村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
少女漫画が小説になったようなテンポの良い作品です。誰が誰の生まれ変わりかすぐに分かるような人物配置で、頭を使わずにさらっと読めるところも良かったです。
ページ数が少ないので書き込まれた話ではないぶん物足りないような気がしなくもないですが、輪廻転生のテーマとしては厚いので薄っぺらな感じはしませんでした。
現在と過去が交互になる章運びも飽きが来ませんでした。だらだらした文章がないからこの薄さで満足できる作品になったのかもしれないですね。
あとで「おいしいコーヒーの入れ方シリーズ」を読んだ時に、矢崎が出てきて得した気分になりました。
とりあえず保健の先生は何て名前なんですかね、気になります。 -
Posted by ブクログ
面白さとしては上巻のが面白いですが、ぐだぐたの祐介が方向性をなんとなく決めれたみたいなので、成長したんだろうなと思いました。瞳子さんとのアレコレもさっぱりしてて性的な感じがしないのが2人らしかったなと思います。色気は皆無でしたね…。
でもやっぱり由美子のことが好きになれないのがちょっと辛かったです。彼女は兄貴にも祐介にも甘え過ぎです。全ての元凶は由美子なわけだし、典型的なかまってちゃんだなと思うのです。無意識のうちにやってるんだろうけど、祐介の言う“悲劇のヒロイン”ぶってるのはあながち間違いでもない気がします。祐介のいろんな感情的なものを抜きにしても、そりゃないよ兄貴…と言いたくなりました。
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Posted by ブクログ
とりあえず物語の舞台が良い。信州のペンションで働くことになった祐介、働くことより心のリハビリが目的という感じがします。
祐介が駅(町の中)からペンションへと移動するまでの描写が好きです。町の賑やかさから遠ざかっていくように、祐介にとって辛い現実からも遠ざかっている感じ。どこかそれが逃げてるような雰囲気にもとれるんだけど、あたしはこの主人公のヘタレ具合もわりと嫌いじゃないです。
むしろ瞳子さんやタカハシにキツイことを言われてるけれど、やっぱりどう考えても、祐介がヘタレだということを除いたとしても、由美子はフェアじゃないと思うのです。
祐介自身も恋人の心変わりっていってるけど完全な裏切り行為だと思 -
Posted by ブクログ
以下、あとがきから抜粋。防備録。
*泣く=弱い、ということではない。涙を流したからこそ、前に進むこともできる。あるいは、踏みとどまる力を得られる。むしろ、涙を流さずに縮こまっている時のほうが、心はずっと脆い場合だってあるはず。
*恋人であれ、友人であれ、家族であれ、その人の前で思い切り心をさらけ出せるほどの信頼関係を結べたら幸せだし、それと同時に自分もまた、誰かのための〈涙壺〉てきな存在であるほどつよくなれたらな、と思います。
*人間は記憶の生き物。〈自分の過去の記憶を保つことによって自分が自分でいられる〉という部分と、〈他者に記憶してもらうことで初めて生きている実感が得られる〉という部分 -
Posted by ブクログ
前巻はオーストラリア(勝利中心)のストーリーだったけれど
今回はそのおなじ時間を日本(かれん中心)のストーリーで描かれている。
(と後半で気が付いた。オソイ・・・)
丈がすごく大人になっている!
こ、こんな弟ほしい。
いつのまにこんなに成長したのだろう。(ごめん、丈)
なんというか、なんどか瞳の奥がじんとした。
かれんにも丈にも。
わたしの胸のなかにある感覚が
小説だということを忘れて反応する。
勝利の痛みもかれんの痛みも
いつのまにか「知っている」のだ。
勝利は日本に戻ってもいい、というより戻ればいい。
みんなそれを待っている。
けれど勝利がおれだけの想いを背負いこんでいるのか
それを -
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同名の曲、Daryl Hall & John Oatesが歌っていたように思います。
男女の仲にセクシャルな要素は避けて通れない。でも男の側はその部分に対する考えはぞんざいで乱暴。
作者自身の後書きで、「この短編の中で女性たちはみな自らの性に罪悪感を覚えている。…中略 …私だけかと思っていたらいっぱいメールや手紙をいただいた」「肉体を伴わない恋愛なんて花火の上がらない夏祭りのようなものだ!」
編集者(女性です)は、
「いつか何かのはずみで村山由佳さんとエッチしちゃうかもなぁ」と解説の冒頭に書いています。
いわゆるエロ本ではないですがその辺のエッセンスが詰まっ