あらすじ
色に魅せられた染織家・多岐川飛鳥、野生動物のいのちを撮るカメラマン・藤代一馬。ふたりが出会ったのは、ベルリンの壁崩壊の夜。運命的な恋の予感はそのまま、アフリカでの再会へと結びつく。サバンナの大地で燃え上がる愛、官能の炎。しかし、飛鳥の友人で藤代の写真集に携わっている出版者勤務の祥子も一馬に恋をしていて……。想い合っていてもどうにもならないこともある――運命の出会いから慟哭のラストまで胸を揺さぶるストーリー。恋愛小説の名手、村山由佳の初期作品が待望の電子化!
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Posted by ブクログ
情熱的で、甘く切なく苦い大人の恋。
かなり昔の作品。十数年ぶりに再読しましたが、やっぱり何度読んでも作品の持つ雰囲気にいつの間にか引き込まれてる。
染織家の飛鳥と動物カメラマンの一馬。どちらもすごく魅力的。
一馬が暮らすアフリカの大自然とそこに生きる野性動物の描写が素晴らしい!
飛鳥と一馬の恋の行方にやきもきしたりハラハラしながら、アフリカの大自然、染織の魅力も感じました。
胸を抉る辛い現実にも、どこか冷静な自分を客観視している飛鳥が痛々しい…。苦しくて、寂しくて、悲しくて、滂沱の涙。
今までに読んだ恋愛小説の中でも特に記憶に残る1冊。
Posted by ブクログ
所有している好きな小説。久しぶりに読んだけどやっぱりいい!
行間から感じられる色と香り。アフリカの風景が目に浮かぶ。アフリカの乾いた熱い風を感じる。私はアフリカにそれほど興味はないんだけど、アフリカのサバンナを見てみたくなりました。
染織家の飛鳥とカメラマン一馬の恋愛のお話だけど、ただの恋愛小説では片付けられないスケールです。魂が求め合うふたりなのに、やっと出会えたふたりなのに。出会いも運命だけど、その後も皮肉な運命に翻弄されるふたり。単純なハッピーエンドではないところが切ない。
Posted by ブクログ
村山由佳の小説のなかでも、特に印象に残っているものです。単純なハッピーエンドではなく。しっかりと、明日を生きていく希望のような、そんなものを感じさせてくれる。人間の生々しい感情というか、そういうたぐいのものが感じられます。
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とてもお気に入りの作品です。
日本以外にも、ケニアやドイツが出て来ました。
ストーリー自体は普通の恋愛小説だと思ます。
注目してほしいのは、文章の透明感。
太陽の匂いがする。
サバンナを動物たちがのし歩く風景が見える。
主人公の絶望が・・・・。
ケニアに行ってみたくなる作品でした。
マンガは読むけれど、小説には抵抗感があると言う人に、ぜひ読んでみてもらいたいですね。
Posted by ブクログ
なにもかもがツボ。
写真、染織、アフリカの動物、風景、日本での日常、それらに関する描写がきれいで、情景が目に浮かぶ。匂いが想像できる。
ラストも、ありがちなハッピーエンドじゃなくてすきです。
納得いかない、折り合いをつけるしかない、事実と現実と感情がリアルで素敵!
Posted by ブクログ
何度も何度も読んでいます。
彼女のような強さに憧れつつも、それを手に入れられなかった自分を
誇りに思ったりもします。
いろんな意味で、影響を与えられた作品です。
Posted by ブクログ
色に魅せられた染織家・多岐川飛鳥、野生動物のいのちを撮るカメラマン・藤代一馬。ふたりが出会ったのは、ベルリンの壁崩壊の夜。運命的な恋の予感はそのまま、アフリカでの再会へと結びつく。サバンナの大地で燃え上がる愛、官能の炎。しかし、思いがけない事実が発覚して──。
主にアフリカを舞台にした物語で、そこに登場する人物と動物たちとの姿がまるでそのまま浮かび上がってくるかのような、透明感のある文章で読みやすかった。
ハッピーエンドかと思いきゃまさかのラストに、胸の奥が痛くなった。
飛鳥や一馬の仕事に対する想いの熱さに、自分の身近にいる人の存在を重ね合わせて見る思いがした。
Posted by ブクログ
主人公飛鳥は、天使の卵やおいしいコーヒーシリーズのヒロインのようにおっとりした雰囲気ではなく、まだあまり村山さんの作品を読んでいなかった私にはちょっと新鮮でした。
そして、天使の卵もそうでしたが、胸が引き裂かれたような結末で、しばらく引きずりました。
Posted by ブクログ
染織家・飛鳥とカメラマン一馬はベルリンの壁崩壊の前夜に出会い、お互いがお互いの存在を忘れられないまま、二人はアフリカで再会、激しい恋に落ちる。
ところが、飛鳥の同級生であり、感情的にも微妙な関係にある編集者の祥子と藤代の関係が明らかになり、さらに藤代の「子孫を残したい、飛鳥に自分の子供を産んで欲しい」という願望と飛鳥がそれに答えられないことにより、この恋は終幕へと近づいていく・・・という話。
恋愛に関してのストーリーは失礼だがまぁ、ありがちな話。出会った瞬間に「これは運命なんだ、運命の出会いなんだ」と思う恋愛はどこか嘘っぽいと思ってしまったりするので、そのあたりに関しては心ときめかせて読むほどではなく・・・。年と環境のせいかしら^^;
(大体、運命の恋って、出会って、育んで、自分も相手も得るものがあって、成長して初めてそう思えるもんじゃないのか?と思うのだが)
それでもなぜかつい、引き込まれて読んでしまうのですが・・・。
小説の魅力はストーリーもだけど、感情描写、風景描写などがどれだけ魅力があるかが問われるものだとあらためて思います。
というわけで、この小説の読みどころは、恋愛の行方よりも色彩感覚豊かな文章にあると思います。飛鳥がつくり出す織物と織物を作るために染めあげる糸による色彩のハーモニーが特に美しい。文章を読みすすめると、色がまぶたの裏に浮かんできます。
色にはいろんな美しい名前がついています。
自然の樹木や果実からとった名前もあれば、聞いただけでは何色かわからんような名前もありますけど(笑)
「色の名前」とか「色の手帖」を片手に読んでみると、視覚的にも楽しめる作品になるのでは。
また、サバンナの風景も、この作品のタイトル通り「野生の風」を感じさせる描写です。それらを堪能するのもこの作品の楽しみ方かもしれません。
Posted by ブクログ
30年近く前の小説。だいぶ前に買った本を本棚の中で発見したので読んでみた。恋愛小説だが、アフリカの魅力が存分に伝わってくるし、色彩の表現も際立っている。
Posted by ブクログ
この文章では、いろんな色の描写が出てくるんだけど、不思議なことに、色彩だけではなく、匂いやそこに吹く風のそよぎまでもが存分に体感できるように感じられる。読後、解説にも似たような記述があって、やはりそうなんだと思った。どうしてそうなるのか分からないが、この人の文章は、間違いなくそういう感覚を引き起こさせる。5に近い星4つです。
Posted by ブクログ
学生の頃に買った大好きな本。久しぶりに再読。
ストーリーをほとんど覚えていたので新鮮味がなかったし、斜め読みだったけど、飛鳥と一馬がうまくまとまらなかったことがただただ悲しい。運命ってどうしてこんなに残酷なんだろう。
Posted by ブクログ
世の中にはこれほどたくさんの色の種類が存在するのかと目の覚めるような思いで読み進んだ。こんなに繊細に鮮やかにあらゆる色合いを表現した作品を他に読んだことがない。 文章だけで極彩色が目に浮かぶよう。色だけでなく、匂い、温度、動物たちの命と魅力的なキャラクターの生が迫ってきて飽きることなく一気に読めた。この人の作品の恋愛もの『星々の舟』もとても良かった。また他の作品も読みたい。
Posted by ブクログ
(注:はげしくネタバレです。これから読む人は読まない方が...)
「村山由佳ならこれ」というツイ友の勧めで読んだ本。家には他に何冊かあるけど、読まず嫌いw。
25歳の草木染め作家が奥さんと子どもを失くした中年のカメラマンと、東西の壁崩壊当夜のベルリンで出会い、8ヶ月後、ケニヤで劇的な再会をして...っていう物語。ところが、主人公が高校時代にカレシを奪った同級生の編集者が偶然このカメラマンに夢中で...。
こうやって書くと陳腐な話だけど、はっきりとイメージが浮かんでくるアフリカの自然や、ドライバーとの交流、カメラマンの助手/義理の弟の描写はさすが。
でも、一度だけ男女の仲になった編集者が妊娠して、産んだ子どもに知的障害があったからカメラマンが責任を感じて...っていう終わりはちょっと安易だし、書き込めてもいないし、後味が良くない。
実際にはあるかも知れないけど、小説で描く必然性があるのかやや疑問。「重さを押し付けられた」っていう感想があったけど、同意。
でも主にアフリカの情景を楽しめました。なんでこれ、映画化されなかったんだろ。登場人物考えると面白いかも。飛鳥=満島ひかり、一馬=内野聖陽、祥子=黒木華、浩司=柄本佑とか?
Posted by ブクログ
色や匂いなど、様々な感覚器官を刺激する表現で溢れています。
まだ見ぬサバンナの光景、野生動物の荒々しさ。
これまで読んだことがないくらい鮮明に想像されました。
ストーリーとしては斬新な展開や大きなどんでん返しなどはないのですが、表現が豊かで、さらに登場人物の個性が強いため、非常に印象に残る1冊でした。
Posted by ブクログ
「海外で出会った日本人男女が恋に落ちる」話、いや、そもそも恋愛小説自体あまり得意ではないのですが、この作家さんの「星々の舟」が良かったので読みました。
やはり最初は恋愛小説独特の「オシャレ感」にどうにもなじめず、読み進めるのに苦労しました。ですが後半に向けて次第に、引き込まれていきました。
過去のたった一つの選択が、未来の自分に大きな影響を及ぼすこともある。
そして、何でもかんでもただ「言えばいい」わけではないんですよね。
Posted by ブクログ
アフリカの情景が目に浮かぶようだった。
始まりからあり得ないけど素敵な出会いだった。最後は悲しい終わりだった。
いろいろな花や木の枝からの染色、その糸を使って織るさまざまな作品。
見てみたいなと思った。
桜の花を煮出して、その液で染めてもきれいな色は出ない。
桜の枝からは、とてもきれいな桜の色が出るそうだ。
木はきれいな花を咲かせる為に頑張る。花は、新緑の芽を出す方に向かっているから。
Posted by ブクログ
村上由佳の作品の中では、海を抱くの次に好きだと思います。主人公の飛鳥の色に関する知識や感性が、文章の中にたくさん入っていて、すごく綺麗だなぁーって思いました。
Posted by ブクログ
染織家の飛鳥と野生動物カメラマン一馬。
ふたりはベルリンの壁崩壊時に運命の出会いをし・・・
久しぶりの村山由佳。
プライドが高くて不器用な主人公。
そうそう、こういうの好きです。
Posted by ブクログ
最後に自分が幸せだと思えたのは飛鳥と祥子、どちらだろう。
ふとそんなことを思いました。祥子は一馬の子(かもしれない子)を産むことで一馬を手に入れることができたけれど、一馬の飛鳥に対するほどの深い愛情を得ることはないだろう。
一方飛鳥はこの上ない愛情を受けて、また自分も心から愛せた運命の相手とも言える人に出会えたけれど、それほど愛し合っていながら祥子の元に行く一馬を止められなかった。これが運命なら、なんて皮肉な運命なのだろう。
私の目には祥子がとても強く映りました。子供を産んでからの彼女は特に。あれが母親の強さなんでしょうか。そんな祥子を見るたびに、飛鳥が傷つくのを見ているのはとても辛かったです。飛鳥が愛する人の子供を産めない自分の体をどれほど呪ったかと思うと胸が痛い。
また一馬の写真で欠けているほんのひとかけらのものとは何だろう、と考えてみました。私は一馬が "一馬" として撮った写真だと思うんです。
というのは、彼は一瞬のシャッターチャンスを逃さないためにインパラなりライオンなりになったつもりで写真を撮っています。そうすることでうまく「いのち」を写真におさめられるのだから、技術的には最高の撮り方かもしれない。けれどシャッターを押す瞬間に対象物と一体になる一馬の写真には対象物への愛情は写りません。
つまり彼の写真欠けているのは一馬の対象物への愛情のようなものではないでしょうか。最後の一色となったあの写真は、シャッターを押す瞬間も対象への愛情で溢れていたからこそ最後の一色になりえたように思います。
Posted by ブクログ
この前に読んだ『空中庭園』がホラーじゃないのに、怖いと感じたので、次は甘目のお話を読みたいと思ってこの本を手にした。
村山さんが書くアフリカの文章は情景が思い浮かぶようで、素晴らしいけど、内容は読後感すっきりとはいかず、後味が悪かった。
Posted by ブクログ
アフリカの情景や動物たちの命の育みがとても魅力的。
最後、一馬が死んじゃうのかと思った。
二人の愛は実らなくて、飛鳥にとってはよかったように感じる。
まだまだ自由に飛んでいく鳥でいる方が「らしい」ような。