あらすじ
村山由佳が描く、業界震撼の“作家”小説!
「どうしても直木賞が欲しい……!」
賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める、あるベストセラー作家と彼女を取り巻く人間たちの、破壊的な情熱が迸る衝撃作!
あらすじ
ライトノベルの新人賞でデビューした天羽カインは、3年後には初の一般小説を上梓、その作品で〈本屋大賞〉を受賞。以来、絶え間なくベストセラーを生み出し続け、ドラマ化・映画化作品も多数。誰もが認める大人気作家である。
――しかし彼女には何としてでも手に入れたいものがあった。それは〈直木賞〉という栄誉。
過去に数度、候補作入りするものの、選考委員からは辛口の選評が続いた。別居する夫には軽んじられ、まわりの編集者には「愛」が足りない。私の作品はこんなに素晴らしいのに。いったい何が足りないというの?
*
『南十字書房』に勤める緒沢千紘は、天羽カインの担当編集者である。学生のころから大ファンで、編集者になってからは必死のアピールのすえカインの担当となった。〈直木賞〉が欲しいとのたまうカインに振り回されつつも、彼女の情熱に応えるべく、自らのすべてを懸けてカインに没頭するようになってゆき――。
*
一方『文藝春秋』のカイン担当、「オール讀物」編集長の石田三成は当惑していた。文春から出す新作を「絶対に候補作にしろ」とカインに詰め寄られたのだ。そしてその日カインが宿泊するホテルのカードには、手違いで「石田三成」の名前が載っていて……。
果たして天羽カインは直木賞を獲得することができるのか。
あまりのリアリティに業界震撼! 文芸を愛するすべての人に捧げる容赦ない作家小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
村山由佳さんの魅力、全開!!
したたかに凛とした女性を描くのが、ほんと上手い!
あとね、
個人的に村山由佳さんの描く主人公の入浴シーンがむっちゃ好きなんです
余計な感情や溜まった疲労がそぎ落とされ、解放感に満ちていて…
分かってくれるひと、いるかなぁ〜。
この物語の主人公・天羽カインは好きになれないし、むしろ嫌いなタイプだけれども…(笑)
名だたる賞は欲しくなっちゃうよねぇ~
そりゃあ、そうだ
その気持ちは、じゅーぶん理解できる
読み手にできることは、作家と作品に対して、感謝と敬意を胸に抱くことしかできないけど、出版社、販売者、作家さん
本当にいつもいつもありがとうございますm(__)m
Posted by ブクログ
はぁ。面白かった。
信頼、自立、執着、欲、過信。
やっぱり私は強い女性の話が好きだ。
そして何かを突き詰めようとする人の話が好きだ。
小さいすれ違いや、単純さと複雑さのバランスがとてもリアルだった。し、大人の適当さへの不満に共感。
好かれるより自分を正当に評価してもらおうとするのがすごい。熱くなるほどの自信と妥協しない努力がすごい。宮崎駿的な?知らないけど。
周りが振り回されてる感じも、なんか別にいやじゃなかった。素直だからだろうな。
Posted by ブクログ
どうしても「直木賞」が欲しい!
売れっ子作家の天羽カイン
その激しさがちよっと苦手、と思いながら
編集者の千紘に自分を重ねて読んでいた
私にも似たような経験があったから。
私は編集者ではないし、相手も作家ではないけれど
その人の作る世界観が大好きで、その世界観を少しでも良いものにしたいと全力で伴走していた時期があったから。
最後は四度目の正直で「直木賞」を獲って終わるのかと思いきや…
あの問題の部分
実は最初にその部分を読んだとき
あまりにも自分の心に響いて
これはブクメの「渾身の一行コミュニティ」に書き込もうとメモに取っていた部分だった。
そこを千紘が書き換えないかと提言した部分も、その後さらにやっぱりこうした方が、と再提言した部分も…
私ならどちらが良いと思うだろうか
何度も何度も読み直した。
改めて、作家さんが一冊の本を纏めるまでの苦労が、ほんの少しだけわかった気がした。
どんな作品も、産みの苦しさにも似た、何度も何度も繰り返しを重ねているのだろうな
最終的にまとまった本になるまでに、変えられた部分は永遠に陽の目を見ることはない。その作業の苦しさとか悩みとか葛藤が、波のように押し寄せてきた。
天羽カインが下した結論。
つくづく不器用で真っすぐな人だな、と思う。
それでも彼女の結論に異議はない
自分の作品としてのプライドなのだろう
それでこそ、プロなのだ
最後の最後
受賞したのは…
たぶん、あの賞なんでしょうね
それが
この作品を明るく輝かせていたと思う
千紘とカインは
この後はもう
一緒に仕事をすることはないのかな…
そこはとても残念
確かに千紘がやってしまったことは
どうしたって許されないことだし
絶対にやってはいけないことだったけど
でもその部分以外にも
千紘の助言で書き換えた部分はたくさんあったのだと思うし
二人が心を合わせて伴走できたからこそ素晴らしい作品になったのだと思うから
まぁ
分岐点というものはあるんだよね
いろいろ考えてしまった。
Posted by ブクログ
いい意味で純粋な思いをもって作品を作っていく情熱ってのはすごいなぁ。。。と。
そんな思いをもって日々過ごしていくというのは自分にとってもとても大事だとつくづく感じる作品でした。
Posted by ブクログ
めっっっちゃ面白かった。これは迷わず★5!!
「今度こそ直木賞を獲れるのか!?」という期待と不安が入り混じる展開も、そしてあの終わり方もすごく良かった。読んでいて何度も手元がびくりと震えるほど、終始ゾクゾクワクワクしながら読んだ。
主人公の天羽カインは、かなり強烈な人物像。本を出せばたちまちベストセラー、本屋大賞受賞歴などがあり、すでに「成功者」であるにもかかわらず、何がなんでも「直木賞」という権威ある栄誉が欲しい、自分は一流の作家であると文壇に認めさせたいという獰猛で執念深き欲求がある。直木賞を逃すたびに次の作品ではさらに磨きをかけていく姿勢、そして読者や書店を何より大切にする気持ちと行動にものすごく惹かれた。
一方で、使用人や出版社の人間への威圧的・傍若無人な態度には、さすがに引いてしまう部分も。また、後半で冒頭部分だけ明かされる最新作「テセウスは歌う」では、いきなり女性同士の生々しい性愛描写が出てきたので、かなり面食らってしまった。
全体としては、文学賞の価値や位置づけ、選考の過程、作家と編集者の力関係などが詳しく描かれており、「出版業界ってこういう世界なのか」という社会見学的な面白さがあった。
読む前は「直木賞が欲しい人の話かぁ〜本屋大賞3位だし読んでみよ」くらいの軽い気持ちだったのに、読み終えた今は、本当に読んで良かったと思う。素直におすすめしたい一冊。
Posted by ブクログ
続きが気になり一気に読んだ。
一人一人の感情の揺れがリアル。この人最悪だなと思う人でも、次のシーンではその人の感情に共感してしまったり、人間って誰でも色んなどろどろした感情持ってるよなーと。そんな風に回収するのかーという小気味のいいラストにもただ感心した。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていたけど、読めて良かった。
こういう裏側が知れる作品、大好き。
直木賞に対する執念がしっかりと描かれていて、今までの直木賞ってどんな作品が選ばれてたんだろ〜?って調べたりもした。
「言われてみれば、確かにこの2人ならこうなりそう」と思えて、ラストを読んだことでむしろ2人の解像度が増した感じ。
個人的には、この終わり方が一番完璧な落とし所だと思った。
人間臭さが集約されていて、読み応え抜群。
Posted by ブクログ
村山由佳さんの『PRIZE―プライズ―』を読んだ。一気読みだった。ページをめくる手が止まらないというより、止め方がわからなかった。
物語の主人公は、ベストセラー作家の天羽カイン。売れている。名前も知られている。それでも彼女には足りないものがある。直木賞だ。「どうしても、直木賞が欲しい」。その一念が、彼女を動かし、周囲を巻き込み、少しずつ何かを壊していく。
この小説の本当の怖さは、カイン一人の執着ではなかった。担当編集者の千紘の存在だ。物語の後半あたりから、千紘がもう一人の主人公と言っていいくらいの勢いで前景に出てくる。賞に対する執着心、狂気じみた没頭が、天羽カインのそれと同化していく。二人が同じ熱量で、同じ方向に、加速していく様子は、ハラハラするを通り越して、どこか息苦しかった。映画『セッション』を観たときの感覚に似ていた。師匠と弟子、作家と編集者。立場は違えど、互いを高め合っているのか、食い合っているのか、見ているこちらには区別がつかなくなってくる。あの高揚と恐怖が同居する感じ。没入感の正体は、たぶんこれだったと思う。
天羽カインという人物への感情は、一言で言えば「理解できるが、怖い」だった。賞への執着心、小説家としてのプロフェッショナル意識、そして自分の作品に対する、親が子を想うような愛情。そこには、自分の仕事観と重ねて参考になる部分もあった。成果を出すとはどういうことか、自分の仕事に誇りを持つとはどういうことか。ただ、彼女は沸点が低すぎる。怒り狂う場面は、もはや面白いとさえ感じてしまった。ここまで感情を剥き出しにできるのは、ある種の才能なのかもしれない。ただ、近くにはいたくない。
読みながら何度も自問したのは、承認欲求についてだ。誰かに認められたい。自分の出したアウトプットに対して、ちゃんと評価されたい。そして評価されなかったときに、どこかくすぶった気持ちになる。その思いは、正直、自分にもある。天羽カインの極端さは他人事のようでいて、根っこの部分は同じ感情から生えている。だからこそ、この小説は読んでいて痛い。笑いながら、刺されている。
一方で、作中に登場する大御所の小説家が指摘する内容には、少し納得させられる部分もあった。詳しくは書かないが、執着するあまり、視点や視野が狭くなっていくことの危うさを突く言葉だったと記憶している。認められたい気持ちが強すぎると、人は「認めてくれない世界」のほうを敵だと思い始める。作品のことしか見えなくなり、自分のことしか見えなくなる。カインがまさにそうなっていく過程を眺めながら、視野が狭くなることだけは避けたいと、痛いほど痛感した。
印象に残ったのは、やはり千紘との関係だ。最初は作家と担当編集者という、仕事上の近さだったはずの距離が、だんだん密になっていく。応援が、献身に変わり、いつしか共犯のようになる。その変化が少しずつ描かれるからこそ、気づいたときには怖さに変わっていた。誰かの夢に本気で寄り添うことは、美しいことのはずなのに、一線を越えた瞬間にそれは狂気になる。その境界線の曖昧さを、この小説は容赦なく見せてくる。
「一気読みした」という感想は、読書感想としてはありふれている。でもこの本に関しては、それがいちばん正確な言葉だった。認められたいという、誰にでもある小さな欲望が、極限まで煮詰められるとどうなるのか。その行き着く先を、カインと千紘が見せてくれた。読み終えて本を閉じたとき、自分の中の「認められたい」を、少しだけ怖いものとして見つめ直している自分がいた。
Posted by ブクログ
本当に面白かった〜〜〜面白かったよ〜〜〜!!!名誉への渇望、信頼を勝ち取る恍惚、それぞれが絡み合って“起きてはいけない”ラストに収束していく流れが凄すぎる……!
Posted by ブクログ
冒頭、中華料理屋での反省会のシーンは、総務担当者としては、胃が捻じ切れそうだった。
せっかく連休の初日に読み始めたのに、仕事のことを思い出さざるをえなかった笑
「背水の陣」とは。
新人作家が実は会社を辞めたと打ち明けるシーンはなかなか考えさせられた。
30半ばになると、20代とは違って、収入、衣食住が足りて初めて自分の好きなことができるという考えになった。
校正担当者の指摘に腹を立てるシーンが面白い。
「獰猛な笑み」の「獰猛な」をとっては芸術の欠片もない。
だけど、私の仕事では良くある。
全然自分のこだわりにみんなが気づいてくれない。何もわかってないなコイツらはと思いながらも、めんどくさいから何も言わない。
執着。独占欲。
「この人いいな」って思う人のことを、いま1番深く知っているのは自分だって思いたい。
私の場合は男女に拘らず、このモードになる時がある。
このことに今まで気づけていなかったかもしれない。
自分の弱さに気付いたかも。
こういう気持ちは相手に伝わらないように、胸に秘めておいた方が良いのだろうなと。
「それは、いくら〇〇さんでも、ちょっとお言葉が過ぎませんか」
切れ味鋭いね、この台詞。
目上に言えば痛快、逆に若い子に言われれば絶句するだろう。
いざってときに使えるように練習しておこう。笑
自分はおかしくなんかなってない。
けれども周りは無理するな、休めって言ってくる。
少し時間が経って振り返ると、なるほど確かに自分はおかしくなっていた、なんてことが人生で何度かあった。
周りが言ってたことが正しかったと認めるのはこの上なく口惜しいが、結果これで良かったという。
千紘が持ち直すのは並大抵ではないと思うが、私は応援したいと思う。
読み終わった後に、それでこの本はどこから出てんのか?と思ってみたら、
「文芸春秋」
だった。やるやん。
めちゃくちゃ面白かった
ポッドキャストで社会学者の富永京子さんが紹介されていて、
「作家と編集者が距離を縮めると、まあこうなるよね……」とつぶやかれていたのが
妙に気になって読んでみました。
村山由佳を読むのは中学生の時以来だったので
『天使の卵』とか懐かしいな〜とだいぶ軽くてぬるい気持ちで読み始めたのですが
いやもう、サービス精神のほとばしりぶりがすごい。
実在の出版社や雑誌、
誰がモデルか分かり易すぎる一部の登場人物、
そしてパンチの効きすぎた小説家・天羽カイン。
読者の下世話な気持ちを満たしつつも
書く者の業の深さを濃厚に描き、
意外といえば意外なラストに着地させる。
すごいものを読んだ!という気持ちです。
やることが他にある時に読んじゃダメですよ……。
おもしろい
この小説を作る過程で、作者と担当編集者さんでどんな会話が生まれたのか…笑
後半はどんな暗い展開になるのかとヒヤヒヤしたものの、最後はスッキリした形で終わったかな。
市之丞が賞取らなくて良かった笑
Posted by ブクログ
出版業界や直木賞選考の過程が裏側まで分かるので、読書好き本屋好き、更に受賞作品に興味を持つミーハーな私にはもってこいの作品でした(笑)。
関係ないけど、大御所作家と思わせる作家もたくさん出てきて、きっと交流のある方々なのだろうなあ、なんて想像するのも楽しかったです。
普段から出版界隈(←使ってみた)を描いた作品を見つけると手に取ってしまうのですが、本書はその中でも特に生々しくて、著者の強い覚悟を感じました。
主人公の執念というか熱量が半端ではなく、著者の思いをここまでさらけ出せるってすごい!
そして、想定外の衝撃のラストでしたが、この結末は主人公らしく、残念な気持ちにもなったけど清々しさが勝り、読後感もよかったです。
とはいえ、パワハラ気質の主人公の罵倒が熱量ではフォロー出来ないレベルかな、と思い☆は一つ下げてしまった。。
ああいう文字の羅列を目にしてると、消耗するのよね・・・
Posted by ブクログ
村山さんは直木賞獲っておられるから、、、なんかな?だから作者の執着や許せないことなどがわかるのかな???
作者って恐ろしい生き物ですね、、、そら万人の心を動かすことなんて普通の人では無理ですね。
Posted by ブクログ
どうしても直木賞が獲りたいという、瞬間湯沸かし器型の小説家の話。出版社や賞の運営話が挟まれていて、なるほどなーと思うなど。
半ば過ぎの、リミッターを外した後の展開からが…読みどころ。タイトルの文字が、バラバラになってるわね、うん。
Posted by ブクログ
女性作家さんの描く、
女性作家の物語…面白かった。
編集者と作家の
歪に絡み合っていく関係性、おごり、
お互いが自分を理解する存在に出会い
境界線が曖昧になっていく感じが怖かった。
最後の佳代子の一言が好きだった。
作中の【テセウスは歌う】が読みたいです。
Posted by ブクログ
直木賞の候補になりながら取れなかったから、人前でこれほど激するだろうかとの疑問はありつつも、人に認められたいという欲求には大いに共感するところがあった。
サラリーマンにとっては、昇任だな。
仕事の実績は部下や後輩に認められていても、やはり昇任して組織に認められたいと思う。
そのプライドの話に、ハラスメントや離婚、小説の販促などの話が添えられる。
読み応えあった。
Posted by ブクログ
いいペアだったのに。カインがあと少しでも寛容だったら展開は変わっていた?
私は歩み寄りを覚えられた。サラリーマンをやって良かったのかもしれない。
Posted by ブクログ
天羽カインは出せばベストセラーで多くのファンを持つも、直木賞に2度候補となるも選ばれず
次作の編集を進める中、編集者の緒沢千紘はカインとの関係が密になっていく。カインを理解できるのは自分だけ、二人で直木賞を取りに行くと突き進む
作家が生み出す作品に、客観的な視点で編集を進める関係が如何に大変なのか。編集次第で大きく変わるのがわかった
Posted by ブクログ
終盤までは読み進めたい気持ちがあんまり湧いてこなかった。だが、終盤になると面白くて早く読み切りたい!と思うようになった。少し長いこともあり、物語の核心が描かれるまで、あまりページが進まなかった。
Posted by ブクログ
カインのパワハラ気質が嫌だったが、夫の対応に腹が立って悲しくなった。夫がそんなだから彼女は外では虚勢を張り賞を渇望するのか。親もだが。その辺りからちょっとカインを応援したくなってきた。千紘の急接近にも、お互い幸せな信頼関係ながら危うさが加速した。ミザリーみたいな極端な展開にはならないものの、脅迫メールと例の一行だけで十分に震えるような狂気だ。あれだけ欲してたのに最後に取ったのはPRIZE よりPRIDE 。予想外の結末といえる。程よい距離でちゃんと見ててくれたのは三成と坂木だけ。こんだけ世話になりながらサカキの漢字くらい覚えててくれ、カインwそういうとこだぞ。
Posted by ブクログ
「直木賞を取りたい!」と具体的に切望する小説なんて珍しいですよね。
主人公の天羽カインは人気ベストセラー作家なのになかなか直木賞をとれない。直木賞を目指して担当編集者・緒沢千紘と全身全霊をこめて突き進んでいきます。
候補作選考から受賞までの出版業界や選考委員の裏事情、書店でのサイン会の成否、新人作家の取り扱いなどなど、業界の内部事情に作家目線で切り込んでいきます。
読み進めていくうちに真のテーマは “ 作家と編集者の関係性 ” であることに気付きます。そこにミステリアスな要素も加わり面白さが増していきます。本好きさんにお勧めの一冊です。
余談ですが‥‥
作者の村山由佳さんはすでに 直木賞をはじめ沢山の賞を取っています。でも「本屋大賞」だけまだです。そのせいか「本屋大賞」や書店員さんに敬意を払っているくだりが度々出てくるので、もしやこの小説は「本屋大賞」狙い?などと憶測しました(笑)
※Audibleで。
❁……………………………………………………❁
2026年 本屋大賞3位
Posted by ブクログ
面白い。どんどん面白くなる。
欲深く難しく求心力の強いカインにどんどんのめり込んでいく千紘。どんどん周りが見えなくなってしまう千紘もゾッとした。
直木賞や小説がどう作られているか裏側を知れる面白さもあった。当方は一読者として小説に関わっているけど、作者と仕事として関わる人は、その一文一文に思いを込めているんだなと感じた。
ただ最後の終わり方って、どういう意図なんだろう。カインは、千紘がいなくても、そのままカインであるという意味かな。なんで足を怪我した描写を入れたんだろう。テセウスはそのままでも素晴らしかったという意味かな。
Posted by ブクログ
好きな著者の作品。
直木賞を受賞したい作家・天羽カインを中心に、彼女を支える編集者や出版業界の人々を描いた物語。
天羽カインという作家のキャラクターが魅力的で、編集者との関係性も印象に残った。普段あまり知ることのない出版業界(どこまでリアリティがあるかわからないが)や文学賞をめぐる世界も興味深く、物語に入り込んでいけた。
最後の結末はもちろん、そこに至るまでの展開も緻密で、文章にもぐいぐい引き込まれる。先が気になって、一気に読み進めてしまった作品。
Posted by ブクログ
話の着地点が登場人物諸共どん底へなるかどうなるかと思っていたら、良い方向へ天羽カインの転換となるような繋げ方で良かったなあという感想。
終わりよければすべてよし。では無いけれど、作家人生がこれからも続いていくことを思わせる明るい終わり方が好きでいいなと思いました。
作家の目線と、2人の編集者の目線から物語がクルクルと語られ交わっていく中で、「小説」ができ上がるまでの流れ、「直木賞」について、出版社のビジネス的観点について、今まで知らなかった本にまつわるアレコレをこんなく事細かく知識を得られて良いんでしょうか…!?
これから私もそんな偉そうな目線で本を読むわけじゃあないけれど、今後の直木賞や芥川賞の講評も読んでいきたいし、世に生まれてくる小説の作家の意図やそこに我々に委ねてもらえる解釈の文章と膨らみを更にイメージさせられるような気になります。
作中の「テセウスは歌う」と、天羽カイン、緒沢千紘をリンクさせた作中のテーマ「テセウスの船」が対比や絡み合っているものだから二度美味しいと思っちゃったな。
カインがインタビューを答える中で作中で伝えたいとしていた「あなたを許したわけじゃない」という文言が含むニュアンスの意味が、千紘が受け取ったメッセージカードの内容と対比があったけれど、千紘自身は一筋の光として捉えてもいいんじゃないかなとも少し都合の良い解釈を持っていました。
カインが最後に職場の人付き合いであったり自分自身の環境の整理をして、共に闘う者はいるけどひとりで道を切り開いていく強さはカッコイイ。
Posted by ブクログ
書店での売上数はトップクラス、本屋大賞も受賞する人気作家・天羽カインが、どうしても欲しいものー直木賞。
彼女を中心に、出版業界の、文学賞、作家、編集者達の描写が巧みで、天羽の編集者へ叱責など、天羽に惹かれていく編集者の緒沢千紘の心の動きなど、ヒリヒリとした現実味があり、最後まで続きが気になる展開だった。
作家がいくつかの出版社から多数の作品をだし、それぞれに担当編集者がつき、当然、温度感や熱意、理解度、伴走のうまさなどは違うことも想像に難く無い。
また、作中で書かれているように、自分が楽しむ本がどのような経緯を辿って作品として手元にすることができているのかを知ることができたという素直な驚きもあって、おもしろかった。
Posted by ブクログ
ちょっと出版社や小説家さんの事を知れた気がする。
特に引っかかったのは「歴史を描くというのは、時に洗濯物の埃」
洗濯物にあるいつもより多い埃(火山灰)
読者の想像力や考えを信じて、敢えて説明はしない書き方。
すごいな〜。
にしても千紘は一線を超えてしまった………
発表の時に千紘がやっぱりあった方がいいと言ってた一文が記載されてたので、あ、やばっ!と思った。
あとは編集者は病むな。あんなわがままというか、我を通されたら病む。胃潰瘍になるよ。
まあでも、自分で選択して勝負ありのフィールドに立ったんなら誰だって1番とりたいよな。
Posted by ブクログ
小説の実写化が小説の内容と変わっていたら、小説家はどう思う?以前漫画の実写化で悲しい出来事がありました。
この本で内容が変わっていて当然。そうじゃなきゃ、実写化する意味がない。と書いてありました。
そういうものなのかな?と思いました。
読んでいてどうしても
村山由佳さんご本人を
イメージしてしまう
作家が主役
出版社名や
登場人物の作家もなんとなく
想像できてしまうから
つい現実と勘違いしてしまう
そこが狙いだろうけど
まんまとハマった
作家名の天羽カインと
本名の天野佳代子を使い分けることで、
作家活動とプライベートを
描き分けてるのかな?とは思うが、
佳代子の時もカインなので
まさしく表裏一体という感じ
一読者としては
賞の受賞うんぬんよりも
ストーリーありきであると思う
面白そうと思えば
知らない作家の本も選ぶし
いつも読む作家が毎回当たりとは
限らないことも知ってる
だから狭い世界でキリキリと
している登場人物が痛々しくも感じた
読者のためと言いながら
読者が見えていない気がした
けれどラストの顛末を読んで、
他人から認められたいという
承認欲求だけではなく
自分の仕事に誇りを持って向き合う、
覚悟を持ってやり遂げる、
プライドのようなものを
描きたかったのかなと思った
カインにしろ千紘にしろ
いろんな思惑や人間関係に翻弄されても、
確固としてある自我みたいなものを
貫き通す姿勢に
読後はホッとした
Posted by ブクログ
★としては3.5くらいかなぁ。どんどん距離感を失っていく編集者の心理が良く描けていたと思う一方で,主人公の造形はちょっとキャラ的というか。ただ,村山由佳のイメージは刷新されました。こういうドロドロも書けるんだな。
若いころ最初のボスに「入れ込みすぎるな」と言われたのを思いだした。
Posted by ブクログ
一つのフレーズがあるかないかで感じ方がこんなにも変わるとは。私にはどちらがいいかなんて分からない。
小説にかぎったことではないけど、改めて物作りって凄いなぁと思った。