村山由佳のレビュー一覧

  • 楽園のしっぽ

    Posted by ブクログ

    著者の鴨川暮らしエッセイ。何もない土地から、馬小屋や畑・家などを作ったり、すごく逞しい。お米や野菜やその肥料も全部自分達で作って生活していて、執筆業の傍らこんな大変なことをされていたんだなー!と驚いた。動物と自然への愛と尊敬が伝わってきた。

    ▼印象的な言葉
    ・一般的な意味においては何の役にも立たない存在であったとしても、こちらに「私がいなきゃ駄目なんだ」と感じさせてくれる彼らは、それだけで立派に役割を果たしていると言えるんじゃないだろうか。自分は誰かに必要とされている、という実感は、世間に氾濫するぬるい癒しなんかよりも、よほど深く人を慰めてくれるから。

    ・人生を愉しむ時間というのは、忙しい時ほどかえって必要なんじゃないだろうか。〈すべきこと〉だけでなく〈したいこと〉があればあるだけ、日々を生きる気持ちには張りが生まれる。何であれ、「◯◯があるからもうひと頑張りしよう」と思えるものを持つのは、大切だし幸せなことだと思う。

    0
    2022年09月06日
  • 風は西から

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    村山由佳だからと手にとった本。
    恋愛小説かと思って読み始めてみれば、健介やばくない?大丈夫?と過労死するぞ、と思ってたら…。ああ、これはワタ○だよね?あまりちゃんと知ってはいなかったけどこういう事件あったよね、そこから創ったお話しなんだなとおもいました。仕事は面白いし、責任もあるからつい残業、休出をしてしまうけど、ちゃんと寝てちゃんと食べて、働きすぎないようにしようって心から思いました。

    0
    2022年08月31日
  • 天翔る

    Posted by ブクログ

    村山由佳さんは初読。なんとなく濃密な恋愛小説のイメージが強い小説家さんでしたが、それがいい意味で裏切られる爽やかな成長物語でした。人と人とのかかわり、馬とのふれあい、そして競技にかける情熱を織り込み、登場人物の成長と再生を描いた作品です。

    いじめと父の死で不登校になってしまった少女のまりも。ひょんなことからまりもと知り合った男性恐怖症気味の貴子は、まりもを自分が通う乗馬のできる牧場につれていく。
    牧場主はアルコールにはまった結果、妻と離婚し子どもの親権も失った志渡。
    それぞれに喪失やトラウマを抱えた三人。彼らがときに厳しく、そして優しく支え合っていく姿がまず好印象。

    そして馬にも慣れ三人の信頼関係も深まっていく中で後半転機が訪れます。風変わりな芸能プロダクションの社長に誘われ、まりもが騎手となりエンデュランスとよばれる耐久レースに、三人で挑むことに。

    エンデュランスというのはレースであるものの、馬の体調や疲労具合も審査されます。過酷な道のりをいかに馬を気遣いながら、心を合わせて走るかも重要なポイント。そこに志渡と過去に遺恨ある相手も現れ波乱含みの展開に。

    臨場感のあるレースシーンに、登場人物たちのそれぞれの思いやドラマも相まって物語は佳境を迎えていき……

    まりもの成長が爽やかでよかったのはもちろんのこと、大人たちの物語にも要所要所でスポットをあて、それぞれの再生を描いていくのも非常によかった。著者の村山さんの優しい視点が物語全体に感じられます。

    そしてエンデュランスという競技の魅力も伝わってきます。競技のシーンやまりもと馬の信頼関係もさることながら、エンデュランスに掛ける芸能プロダクションの社長の思いも熱く、それがまた物語に盛り上げる。

    ラストシーンもとてもよかった。冒頭のまりもと父親のシーンと結び付き、落ち着くところに落ち着きます。とにかく読後感のいい一冊でした。

    0
    2022年08月03日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
    ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。

    例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。

    詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対する挑戦というか。

    個人的には反日思想の展示など不愉快だし、する必要はないと思うが、一方で表現に規制がかかる危うさには怖さを感じる。こうした規制を許せば今後、反日的なものでなくとも、政府や権力者が、言論や表現に制約をかけられる世界になっていくわけだから。

    アートの世界だけでなく、科学技術なども国の意向に沿わなければ補助金がなくなり、活動できなくなってしまう模様だ。それは果たして国民にとって健全な、豊かなことなのだろうか。賛否両論のものに対して全員が自由に発言できる世界、何事にも反対意見を出して議論できる社会、多面的に物事を考えられる世の中、そうしたものを守らなければ。などと思いました。

    0
    2022年08月01日
  • 聞きたい言葉 おいしいコーヒーのいれ方 IX

    Posted by ブクログ

    新生活にむけて2人の正直の気持ちがぶつかりあって一層強まったので、特に最後のイヴのシーンはドキドキしました。丈がすごくいいトスあげたなと思った。
    恋の駆け引きとかってのもやっぱりあるけど、お互い素でいれることが1番だよね。遠距離恋愛になって、不安は増すと思うけど頑張って欲しい

    0
    2022年07月07日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    「知る」ことで「知らない」では感じられなかった物事が立体的に色彩を持って立ち上がってくる。
    ニュースを見て感想を抱くだけといった姿勢では流れに逆らうことはできないが、思考し行動することは人を新たな場所へ連れて行ってくれる。
    本書では各分野の著名人が各々の視点から考えを述べており、他人の視点、思考、背景等を感じながら読み進められるという点で対話的な(厳密には違うが)一冊になっている。
    自由を重んじる立場の方々の考えに多く触れることができて心地良さすら覚えるが、逆に反論する立場の人の意見にも触れたい気持ちになった。

    0
    2022年06月01日
  • 晴れときどき猫背 そして、もみじへ

    Posted by ブクログ

    作者のエッセイなのですが。いろいろな体験を分かりやすい言葉で書いてありました。題名から読んでみたのですが、その内容通り楽しく読めました。

    0
    2022年05月29日
  • てのひらの未来 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season:アナザーストーリー

    Posted by ブクログ

    2022.05.28~05.29

    ほっとする読後感。
    丈と京子ちゃんの関係が好き。心の声を言ってくれる、その強さが頼もしい。
    そして、中沢先生の「そんなの偽善だよ」の一言。だよね、と思った。私は、マスターたちのような達観した大人ではないので、中沢先生の気持ちの方がわかる。

    最近、この作家の作品が私には大人過ぎて、読みづらかった。このシリーズだけは、自分がまだ大人になり切れていない頃の、青臭い思いの「あるある」感のまま続いてほしいと願っていた。
    その思い通り、さわやかに終わってくれたことに、深く感謝したい。また、いつかこの続きが読めることを。

    0
    2022年05月29日
  • キスまでの距離 おいしいコーヒーのいれ方 I

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自分の初恋を思い浮かべて、強烈に哀しくなった。自分も、こんな恋がしたかった。
    (追記)
    でも、読後20分してやってきた、この「幸福感)は、なんだろう。

    0
    2022年05月27日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

    Posted by ブクログ

     NHKの「ネコメンタリー 猫も、杓子も」を単行本化したもの。先日、SF作家の神林長平さんとビタニャ編を見て、読んでみることにした。

     猫好きの「物書きさん」6名が猫との暮らしを語っている。村山由佳さんともみじ、養老孟司さんとまるなどは、本も出ているし有名だな。自分も猫と暮らしているので、うんうんと頷くことしきりでした。
     あと登場した6名の皆さんの短編やエッセイが載っています。

    0
    2022年05月24日
  • 燃える波

    Posted by ブクログ

    最後のフレーズ「おやすみなさい」は、徹頭徹尾正しい一文だと思った。
    帆奈美は、運命の波をさ迷って自分の幸福を見つけられないであろう人ーー元夫·隆一ーーに、さよならではなく、おやすみなさい、と言いたいのだ。電波/音波に乗せて、その過去の魂を鎮魂したい思いなのだろう。
    作者は、躍起になっていると思う、「優等生な自分自身」の殻を破ろう、と。ただ、私は思う、無理はしなくとも、向こうからその瞬間はやってくる。しかし、帆奈美には待たせることなどさせなかった。つまり、帆奈美の運命/人生こそが、タイトルの言うところの「燃える波」なのだろう。帆奈美には待てないほどの抜き差しならぬ情熱があり、それが己から殻を破る瞬間となる。
    波、とは、運命/人生/心のそれのことだ、月並みな言い方だが。それが身を焼く情熱で燃えるように照らされていて、「燃える波」となったのだ。
    秀でた一文というものはなかった気がするものの、全体的に調和の取れた「普通」の文章が読みやすかった。

    0
    2022年05月22日
  • 妖し

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「喪中の客」終始いやな予感にドキドキさせられ、身構えていたのにやはり最後にゾクリ。やられた。

    「細川相模守清氏討死ノ事」時代物は苦手だが我慢して読み続けただけの価値はあった。読後爽快!ニンマリ

    「フクライ駅から」なーんだネット系の都市伝説かぁ…期待せず読み進めたら意外な展開になり引き込まれた。フェスタのその後を知りたくなる。

    「真珠星スピカ」なんて素敵な家族。泣けた。

    「わたしキャベンディッシュ」バナナに対する認識が変わった。シゲルの味が気になって仕方ない。

    0
    2022年05月19日
  • 女ともだち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女の嫉妬、依存、束縛、共鳴、味方
    全部つまった1冊だった。

    支配したいほど相手を想うことはもはやもう友情ではなくなってるところが怖いところで。

    怖い部分ももちろんあるけど、やっぱりいつまでも変わらずしょうもないところで笑いあえるのも女友だちのいいところというのも伝わった本だった。

    個人的にはブータンのうたが好きだった。

    0
    2022年04月17日
  • 嘘 Love Lies(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    村山由佳さんの作品初読みが本作で、自分としてはいい作品に出会えて良かったと思う。
    恋愛小説に殆ど興味が無いので、ノワールな世界観は寧ろ馴染みやすく、面白かった。
    他作品に触れたことはないが、人間の情愛を丁寧に無駄なく描き切り、深いところまでリードして考えさせてくれるような、ダイバーみたいな作家さんだと思う。
    今後も新たな境地を拓いて欲しいと楽しみにしている。

    0
    2022年03月29日
  • 翼 cry for the moon

    Posted by ブクログ

    よかったと思います。
    素直に、なんか優しい小説でした。
    人からまとめてもらって、村山さん連続読みする機会に恵まれているのだけど、これは他のと少し趣きが違ったな。
    なんていうか、酷すぎ辛すぎという流れはありつつも、最後はこれは穏やかに終わってたし(笑)。
    あと、なんていうのだろう、舞台が完全に外国で、外国人小説家の話を読んでいるような感覚にもなったし。主人公の女性がひたすら内面と向き合って静かに自分を分析し続けてたからかな、全体的に、起こっていることは酷いけど、穏やかでした。
    また、ミステリとかではないのに、最後どっちに向かうのか、必ずしも途中では予想のできない展開だったし。

    ということで、☆4.5くらいが適切かも?と思う感じの☆4登録です。

    子どもには優しくしたいな、と思いました。。

    0
    2022年03月25日
  • まつらひ

    Posted by ブクログ

    夜明け前/ANNIVERSARY/柔らかな迷路/
    水底の華/約束の神/分かつまで

    祭りの日もえあがる男と女
    忌まわしい習慣
    捻じ曲がった時空
    復活の兆し

    道の先にあるものに絶対はない
    一つずつ選んでいくだけ

    0
    2022年03月17日
  • 嘘 Love Lies(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    色々な話が詰め込まれていたのでちょっと疲れた。
    ただ、あっという間に読み切ってしまった。
    もう少し丁寧に終わらせて欲しかった登場人物もいた。

    0
    2022年03月11日
  • 猫はわかっている

    Posted by ブクログ

    猫に深く関わっている物語もあれば、ほんの一部分にかませて描かれているものもありますが、どれも面白かった。

    「世界を取り戻す」
    最近猫を亡くした身としては、共感できる部分が多々ありました。日常生活の中で描かれる猫と登場人物の絡みが泣ける。。第1弾もあるのかな?ぜひ読んでみたい

    「50万の猫と7センチ」
    作者の実家でかっているリアル猫のお話。家族として迎え入れるまでの経緯やとある事件にハラハラドキドキしつつ、最後はハッピーエンドというオチがお気に入り。

    「双胎の爪」
    猫からこんな風に話が転がるものなんだな、と驚きました。悲しい話の中で追い打ちをかけるストーリーが逸脱。

    0
    2022年03月08日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
    から読み始めました

    「芸術」の周辺にいらっしゃる
    人たちの 肌感覚による発言が
    そのままストレートに伝わってきます

    いつの世でも
    どの国でも
    「弾圧」「排除」は
    ピンポイントで行われる

    危うい この国では
    よほど意識しておかなければ
    いつのまにやら 加害者側に取り残されている
    ことになってしまうことが多いように思う

    本書を(肯定的に)読んでいる人たちとは
    どこかで しっかり つながっておきたい

    0
    2022年03月08日
  • 雲の果て おいしいコーヒーのいれ方 Second Season V

    Posted by ブクログ

    たとえ事故だったとしても取り返しのつかない罪を犯してしまった時どうしたら良いのだろう。
    勝利が居場所を失って逃げ出したわけだけど新たな場所でも自分自身から逃げる事はできず、苦しむ姿がリアルに描かれていた。
    アボリジニの問題についてもストーリーに組み込まれていてこちらも興味深く面白かった。

    0
    2022年03月05日