あらすじ
家にも学校にも居場所を見出せず、自分を愛せずにいる14歳の少女・茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱き続けてきた画家・歩太。20歳年上の歩太と出会い、茉莉は生まれて初めて心安らぐ居場所を手にする。二人はともに「再生」への道を歩むが、幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。いま贈る、終わりにして始まりの物語。『天使の卵』から20年、ついに感動の最終章。
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Posted by ブクログ
恋愛っぽい話なのかなと思っていたら、
恋愛までは行かず(今のところ)
男とも女とも父とも娘とも違う
あやうくて美しい情や互いを思う気持ちに心があったかくなった。
最後の書評にもあったけど、
この物語のどんな結末になって傷つこうとも「出会わなければよかった」とは思わない前向きさ、素直さ、強さに改めて心が洗われた。
この物語と出会えて良かった。
Posted by ブクログ
天使シリーズ最終作?
新たな登場人物、茉莉14歳。
特殊な環境で育った茉莉は、自分のことを醜く嫌らしい存在として考えている。
ある日、公園でいじめっ子から猫を助けたところで歩太と出会う。
荒んだ生活をしていた茉莉は次第に歩太に惹かれていく。しかしそれは恋愛とはちがう感覚。
茉莉は荒んだ生活から、歩太、夏姫、慎一らと過ごすことで次第に変わっていく。
そして、歩太にとっても茉莉は特別な存在となっていく。
ハッピーエンドで安心した。
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不覚にもまたこの天使シリーズに泣かされてしまった。
『天使の卵』を読んだのはいったいいつだったろう。歩太と春妃の純粋で哀しい愛情にものすごく心を揺さぶられた。
『天使の梯子』『ヘヴンリー・ブルー』と続き、この作品がある。人が絶望の中で苦しみもがきながらも、結局は人とのつながりの中に救いを見出していくところが共通している。
14歳の女子中学生茉莉を中心に話が進んでいくのだけれど、「きみを見てると、時々ふっと思い出す。もし、あのとき生まれていたらー今頃はきみの一つ下だった」という歩太の一言で涙腺決壊。ああ、そうか、そうだったのか、ずっと春妃とおなかの赤ちゃんとともに歩太は生きてきたんだ、と胸がいっぱいになった。
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天使シリーズのラスト。
卵から20年とのこと。
思えば、本を読み始めたころに卵を読んで、村山ワールドにはまり、今に至る。
そう考えると、このシリーズが自分に取って特別なんだなーと。
自分でしか抱えられない後悔を、どのように昇華していくか。世の中そんな後悔だらけ。
Posted by ブクログ
天使の卵、天使の梯子、ときて天使シリーズの最終章。だがこれだけでも十分読めるし、物足りなさは感じない。
「卵」から14年後の時代で、主人公は望まれない子として生まれ育ったために、自分を「汚い」と感じ続けている14歳の少女。彼女が出会うのが「卵」の主人公だった歩太だ。
「卵」も「梯子」も恋愛が軸になっているが、この作品はもっと根本的な「当たり前のようで当たり前ではない幸せ」が軸になっているような感じ。
主人公の再生でもあるけれど、「卵」で消えない喪失感を背負ってずっと1人で生きてきた歩太の再生でもある。
恋ではないけれど、お互いがお互いを必要とする「愛」がそこにはあってやっぱりこれはラブストーリー。
文庫の内容紹介にある「終わりにして始まりのものがたり」という文がぴったりだった。
Posted by ブクログ
どうなるのかとちょっとハラハラしながら読んでいた。読み終えた今はホッとした。人と人との出会い。大切な出会い。どんな人と出会えるかで人生もまた変わる。
天使シリーズの最終章との事。ちょっと残念だけれど好きな3作品。
Posted by ブクログ
3年落ちの新刊。
文庫化までの3年。
滅多なことではハードカバーを手にしない。いつも通りに待った3年。
『天使の卵-エンジェルス・エッグ』を読んだのは、1997年の夏。この『天使の棺』と同じでナツイチに選ばれていた。
村山由佳と出会ったのがその夏で、“いつものペース”から考えると、1年遅れで読んでいたことになる。『天使の卵』の文庫化は1996年だった。
それでも、ほぼ3年遅れのリアルタイムを辿ってきたことになる。
昨日『天使の卵』、『天使の梯子』、『ヘヴンリー・ブルー』を読み、今日『天使の棺』を読むのとは、感じるものが違うだろう。物語の中では15年の歳月、現実の世界では約20年という時を重ねている。その時間の重さも、物語に加味されているからだ。
もちろん、『天使の卵』は当時、完結した小説であった。だから、このような時を重ねることを、誰も──村山由佳さえも──考えなかったはずだ。
もし誰かが考えたとしても、こんなところへはたどり着かなかっただろう。
誰も考え得なかったところへ、物語が導かれた感じがする。
ただ今は、その3年遅れのリアルタイムで、この物語に追従できたことに感謝したい。最初から計算し尽くして、たどり着いた場所ではない。ここはそういうところ。
こんな奇跡のような体験は、そう頻繁に遭遇するものではないだろうから。
Posted by ブクログ
天使シリーズの最終章としてふさわしくて読むのが楽しかった。登場人物がそれぞれ心に傷を持っていてまた新たな出会いや、惹かれ合う存在に触れ合うことにより他者や自分に向き合えかるようになっていく。歩太が最終的にまりとの出会いを通じて、彼ばかりでなく周りの人達までも数珠繋がりのように救われ、前向きになる姿が感動しました。
Posted by ブクログ
「天使~」シリーズ完結編。「天使の卵」で最愛の人春妃を失って以来、沈んでいた歩太の心を動かしたのは、14歳の茉莉だった。二人の間がどんな関係であれ、歩太にも「救い」の時が来たのは良かったなと思う。また歩太のお母さんの「不幸は皆に平等にやってくる。その不幸に変に身構えたりしないで不幸が来たときにはその時に皆で考えればいい」という言葉は凄くグッときた。人間一人では生きてはいけないのだなと思わされる。読んでよかったなと思った。感想はこんなところです。
Posted by ブクログ
人生は肉じゃが。
卵、梯子、柩…
1つ1つも本当に面白かったけど
3部作のこの時の流れが本当に良かった。
出逢うからこそ形成されていくのが人生だなと。
作者が主人公達に痛々しい困難を浴びせても
尚、もがき生き抜く強さを人は持っていること、
受け入れる強さ、
受け止めてもらう勇気を出すことの大切さを教え与えてもらいました。
強さとは優しさ
Posted by ブクログ
居場所のない少女と最愛の人を亡くした青年の話。
『天使〜』シリーズ最終章。
少女には遠くない将来
いつかもしもじゃなくて
同世代の優しい人と素敵な恋愛をして欲しい。
Posted by ブクログ
天使シリーズの完結巻
ネグレクトを受けて育った中学生の少女が30過ぎの歩太くんに出会うお話し
文庫の発売当初に買ってはあったんだけど、読み始めるのになかなか踏ん切りがつかず
だって、あの天使シリーズの完結なんて、悲しいような嬉しいような複雑な気持ちで
なので、一気読みできるときにと思ってなかなか読めずにいました
黒村山を経たからなのか、暗くドロドロした部分が多い
まぁ、世の中にはもっと黒い小説もあるけど、天使シリーズにしてはちょっと黒すぎるといったところ
それでも、そんな黒い部分を乗り越えるからこそのハッピーエンドなんだけどね
二人とも人生の再生、再開ができてよかった
夏姫は天使の梯子で救われているし、これで歩太くんも救われた
一応、キレイに終わっている
それでもちょっと納得がいかないのは、茉莉が歩太にとってはどんな存在なのかというところ
茉莉を描いたシーンは、これまでの事を知っているからこそ
「歩太くん、やっと人物を描く事ができたんだね。よかった、君は救われていいんだよ」ととても感動したんだけど
ふつふつと湧き上がる「でも、何で茉莉?」という疑問
茉莉に春妃を重ねたんだろうけど、それってどんなところなんだろうね?
「ありがとう」の言葉なのか、それとも外見なのか、中身なのか・・・
まぁ、でも描かれたものが宗教画のようなものだったというあたりにそんな共通点があったんだろうね
前作では、風景画を書いていても春妃を書いているのと同じことという描写だったけど
今作ではしっかりと人物画を描けたというのは良い演出だよなぁ
あと、最後のところでお母さん達の養子になっていたけど
実際のところ20歳差ってどうなのよ?
歩太くんと春妃、夏姫とフルチンでも8歳差だものね
ま、それを言うのは野暮ってやつかな
とりあえず、天使の卵で僕が号泣してから15年あまり
ちゃんとした完結が見られるとは思っていなかったので、完結は余計と嬉しく感じます
Posted by ブクログ
シリーズ3作品目の最終章。1番切なくて、読んでいる最中も苦しかった。でも、1番優しさに溢れていた。終わりの物語だけど、何かが始まる物語でもあった。
Posted by ブクログ
主人公が作りこまれているけど、やや不遇すぎて自分に卑屈すぎる&展開が辛いので見ているこっちの心が苦しい部分が多かった。
けれど、これはこれで読みやすいし、面白かった。
早く救ってあげてくれとずっと願ってた。
ただ、ベタな展開で「あ。終わっちゃった」感がある。
物語として別に何かつっつく場面はないし、歩太が必ずしも恋愛によって救いが提示されるわけじゃないからそれもそれでいいのかも。
歩太のセリフで「なぜそんなによく知りもしない人間のことを信じられるんですか?」という質問に「自分の人を見る目を信じたいから」っていうのがすごい刺さったし、良かった。あんなこと言えるようになりたいね。
ただ、歩太と対等な立場で会話できる人が彼を救ってほしかったという個人的な願望があったからなんとなくすっきり腑に落ちていないのかも。