あらすじ
札幌に住む看護婦の貴子は、学校に行けなくなった11歳の少女、まりもと知り合う。自分が通う牧場(ランチ)にまりもを誘うが、そこで待っていたのは、風変わりな牧場主と、エンデュランスという乗馬耐久競技だった。馬をいたわりながら、野山にめぐらされたルートをたどり、長距離を翔けぬける。競技に魅せられた者たちだけが見ることのできる世界とは? それぞれに喪失感を抱えた男女たちが生きることに向き合っていく感動作。
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心が疲れた時読みたいと思える本でした。
心が暖かくなります。
辛いことを乗り越えるのはどんなに周りに良くしてもらっても、最終的に自分しかいないんだなと痛感。
何も抱えてない人はいない。大なり小なり人生には全て付きまとうからね。
エンデュランスという競技も初めて知りました。
本当に馬の競技は多岐に渡るんだなぁと…。
動物も大好きなので、手元に置いて折に触れまた読み返したいです。
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感動的なラストが2回もあってお腹いっぱい。傷ついた人が他の人との関わり合いの中で成長していく姿をうまく描写できていると感じました。
そしてエンデュランスという競技の中で、チームで戦い抜く素晴らしさも感じることができました。
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エンデュランス競技を通じた、まりも、貴子、志渡の三人の成長物語。漆原(モデルは蓮見清一氏)が完璧超人すぎるのと、なんか恋愛パートが貴子のトラウマとややミスマッチな気がするけれど、全体としては素晴らしい。
この本は飛行時間10時間の飛行機の中で読んだのだが、これ以上の時間を馬の上で過ごしているというのがなんとも過酷。この競技のスタートラインに立てる人馬は本当に凄い。エンデュランスに興味がわきます。
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個人的にこの本がお気に入りで、本嫌いな私がはじめて3日未満で夢中で読めた本であり、本好きになった一冊でもあります。そして、自分自身が乗馬をしている事もあり、とても共感できたり、新しいことを学べたりと興味深かったです。
物語としては、あらすじにも書いてある通り、エンデュランスと主人公「まりも」を主体としたお話ですが、その中でも、それぞれの登場人物の成長する姿はとても面白く、自分も頑張らないとな。と元気と喝が入る一冊だと感じました。
また、一番の山場のシーンでは、鮮明に情景が浮かび上がり、胸も高鳴りますし、今すぐにでも自然に触れたくなります。
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息子の学校の入試問題に出題された本を読め始めたのだが、なかなか考えさせられる本が多い。
必ずと言っていいほど、いじめや親が亡くなってしまうという内容が描かれることには、閉口してしまう。しかしながら、その後の主人公の成長には感動する。
今回は、やせ我慢、武士は食わねど高楊枝についての言葉が印象に残った。
誰だって、四六時中、理想の自分でいることなんかできやしない。かっこ悪くて情けない自分がいるのをわかっていながら、せめて周りの人間にはそれを見せまいとして歯を食いしばる意地みたいなものが、俺はけっこう大事だと思うんだな。
また、村山由佳さんの作品を読みたい。
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面白かった。昔の作者の作風で、私はこちらのストーリーのほうが好み。最近のドロドロはやっぱり重たすぎて・・・。
読んで良かったと思える作品でした。ありがとう。
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確かジャケ買いに近かった。購入して一年経って開いた。そして次から次へ楽しくページをめくった。一人の少女と馬との出会い。そして馬との日常の中で少女が逞しく成長していく様子。それが楽しくそして嬉しかった。もっと早く読めば良かった。
今も少女は成長を続けているような気がする。立派に成長し続けているはず。
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身近じゃないから、ドラマチック。そして、それこそ物語を読む醍醐味なんだ、とあらためて気づかされた。
北海道、馬、いじめに不登校・・・共感ポイントほぼなしのストーリーだけど、だからこそ感動できたんだと思う。
まりもがぐんぐん成長していく様子が、ほんとうに輝かしくて、愛おしくて。サイファと人馬一体になっていく過程もほんとう~に感動的だった。
闇の先には光がある、というとありきたりだけど、でもまさにそれを描いた物語。
まわりの、しどさんや貴子さんもそれぞれに抱えるものがあり読ませるけど、やはり少女の成長ぶりが何より輝いて見えた。
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遥かなる水の音から続けて文庫で。
読みやすくて、響きが心地良くて、読後の余韻もとても優しい。
作品を読んで、で、結局?という人がいるけれど、結末が必要な作品とそうでない作品があって、明確な結末がないところに、〜かもしれないという癒しがある。
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単行本がとても気に入っていたので、文庫本になっていたのを発見して即購入。
やはりとてもいいですね。
村山由佳さんの作品の中では久しぶりのヒットです。
どろどろした内容ではなく、一人の女の子が時間が止まってしまってからまた動き出すまでの物語です。
神様は信じられなくてもそれでも生きていける、そういった人間の力強さが伝わります。
是非ご一読あれ!
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馬の話に惹かれて読むことにした。まりもちゃんの、貴子さんの、志渡さんの心にあるものが馬と付き合うことでほぐれていく。まりもちゃんの乗馬姿が目に浮かぶ。"第一章" じゃなくて "第一レグ" なんで? 読めば分かる♪ エンデュランスについてもっと知りたくなった。
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我が愛馬イリデッセンス号の待望のデビュー戦が終わった。結果は4着であったが、レースっぷりは悪くなかったと思う。勝ち上がる日を夢見て、また次走へ思いを馳せる。
しかし、馬はいいねぇ~。私は動物は好きではないのだけど、馬だけは別。馬が走ることを思うと色んなことを忘れるよ。
さて、この本、それぞれに心にぽっかり空いた穴を持ち、馬に携わることでしかそれを埋められない3人-乗馬牧場を経営する志渡、看護師の傍ら牧場を手伝う貴子、父親を亡くしイジメによって不登校になってしまったまりも-の物語。
冒頭描かれる札幌競馬場での出来事を経て、3人が出会ってからの牧場の場面からして良いな。北海道の碧い空と海、風の音、草の匂い、その中で弾む蹄の音。出産や馴致や牧場経営の実情の話も織り交ぜながら、馬との世界の楽しさが語られる。
その3人が“エンデュランス”という馬術競技の世界を知ることとなり、物語の後半、その世界最高峰のレース、テヴィズ・カップ・ライドを目指すところが描かれる。
馬のことは好きだけど、エンデュランスのことは知らなかった。
ウィキペディアによれば『一般的に数十キロメートルの長距離を数時間かけて騎乗し、その走破タイムを競う競技である。耐久競技のため、一定の区間毎に獣医師が健康診断を行い、獣医師の判断により競技の続行を決定する。そのため、騎手は常に騎乗馬の状態に気を配る必要がある』という競技は、速さの遺伝子を淘汰する競馬とはまた別の意味で、馬本位の競技であることが分かる。
終盤、厳しいレースの様が描かれ、これを完走するために多くの人々がひとつになる。馬に乗る者、横に添う者、ゴールで待つ者、これまでのしがらみを捨て、悩みを置き去り、それぞれの思いが静かに滾り平らかになる。
牧場で疾走する漆黒の馬の姿で締めたエピローグがグッと来た。
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馬に乗りたい!
馬と触れ合ってみたい!
そう思える本でした。
良本。
関西旅行から帰る道すがら、空港で出会った本。
お酒も入ってたし、いつもなら爆睡のところ、この本読み出したら止まらず、飛行機、リムジンバス中ずーっと読みっぱなし。止まりませんでした。
それくらい面白い。
不登校になってしまった少女の心の苦しさと馬と触れ合う時の清々しく開放的な感じが真っ直ぐに心に突き刺さる感じです。
馬の耐久レースなんて存在知りませんでしたが、馬と人間が一体となって走り抜く(マラソンに近いでしょうか)姿は感動すら覚えます。
感動もしますし、爽快です。
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村山さんの作品は厳しさと優しさのバランスが絶妙、
弱っている時には優しく包まれるような感覚もあり、それでも自ら切り開いて生きなくてはいけないと背中を押されるようなきもちにもなる。
だから、読後感が心地よい。
村山さんの作品は、最初に天使の卵を読み、ありきたりの表現ですが、みずみずしさを感じました。その後、他の作品も読んでいましたが、久々に、その時のみずみずしさをもう一度感じさせた作品だと思います。
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村山由佳さんは初読。なんとなく濃密な恋愛小説のイメージが強い小説家さんでしたが、それがいい意味で裏切られる爽やかな成長物語でした。人と人とのかかわり、馬とのふれあい、そして競技にかける情熱を織り込み、登場人物の成長と再生を描いた作品です。
いじめと父の死で不登校になってしまった少女のまりも。ひょんなことからまりもと知り合った男性恐怖症気味の貴子は、まりもを自分が通う乗馬のできる牧場につれていく。
牧場主はアルコールにはまった結果、妻と離婚し子どもの親権も失った志渡。
それぞれに喪失やトラウマを抱えた三人。彼らがときに厳しく、そして優しく支え合っていく姿がまず好印象。
そして馬にも慣れ三人の信頼関係も深まっていく中で後半転機が訪れます。風変わりな芸能プロダクションの社長に誘われ、まりもが騎手となりエンデュランスとよばれる耐久レースに、三人で挑むことに。
エンデュランスというのはレースであるものの、馬の体調や疲労具合も審査されます。過酷な道のりをいかに馬を気遣いながら、心を合わせて走るかも重要なポイント。そこに志渡と過去に遺恨ある相手も現れ波乱含みの展開に。
臨場感のあるレースシーンに、登場人物たちのそれぞれの思いやドラマも相まって物語は佳境を迎えていき……
まりもの成長が爽やかでよかったのはもちろんのこと、大人たちの物語にも要所要所でスポットをあて、それぞれの再生を描いていくのも非常によかった。著者の村山さんの優しい視点が物語全体に感じられます。
そしてエンデュランスという競技の魅力も伝わってきます。競技のシーンやまりもと馬の信頼関係もさることながら、エンデュランスに掛ける芸能プロダクションの社長の思いも熱く、それがまた物語に盛り上げる。
ラストシーンもとてもよかった。冒頭のまりもと父親のシーンと結び付き、落ち着くところに落ち着きます。とにかく読後感のいい一冊でした。
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エンデュランスという人と馬が一体となりゴールを目指す耐久レースに挑戦する少女とその支援者?の人達の物語。
主人公もさることながら、周辺の登場人物の辛すぎる過去。
それを乗り越えて挑むエンデュランス。
よい話程度で終わると思ったが、最後が素晴らしい結末だった。亡き父親との思い出の馬との再会。このラストは素晴らしい。
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エンデュランスという乗馬競技を初めて知った。辛い過去を背負った少女「まりも」が馬と競技を通して成長していく物語。精神的トラウマを抱えた「貴子」や傷ついた過去を持つ「志渡」など、まりもの周りに良い人が現れて良かったなと思った。優しい気持ちになれる作品。
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石狩の少女が馬と成長する話。
良識のある大人に囲まれていれば
苦しみながら学校なんて行かなくてもいいと思う。
しかし少女にこんな過酷なレースができるんだろうか。
TVで放送された後に騒ぎ立てられないことを願います。
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久々の村山本。
エンデュランスについてはほんのちょこっとの知識しかなかったものの、本質はそこじゃないんですよね。いつだかのと同じ、再生の物語。
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長年積読になっていたけど、GWに読むぞと決めていた本。村上由佳さんの文章は先へ先へと引っ張られる感覚があり、するすると読めてしまう。
のどかな風景がベースにありながら、要所で気持ちが大きく揺さぶられる物語だった。
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エンデュランスという、見たことも聞いたこともない乗馬の競技の話で、興味深かったです。
心の傷を抱え、乗り越えていこうと、もがいている。そんなお話なのかなと思いました。
自分の限界を超える経験というのは、そうそう出来るものではないと思いますが、経験したからこそ見える景色があることは、納得できますね。
どんなことも経験することを恐れないことが、人生を豊かにするのでしょうか。
Posted by ブクログ
馬が好きゆえ、馬術の中でも割合マイナーな競技であるエンデュランスを扱った小説、というだけで、不幸な過去を持つ登場人物が集結し過ぎじゃね、とか、トントン拍子でデカい大会まで出れ過ぎじゃね、とか、この手のドラマにありがちなご都合主義的要素には多少目を瞑れる。にしても、最後のポエチックな2ページは余計かなと思う。