村山由佳のレビュー一覧
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祭りと性愛にスポットを当てた6編からなる短編集。タイトルは、柳田國男が提唱した「祭」の語源に由来したもの。
「龍神まつり」、「ほおずき市」、「白秋祭」、「道祖神祭り」、「蘇民祭」、「相馬野馬追」の6つの祭りが題材となっている。
自分としては、長野県御代田町の「龍神まつり」を題材にレタス農家の嫁が見る艶夢と祭りの夜に繰り広げられる男女の狂態を描いた「夜明け前」が強く印象に残った。跡継ぎにこだわる古い農家のしきたりと祭りが焚き付ける情炎をうまくマッチングさせている。
他に、地元の柳川に戻り「白秋祭」で舟に乗っている時に別れた夫と再会し、彼の良さを見直す「柔らかな迷路」、エリート男性のもとに嫁ぎなが -
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番外編で書いてくれないかなぁ、という希望はアナザーストーリーという形で叶えられました。
勝利とかれんさんが物語の主人公であったのですが、彼と彼女以外の登場人物にも勿論人生はあるわけで。誰もが楽しみ喜び悩み悲しみながら、毎日を過ごしています。人を幸せにしたり、時には不幸にしてしまったりしながら。
誰でが不幸よりも幸福であることを望んでいるはずなのに、なぜか望まない方向へ進んでしまう時もある。それでも、理不尽だと思いながらも、修正不可能だと思いながらも、遠回りに見えても歩み続けることしかできないのだなぁ、と思います。その先にあるのは、きっと幸せの、小さいかもしれないけど、光なんでしょう。
どう -
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よそのお宅の猫を覗かしてもらえる番組
「NHKネコメンタリー 猫も、杓子も。」の本です。
夫が養老先生のお宅に行くと まるが居て
邪魔だったよ。とチロじゃなかったの?
と聞くと、ウーン?ドスンと座ってたけど?
それに、わざと邪魔な所に居るんだよ。
またいで、通ってたんだよ。と
嫌われていたのかしら?
自分の思い出になってしまった猫たちを重ねて見てしまいます。
猫の下僕となった人間も、そうなのよねー。
と共感してしまいます。
テレビで、いくちゃんとたまちゃん・カグラちゃん・大ちゃんと見てその下僕化した作家さん達を見てうふふと癒されてます。
この本が、何冊も続くと嬉しいんだけど。
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Second season9巻。そして「おいしいコーヒーのいれ方」最終巻。
罪の意識から逃げ出した勝利が、マスターと由里子さんに会う場面。正直、何を勝利が話すのか。マスターは何を話すのか。由里子さんは何を話すのか。
全く想像のつかないまま読み進めました。謝罪と赦しがどのような形になるのか、がわかりませんでした。勝利もマスターも、あの事件に対してはきちんとした結論がないまま、その瞬間を迎えるであろうから。
マスターが花村家で語ったことに嘘はなく、少しでも未来へ向かって歩んでいこうとしてはいるのだけど、勝利を目の前にしてどうなってしまうのか、が怖かったです。
マスターが勝利にくれたのは、謝罪を -
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Secondseason7巻。
勝利がオーストラリアにいる間に、日本にいる面々で何が起きていたのかを、丈の目線で語られています。前巻で既に爆上がりだった丈の評価がさらに上がる7巻です。
いつの間にか、こんなに周囲の人々のことを思いやりことができる男になっていたのか。自分が未熟であることを知りながらも、現在の自分に出来ることを丁寧にやる、というのはなかなかの仕事です。
あの事件の関係者の中では、なんとも微妙な距離にいる丈。当事者のマスターや由里子さん、マスターと兄妹のかれん、加害者の勝利。全員との関係が、誰よりも強いというわけでないし、離れた距離から見ているというほど遠いというわけでもない。
む