村山由佳のレビュー一覧
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自伝的小説とのこと。
「的小説」と付きはしても、少なくとも心の部分では、向き合い確かめながら、できるだけありのままに書こうとされたんじゃないだろうか。
毎日の生活の中で、固く積もり重なってゆく母親への嫌悪感。
それはそのまま自分への否定感にもつながってゆく。
ビクビクというかトゲトゲというか。
母親という存在が、意識せずともあたりまえに愛情の対象である人が多い中、知識や情報は増えても、感覚的なところでどれくらいわかってもらえるだろうと思っていた。
それでいいのだった。少なくとも私にはとても自然に、旧知の日常を見ているかのようにするすると入ってきた。
書き上げられてから数年経って、何か変わ -
Posted by ブクログ
ちょっとエロい小説が読みたいなぁと思ってネットを漁っていたところ、わりと評判が良かったので読んでみた一冊。しかし、期待以上にエロかった…。村山由佳は学生時代に何冊か読んだことがあって、みずみずしい青春路線だとばかり思い込んでいたら、いつの間にこういう作品を書くようになっていたのか…。
前半、志澤とのメールのやりとりやセックス描写は、渡辺淳一かと見紛うような三流ポルノで、何度途中で読むのを止めようかと思ったか判らない。しかし、主人公の奈津が別居を始めたあたりから急速に面白くなり、後半は一気読みだった。特に奈津が男を誘うときのセリフはなかなか秀逸で印象深い。性に淡白な夫との関係、憧れと従属、日溜 -
Posted by ブクログ
まるで僕自身の物語なのかと思うほど共感した。辛辣と言われる主人公の言動にも当然だと思えてしまう。何よりも強い絆であるがゆえに、その関係は繊細で難しいものなのだ。
あらすじ(背表紙よる)
厳しい母親を恐れながらも、幼い頃は誇りに思っていた。いつからだろう、母を愛せなくなってしまったのは―。小説家の夏帆は、母親への畏怖と反発を抱えながら生きてきた。反抗の果ての密かな放蕩、結婚と離婚。38歳になりあらためて母娘関係と向き合う夏帆に訪れた、衝撃の真実とは。愛と憎、最も近い女同士の、逃れられないつながり。母を持つすべての人に贈る、共感と感動の自伝的小説。 -
Posted by ブクログ
天使シリーズの完結巻
ネグレクトを受けて育った中学生の少女が30過ぎの歩太くんに出会うお話し
文庫の発売当初に買ってはあったんだけど、読み始めるのになかなか踏ん切りがつかず
だって、あの天使シリーズの完結なんて、悲しいような嬉しいような複雑な気持ちで
なので、一気読みできるときにと思ってなかなか読めずにいました
黒村山を経たからなのか、暗くドロドロした部分が多い
まぁ、世の中にはもっと黒い小説もあるけど、天使シリーズにしてはちょっと黒すぎるといったところ
それでも、そんな黒い部分を乗り越えるからこそのハッピーエンドなんだけどね
二人とも人生の再生、再開ができてよかった
夏姫は天使の梯