村山由佳のレビュー一覧
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『ダブル・ファンタジー』の続編。
主人公の奈津の性欲はとんでもない。
そう思っていた。
でも、ただ性欲が強かっただけではないのかも。
愛に飢えていたというか。
自分のことを大事にして欲しかった。
自分のことをもっと想って欲しかった。
心から愛してくれていれば、守ってくれれば、
身体を重ねなくても安心できたのかも。
そんな風に感じた。
そして登場する男がまあなんともクズで。
つい不倫してしまう奈津も奈津なのだが。
でも、大林はとことんクズだった。
こうやって人は暴力的になっちゃうんだろうなと。
自分だってそうしたくないんだろうけど、気づいたら相手を責め立ててしまい‥。
それでも自分を選んで欲しいという気持ちが強くあるから、『あの人とは別れるから』って言葉が、その言葉だけが欲しくて。
でも不安が強くなっちゃうから、「お前が悪いことをしたよな?俺を傷つけたから、俺のいうこと聞けるよな?」みたいな上から目線が出てきてしまうのかなと思った。
2026.9.19(土) -
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人生の後半をひとりで生きようとしていた小説家のハナ。
喪失も挫折も知って辿り着いた、バツ2アラフィフ女子、最後の恋。
それは、はつ恋の相手であり、心身を委ねる深さも初めての恋。
大人のための恋愛小説。
……まあ、多少は思いました。
結婚を2回失敗して、それでも自分で稼げて、人生の後半でまた恋ができる女性って、私の周りにはいないなあと。
でも、それではあまりに侘しい。小説にならない。それもまた、ならなくはないけれど。
恋を求める気持ちはわかる。
でも、好きな人が来るといそいそ料理をするというのは、私はもう無理かなあ。先日のお盆で、いつもより多めの食事を作り続けただけでも、もう十分でございます。
そんな現実感を挟みながら読んでいると、この小説が描こうとしているのは、単純な「人生最後の恋」ではないのだと思えてきた。
家族も、親も、子どもも、それぞれの仕事も、これまでの人生も。
それらを捨てるのではなく、それぞれ収まるところへ収めたうえで、残りの人生を生きていく。
『はつ恋』が『ハルメク』2017年5月号から2018年10月号まで連載された作品だと知ると、なおさら腑に落ちる。
『ハルメク』は、人生後半を迎えた女性の「これから」を応援する生活・人生情報誌。
そう考えると、ここで描かれる「幸せ」は、若い頃のように恋だけが人生の中心になることではないのかもしれない。
いろいろなものを抱え、いろいろなものを諦め、それでも自分の人生を自分で引き受ける。
そのうえで、言いたいことを言えて、心も身体も委ねられる相手がいる。
それは確かに、人生の後半に訪れる幸せなのだろう。
そして「はつ恋」というタイトル。
ツルゲーネフの『はつ恋』を意識したものなのかは、作者自身の明言を確認できなかったけれど、もしそうなら面白い。
少年が初めて知る恋ではなく、人生をひと通り生きてきた女性が、もう一度「初めて」を知る恋。 -
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ダブルファンタジーが刊行された当初、エロ目的でハードカバーで買ったが「なんだこりゃ」というかんじでした。
エロいのはエロいがそれ以外の部分が超うざい、なんだこりゃ。
今回もエロいのはエロいんですが、一言で言うと前作を上回るヒトイヤ小説でした。
(イヤミス、イヤホラー、ヒトコワとかいう言葉があるので作ってみた)
最初ずっと退屈で、太字で表記された男女のメールやりとり部分とか「駄文」として私の脳は処理を拒否。人によってはここがなかなか面白いらしいのですが、個人の認知の問題でしょう。
従弟が出てきておっやっと真打ち登場かと思ったらまた退屈なダメニゲン同士のやりとりが続いてしまい、忘れたころに従弟が再登場して、さすがに終わりが見えて一安心。
おとんがああいうことになったラストのチャプターだけは、筆力も感じたし、良い小説だなと思いました。
そう、筆力がすごいんですよねこの作者さんは。
その圧倒的な筆力を、ニンゲンのダメさを描き抜くことに全振りしていて、それがこの作品のすごさというか特長ですね。しかも本作を自伝的と広報してるっていうからまたすごい。
「私は才能があるんだから認めて!それとは別に女として肯定して!さらに性別関係なく人としてあるがままに見て!全部くれないと嫌ったら嫌!!!」という叫び、作品を突き抜けて伝わりました。痛いほど伝わったよ、あいたたたた。
内容については、世代格差を強く感じます。
60年代生まれの作者のジェンダーバイアスがガチガチにきつすぎて、主人公は従弟のおかげでそこから一定は解放されたんだろうけど、その過程における被害者的側面をしつこく描きすぎです。
しかし現代人はもはや、セックスはともかく、ジェンダーではここまで苦しまないと思います(まあこの主人公の苦しみは実は性じゃなくて、自分で自分を救おうとしない人格に原因があるように見受けられますが、それにしてもジェンダーバイアスが鼻につきました)。
本作は「ちょっと昔の価値観の作品」と言えると思います。
よって世代の近い層には刺さるものがあると思います。 -
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ネタバレ普段はあまり読まない「不倫モノ」というジャンルの小説。村山由佳さんのPRIZEが良かったので、他の作品も読んでみたいと思いまずは上巻だけ購入した。
村山由佳さんの文章は、説明的になりすぎず、余白を残しながらも、登場人物の感情の動きをなぞる手法がとても巧みで、読んでいて没入できる。
43歳 バリキャリ女性の涼子と、年下の美容師である孝之という夫婦を軸に、物語は進む。本当はだらしない部分もあるのに、それを隠して結婚したものだから、夫から見てもしっかりした、それでいて「なにを考えているかよく分からない」妻である涼子。バリバリ仕事をこなして稼ぎもある涼子に劣等感を感じる孝之。それぞれが抱える孤独感が、リアルだ。
真面目そうで草食系な印象の孝之が、20歳そこそこの美登里と出会い、あざといアプローチに負けていく様子は、情けないのひとこと。美登里も相当気持ち悪いのだけど、妻に抱えている劣等感を、15歳かそこら年下の女に払拭させてもらうなんて、どれだけ可哀想なんだよ。不倫って、こういうふうに始まるものなのか…と、不倫の構造を少し理解できたような。
涼子の視点、孝之の視点で進んでいく物語のスピード感がとても良くて、それぞれの心の揺れがしっかり描写されているからか、飽きることなく読み進められた。 -
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ネタバレ「女ともだち」をテーマにした短編小説集。森絵都さん、阿川佐和子さん以外は初めましての作家さん。
共感もありながら、ちょっと切なくちょっとホラーで楽しかった。
《印象に残ったところ》
・COPY 村山由佳
まさかの結末。そちら側の方の気持ちは分からずしても想像するだけで苦しい。相手が友情の証として発する無邪気な言葉の一つ一つをどう受け取るのか、友達として関係を深めることと、自分の本当の気持ちをぶつけることへの矛盾をどう整理するのか、自問自答の日々なんだろうと思う。
私は友情と愛情は全く別物だと考えているけど、もしその両方を感じる存在がいたとしたら、自分ならどう行動するのかなと考えた。
我慢の末に歪んだ愛情を露わにした玲。初めてにして最大の罪。きっとこれでハッピーエンドになることもなさそう、きっとまだまだ苦しい日々が続くのかな、と想像した。
・ト・モ・ダ・チ 坂井希久子
ちょっと待って急にホラー。早苗は精神疾患?なのかもしれないけど。
職場のお姉様方の会話や関係性が妙にリアル。女ってこういう会話をしながら結束を固めていくのよね、って悲しくなるくらいにリアル。
そういえば昔Twitterに『新しい環境で妙に優しくしてくるような人には最大限警戒しろ』みたいな文章にとても賞賛の声が集まっていたのを思い出した。それってこういうことかしら。
でも私の経験則だとアルバイト時代(10代)、異動(30代)のとき、めっちゃくちゃ親切にしてくれたお姉さん、その後も凄くいい人だったんだよ〜。だから人によるってことでいい?
まぁでも、上手くやれる自信がないのなら職場での人間関係は希薄な方がいいよね、と再確認した作品(どんな作品)。
・こっちを向いて。額賀澪
この中で一番好きな小説だった。
志保の性格や考え方にすごく親近感を感じる。「どうしてそんなことでくよくよするの?」と言われるかもしれないけど、相手との今の関係値を崩したくない・相手は無理をしているかもしれないとか考えると動けなくなるよね。そして自己否定までがセット。全てが私すぎて、私が志保と友達になりたい。
サービスエリアでメニューを選ぶその一瞬の描写でも、志保と駒木さんと春田のそれぞれの性格が出ていて面白かった。
親友との関係性が少しだけ薄くなった?と自覚したタイミングでの出来事だったから、この一連の物語が余計に切なさを帯びている気がするけど、最後は親友のフェイスブックに勇気を出してコメントを残せた志保。私はその勇気を勝手に讃えたい。
・ブータンの歌 阿川佐和子
ちょっとだけスッキリ感のある物語。全体的に最後がモヤっとする小説が多かったからこの章に少しだけ救われた。
自分にとってのヒーローの行動、自分は覚えていてもヒーロー側は覚えてなかったりするよね。私も過去に自分のことを助けてくれた友達に、最近改めてそのことのお礼を言ったら、「そんなことあったっけ?」と言っててびっくりした。私はずっと忘れないよ。ブータンも万里に再会できて本当に嬉しかったんだろうな。
『今、自分が置かれている境遇に似た人と仲良くなる。女がともだちを作るときの条件は、基本的にそこにある。』
-ここから始まる一節は、切なくも全て真実だと頷きながら読んでいた。女友達は移ろいゆく。でもそれでいいんじゃない?と最近は思う。どこかで境遇や性格が変わって、また交わるかもしれないし。大切な思い出だけは忘れないように。あのとき支えてくれたこと、朝まで飲んで笑ったこと、傷つけるような言葉を言ってしまったこと、言われたこと。全ては難しくても、できるだけ当時の温度そのままに、大事に心に留めておきたい。少なくとも、その時の私を象ってくれたのはその時代の友達だと思うから。お互いの過去に少しでもそんな記憶が残っているのならば、それは十分幸せなことだよね。
《メモ》
短編小説って読むのは易しくても感想をまとめるのがめちゃくちゃ難しい。一小説読み終わったら、その都度ペンを取るべきか?
職場での人間関係や友達関係、ママ友との関係など、自分を取り巻く色々な人との関係値や過去の出来事を振り返りながら読んでいた。その上で改めて、私って人間関係得意な方じゃなさそう。
登場人物たちの、真っ直ぐに友情を信じる気持ちや、嫉妬で歪んでしまう気持ち、関係がグラついて自信がなくなってしまう気持ち、仕方ないから現状維持で!と開き直る気持ち、、etc全てに共感できた。私もちゃんと女してるってことね。
今は正解は分からなくても、それでも日々考えて考えての現状なのだから仕方ない。答え合わせはおばあちゃんになったときなのかな。それまで、私は今自分が大切にしたい人との関係や思い出を必死になって(もうこれが無理しているのかな?)守っていこうと思う。これが今の私の最適解です! -
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あれ?もう終わり?読み終わっちゃった??
というくらい早く読めました。
速さを競うものではないのですが、
面白かった というより共感できました。
官能的さもありますが、それ以上に
妙齢の醸し出す世界観。
ある程度場数を踏んだ大人なら
共感する場面やタイミング、相手、
思い浮かぶ人がいると思いました。
ただ私の悪い癖で、読む前に勝手にハードルを上げて
『こんなかんじなのかー』
と、なるところ。
もっとドロドロして
もっとぐちゃぐちゃになるのかと
思ったらそうではなかった。
ただ、共感はすごいしたのです。
仕事では『全てのことに良い意味で期待しないこと』を
貫いて動じないわたしですが
いざ恋愛になると期待しまくって肩透かしを
くらったり、気持ちも実はジェットコースターなのです。
だから、リアル感があり、まるで私のこと…?
的な感覚にさえ陥りました。
知らない人だけど、割と近い条件の生活をしている
知らない女性の生活を覗いているみたいな感じです。
このまま下巻、行ってきます。
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信州の森の中のエルザ動物クリニックで働く、院長と看護師、受付事務の4人と、病院を訪れる飼い主さんと動物たちの物語。唯一の男性のキャストは、生まれたばかりの子猫を飼うことになる建築職人の土屋。
動物よりもどちらかと言うと飼い主さんの方の物語かもしれない。老犬ロビンと暮らす心疾患持ちの久栄。夫を亡くした後、ロビンと暮らすことが彼女の生きる支えとなるが、やがて年老いたロビンを看取ることになる。正解のない選択を迫られるが、久栄に後悔はないはず‥
おしゃべり上手なオキナキンコのタロちゃんと暮らす里沙。彼女はモラハラ夫に虐げられているが、自分から声を上げることが出来ない。その彼女を救ったのは、インコのタロちゃんだ。
エルザ動物クリニックは信頼できる良い動物病院だ。近くにあって欲しい‥ -
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ネタバレ小学五年生の雪乃がイジメられて不登校に。父親は実家のど田舎で暮らすことにして母親は単身する。
父親の幼馴染の広志とその子供の大輝。
母親は精神を病んで離れて療養している。
田舎暮らしでも雪乃は学校には通えないが、みんなとは仲良くしている。
広志の家の放置している納屋を野良着で立ち寄れるカフェに改造することを父親の航介が決めて自分達で頑張って片付けなどをする。大輝と雪乃も広志も手伝う。
陰口をたたかれるのが嫌になった広志が、様々な人を巻き込み若手で手弁当で楽しく作る。ケーキを作る職人は町のカフェで出会った。
村の役員からは、勝手に東京からきて荒らすなとか、娘も学校に通わず、嫁とも通いでそんな不安定ならまず家族からやれと指摘されたりする。
雪乃は農作業が楽しく、どんどん教えてとせがむ。お婆ちゃんは嫌なことから目を背けて農作業してるのでは?東京だと我慢してたのは解るが、今は何を我慢している?と問う。
楽しいかどうかなんて考えたらだめ。「バイバイ、また明日な!」って手を振る時に明日が早く来ると良いなと思うかどうか。
大輝が痺れを切らして数人の友達を連れて会いに来るようになり、女の子に嫉妬したりする。
納屋カフェで母親が勉強を見ると、みんなまとめて見られて、客の子供も増えて、その後遊ぶと見かけた友達も入ってくるなどして、もはや学校に行ってないのに知ってる友達だらけになる。そして、学校に行く。