あらすじ
幼い頃に養父を亡くし、母親の愛人から日常的に暴力を受けていた刀根秀俊に、十四歳のとき初めて気の置けない存在ができた。同じクラスの美月、陽菜乃、亮介だ。四人で過ごすかけがえのない時間は、しかし、ある事件で一変する。それから二十年。秀俊は暴力の連鎖から抜け出せず、彼を思う美月、そして陽菜乃と亮介もまた、秘密と後悔にもがいていた。絶望の果てに辿り着く、究極の愛の物語!(解説・馳星周)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
すごく壮大な話で尚且つ緻密に描かれている作品だと思います!
話が重くて重厚感があるのに自然と読み進めてしまうのは表現がそれだけ繊細で優しく一方で大胆に描かれているからなのかなと思います。
Posted by ブクログ
今年読んだ本の中で1番面白かった。
映画にするなら誰?考えるけれど刀根にあたる人が思いつかない。背が高く無骨だけれど優しくて繊細で、俳優年鑑で探してしまった。
イメージだと市原隼人、綾野剛、小栗旬かなぁ。
Posted by ブクログ
最初と最後の夏蜜柑の描写に心打たれた。
「切ない」という感情をここまで感じさせてくれた本は初めてだった。
人間の心を丁寧に描いていて、感情移入がしやすく苦しい部分が多かった。
タイトル「嘘」の意味が段々と明かされてゆく感覚に心が締め付けられた。
人は誰しも嘘を抱えている。
それは悪か。それとも…
Posted by ブクログ
4人それぞれの事情や想いを抱えた中で懸命に生きていく姿に胸を打たれました。それぞれを取り巻く環境や、大人たちそれぞれの思惑も複雑に絡み合い読み応えがありました。
Posted by ブクログ
読み終えたく無くていつまでもこの世界に浸っていたくて読みたいのに読みたくない!!久しぶりにそんな感覚だった。
嘘。
これもあれも、それも、あぁこれもそうかと、一つ一つ噛み締めながらタイトルをいつの間にか意識しながら読み進めていた。
切なくて、苦しくて、愛しくて、悲しくて、抱きしめたくて、登場人物一人一人に感情移入出来た。
是非是非是非、おすすめしたい一冊。
たくさんの登場人物からの目線で書き繋がれていく作風が好きな方、必読だと思います。
きっとまた何度も読み返したくなる一冊。
Posted by ブクログ
登場人物が皆、過酷な状況にありながらも、自分に正直に真剣に生きていることに、ある種の爽やかさを感じた。重さ、ダークさもあり、けしてリアルでないことはないのだが、裏の家業の人たちにも、それぞれの優しさが感じられ、後味はよいと思った。
若い読者には重たさが、歳を重ねた読者には軽さが目立つ作品ではないかと思う。
Posted by ブクログ
誰にも言わないでおこうと思っている事がわたしにもある。自分の都合で噓を混ぜてごまかしながらしゃべることもある。
自分を守るために言わないこと、大事な人を守るために嘘をつくこと。どちらも誤りではないような気がするが、他に方法が無いのかという気もする。
「生徒諸君!」を思い出した。
Posted by ブクログ
刀根秀俊
母親の愛人から虐待される日々の中、ヤクザの九十九誠に目をかけられ、裏社会に引き込まれていく。
桐原美月
神社の娘。ある能力を持つ。中二の夏以来、他の三人を見守りつつも密かに秀俊に想いを寄せている。フリーのライター。
中村陽菜乃
神経質な母親の過干渉にあらがえない、奥手な少女。よく傷だらけで現れる秀俊を気にかけていた。
正木亮介
男女共に人望の厚いクラスの委員長。世渡り上手な切れ者だが、「ある事件」で人生が一変する。
佐々木幸三
九十九の舎弟格。
真帆
美月の娘。
刀根真一郎
秀俊の養父。秀俊が小学三年生の時に、働き盛りで死んでしまった。
江利子
秀俊の母。
南条和也
秀俊が赤ん坊だった頃の一時期、江利子とつき合っていた。真一郎が追い出したが、真一郎が死んだとたん、九年ぶりによりが戻った。
久恵
江利子の勤めるスナックのまま。
岡崎
江利子の中学の同級生。
サヤカ
スナックで一番若いホステス。
真由美
江利子と同い年のホステス。
桐原重信
美月の父。
九十九誠
秀俊を昔の後輩な師範を務めている柔道場へ連れていった。九十九興業組長。
木原
柔道の師範。
世志乃
陽菜乃の母。
近藤宏美
九十九の右腕。
原田
組の顧問弁護士。
山田シゲオ
十四歳の近藤を弟のように可愛がって連れ回し、一から売りを手ほどきしてくれたテキ屋。
八田
ラス屋出身の職人。
堀川
元請けの堀川左官。
田辺
若造の現場監督。
川崎誠司
精神科医。
Posted by ブクログ
暴力と身動きできなくなる息苦しさが最後まで続き、読み終わるまで辛かった。登場人物たちそれぞれが相手を大切に思うがゆえの嘘が読者には全員分分かる仕組み。
Posted by ブクログ
村山由佳さんの作品初読みが本作で、自分としてはいい作品に出会えて良かったと思う。
恋愛小説に殆ど興味が無いので、ノワールな世界観は寧ろ馴染みやすく、面白かった。
他作品に触れたことはないが、人間の情愛を丁寧に無駄なく描き切り、深いところまでリードして考えさせてくれるような、ダイバーみたいな作家さんだと思う。
今後も新たな境地を拓いて欲しいと楽しみにしている。
Posted by ブクログ
久しぶりの村上由佳作品でした。いつもながら物語の中に入り込ませるのが上手だなと思います。読み終わって振り返ると、東野圭吾の白夜行にすこーし似てる。
幼き頃の淡い恋心を抱えたまますれ違ったり封印したりして大人になってしまう。ただ、犯罪やヤクザとの絡みもあったので、甘ったるい話ではないです。主人公の母親の生い立ちがわかったところは少し驚きました。唯一の和みは真帆ちゃんですね!
Posted by ブクログ
Love Lies 愛のある嘘
互いが互いを想いやるための嘘
それは苦しくて暖かい。
秀俊は幼少の頃より母、江利子の愛人南条による暴力に日々晒されていた。
母親の愛に触れることなく誰のことも信じずに生きてきた秀俊。
その日、小学校から戻ると裸の江利子と南条に邪魔をするなとばかりに庭に蹴り出されてしまう。そうして近くの川原で川面に息が切れるまで石を投げた。その時、九十九(ツクモ)に声をかけられる。
秀俊、亮介、美月、陽菜乃
中2…人生に置いて何より多感な季節に出会ってしまった4人。
秀俊からすれば〝自分とは生きる世界〟がまるで違う普通の中学生である3人。
距離を置いていたはずが、知らず知らずと心を許していった。
冗談を言い合う初めての友人、戸惑う淡い恋心。学校帰りのお好み焼き。電車を乗り継ぎ遠出した海。
このまま穏やかに過ぎてくれたらいいのに。
そんな時、事件はおきた。
4人の人生の歯車が大きく歪み絡まりどうしようもない方向へと進み始める。
青春もラブロマンスもハードボイルドもぜんぶ詰まった欲張りな一冊。
ドキドキハラハラでどんどん進みます。
感情の表現が丁寧で個々の喜びや戸惑い、嫉妬、哀しみが繊細で女性らしいなと思う一方で、裏社会の荒々しさがとことん。
村山由佳さんだよね?と表紙を確認し直したほど男っぽい場面との落差が凄い。
物語の幸せと不幸せの背中合わせが、表社会と裏社会とで描かれている感じ?
登場人物それぞれが哀しい嘘をついているのだけれど、最後には呪縛から解放される。
決して全員がハッピーと言うことはないにしろ十分に「良かったなぁ」と思える安心の読後感。
2021.09.15
今年の13冊目(やっと笑)
Posted by ブクログ
あまり長さを感じることなく、読み応えもあり、ディープでダークな一冊だった。
逃れられない圧倒的で暴力的な世界。
14歳の中学生が抱えて生きていくには、余りにも重すぎる罪と秘密。
相手の苦しみを自分のものとして、自己犠牲を伴う相手を思う嘘。
それは悲しい嘘。だけど優しい嘘。
大事な人を守るための嘘。
本心を隠すことで自分にも相手にも嘘を突き通す。
そんな生き方しか出来ない彼等がとても不憫だった。
それでもその中でも希望を失わずに、小さな光が見えていたことだけが救いだったように思う。
Posted by ブクログ
それぞれの思いが交錯して面白い
過去と現在を行き来するような構成で、徐々に登場人物たちを理解できるようになっていて読み進めやすかった
Posted by ブクログ
幼い頃に養父を亡くし貧乏で母親の愛人から日常的に暴力を受けていた【刀根秀俊】
神社の娘で、あまり役に立たない不思議な力を持つ【桐原美月】
人様の目を気にして過干渉気味の母親を持つ【中村陽菜乃】
勉強が出来る陸上部、そして世渡り上手な上にクラスの委員長タイプの【正木亮介】
彼ら四人は中学生という甘酸っぱい青春時代を過ごしていたが、とある事件により彼等の人生に非常に重い物がのしかかる事になる・・・
四人の中学時代と20年後の話が交互に繰り返される。
良い意味で読んでて苦しくなる一冊!
マイルドな馳星周のようだなぁと思っていたら解説が馳星周!
Posted by ブクログ
面白い部分は最初と最後の方で、ネタバレになるのであまり書きませんが、途中読むのが少し難しい部分もありました。
でも、全体的には面白い作品だったと思いました。
Posted by ブクログ
可なく不可でもない
嘘や秘密は誰にでもあるけど、
嘘を出し過ぎてまとまりが無く
淡々と読み終えた感じ
暴力やヤクザ事を加えた青春ドラマを濃くした感じ