久しぶりに、『おいしいコーヒー~』シリーズを読んた。全然、前後がわからず、いつのまにかかれんが介護福祉士になっていたが。
村山さんの『おいしいコーヒー』シリーズは、毎度ながら、とてもベタなシチュエーションだが、進行上、違和感なく、するすると読める。このベタな、するするした軽い感触、タッチと、その中に織り交ぜられている実は真面目な、重い一言一言が、これまた違和感なくマッチしているのが、すごい。
ex.『そう。訊かれたことにちゃんと答えようとすると、考えるじゃない、いろいろと。訊かれなかったらまず真面目に考えなかったようなことをさ。で、相手にわかるように説明しようとする過程で、自分の中にある考えが言語化されて、系統立てられて、それで初めて自分でも腑に落ちる。ああ、俺は物事をこんなふうに考えてたんだなってね』(森下秀人)
『口をきくだけで、やっぱりいちいち頭に響く。なのに星野は・・・たたみかけるように訊いてくる。訊きたがるのは無理もないのだけど、それにつき合うには気力も体力も足りない。・・・心にせよ体にせよ、ほんとうに弱っている時は、誰かから心配されることさえ負担なのだと初めて知った。ゆうべから今日にかけて、森下さんや秀人さんの謝罪を受けとめ続けるのにひどく疲れたのと同じだ。ありがたいのはやまやまでも、相手の気遣いを受けとめるには、こちらにもそれなりの気力や体力が要るものなのだ。』(和泉勝利)
臨場感あふれる感想にもまた、うんうんとうなずいてしまう。
ex.『もう金輪際、医者やナースの口にする「はい、もうすぐですからねぇ」は信用しないと決めた。』・・・うんうん。
原田先輩の、『壮絶に汚い字で、チラシの裏に殴り書きされたメッセージ』にも。
かれんとの甘いやり取りと、恋愛のどうしようもなさとが、宇宙の彼方へふっとびつつ・・・。悪くはない。そのうち、いつか購入しよう(今回は、友人より拝借)。
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ただ。。。怪我して口腔内腫れあがっている人に「オレンジジュース」はないだろう、と、森下秀人さんや星野りつ子さんに、つっこみたくなりました。まる。