【感想・ネタバレ】PRIZEープライズーのレビュー

あらすじ

村山由佳が描く、業界震撼の“作家”小説!

「どうしても直木賞が欲しい……!」

賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める、あるベストセラー作家と彼女を取り巻く人間たちの、破壊的な情熱が迸る衝撃作!

あらすじ

ライトノベルの新人賞でデビューした天羽カインは、3年後には初の一般小説を上梓、その作品で〈本屋大賞〉を受賞。以来、絶え間なくベストセラーを生み出し続け、ドラマ化・映画化作品も多数。誰もが認める大人気作家である。
――しかし彼女には何としてでも手に入れたいものがあった。それは〈直木賞〉という栄誉。
過去に数度、候補作入りするものの、選考委員からは辛口の選評が続いた。別居する夫には軽んじられ、まわりの編集者には「愛」が足りない。私の作品はこんなに素晴らしいのに。いったい何が足りないというの?

*

『南十字書房』に勤める緒沢千紘は、天羽カインの担当編集者である。学生のころから大ファンで、編集者になってからは必死のアピールのすえカインの担当となった。〈直木賞〉が欲しいとのたまうカインに振り回されつつも、彼女の情熱に応えるべく、自らのすべてを懸けてカインに没頭するようになってゆき――。

*

一方『文藝春秋』のカイン担当、「オール讀物」編集長の石田三成は当惑していた。文春から出す新作を「絶対に候補作にしろ」とカインに詰め寄られたのだ。そしてその日カインが宿泊するホテルのカードには、手違いで「石田三成」の名前が載っていて……。
果たして天羽カインは直木賞を獲得することができるのか。
あまりのリアリティに業界震撼! 文芸を愛するすべての人に捧げる容赦ない作家小説。

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

村山由佳さんの『PRIZE―プライズ―』を読んだ。一気読みだった。ページをめくる手が止まらないというより、止め方がわからなかった。

物語の主人公は、ベストセラー作家の天羽カイン。売れている。名前も知られている。それでも彼女には足りないものがある。直木賞だ。「どうしても、直木賞が欲しい」。その一念が、彼女を動かし、周囲を巻き込み、少しずつ何かを壊していく。

この小説の本当の怖さは、カイン一人の執着ではなかった。担当編集者の千紘の存在だ。物語の後半あたりから、千紘がもう一人の主人公と言っていいくらいの勢いで前景に出てくる。賞に対する執着心、狂気じみた没頭が、天羽カインのそれと同化していく。二人が同じ熱量で、同じ方向に、加速していく様子は、ハラハラするを通り越して、どこか息苦しかった。映画『セッション』を観たときの感覚に似ていた。師匠と弟子、作家と編集者。立場は違えど、互いを高め合っているのか、食い合っているのか、見ているこちらには区別がつかなくなってくる。あの高揚と恐怖が同居する感じ。没入感の正体は、たぶんこれだったと思う。

天羽カインという人物への感情は、一言で言えば「理解できるが、怖い」だった。賞への執着心、小説家としてのプロフェッショナル意識、そして自分の作品に対する、親が子を想うような愛情。そこには、自分の仕事観と重ねて参考になる部分もあった。成果を出すとはどういうことか、自分の仕事に誇りを持つとはどういうことか。ただ、彼女は沸点が低すぎる。怒り狂う場面は、もはや面白いとさえ感じてしまった。ここまで感情を剥き出しにできるのは、ある種の才能なのかもしれない。ただ、近くにはいたくない。

読みながら何度も自問したのは、承認欲求についてだ。誰かに認められたい。自分の出したアウトプットに対して、ちゃんと評価されたい。そして評価されなかったときに、どこかくすぶった気持ちになる。その思いは、正直、自分にもある。天羽カインの極端さは他人事のようでいて、根っこの部分は同じ感情から生えている。だからこそ、この小説は読んでいて痛い。笑いながら、刺されている。

一方で、作中に登場する大御所の小説家が指摘する内容には、少し納得させられる部分もあった。詳しくは書かないが、執着するあまり、視点や視野が狭くなっていくことの危うさを突く言葉だったと記憶している。認められたい気持ちが強すぎると、人は「認めてくれない世界」のほうを敵だと思い始める。作品のことしか見えなくなり、自分のことしか見えなくなる。カインがまさにそうなっていく過程を眺めながら、視野が狭くなることだけは避けたいと、痛いほど痛感した。

印象に残ったのは、やはり千紘との関係だ。最初は作家と担当編集者という、仕事上の近さだったはずの距離が、だんだん密になっていく。応援が、献身に変わり、いつしか共犯のようになる。その変化が少しずつ描かれるからこそ、気づいたときには怖さに変わっていた。誰かの夢に本気で寄り添うことは、美しいことのはずなのに、一線を越えた瞬間にそれは狂気になる。その境界線の曖昧さを、この小説は容赦なく見せてくる。

「一気読みした」という感想は、読書感想としてはありふれている。でもこの本に関しては、それがいちばん正確な言葉だった。認められたいという、誰にでもある小さな欲望が、極限まで煮詰められるとどうなるのか。その行き着く先を、カインと千紘が見せてくれた。読み終えて本を閉じたとき、自分の中の「認められたい」を、少しだけ怖いものとして見つめ直している自分がいた。

0
2026年09月27日

Posted by ブクログ

本当に面白かった〜〜〜面白かったよ〜〜〜!!!名誉への渇望、信頼を勝ち取る恍惚、それぞれが絡み合って“起きてはいけない”ラストに収束していく流れが凄すぎる……!

0
2026年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭、中華料理屋での反省会のシーンは、総務担当者としては、胃が捻じ切れそうだった。
せっかく連休の初日に読み始めたのに、仕事のことを思い出さざるをえなかった笑


「背水の陣」とは。
新人作家が実は会社を辞めたと打ち明けるシーンはなかなか考えさせられた。
30半ばになると、20代とは違って、収入、衣食住が足りて初めて自分の好きなことができるという考えになった。


校正担当者の指摘に腹を立てるシーンが面白い。
「獰猛な笑み」の「獰猛な」をとっては芸術の欠片もない。
だけど、私の仕事では良くある。
全然自分のこだわりにみんなが気づいてくれない。何もわかってないなコイツらはと思いながらも、めんどくさいから何も言わない。


執着。独占欲。
「この人いいな」って思う人のことを、いま1番深く知っているのは自分だって思いたい。
私の場合は男女に拘らず、このモードになる時がある。
このことに今まで気づけていなかったかもしれない。
自分の弱さに気付いたかも。
こういう気持ちは相手に伝わらないように、胸に秘めておいた方が良いのだろうなと。


「それは、いくら〇〇さんでも、ちょっとお言葉が過ぎませんか」
切れ味鋭いね、この台詞。
目上に言えば痛快、逆に若い子に言われれば絶句するだろう。
いざってときに使えるように練習しておこう。笑


自分はおかしくなんかなってない。
けれども周りは無理するな、休めって言ってくる。
少し時間が経って振り返ると、なるほど確かに自分はおかしくなっていた、なんてことが人生で何度かあった。
周りが言ってたことが正しかったと認めるのはこの上なく口惜しいが、結果これで良かったという。
千紘が持ち直すのは並大抵ではないと思うが、私は応援したいと思う。


読み終わった後に、それでこの本はどこから出てんのか?と思ってみたら、

「文芸春秋」

だった。やるやん。

0
2026年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

千紘のカインにのめり込んでいく様子、ちょっと怖かった。でも、カインの作家としてのプライド、かっこよかったなぁ。ゾワっとする話だったけど夢中読めた。

0
2026年09月22日

Posted by ブクログ

小説は小説家だけで、小説になるのではなく編集者校閲を経て小説として世に流れ出ていく。
直木賞芥川賞も権威ある賞とは言えど、作家先生が選ぶ文藝春秋が出すひとつの文学賞だし、個人的には書店員が選ぶ本屋大賞の方がいいような気はするけども(なお、本屋大賞についてのコメントは天羽カインが話しているので本編でご確認ください

0
2026年09月20日

Posted by ブクログ

村山さんが直木賞をめぐる世界を書くなんて、読まないわけにはいかない。
天羽カインのいやらしさと一方で作品に対する誠実さの極端さが最高。
本当にこういう作家、いそうで(笑)。
最後、賞への敬意を含めて最高だった。
賞は人が作り上げるものだし、そこへの権威なんてあるようでないようなもの。
あるとしたら、その場を作り上げるひとたちの「汚さない」気持ち。
敬意。矜持。白すぎるくらいの高潔さなんだ。

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

ー何としても直木賞を獲りたい。認められたい。

めちゃめちゃに面白かったです。
本を1冊つくることが、どれだけたくさんの人の魂が込められているのかを痛感しました。
そしてその中で、編集者と作者の二人三脚が噛み合うことが簡単なものではないこと、信頼してもらえるまでの流れもドキドキしました。
そして本って、ものづくりって魔物ですね。
認められたい気持ちから始まって、編集者とともに作品を磨きあげて、そうしていくうちにお互いの心に信頼だけじゃない「あなたのことを分かるのは私だけ」という感情が芽生えてきて、境界線が分からなくなってきて……。

「できるって言うことと、実際にそれをすることは雲泥の差なの。そこを飛び越えてきてくれる人はほんとうに少ない。」
本当にその通りだなと思えた一文。

ストーリーにも手に汗握るものがありましたし、直木賞の選考が厳しく平等であることも知れましたし、今まで知らなかった本にまつわる世界を読めました。
直木賞が発表される日の描写なんて、ジリジリする緊張感と時計の針が進まない感じ、そして地獄絵図の雰囲気が肌に伝わってきて、こちらまで緊張しました。
最初は承認欲求にフォーカスしてるのかな?と思った作品でしたが、それともまた違って、なんだか言葉で表現できませんが、とにかく早く読みたい!が止まらない作品でした。
千紘のこと、どう思うかは読者それぞれですが、それでも千紘がここまで天羽カインを連れてきたのだと思わざるを得ません。

改めて「賞」ってなんだろう、どうして人は認められたいのだろう、と考えてしまいました。
そしてそれは承認欲求なんてものの果てにあるのだと思えました。

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

赤裸々なのかフィクションなのか、作家と編集者との関係や直木賞の舞台裏などがかなり具体的に描かれてて面白かった。題材だけじゃなく、ストーリー展開やキャラクターの配置もうまい。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

直木賞という目に見える評価がほしい作家をめぐって、編集者などさまざまな人たちの思惑が描かれている。登場人物のチリチリするような欲望や葛藤が表現されていて引き込まれた。出版の編集を題材にした爽やかなお仕事小説のようなものとは少し異なり、リアルな感じがとても楽しめた。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直木賞、芥川賞、本屋大賞。
世の中にある賞のうち、作者が本当に欲しいものとそれを手に入れる難しさを知った。
編集者の血をみる努力、作家という職業。
私はどれも素敵だと思うし、簡単には言い表せない希望と未来と絶望を知った。

ひとつ分からないのは、天羽カインが『知らなければ良かった』と言ったフレーズ。
「千紘が加筆した事実を知った事」に対する後悔があったが、果たして本当に後悔していたのか?
だとしたら直木賞を断る理由に繋がらない気がする。
知ったからこそ、本物じゃないと思ったわけで、この事実に気づいた自分に感謝しているのではないか?

そして、表紙の女性は千紘なのか、はたまたカインなのか。
間違いなく言えることは、素敵なデザインです。

0
2026年09月12日

購入済み

めちゃくちゃ面白かった

ポッドキャストで社会学者の富永京子さんが紹介されていて、
「作家と編集者が距離を縮めると、まあこうなるよね……」とつぶやかれていたのが
妙に気になって読んでみました。
村山由佳を読むのは中学生の時以来だったので
『天使の卵』とか懐かしいな〜とだいぶ軽くてぬるい気持ちで読み始めたのですが
いやもう、サービス精神のほとばしりぶりがすごい。
実在の出版社や雑誌、
誰がモデルか分かり易すぎる一部の登場人物、
そしてパンチの効きすぎた小説家・天羽カイン。
読者の下世話な気持ちを満たしつつも
書く者の業の深さを濃厚に描き、
意外といえば意外なラストに着地させる。
すごいものを読んだ!という気持ちです。
やることが他にある時に読んじゃダメですよ……。

#ドキドキハラハラ #ドロドロ

0
2025年02月27日

ネタバレ 購入済み

おもしろい

この小説を作る過程で、作者と担当編集者さんでどんな会話が生まれたのか…笑
後半はどんな暗い展開になるのかとヒヤヒヤしたものの、最後はスッキリした形で終わったかな。
市之丞が賞取らなくて良かった笑


0
2025年02月22日

Posted by ブクログ

好きな著者の作品。

直木賞を受賞したい作家・天羽カインを中心に、彼女を支える編集者や出版業界の人々を描いた物語。

天羽カインという作家のキャラクターが魅力的で、編集者との関係性も印象に残った。普段あまり知ることのない出版業界(どこまでリアリティがあるかわからないが)や文学賞をめぐる世界も興味深く、物語に入り込んでいけた。

最後の結末はもちろん、そこに至るまでの展開も緻密で、文章にもぐいぐい引き込まれる。先が気になって、一気に読み進めてしまった作品。

0
2026年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話の着地点が登場人物諸共どん底へなるかどうなるかと思っていたら、良い方向へ天羽カインの転換となるような繋げ方で良かったなあという感想。

終わりよければすべてよし。では無いけれど、作家人生がこれからも続いていくことを思わせる明るい終わり方が好きでいいなと思いました。

作家の目線と、2人の編集者の目線から物語がクルクルと語られ交わっていく中で、「小説」ができ上がるまでの流れ、「直木賞」について、出版社のビジネス的観点について、今まで知らなかった本にまつわるアレコレをこんなく事細かく知識を得られて良いんでしょうか…!?
これから私もそんな偉そうな目線で本を読むわけじゃあないけれど、今後の直木賞や芥川賞の講評も読んでいきたいし、世に生まれてくる小説の作家の意図やそこに我々に委ねてもらえる解釈の文章と膨らみを更にイメージさせられるような気になります。

作中の「テセウスは歌う」と、天羽カイン、緒沢千紘をリンクさせた作中のテーマ「テセウスの船」が対比や絡み合っているものだから二度美味しいと思っちゃったな。

カインがインタビューを答える中で作中で伝えたいとしていた「あなたを許したわけじゃない」という文言が含むニュアンスの意味が、千紘が受け取ったメッセージカードの内容と対比があったけれど、千紘自身は一筋の光として捉えてもいいんじゃないかなとも少し都合の良い解釈を持っていました。

カインが最後に職場の人付き合いであったり自分自身の環境の整理をして、共に闘う者はいるけどひとりで道を切り開いていく強さはカッコイイ。

0
2026年09月23日

Posted by ブクログ

書店での売上数はトップクラス、本屋大賞も受賞する人気作家・天羽カインが、どうしても欲しいものー直木賞。

彼女を中心に、出版業界の、文学賞、作家、編集者達の描写が巧みで、天羽の編集者へ叱責など、天羽に惹かれていく編集者の緒沢千紘の心の動きなど、ヒリヒリとした現実味があり、最後まで続きが気になる展開だった。
作家がいくつかの出版社から多数の作品をだし、それぞれに担当編集者がつき、当然、温度感や熱意、理解度、伴走のうまさなどは違うことも想像に難く無い。
また、作中で書かれているように、自分が楽しむ本がどのような経緯を辿って作品として手元にすることができているのかを知ることができたという素直な驚きもあって、おもしろかった。

0
2026年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっと出版社や小説家さんの事を知れた気がする。
特に引っかかったのは「歴史を描くというのは、時に洗濯物の埃」
洗濯物にあるいつもより多い埃(火山灰)
読者の想像力や考えを信じて、敢えて説明はしない書き方。
すごいな〜。
にしても千紘は一線を超えてしまった………
発表の時に千紘がやっぱりあった方がいいと言ってた一文が記載されてたので、あ、やばっ!と思った。
あとは編集者は病むな。あんなわがままというか、我を通されたら病む。胃潰瘍になるよ。
まあでも、自分で選択して勝負ありのフィールドに立ったんなら誰だって1番とりたいよな。

0
2026年09月23日

Posted by ブクログ

職場の図書室にて。
なぜか分からんけど続きが気になって、
時間を見つけては開いた本だった。

天羽カイン、かなりクセスゴな作家。
職場に居たら絶対に嫌われるお局タイプ。
自分の職場にも居るけど、陰でめっちゃ悪口言われてるけど、言ってることはめちゃくちゃ正しいんだよなー。
仕事に対する潔癖なまでの信念がすごいというか。
だから自分は根っから嫌いにはなれない。
(言い方にトゲありすぎてグサグサ刺さりはするけども。血だらけだけども、私。)

ラストは直木賞獲って終わるんだろうなぁと漠然と予想してたけど、予想通りであって予想通りではなかった。
さすがカイン。それでこそカイン。

出版業界のあれこれも、非常に興味深く読めた。

0
2026年09月21日

Posted by ブクログ

小説家の世界を少し知れて面白かった。
自分の書いた話と校正作業で色々あるのだなと。。
作家の矜持もすごい、編集者のこだわりもすごい、色んなものがあって小説って世に出ているんだなと。

0
2026年09月20日

Posted by ブクログ

小説家と編集者の関係性を描き出す、小説とは?小説家とは?編集とは?編集者とは?を考えさせる物語。

真っ先に思ったのは、先日遠いところへ行ってしまった東野圭吾さんだった。

彼は直木賞も6回目のノミネートでやっと受賞する。

江戸川乱歩賞で世の中に出てからも、ヒット作を生み出したとはいえない状況が10年ぐらい続いたらしい。

後に彼は自身のエッセイで

「受賞すれば大事件。しかし落選したからといって失うものは何もない。リスクはないのに刺激的なゲーム」とし、

「楽しいゲームでした。みなさんに感謝!」
と締めている。

いろいろ思うこともあっただろうに、性格的なものなのか賞に振り回され慣れているのか。


て、全然本書の感想になってないやんけ。

本作の主人公、天羽カイン。

素が、喜怒哀楽がはっきりした激しめのプライドの高い暴れんぼ女子の彼女にはこの東野的余裕がなかった。
そりゃ3回目ぐらいじゃね、

昔から大ファンでした、が裏目に出てしまった編集者のイタさはちょっと分かるけど。

編集者は厳しい仕事だ。子育てみたいで、うまくいかないと本人も作家も辛い。
とはいえ仕事だから子育てと違って合わなければ別の人にすればいいんだけどね。

やはり仕事上の人間関係は適切な距離感は必要だけど、人によって様々だから難しい。
優秀な編集者とはどんな相手とでも適切な距離感が掴める人なのか?

0から1を生み出すこと(作家)と
1を100にすること(編集者の仕事)

深いよ、実に。


そしてやっぱり
東野圭吾さんに長年寄り添い、伴走を続けた大小各出版社の編集者のみなさまも本当にお疲れ様。


最後に村山由佳さん、楽しませていただき、まっことありがとうございました。

0
2026年09月19日

Posted by ブクログ

直木賞に強く執着する女性のベテラン人気作家天羽カインと、彼女に心酔する女性編集者緒沢千紘。

カインの執着が彼女とほぼ同化する千紘に伝染し、優秀で分をわきまえた千紘自身が作家や作品への執着や独占欲を肥大化させていく過程が恐ろしい。
本書の登場人物で唯一感情移入しやすい人物だっただけに、その人格が崩壊していくさまには怖気が走る。

出版が胴元の文藝春秋だからか、実名を含むそれとわかる出版社や作家が登場し、直木賞選考過程の裏表が詳細に描かれていて興味深い。
ここまで直木賞というものに焦点を当てた小説も珍しいのではないか。

直木賞選考委員の南方権三と萩尾今日子にカインが突撃する場面で萩尾が返した批評は、その先のストーリーの布石ともなるが、カイン側に立つ読者の熱を冷ますのに十分な説得力がある。

終盤、丸の内の大型書店のイベントで南方が語った直木賞についてのコメントは、モデルとなる作家の実際の発言かはわからないが、選定にあたる作家の思いとして素直に理解できる。本書にも書かれているが、一般読者として選定に疑問を持つ受賞作があることも事実ではあるが。

闇落ちしてしまった千紘とは対照的に一線を踏みとどまったカインに訪れる小さな幸せは、自身が作家である作者の思いの表われだろうか。

0
2026年09月18日

Posted by ブクログ

これは本当にリアルなのか?(笑)
それすらも分からないけどそうなのだとしたら、いやほんとお疲れ様です!!!という気持ち。
天羽カイン、現実にいたら愛おしくなってしまう…
なんで可愛い人なんだろうな。私は千紘に近い気持ちで、そばに寄り添いたくなるかもしれないのと最後のチョコに添えられたメッセージ、サイコゥー。
氷のようにひんやりと冷たく鋭い一言が素敵だったなぁ

あとほんと、石田三成が嫌いです。
でもカインと最も良い距離感で、ちょっとムカつくくらいが良いのだろうなぁとも感じて。仕事ってのはそういうもんだなと妙に腑に落ちる。

千紘の行動はなんというか、初恋勉強中の初心者の中学生のようなしくじりで、これもまた愛おしいなーと思うのだった。
調子に乗る姿ってほんとに、赤の他人から見るとめちゃくちゃ面白いものですなぁ。

この本をね、たまたま北陸新幹線に乗りながら読んで軽井沢を通った時がありましてね
サカキが椅子蹴られながらも幸せであってほしいなぁと思いましたぜ

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

感銘を受けた……そんな簡単な言葉で言い表していいものだろうか。
一つの作品を作るために、作家も編集者も奔走する。
一冊の「売れる本」を作るためにどれだけの人の情熱が注ぎ込まれていることか。
そして、作家である天羽カインの、言葉にかける情熱と読んでくれる読者への、置いてくれる書店への思いの強さ。
編集者との心のつながり、近づきすぎて曖昧になる境界、裏での駆け引きなどなど、あっという間に読み切り、そしてもう一度丁寧になぞり読みたい。
あらゆる描写にリアリティがあり、実際に作者の体験や感覚になぞっているものも多いのだろうな、と思った。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

作家と担当編集者の情熱がこんなにも凄いものなのか。
一冊の本が出来上がるまでの長い時間は、心身ともにすべてを吸い取られていくようだ。
本当に自分の子どものようなものだろう。
直木賞への執着はとてつもない。
作家の怖さと弱さ。
振り回される編集者。
作家と編集者の距離感が、だんだんおかしくなっていきドキドキした。
客観的に自分が見えなくなると、他人の言葉は耳に入らない。
そこまでに追い詰められ生み出された一冊は、簡単に扱ってはいけないと思った。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こういう風に何かを掴み取ろうと必死になる人には共感できるから、没頭して読めた。
ただ、主人公の天羽カインのヒステリックさが苦手な人はいそう(私もどちらかというと苦手)。なので人を選びそうだな、という意味で星4.5くらいの気持ち。

結末が全然読めなかったから続きが気になってしょうがなかった。感情移入しやすい作品=わかりやすいということで、つまり考察の余地がないから文学賞を取りにくいのだろうか。
終盤の展開は「うわー…そうなるか…」とやるせない気持ちに。ちょうど『イン・ザ・メガチャーチ』を読んだばかりだったから、あちらの某人物が取った行動に近いものを感じた。

「この人のことを理解できるのは自分だけ」「自分はこの人にとって特別である」という陶酔感は本当に危ない。信頼できる編集者と作家というニコイチの関係はたしかに憧れるけど、何事も境界線が大事だと感じた。

千紘があんなことをしてしまったのって、カインと同性だったからなのかもしれない。
異性である三成はちょっとでも親密になるとすぐに変な誤解をされるから(実際カインの夫に勘違いされてたし)自分でも意識して作家との境界線を引きやすい。
でも同性だと「入れ込みすぎだ」と注意を受けるくらい。だから客観的な視点が欠如してしまった。しかも作中作『テセウスの船』の2人が女性同士だったから、千紘は無意識に自分とカインを重ね合わせて読んで、自己陶酔してしまったんじゃないかな、とも思う。

カインが直木賞を辞退したのは、よりによって動画で取り上げられてたのが例の一文が含まれた箇所だったからというのも大きい気がした。

作家の並々ならぬ情熱だけでなく、直木賞の裏側が編集者視点からも描かれてて興味深かった。そういう意味では、小説が好きな人は一度でいいから読んでみてほしい。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

読み初めは直木賞が欲しすぎる人気作家の浅ましい本、これ何が面白いんだか。なんて思ってたのだがこれは布石であって、最後の最後の展開が素晴らしい。カインが直情型だけど自分に実直でとても可愛らしく魅力的な作家だった。好きになっちゃった。
の一方で、編集者の皆さんの気苦労の多いこと!!それと赤を入れる大変さ!!作家とはまた全然違うが原作を輝かせるのも編集力の腕にかかっていると言えそう。これも才能だ。

0
2026年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説の実写化が小説の内容と変わっていたら、小説家はどう思う?以前漫画の実写化で悲しい出来事がありました。
この本で内容が変わっていて当然。そうじゃなきゃ、実写化する意味がない。と書いてありました。
そういうものなのかな?と思いました。

0
2026年09月23日

Posted by ブクログ

「どうしても直木賞が欲しい」
作家天羽カインは本を出せばベストセラー、映像化作品多数、本屋大賞にも輝いているが直木賞は受賞できない。評価されないのは何故?

昨年の直木賞と芥川賞はどちらとも該当なしで話題になったのと本屋大賞3位と言うのもあり、興味を持ったので手に取りました。
直木賞を選考する上での内容や作家の苦悩、作家と編集者との関係性やプレッシャー等、普段分からない濃い内容で面白かったです。
読んでいるこちらにもピリピリと緊張感が伝わってくる迫力と登場する作家のクセの強さが印象的でした。

作家と編集者の努力の結晶をこれからも楽しく読ませていただきます。

0
2026年09月18日

読んでいてどうしても
村山由佳さんご本人を
イメージしてしまう

作家が主役
出版社名や
登場人物の作家もなんとなく
想像できてしまうから
つい現実と勘違いしてしまう
そこが狙いだろうけど
まんまとハマった

作家名の天羽カインと
本名の天野佳代子を使い分けることで、
作家活動とプライベートを
描き分けてるのかな?とは思うが、
佳代子の時もカインなので
まさしく表裏一体という感じ

一読者としては
賞の受賞うんぬんよりも
ストーリーありきであると思う
面白そうと思えば
知らない作家の本も選ぶし
いつも読む作家が毎回当たりとは
限らないことも知ってる

だから狭い世界でキリキリと
している登場人物が痛々しくも感じた
読者のためと言いながら
読者が見えていない気がした

けれどラストの顛末を読んで、
他人から認められたいという
承認欲求だけではなく
自分の仕事に誇りを持って向き合う、
覚悟を持ってやり遂げる、
プライドのようなものを
描きたかったのかなと思った

カインにしろ千紘にしろ
いろんな思惑や人間関係に翻弄されても、
確固としてある自我みたいなものを
貫き通す姿勢に
読後はホッとした

0
2025年05月10日

Posted by ブクログ

一つのフレーズがあるかないかで感じ方がこんなにも変わるとは。私にはどちらがいいかなんて分からない。
小説にかぎったことではないけど、改めて物作りって凄いなぁと思った。

0
2026年09月26日

Posted by ブクログ

サクサク読めるエンタメ小説ではあるが、
自分の仕事と重なる部分が多く
かなり自身の為になった。
小説の小説であると同時に
お仕事小説だった。

また、直木賞はじめ、
文学界のぐるりを知れたのは
とても面白かった。
何人かの作家さんの顔を浮かべて読めて
それもまた楽しかった。

カインは中々大変そうだけど
あそこまで正直な性格だと
気持ちいいだろうな…

0
2026年09月24日

Posted by ブクログ

この作者、初読みでしたが、女性視点の表現や作家と編集者の赤裸々な情景がよかった。直木賞をめぐる部分は作者自身の経験かのように思ってしまうぐらい真に迫るやり取りだった。改めて文学作品というものが、作者だけでなく、出版社、編集者、書店などいろいろな関係者が関わる事で出来上がっている事を知れてよかった。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

作家と編集者って、こんな感じなんだ〜。直木賞の選出の裏側がわかって、作家さんたちの心情暴露、この方は、これからやりにくくないのかしらと妙なところを心配した。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

直木賞をなんとしてでも取りたい作者。であれば、受賞するため、文体を修正したり、世間の評判に阿る表現を用いるあまり、作者の意図を100%採用できなくなる。作者と編集者、出版社、選考委員それぞれの考えが読み取れて、改めて受賞はただ作品の良さだけで決まるものではないのかと考えさせられる。
最後のクライマックスも予想できなくてGOODだが、個人的に一番好きなのは、選考委員の賞に対する考えを述べた一節。

0
2026年09月12日

「小説」ランキング