村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【2024年172冊目】
大杉栄と伊藤野枝。二人は夫婦であり、友人であり、同志であり、共に国を変えんと闘う革命家だった。関東大震災からスタートする物語は、終焉をを迎えるまで野枝の幼少期から順番に語られる。彼らは如何様に生きていたのか、ノンフィクション小説。
上巻は結構停滞しながら読んでましたが、下巻でどんどん引き込まれていきました。甘粕事件は名称を覚えていたものの、詳細は全く覚えておらず(習っただろうか)あまりの理不尽さに日本の暗い歴史を見たような心地に。
しかし、大杉も野枝も本当に不自由な時代ておいて、あんなに自由に生きていたのかと。咎められる所業もないわけではないのですが、村山さんの手 -
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2つの時代を生きる、同じ人物…?
「今」を生きる矢崎武志は、ある日行ったことのないはずの土地に覚えがあるという"デ・ジャヴ"を体験する。
その200年前のある村では、自身の復讐と一族の存続をかけて奮闘する、はやてという青年がいた。
2つの時代を生きる2人の青年が、奇妙にシンクロしていく、ワクワクする温かみのあるファンタジー。
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あとがきを含めて読んで良かった。
「目に見えるものだけがすべてじゃない」というセリフなんてもうありふれている?いやいや、そこをきちんと物語の持っている真意 -
Posted by ブクログ
大人の恋愛小説。
著者のエッセイなどを読んでいる人はすぐ分かると思うけど、これは著者自身の私小説?と思うような設定の数々。本当のところはどうなのでしょう。
特に何か大きなことが起きるわけではないけれど、房総の自然の描写・季節の移り変わり・隣のお爺ちゃんとの交流など優しい部分と、恋人との深く濃い愛情のつながり、高齢親との関わり方などが交わって、なんとも言えない情緒のある作品だった。
読後調べてみると、著者のデビュー25周年記念作品で、やはり編集者から「今のパートナーとの幸せな感じを小説でかいてほしい」との要望で書かれたものらしい。
それなら、かなり赤裸々だなぁとも思った。 -
Posted by ブクログ
村山さんのエッセイ本が大好きだ。
軽井沢の情景をありありと想像できる文面。
猫たちが目の前に現れているかのような文面。
それらがとても心地よく、読んでいると知らぬ間に私の身体は軽井沢や、猫たちのもとに行く。
背の君のことや、過去の旦那さんたちのことは知っていたが、お母様のことは、ここまで知らず。
「え?うそでしょ」と思うような数々の言動。
そりゃ、生き心地が悪かったのは無理ないと思った。
でも、今は、7匹の猫たちと背の君と、モミちゃんに囲まれて生きていらっしゃる。
人生、何があるかわからんなーと思いつつ、読み終えた。
最後の家の独り言も最高。
良い本を読んだなーと思う。 -
Posted by ブクログ
キャリアウーマンな主人公。自宅の一階が美容室になっていて、そこで働く美容師の夫との間に子どもはおらず、マンネリな日々。微妙な夫婦間のすれ違いを描く。題材が不倫なので、好みが分かれるとは思うが心情描写がリアルで面白く、エンタメものとして楽しめる。登場人物に対して吐き気がするほど嫌気がさすのも、作者の筆力だと思うので。個人的にはクールな主人公が好き。主人公の夫を誘惑する、若くてかわいい美登利のことを何か裏があるのではないかって思って読み進めていたのだが、特に何もなくて、こんなものなのかぁと思った。
黒田部長と昼間から蕎麦屋でお酒を呷る場面が好き。