あらすじ
村山由佳が描く、業界震撼の“作家”小説!
「どうしても直木賞が欲しい……!」
賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める、あるベストセラー作家と彼女を取り巻く人間たちの、破壊的な情熱が迸る衝撃作!
あらすじ
ライトノベルの新人賞でデビューした天羽カインは、3年後には初の一般小説を上梓、その作品で〈本屋大賞〉を受賞。以来、絶え間なくベストセラーを生み出し続け、ドラマ化・映画化作品も多数。誰もが認める大人気作家である。
――しかし彼女には何としてでも手に入れたいものがあった。それは〈直木賞〉という栄誉。
過去に数度、候補作入りするものの、選考委員からは辛口の選評が続いた。別居する夫には軽んじられ、まわりの編集者には「愛」が足りない。私の作品はこんなに素晴らしいのに。いったい何が足りないというの?
*
『南十字書房』に勤める緒沢千紘は、天羽カインの担当編集者である。学生のころから大ファンで、編集者になってからは必死のアピールのすえカインの担当となった。〈直木賞〉が欲しいとのたまうカインに振り回されつつも、彼女の情熱に応えるべく、自らのすべてを懸けてカインに没頭するようになってゆき――。
*
一方『文藝春秋』のカイン担当、「オール讀物」編集長の石田三成は当惑していた。文春から出す新作を「絶対に候補作にしろ」とカインに詰め寄られたのだ。そしてその日カインが宿泊するホテルのカードには、手違いで「石田三成」の名前が載っていて……。
果たして天羽カインは直木賞を獲得することができるのか。
あまりのリアリティに業界震撼! 文芸を愛するすべての人に捧げる容赦ない作家小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
承認欲求と言葉にすれば、若者がSNSに依存する姿をイメージしていたが、プロになり、富や知名度を得ても、どこまでいっても存在するものなんだと思った。
『殺し屋の営業術』の主人公も、会社員時代は賞にこだわって、営業成績1位をとることで自分の存在意義を見いだしていたのを思い出す。
私は1位とか、個人での賞とかを受賞した記憶がないし、多分本気で目指したこともない。
そこそこに合格ラインをこえるくらいの努力でとまってしまう。でも、それでも生きる意味とか存在意義まで考えつかないのは、幸せなのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
「どうしても直木賞が欲しい」
作家カインはその執念をストレートに表現する
自分が産んだ子どもが評価されたいと思うのは当然だと言い、手に取ってもらう機会が増やせるなら、書店を巡り、ファンに心を込めてサインをする
ファンを大切にする行動や労を惜しまない姿勢には感心する一方で、
その情熱について来られない、気の利かない出版社の社員達、スタッフのちょっとした不手際は決して許さず、烈火の如く怒り散らす
私ならこんな気難しい作家と関わりたくないな、と思うが、同時にカインの作品への情熱や姿勢、正直さに惹かれる部分もある
作家、編集者、書店員、そして賞の選考者の視点から、本を取り巻く状況がヒリヒリと伝わってくる
作家と編集者の関係性、賞の選考など本や出版の内側を興味深く読んだ
ラストシーンも納得感があって好きな作品
Posted by ブクログ
面白い!
直木賞を取りたい天羽とそれをささえる編集者の千紘という関係をかいている。
またそれぞれの感情がぶつかる。
千紘が最後まで報われないけど仕方ないかな。
さすが、作家、この辺をよく書ききったなという印象。
勢いよく最後まで読める話。
天羽はパワハラ気質ですが自分の仕事と作品を愛していてそれが強すぎるタイプ。嫌いになれません。
話の中に出てくる小説、テセウスは歌う、を最初は流し読みしましたが、最後まで読んでからそこを読み直したら、印象がかわりました。
編集者の仕事もわからなかったのですが、ここまでやるのかというのは割と驚きでした。
Posted by ブクログ
本屋大賞に選ばれた中で1番面白い。
常に心臓バクバクしながら、あれだけ罵詈雑言ばかりの天羽カインが嫌いになれないのは、彼女の作品に対する揺るがない愛を感じたからだろうな。
直木賞までの過程がとんでもなく大変なこと、審査員のほうが精神的に疲労度が高そうで、私には到底務められないと感じた(笑)
「しかし一方で、境遇や年齢が似てさえいれば、誰だって主人公に共感はする。むしろ自分とはまったくかけ離れた人物の、すぐには理解できないような人生に激しく心揺さぶられる経験をもたらす小説こそ、真に普遍性を持つと言えるのではないか。
そしてーと、石田は思った。感情移入しやすい小説は、必ずしも文学賞に向いていないのだ。」
このフレーズには納得させられた。
何だかこの本に洗脳させられたような気がする。
Posted by ブクログ
良かった。
仕事に対する矜持。
一言でいえばそんな小説だった。
誰も分かってくれなくても自分の満足するまで取り組む事だけが、自分を新しい自分にしてくれる。
マズローによれば、承認欲求は生理的欲求の次に来る最初の欲求で、社会生活をするのに不可欠な欲求らしい。必要であるから存在している欲求なのだろう。
そして、あの一行を入れるべきなのか、入れないべきなのか問題はとても奥深い。
そうした方が良いと分かっていても、それを気付けなかった自分を、やはりこれは自分を許せないのだと思う。
そして意外にも他人の評価というのは流動的なのだと、良いと思ってた事よりもインパクトの強い情報に流されてしまうものだと理解した。
逆の受け取り方もある。自分が正しくその事をやっと世間が理解したと。
誰かと話したくなるなぁ、どう解釈するのだろう?
Posted by ブクログ
直木賞がどうしても欲しい人気作家と編集者女性の共依存が身震いもの!
この作家のように優しくなったり激昂したりするタイプと一緒に仕事するって、ほんとに神経すり減らすと思うけど、直木賞が目的なのかあくまで彼女の作品であるのか、それぞれの視点で見て行くと揺れ動きを感じる。ラスト編集者ちひろの強行に驚き!
また、カインの「あなたを許してはいない」ではなく、「あなたを許さない」のメッセージも愛情からの憎しみへの振り幅を感じてまたまた身震い!
めちゃくちゃ面白かった
ポッドキャストで社会学者の富永京子さんが紹介されていて、
「作家と編集者が距離を縮めると、まあこうなるよね……」とつぶやかれていたのが
妙に気になって読んでみました。
村山由佳を読むのは中学生の時以来だったので
『天使の卵』とか懐かしいな〜とだいぶ軽くてぬるい気持ちで読み始めたのですが
いやもう、サービス精神のほとばしりぶりがすごい。
実在の出版社や雑誌、
誰がモデルか分かり易すぎる一部の登場人物、
そしてパンチの効きすぎた小説家・天羽カイン。
読者の下世話な気持ちを満たしつつも
書く者の業の深さを濃厚に描き、
意外といえば意外なラストに着地させる。
すごいものを読んだ!という気持ちです。
やることが他にある時に読んじゃダメですよ……。
おもしろい
この小説を作る過程で、作者と担当編集者さんでどんな会話が生まれたのか…笑
後半はどんな暗い展開になるのかとヒヤヒヤしたものの、最後はスッキリした形で終わったかな。
市之丞が賞取らなくて良かった笑
Posted by ブクログ
みなさんのレビューと村山由佳さんのメッセージ動画を拝見して、すごく気になり手に取った。
箔押しのタイトルがキラキラしていて美しい!
タイトルの文字にも是非注目して見てほしい。
──直木賞が欲しい。
他のどの賞でもなく、直木が。
直木賞の受賞を渇望する作家、天羽カインと彼女と伴走する編集者たちの物語。
帯に書かれている書店員さんのコメントを見て、読む前から期待値が爆上がりした。
出版業界、文学賞、作家、編集者についてなど…当事者じゃないと知り得ないような事情がとても詳細に、リアルに描かれていて、知らなかったことをたくさん知れて、とても面白かった。
私は特に初版部数、原稿料についての話、直木三十五さんのペンネームの由来、作中で書店員さんが作家さんに問いかけた「直木賞って、いったい何なんでしょう」という質問に対する答えが興味深かった。
作家、天羽カインのキャラクターがすごく強烈だった。
毒舌で言いたい放題、やりたい放題。
直木賞の〈待ち会〉の場面は読んでいるこちらがいたたまれなくなった…!
でも作家として常に向上心を持ち、何より読者を大切にし、読者と自分に対して誠実であり続ける姿はとてもかっこいいと思った。
直木賞発表までのワクワク感、ドキドキ感、直木賞という観点ならではの選評を小説で味わえて嬉しかったし、本屋大賞の意義を感じ、設立されて改めてよかったな、と思った。
作家と編集者の距離感って難しいんだな。
遠すぎても信頼関係が生まれにくいし、近すぎると欲に支配される。
適切な距離を保ちながら、良い作品を作り上げていくことは決して簡単ではない。
作家と編集者が心血を注いで作り上げた作品を日々読んでいるんだなぁと思うと感慨深い。
これからも一作一作を大切に、楽しんで読もうと思った。
Posted by ブクログ
自分が産み出した作品が、誰かの琴線に触れたなら⋯
賞など関係なく、それだけでとてつもなく素晴らしい事だと思っていた。
南方権三氏とカリスマ書店員、兵頭さんとの対話で、直木賞がどれほど多大な影響力をもっているか?初めて知った。
売れる、売れないに関係なく、作者のどうしてもこれを書くんだと言う「志の高さ」その健闘を称えるような賞なんですね。
それは、、、欲しいですよね。
作家と編集に携わる人々が、命を削って産み出している作品を今後は正座して拝読したい。
Posted by ブクログ
エッセイとかで作家の人となりを知ることはあるけど、作家という職業としての人の中身を垣間見ることができる作品だった。賞レースにかける思いや、編集者もこういう動きをするんだなってのがよくわかって面白かった。
Posted by ブクログ
audible
村山さんはずっと活躍されている作家さんというイメージ。
なんとなく避けてきたが、今年の本屋大賞候補を全作品読破を掲げているので読んでみた。
流れるような、なめらかな文章。自然と情景が頭に浮かぶような素晴らしい筆力。
一番驚いたのは、犯人はお前だったのかいということ。最後の締めのところにも繋がってくるわけなので、重要なところだが、そこからか〜という感じ。
どのくらい本当のことが描かれているかはわからないが、この人がモデルなのかと思うような作家さんが出てくることもあり、面白かった。
村山さんぐらいのベテラン作家さんだから書けたお話だったと思う。それがドンピシャな感じがした。
Posted by ブクログ
主要登場人物が魅力的だった
直木賞への異常なほどの執着に振り回されつつも、作家としてのプライドやブレない軸をもっている天羽カインという人物が本当にかっこいい
担当編集者の千紘さんがカインに向けている信仰とも依存ともいえる感情も、危うさがあって苦しくなれるしすごく好き
出版業界の解像度も上がって勉強になった
Posted by ブクログ
読みながら思い浮かんだのは「風と共に去りぬ」。天羽カインとスカーレット・オハラの激しさが何となく重なった。
この小説の魅力は、天羽カインの性格すなわち激しさ・一途さ・妥協のなさに尽きる。直接は絶対に関わりたくないが、傍から見ているぶんにはおもしろいだろうな。
主人公像以外は正直それほどの作品とは思えなかったが、本の真ん中ぐらいからは一気に読めた、と言うか、読むのをやめられなかった。陳腐なストーリーを破天荒な主人公が魅力的なものにした、と言っては言い過ぎか。
評価は、ストーリーだけならは星3つだが、天羽カインの魅力でひとつ上げて、星4つ。
Posted by ブクログ
人との距離感って難しいとは常日頃思っている。
距離感で関係がおかしくなってから、どうなるか、どうするかが重要だよね。
でもこの登場人物のパワハラ気味のところは私はダメだな。
Posted by ブクログ
「賞」を獲るために、何をどこまで捧げられるのか。
一人の小説家と、彼女を支え奔走する編集の濃密すぎる物語。
読み進めるうちに、主人公カインの凄まじいこだわりに「ちょっとついていけないかも…」と辟易しかける瞬間もあったのですが、その徹底したこだわりこそが、物語をあの一点へと導いたのだと最後には納得させられました。
創作の世界の裏側を覗き見しているような背徳感。
実際、作家さんと編集者さんの関係性ってどれほど深いものなんでしょうか。
二人にしかわからない聖域のようなものがあるのかもしれません。
村山由佳さんの圧倒的な筆致に引き込まれました。
Posted by ブクログ
最初は登場人物が分からないし、急に主観の人物がコロコロ変わるので誰…、?てなってなかなか読み進めにくかった。だけど、登場人物がわかって後半になるにつれては今度は誰だろう!とワクワクして読めたように思う。
カインが読み返さない人で、かつ「傑作を超えてひとつの奇跡にまで到達していただろうにー。」と千紘が思っていた時点で千紘があの一文を勝手に追加して残しそうだな…いや、さすがにインタビューや感想でここの部分良かったです!とか言われる中で絶対すぐバレるようなおバカはことはさすがにしないかな…などと考えながら読み進めていると
その通りになってしまいました…!
千紘とカインの関係が好きだったし、予想通りになってしまったのは哀しかった。
カインの性格的にもちろん直木賞を素直に喜ぶはずもなく辞退で…わーーー!あの1文を直さなかった世界線で直木賞を受賞して二人で祝杯をあげる姿も見たかったなと思った。確かにそれだと話として単純すぎたのかもしれないけども…そうなって欲しいなと切に願いながら読んだ。
カインの沸点低すぎて急にブチ切れたりして、自分が働いていた時にいた御局様系の中年のおばさんと同じように感じて最初は人として無理すぎたけど、千紘に心を開いていく様子はとっても心地よかったし、なんだか読者の自分まで嬉しくなった。
カインの夫が昭和すぎて無理すぎた。
妻を下に見てる感じも嫌だったしムカついた。
読んでいて、自分も小説書いてみたい!って気持ちになった。
本好きな人におすすめしたい本!!
Posted by ブクログ
作家と編集者の距離感、近過ぎて危ういなぁって思ってたら、そうきたかと。
売れる本を作るための作家と編集者の関係性が痛いほどよくわかった。みんながみんなそうではないのだろうけど。
これから読む本、それぞれどんな編集者がついてるんだろうって思ってしまいそう。
Posted by ブクログ
己のすべてを賭け、よりよい作品を生み出すことに没入する。一言一句はもちろん、句読点にまで意識を向ける。 そんな作家という仕事に深い敬意を抱くと同時に、そこまで真摯に打ち込めることへの羨ましさも覚える。
自分の分身ともいえる作品が認められたいと強く願うのは当然だし、選ばれなかったことに怒りを覚えるのもまた当然だ。
直木賞への執着もまた狂気とは思えない。むしろ必然に近いものに感じる。 この物語で狂ってしまったのは、作家ではなく編集者のほうだったのだろう。
編集者もまた、よりよい作品を世に出したいと強く願っていた。 作家に頼られ、大きな権限を手にするなかで、越えてはならない一線を踏み越えてしまう。
作品に対する万能感に包まれていた編集者が、自分は作家としては何も成し得ない存在だと突きつけられ、犯した罪の大きさを思い知る展開はあまりにも痛ましい。 個人的には編集者にも少しの救いがあってほしかった。
けれどこの結末そのものが、作品を極限まで削ぎ落とし、余韻を残すという筆者の意図の延長にあるのかもしれないとも思った。
これからはもう少し丁寧に、作家の分身である作品を読み解き堪能していきたい。
Posted by ブクログ
作家と編集者の関係がどういうものかわからないけれど、千紘はなぜあのような行動をとってしまったのか。もともとファンだった作家の編集者になって、自分だけが理解者であると思い込んでしまって、尊敬から独善になってしまって、ついには越えてはいけない一線を踏んでしまった。
「許さない」と「許したわけじゃない」の対比が出てくるけど、その意味合いは全く違っていて「許したわけじゃない」には新しい関係性への兆しがある。何もないことが絶望だとすれば、「許さない」の言葉をもらったのはある意味で救いなのか。その意味での歓喜なのかもしれない。
人間というのは複雑だ。許しとはなんだろうか。罪を犯したのは許されないけれど、一生後悔と懺悔の気持ちはなくならないだろうけど、千紘が静かに生活できるようになるといいなと願ってしまう。
何かにハマる、心酔していくのは楽しいことである反面、一歩間違えると罪になることもあるし、心を壊すキッカケにもなるし、生活の破綻にも繋がる可能性がある。その一歩はどこにあるかわからないしスペクトラムなのだろう。読み応えあったが、すこし怖くなってしまった。
Posted by ブクログ
読むのが苦しかった。
作家や編集者が賞というか本に懸けている熱が、自分が手にしている1冊から伝わってきて、自分はいま大変なものを手にしているんだ…と怖くなるほどだった。我が子と称しているが、作者の命の一部でもある。編集者や本屋はきっと本の父親で、血を流して産んだ母親とはまた違う愛情のかけ方だろう。
どうしても直木賞が欲しいと言った天羽カインが直木賞を辞退する、これがこの物語の核となっていると思う。最後のセリフ、「帰って仕事するんだから」でカイン様の凄さがわかる。
一度は愛した男と別れ、心から信頼する人間に裏切られ、これから先は1人で生きていくといった時に心の支えになるのはやはり「本」だということだ。
コロナでこの世から本が無くなったらどうしようと不安になった描写がある。この世で孤独になったとしても「本」は必ずそばにいてくれる。これがあるから辛いし苦しいし、時には大事なものを失うが、これがあるから強く生きれるもの。天羽カインにとって本とはそういうものなのだと思う。
あとシンプルにめちゃおもろかった♪♪♪
展開がずっと気になる感じでした♪♪♪
Posted by ブクログ
出版業のリアルなのかな?自分は出版業じゃないから有り得そうだなーぐらいで聞いてました
天羽カインはかなりの自己中でバケモノなのは確かだが編集の緒沢も大概バケモノだった
作中の中で私は藤崎が気に入らなかったんだけど予言した通りになったのがあーって感じ
人の著作に自我だして自己を作者と同一視してあんなことしたらそりゃダメだわ
緒沢が1番賞に翻弄されて破滅した人間になっちゃったけど絶対やっちゃいけないことしたから仕方ない、あの後間違いなく出版業界には居られなくだろうけどどうするんだろう
後最後に受賞した賞ってなんなんだろう。
ノーベル文学賞ではないよね?
Posted by ブクログ
賞を逃した作家には複雑な思いがあるだろうな…ぐらいは、想像していたが、これほどリアルに突きつけられると、作家という職業が気の毒になってしまう。
どうしても直木賞が欲しい
それはもうプライドと意地でしかない。
読んでいて、
最初は天羽カインの激しさが苦手だったが、徐々に弱さも垣間見られ、可哀想になってきたと
同時に緒沢千紘に対しては最初は共感していたのに徐々にわからなくなってきて、後半は危なっかしさを感じていた。
千紘はどこで錯覚し、道を踏み間違えたのだろうか。
作家、編集者、出版社の関係、直木賞の選考の裏側まで本好きの私にとって興味津々の内容で十分に楽しめた。フィクションとは言え、事実に近いのでは?と感じている。限られた人の評価が密室での話し合いで決まるのだから、実際、納得できない事もあるはず。そりゃ病む人も出るわな。
一文のある無しで印象が変わり、評価も変わる。大袈裟だけど、小説ってそういうものだよね。特に最初の一文と最後の一文は名文が多いのもそのせいだな。
本作の結末は作家としての意地と才能を見せてくれて、潔く天晴れだった。これぞ天羽カインだ。この終わり方のために、激しい性格だったんだね。
直木賞の功罪を赤裸々にフィクションとして書き遂げた村山由佳氏は凄い。そんな彼女は2003年に直木賞を受賞していたわけだが…
本作を読んだからには今後の直木賞がさらに楽しみになった。いろいろ想像できそうだ。選考委員もやりにくくなったりして(笑)
Posted by ブクログ
直木賞という目に見える形で認められたいと直木賞に固執する天羽カインと、大変な時に天羽の本が精神の支えになった経験から従順に担当として仕事をこなす千紘。著者の本にも現れるように、行為こそないものの絶対的信頼関係から同性愛濃度が濃くなっていき、濃くなりすぎた故に出しゃばりも出てきて、それでも天羽は本を書く。
天羽の本へのこだわりは物凄く、私からしたらめんどくさい人でしかないのだが、そのこだわりの強さゆえに良い本も書く訳で、そうゆう癖の強い作家と共に奔走する編集者も大変だなぁとしみじみ感じた。
作家も作家業1本で食っていけるようになったとしてもいつ廃業するかわからないし、直木賞などを取ればある程度のプレッシャーもかかったりと、本を作る側の物語を楽しめた。
「ちゃんと指摘して、これからも。私が何かおかしなこと言い出したら、『天羽さんそれ間違ってます』って、千紘ちゃんが教えて。私、こんな性分だけど、あなたの言うことだったら素直に聞ける。時々はムッとするかもしれないけど、それに懲りないでどうか言ってほしいの。お願いします」p169
Posted by ブクログ
執念と執着。直木賞や一冊の本ができるまでのリアルな裏側が知れて面白いし、『彼女』がだんだん取り憑かれていくように壊れていく様が怖い。
でもやっぱり最後までカインの口調が強くて苦手だった..かな..
読んでいてどうしても
村山由佳さんご本人を
イメージしてしまう
作家が主役
出版社名や
登場人物の作家もなんとなく
想像できてしまうから
つい現実と勘違いしてしまう
そこが狙いだろうけど
まんまとハマった
作家名の天羽カインと
本名の天野佳代子を使い分けることで、
作家活動とプライベートを
描き分けてるのかな?とは思うが、
佳代子の時もカインなので
まさしく表裏一体という感じ
一読者としては
賞の受賞うんぬんよりも
ストーリーありきであると思う
面白そうと思えば
知らない作家の本も選ぶし
いつも読む作家が毎回当たりとは
限らないことも知ってる
だから狭い世界でキリキリと
している登場人物が痛々しくも感じた
読者のためと言いながら
読者が見えていない気がした
けれどラストの顛末を読んで、
他人から認められたいという
承認欲求だけではなく
自分の仕事に誇りを持って向き合う、
覚悟を持ってやり遂げる、
プライドのようなものを
描きたかったのかなと思った
カインにしろ千紘にしろ
いろんな思惑や人間関係に翻弄されても、
確固としてある自我みたいなものを
貫き通す姿勢に
読後はホッとした
Posted by ブクログ
2026年6冊目
読んでいる間、ずっとハラハラ。
こんなにも、感情を剥き出しにして生きることができるのか…なぜ、運転席を蹴り飛ばすのか…
編集者が、こんなにも深く深く向き合った小説がやっと私達の手元に届く事を知った一冊。
Posted by ブクログ
直木賞を取ることに固執する作家天羽カインと周りの編集者たちの話。
緒沢の気持ちとてもよくわかる。例えば自分だけ上司に褒められて、他の人たちは注意されている時に感じるものはなんなのだろう。決してそう思いたくないのに、バツが悪いのに、心のどこかで優越感を感じている。仕方のないことなのか。はたまた自分に自信がないから、自分だけは大丈夫と安心したい気持ちなのか。そんな優越感など覚えずに、褒められたことだけを素直に受け止められたらどんなに生きやすいことか。なんにせよ、勘違い野郎にはなりたくない。
作家も含め、0からモノを作る人に私が1番求めるのは、作り手が自分の作品に誠実であることだ。迎合したモノや妥協したモノを世に出すことはなるべくしないでほしいと願っている。だから天羽カインのこと、人としては好きではないが、作家としてはとても尊敬する。周りにどう思われようとも自分の望みを叶えようとする姿は少し羨ましく思えた。
Posted by ブクログ
小説というか本とは、の新しい側面を知った、という感覚。ビジネスとしてこう成り立っているんだという側面と、小説が出来上がるまでの過程と、小説が売られ、評価される内容はこういう側面なんだ、と。
あそこまでのめり込み、自分を貫き、感情的になり、自由で、ワガママで、必死で。
良いもの、評価されるもの、欲求は底知れないし、自由だったとにかく自由を感じた。
Posted by ブクログ
形として他人から認められたい、ことにどうしても執着してしまう。夫のせいも大きいんだろうなあ。でもそれをモチベーションにして色々頑張っているわけで。もし獲れたらそのあとカインはどうなるんだろう。理解されたい。
いらない文章を削るって作業はめちゃ難しそう〜
Posted by ブクログ
・小説のことを書く小説。
・知らない業界の、各アクターの心の移り変わりがリアルで勉強になる。
・とうこの最後の行動は、あまり共感できず。。
・イチノスケと新の描かれ方が最後微妙?
・最後の賞は何の賞?
・神と巫女、神の啓示の表現は震えた。
神格化するとよくない、周りのアドバイスも適度に聞くべきか。
Posted by ブクログ
天羽カインの言動には終始ヒヤッとしてしまい、情熱ある素敵な場面でさえも独りよがりに見え、終着点を終始気にしながら読んでしまった。
ただ本好きとしては、一文一文にかける作者の情熱、編集者との伴走、受賞までの過程など、本が手に取られるまでの新たな視点が得られてよかったです。