あらすじ
父の自殺、学校での苛め、母には徹底的に拒まれて…。幼い頃に受けた仕打ちで凍りついた篠崎真冬は心に深い傷を抱えて生きてきた。その愛に閉ざされた心を解き放つのは、ニューヨーク。恋人、ラリーの幼い息子ティムも、実の母親から虐待を受けて育った子供だった。自分の居場所を求めて模索し幸せを掴みかけたその時、真冬にさらなる過酷な運命が襲いかかる。そして舞台は広大なアリゾナの地へ。傷ついた真冬は再び羽ばたくことができるのか? 一人の女性の魂の再生と自由を描く感動長編。
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Posted by ブクログ
父親の自殺を見てしまい、母親からは周りを不幸にする。と言われて育てられた真冬。
日本を捨ててアメリカで子供のいる男性と出会い、やっと幸せになれると思いきや、男性が子供と真冬を残して亡くなってしまう。
その後、お葬式をするために男性の故郷アリゾナ州へ。
テーマは変わることが出来る。じゃないかなぁと思います。
周りからどう評価されても、自分を変えれるのは自分。自分の気持ち次第でどうにでもなれる。ということじゃないかなと思います。
題名の英語の意味にもはっとなります。(まともじゃない母親から求めても無理だよね)
Posted by ブクログ
「不安が風船のようにふくらんで割れる寸前までいくと、
子供の心はそれを抱えておくことができなくなって、
自分で風船を割ってしまうんだ。
相手を挑発してわざわざ攻撃を引き出すことによって、
自分のいだいている恐怖を現実のものにしてしまおうとするのさ」
「そんな…どうして?」
「現実にさえなってしまえば、もう不安でいる必要はなくなるからだろうな」
このやりとりが胸に迫りました。切なすぎる。。。
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素晴らしい!話の展開がとても大胆かつスムーズで、のめり込んで読んでしまった。
村山由佳さんの書くお話は、辛い境遇で育った人がよく出てきますが、このお話もそう。で、過去の自分とどう折り合いをつけて未来に向かって進んでいくのか。そういうところを丁寧に丁寧に流れるように描写してあるから、感情移入しやすいのかな。
これ、ハリウッドの映画になってもおかしくない。
Posted by ブクログ
親の虐待や学校でのいじめを経験し心に闇を抱えて育った真冬がアメリカの大学で自分を理解してくれる恋人と出会う。彼は結婚式直後に事件に遭い死んでしまう。先妻の子ティムをつれて彼の両親の元に行く。彼の家族もまた複雑であった。父親がインディアンの女性とのあいだに作ってしまったブルースだけが真冬とティムが心許せる人物であった。彼もまたいろいろないじめに耐えて生きてきた。多くの人がいろいろな苦しみを抱えながら自分の生き方を探す。諦めずに自分の居場所を探していくことが大切なのだろう。
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解放と邂逅の物語。自分で子どもを産んでから、前半が辛くて仕方なかった…でも、こんな親にならないためにするには、こういう人間にならないためにどうしたらいいか、最初に読んだ時よりもずっと、考えられるようになった。
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確か村山由佳さんの本との出会いがこれ。
父親が著者名を見て進めてくれた。
悲しくて人間の腹黒さの詰まった作品だけど、凄く凄く好きな本。
Posted by ブクログ
悲しい出来事に多々遭いながらも、それでも自分の心と戦い続ける真冬を、かつての私に重ねながら読んでいました。どの人物も心の闇や後悔を抱えながらも懸命に生きようとしているのが分かって、胸を打たれました。ずっと手元においておきたい本。
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すごい。
社会問題も、内的課題も、ひっくるめて、アリゾナの地で主人公の葛藤が展開していく。
村山由佳の情景描写は、作品をおおいつくし引っぱってゆくようで本当に好きなのだ。
深呼吸したい。
登場人物は壮絶な人生をうったえてくるのに、読者を引き込みむしろ自然の中に放出させる。
解放された気持ちになるのは、作者の手腕か、こちらの人生の跳ね返りか。
Posted by ブクログ
私が生きてきた中でもっとも好きな小説です
情景描写、ストーリー、人物の設定
どれをとってもピカ一です
流れるような文章の流れは読んでいて心地いい作品です
追記(2012/6/30)
約3年ぶりに読みなおして、何度読んでもいい作品
以前までに読んでいた時は文章力にとくに心動かされていたけど、
主人公同様にアメリカ留学を経て、前半部分に多くの共感を得られた
またいつの日か読み直したい
Posted by ブクログ
20年以上前に、大学の生協で買った本。
何で手に取ったのかは覚えてないけれど、思い出したように数年毎に手に取り、内容知っていても、いつも新鮮に読み進める。
真冬の心情やアリゾナでのティムの無邪気さ、虐め、差し伸べてくれる手とぬくもり。ナヴァホの暮らし。
Posted by ブクログ
よかったと思います。
素直に、なんか優しい小説でした。
人からまとめてもらって、村山さん連続読みする機会に恵まれているのだけど、これは他のと少し趣きが違ったな。
なんていうか、酷すぎ辛すぎという流れはありつつも、最後はこれは穏やかに終わってたし(笑)。
あと、なんていうのだろう、舞台が完全に外国で、外国人小説家の話を読んでいるような感覚にもなったし。主人公の女性がひたすら内面と向き合って静かに自分を分析し続けてたからかな、全体的に、起こっていることは酷いけど、穏やかでした。
また、ミステリとかではないのに、最後どっちに向かうのか、必ずしも途中では予想のできない展開だったし。
ということで、☆4.5くらいが適切かも?と思う感じの☆4登録です。
子どもには優しくしたいな、と思いました。。
Posted by ブクログ
主人公悲惨過ぎだろ。かつ、狙いすましたかのように義弟がネイティヴアメリカンって設定もあざといよな。癒すために敢えて傷付けるような物語立てなような気がして。と言いながら後半はスピード感あって結構楽しめた。フラッグスタッフとか自分の訪れた事のある地名が頻出するのもなかなか楽しかった。
Posted by ブクログ
ちちのじさつ、学校での苛め、母には徹底的に拒まれて・・・。NY大学の学生、篠崎真冬は心に深い傷を抱えて生きてきた。恋人、ラリーの幼い息子ティムも、実の母親から虐待を受けて育った子供だった。自分の居場所を求めて模索し幸せを掴みかけたその時、真冬 マフィにさらなる過酷な運命が襲いかかる。舞台は広大なアリゾナの地へ。傷ついた魂は再び羽ばたくことができるのか。
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児童虐待などの重いテーマを扱いながらも、舞台が舞台だからか、爽やかさすら感じる。真冬の優等生ぶりや、終盤の各人の豹変ぶりなど、人物描写にやや気になる点はあるものの、話としては面白い。
Posted by ブクログ
村上さんの自然そのものやその力強さ、尊さ、を感じさせる描写が、読んでいて訴えかけてくるものになっている。
久しぶりに読んだ小説で、やっぱり小説って面白いなと思わせてくれた本。
ただ、語り手がころころかわるところや、本をあけて最初のストーリーが読みにくく感じた。(2つのストーリーが交互に描かれている)
Posted by ブクログ
人種差別(主にインディアン)をテーマに壮大なスケールで描き上げた長編大作。ニューヨークからアリゾナまでアメリカ大陸を横断。度重なる不幸を背負いながらも、成長していく日本人女性。ナヴァホ・インディアンの伝統や言い伝えなど、とても興味深かった。生きるとは…、幸せとは…、そして、愛とは…、読後感はすっきり。
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2012.6.1~2012.6.6
登場人物:篠崎真冬、ラリー、ティム、ブルース
アリゾナを舞台に、ひとりの女性が過去を乗り越えて前向きに歩き出すまでのお話です。超大作ですが、あっという間に読めてしまいます。
Posted by ブクログ
【翼】 村山由佳さん
父親は自殺し、母親からは「おまえは疫病神だ」と
ののしられて育った真冬。
彼女は自分とかかわった人間が不幸になるコトを恐れ、
他人とうち解けるコトを避け、ダレにも心を開かずに育った。
今、彼女は日本を離れニューヨークで暮らす。
そのニューヨークで大学教授のラリーに見初められ、
彼の真摯で誠実な人柄に少しずつ心を開いてゆく。
ラリーには前妻との間に出来た子どもティムがいた。
ティムは前妻に虐待され、心に問題を抱えた子どもだった。
やがてラリーとの結婚を決意する真冬だが、
彼女に悲劇が襲う。
結婚式の当日、式後に真冬とラリーが新居へ戻る途中
ラリーは強盗現場に居合わせてしまい、殺されてしまったのだ。
真冬はやはり自分が疫病神だと思いこんでしまう。
ラリーの葬儀はラリーの田舎で行われた。
彼の父親は観光みやげと牧場を営む事業家だった。
ラリーの葬儀の席で、真冬は白人とインディアンの混血児
ブルースと出会う。
彼もまた白人とインディアンとの境界線で悩んだ経験を
持つ青年であった。
ラリーの実家で、真冬は彼の複雑な家庭環境を知る。
☆
心に問題を抱えた真冬とティム。
彼らと同じ次元の悩みを持っていたブルース。。
彼らは似たもの同士だった。
自分の立つべき位置が分からず、自ら翼をたたみ
精神を殻の中に閉じこめることで、自らが傷つくことを
最小限に抑えようとする彼らが、大地の声を聴き
自らの足で地を踏みしめ、自分のあるべき場所へと
戻ってゆく。
最後に真冬もティムも自分の意志で自分の進むべき道を
見つける。
何かを手に入れようと思えば、
何かを手放さなければならない。
別れはそのための儀式のようなものだ。
最後で、ブルースがマイケルを助けるため、
永年連れ添ったパンチ(犬)に「(噛んでいる口を)放せ」
と命令するくだりには涙腺を刺激されました。
良い本でした。こういう最後にいい余韻を残して終わる本が
やっぱり好きだな。
Posted by ブクログ
・翼 村上由佳 集英社 幼い頃から母親に疎ましがられ、「お前が愛するものはみな不幸になる」 といわれ続け実際にそのような出来事が起きてしまう「真冬」。 日本を(日本人であることを)捨てたくてニューヨークで暮らし、居場所 を見つけながら沢山の人との出会い(別れ)を通して成長していく物語
「こんなはずではなかったことを数え上げてみたところで何も変わらない。それよりも、ごくシンプルなレベルで嬉しかった出来事を、ひとつずつ数えて毎日を暮らしていくほうがずっといい。」
「魂に翼を持つというのは決して楽なことじゃない。いっそ、そんなものを持たないで、闇の中でじっとしていたほうが幸せだと考える者もいるだろう。手に入らないものをいくら求めても苦しいだけだ。それこそ「月を取ってくれと泣く(cry for the moom)に等しいじゃないか、とな。だがな、たとえ苦しかろうと、求めなければ何も手に入らないし、人はその翼で飛ぶことでしか自分の奥底へ入っていって答えを見つけることはできんのだよ。」
「全てはあんたの選択次第なんだよ。人を愛せる人間になるのか、憎しみに支配された人間になるのか。幸福になるための努力をするか、不幸への坂を滑り落ちるにまかせるか。育った環境も、置かれている境遇も関係ない。あんたが、自分で、選ぶことだ。」
Posted by ブクログ
書評で借りたら、533ページもある長編で、
萎えるかと思ったら、面白かった。
2002年作品だけど、
内容は宗教にはまる毒母と、父の自殺。
20年前の作品なのに、
題材はまさに『今』。
Posted by ブクログ
ヒロイン真冬の不幸な出来事の数々が重すぎて、不幸のオンパレードといった感じ。
人種差別的問題、児童虐待問題といった現代の問題など、少し詰め込み過ぎの感があった。
最後の事件なんて、お義父さん、アホですか?と言いたくなるような行動がきっかけだし。
それは、家族は怒るだろう。
一言、犬は巻き込むな。
最後、全部犬に持っていかれました。
Posted by ブクログ
村山由佳の小説は長いけど、映画を見るみたいにすんなり読める。
良いお話だったけど、マフィに感情移入できなかったせいが
ところどころ消化不良。
ラリーは、パンチは…