村山由佳のレビュー一覧
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著者の鴨川暮らしエッセイ。何もない土地から、馬小屋や畑・家などを作ったり、すごく逞しい。お米や野菜やその肥料も全部自分達で作って生活していて、執筆業の傍らこんな大変なことをされていたんだなー!と驚いた。動物と自然への愛と尊敬が伝わってきた。
▼印象的な言葉
・一般的な意味においては何の役にも立たない存在であったとしても、こちらに「私がいなきゃ駄目なんだ」と感じさせてくれる彼らは、それだけで立派に役割を果たしていると言えるんじゃないだろうか。自分は誰かに必要とされている、という実感は、世間に氾濫するぬるい癒しなんかよりも、よほど深く人を慰めてくれるから。
・人生を愉しむ時間というのは、忙しい時ほどかえって必要なんじゃないだろうか。〈すべきこと〉だけでなく〈したいこと〉があればあるだけ、日々を生きる気持ちには張りが生まれる。何であれ、「◯◯があるからもうひと頑張りしよう」と思えるものを持つのは、大切だし幸せなことだと思う。 -
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村山由佳さんは初読。なんとなく濃密な恋愛小説のイメージが強い小説家さんでしたが、それがいい意味で裏切られる爽やかな成長物語でした。人と人とのかかわり、馬とのふれあい、そして競技にかける情熱を織り込み、登場人物の成長と再生を描いた作品です。
いじめと父の死で不登校になってしまった少女のまりも。ひょんなことからまりもと知り合った男性恐怖症気味の貴子は、まりもを自分が通う乗馬のできる牧場につれていく。
牧場主はアルコールにはまった結果、妻と離婚し子どもの親権も失った志渡。
それぞれに喪失やトラウマを抱えた三人。彼らがときに厳しく、そして優しく支え合っていく姿がまず好印象。
そして馬にも慣れ三人の信頼関係も深まっていく中で後半転機が訪れます。風変わりな芸能プロダクションの社長に誘われ、まりもが騎手となりエンデュランスとよばれる耐久レースに、三人で挑むことに。
エンデュランスというのはレースであるものの、馬の体調や疲労具合も審査されます。過酷な道のりをいかに馬を気遣いながら、心を合わせて走るかも重要なポイント。そこに志渡と過去に遺恨ある相手も現れ波乱含みの展開に。
臨場感のあるレースシーンに、登場人物たちのそれぞれの思いやドラマも相まって物語は佳境を迎えていき……
まりもの成長が爽やかでよかったのはもちろんのこと、大人たちの物語にも要所要所でスポットをあて、それぞれの再生を描いていくのも非常によかった。著者の村山さんの優しい視点が物語全体に感じられます。
そしてエンデュランスという競技の魅力も伝わってきます。競技のシーンやまりもと馬の信頼関係もさることながら、エンデュランスに掛ける芸能プロダクションの社長の思いも熱く、それがまた物語に盛り上げる。
ラストシーンもとてもよかった。冒頭のまりもと父親のシーンと結び付き、落ち着くところに落ち着きます。とにかく読後感のいい一冊でした。 -
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一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対する挑戦というか。
個人的には反日思想の展示など不愉快だし、する必要はないと思うが、一方で表現に規制がかかる危うさには怖さを感じる。こうした規制を許せば今後、反日的なものでなくとも、政府や権力者が、言論や表現に制約をかけられる世界になっていくわけだから。
アートの世界だけでなく、科学技術なども国の意向に沿わなければ補助金がなくなり、活動できなくなってしまう模様だ。それは果たして国民にとって健全な、豊かなことなのだろうか。賛否両論のものに対して全員が自由に発言できる世界、何事にも反対意見を出して議論できる社会、多面的に物事を考えられる世の中、そうしたものを守らなければ。などと思いました。 -
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2022.05.28~05.29
ほっとする読後感。
丈と京子ちゃんの関係が好き。心の声を言ってくれる、その強さが頼もしい。
そして、中沢先生の「そんなの偽善だよ」の一言。だよね、と思った。私は、マスターたちのような達観した大人ではないので、中沢先生の気持ちの方がわかる。
最近、この作家の作品が私には大人過ぎて、読みづらかった。このシリーズだけは、自分がまだ大人になり切れていない頃の、青臭い思いの「あるある」感のまま続いてほしいと願っていた。
その思い通り、さわやかに終わってくれたことに、深く感謝したい。また、いつかこの続きが読めることを。 -
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最後のフレーズ「おやすみなさい」は、徹頭徹尾正しい一文だと思った。
帆奈美は、運命の波をさ迷って自分の幸福を見つけられないであろう人ーー元夫·隆一ーーに、さよならではなく、おやすみなさい、と言いたいのだ。電波/音波に乗せて、その過去の魂を鎮魂したい思いなのだろう。
作者は、躍起になっていると思う、「優等生な自分自身」の殻を破ろう、と。ただ、私は思う、無理はしなくとも、向こうからその瞬間はやってくる。しかし、帆奈美には待たせることなどさせなかった。つまり、帆奈美の運命/人生こそが、タイトルの言うところの「燃える波」なのだろう。帆奈美には待てないほどの抜き差しならぬ情熱があり、それが己から殻を破る瞬間となる。
波、とは、運命/人生/心のそれのことだ、月並みな言い方だが。それが身を焼く情熱で燃えるように照らされていて、「燃える波」となったのだ。
秀でた一文というものはなかった気がするものの、全体的に調和の取れた「普通」の文章が読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
よかったと思います。
素直に、なんか優しい小説でした。
人からまとめてもらって、村山さん連続読みする機会に恵まれているのだけど、これは他のと少し趣きが違ったな。
なんていうか、酷すぎ辛すぎという流れはありつつも、最後はこれは穏やかに終わってたし(笑)。
あと、なんていうのだろう、舞台が完全に外国で、外国人小説家の話を読んでいるような感覚にもなったし。主人公の女性がひたすら内面と向き合って静かに自分を分析し続けてたからかな、全体的に、起こっていることは酷いけど、穏やかでした。
また、ミステリとかではないのに、最後どっちに向かうのか、必ずしも途中では予想のできない展開だったし。
ということで、☆4.5くらいが適切かも?と思う感じの☆4登録です。
子どもには優しくしたいな、と思いました。。 -
Posted by ブクログ
猫に深く関わっている物語もあれば、ほんの一部分にかませて描かれているものもありますが、どれも面白かった。
「世界を取り戻す」
最近猫を亡くした身としては、共感できる部分が多々ありました。日常生活の中で描かれる猫と登場人物の絡みが泣ける。。第1弾もあるのかな?ぜひ読んでみたい
「50万の猫と7センチ」
作者の実家でかっているリアル猫のお話。家族として迎え入れるまでの経緯やとある事件にハラハラドキドキしつつ、最後はハッピーエンドというオチがお気に入り。
「双胎の爪」
猫からこんな風に話が転がるものなんだな、と驚きました。悲しい話の中で追い打ちをかけるストーリーが逸脱。