかったが、話によってテイストが異なり一冊で色々なストーリーが楽しめた。
■晴れた空の下
あらすじ:病気で認知が曖昧になっている女性が、自分を忘れられるのが怖いからと、先生に今までの人生で楽しかったことを話していくが……。
感想:切なく悲しいけれど深い愛のお話。女性が伴侶と共に歩んできた幸せな半生が語られ、微笑ましく思っていると後半の急展開で感動して涙が出た。
■同じ夢
あらすじ:記者の女性はとあるバンドマンから犬の世話を任される。以前飼っていた飼い犬によく似たジョンに女性は惹かれていって……。
感想:ありのままを愛し合うお話。
女性が美女と野獣の喩えを用いて「そのままの姿であればこそ愛し合える」と思っているのが、上辺だけの軽薄な愛を貪るバンドマンと対比になっていて強いメッセージ性を感じた。
■世界を取り戻す
あらすじ:小さな出版社で働く副編集長の九美は二児の母である。仕事と家庭を両立させるべく日々を過ごしていたが、老眼が段々と進行してきて今の眼鏡が合わなくなってきた。動物病院でのインタビュー、大御所の作家との打ち合わせの中で九美の生活に変化が起こり……。
感想:怖がらずに殻を破れば、きっと世界は明るい。
九美はワーママであるため周囲の人との関係性に複数の名前がつくことが多く、アイデンティティがそうした複数の自分で構成されているため自分の正体が時折分からなくなる。そんな中、老眼の進行と仕事で遭遇するハプニングがきっかけで自分を変えようと決心し一歩を踏み出す希望に溢れた話だった。
何気ない日常生活の出来事が連なって九美を次第に変えていく流れが自然で、静かな物語として完結しているのが美しく感じられた。
■グレイ・レディ
あらすじ:主人公は籠。編まれたときから記憶があり、様々な持ち主?の手を転々とし最後にとある女性の所有物に落ち着くことに。彼女と過ごした日々を振り返りながら籠は……。
感想:籠視点の語りが斬新で面白かった。命を持たない籠だからこそたどり着けた結末は愛着を持てば物とも心が通じるのかもしれないと思わせてくれる温かみがあり、他の短編と比べて読後感が一番良かった。
■乗る女
あらすじ:幼い頃に乗馬を習っていた父子家庭の主人公は、就職を機に一人暮らしを始め再び馬に乗る機会を得る。馬の飼育場で出会った黒澤さんと親しくなるうちに、子馬の名付け親になってほしいと言われレラと名付けるが……。
感想:主人公の心の傷とその回復の過程が描かれたと思ったらまた喪失経験があり、物語全体としての雰囲気は暗めだった。にも関わらず、主人公が馬と心を通わせているときの無上の喜びが尊いものとして読者の心に残るほっこりした読後感だった。
■訪れ
あらすじ:自分史の作成代行を生業とする主人公は、父の自分史を作成してほしいという依頼人の自宅を訪れる。戦争経験者である依頼人の父が話し出した内容とは……。
感想:読んでいる最中どう「愛」に繋がるのかと思っていたら最後の展開できちんと愛に繋げていて、見事なハッピーエンドに安心した。
若干の性的倒錯要素が含まれている箇所が個人的には好き。
Posted by ブクログ
Twitterで見かけて気になったから読んでみた!
「愛」を愛という言葉なしに届けてくれる短編集。
ものすごく、感想を言語化するのが難しい。心の中にほわほわと温かい気持ちが溜まって、じんわり沁み入ってくる感じの話。人間じゃなくても、動物でも、物でも、愛がある。
『グレイ・レディ』がとても好きだった。人間じゃないからこそ、死は二人を別たない。
『乗る女』も好き。メインは馬だけど、人間にも愛がある。明るい未来を想起させる終わり方で、このあとどうなったのかな…と余韻があってとても好きだった。この後どうなったんだろうと思わせる話って、めちゃくちゃ良いよね。
Posted by ブクログ
色んな愛の形があるなぁっ…と思わせられた。
同意できる話しもあれば
『⁈』と感じる話しもある。
私も今さらだけど、1度だけ人の言葉を
話したのを聞いたかもしれない。
Posted by ブクログ
勝手に読んではいけないような誰かの秘密に手を触れているような感覚で読み終わった。
読み終わった後、桜木紫乃さんの解説を読んで、読んでいる最中の朧げな感覚がカタチを作って心の中に溶けていった気がした。